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「ひらいて、むすんで 」愛知・岡崎市美術博物館で2024年4月13日-6月16日に開催

自分の断片を「むすぶ」と同時に、語ることで自分を「ひらく」現代美術の多彩な表現

 愛知・岡崎市美術博物館で2024年4月13日〜6月16日、絵画や彫刻、映像やインスタレーションなど、アーティスト22人の作品を紹介する「ひらいて、むすんで 」が開催される。

 自分を語ることは、自分の断片を「むすぶ」と同時に、語ることで自分を「ひらく」表現だと捉え、それぞれの作家がどんな方法で「心を語る」かをテーマにしている。

 1996年の開館時から、「心を語るミュージアム」として、作品・資料の収集や展示活動を続けてきた同館が、コロナや災害、国際情勢や景気変動によって、人間存在が寄る辺ない舟のように揺さぶられている中、改めて「心」を取り上げた。

出品作家

 井口直人、植松ゆりかO JUN岡崎乾二郎、岡部志士、岡村桂三郎、鬼頭健吾国島征二、ゴードン・マッタ・クラーク、サム・フランシスジョアン・ミロ染谷亜里可、ツァイ・チャウエイ、手塚愛子、中島晴美、西村一成、額田宣彦、ハンス・ベルメール、真坂亮平、三科琢美宮田明日鹿村瀬恭子

展覧会概要

名  称ひらいて、むすんで
主  催岡崎市美術博物館、中日新聞社
会  場岡崎市美術博物館
開館時間午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館 日毎週月曜日、4月30日(火)、5月7日(火) ※ ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・祝)は開館
観 覧 料一般[高校生以上]1,000円(900円) 小中学生500円(450円) 
*展覧会限定フリーパス「Limi‐pass(リミパス)」は1,500円
*( )内は20名以上の団体料金
*各種障がい者手帳の交付を受けている方とその介助者1名は無料
*未就学児は無料 
*岡崎市在住・在学の小中学生は無料(要証明書) 

見どころ

・見ていて楽しい、多様で多彩な現代美術作品を多数展示
・現代社会のさまざまな問題に呼応するアーティストたちのユニークな表現を紹介
・美術ファン必見! 手塚愛子、鬼頭健吾、西村一成、宮田明日鹿、額田宣彦など気鋭の現代美術作家の未発表作品を展示!

展覧会構成

第1章 開くこと、閉じること

 本章では、「ひらくこと」「とじること」を要素として備えている作品を紹介。

 球体に水玉模様が特徴の陶磁器を制作する中島晴美の作品は有機的な形態の連続により、開くことと閉じることを同時に行っている。

 国島征二による本や腕時計や手紙といったプライヴェートな所有物を束ねてアクリルで固める「Wrappedmemory」シリーズは、タイトルどおり「包まれた記憶」として閉じると同時に、それを作品として提示することで、いわば閉じたまま開いている。

 ぬいぐるみを切開し、中の綿を抜いて裏がえしたり額縁に入れて絵画にする植松ゆりかは、それらを用いて動物を生贄に捧げる祭壇を造ることで、自身の閉鎖的な精神世界を開いてゆく作品を制作する。

 アーティストが作品をとおして主体と他者、個と世界を繋げる試みを概観する。

〔展示作家〕植松ゆりか、国島征二、染谷亜里可、手塚愛子、中島晴美、西村一成、ハンス・ベルメール

第2章 越境する、接続する

 本章では、本来は接点がないもの、従来では関係しえなかったものを創作行為によって接続しようとする作品を紹介する。

 宮田明日鹿は女性が家庭で行うものとされ美術から排除されてきた手芸を、敢えて美術の場所で「手芸部」として行うことで手芸や日常的な創作活動に内在する造形性を見なそうとする。

 井口直人は自身の趣味と記録のために長年コンビニで自身の持ち物と顔をコピーするライフワークを行ってきたが、近年その活動が注目され、現在では他者とのコミュニケーションとしてゲストと顔のコピーを行う。

 アーティストが自身の模索した表現方法で様々な方法で他者や世界と接続を試みた作品を概観する。

〔展示作家〕井口直人、O JUN岡崎乾二郎、岡村桂三郎、鬼頭健吾、ゴードン・マッタ・クラーク、サム・フランシス、宮田明日鹿村瀬恭子

第3章 ナラティブと縫合

 本章では「縫合」をキーワードにして、私たちが他者との関係や自己の認識において無意識に「繋ぐ」という作業を行っていることや、一見関係のない出来事にも繋がりがあるということについて考える。

 手塚愛子は江戸後期の鎖国を調査し、当時開国によって劇的に変化した日本人の生活や文化の状況と、現代のインターネットにおける仮想空間にて世界に開かれ、世界と繋がる状況を重ね、刻々と変化する日常への期待と不安を織物で表現する。

 真坂亮平は片方しかないピアスと「彼女はもうひとつピアスをこの部屋で無くした」という文字と併せて展示することで、見るものにとってただ何もない場所が、無くしたピアスがあるかもしれない場所へと新たな関係を生み出す。

 ツァイ・チャウエイによる筆で円を書いてそれが滲んで消えるという映像作品は、何もないところに新しいかたちを生み出して消えてゆく様をとおして、部分が全体と繋がることを考えさせる。

 私たちが日々行っている「自分を語る」という表現には様々な「縫合」によって成り立っているということを考える。

〔展示作家〕岡部志士、ジョアン・ミロ、ツァイ・チャウエイ、手塚愛子、真坂亮平、三科琢美、額田宣彦

関連イベント

講演会(事前申込制)

アーティスト・トーク〈手塚愛子×宮田明日鹿〉
「閉じたり開いたり  そして勇気について」
聞き手:今泉岳大(当館学芸員)
日  時:4月13 日(土曜日)午後2時~3時30 分
場  所:当館1階セミナールーム
参 加. 費:無料
定  員:50 人(応募多数の場合は抽選)
申込締切:3月15日(金曜日)必着

・あいち電子申請(ネット申込)はこちらから
・はがきでの申し込み はがき裏面に、1.参加を希望するイベント名 2.参加者全員の郵便番号・住所・氏名・年齢(学年)・電話番号を記入の上、申し込む。
※はがき1枚につき申し込みは1件まで。1度の申し込みは2人まで。申込者以外の参加不可。
申込先:〒444-0002 岡崎市高隆寺町峠1 岡崎中央総合公園内 岡崎市美術博物館「ひらいて、むすんで展」イベント係

ギャラリートーク

日 時:4月29日(月・祝)、5月25日(土)、6月9日(日) 各日とも午後2時~午後3時
会 場:当館1階展示室
参加費:無料(※ただし、当日の観覧チケットが必要です)
担 当:当館学芸員

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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