葛飾北斎《露草に鶏》天保3(1832)年頃 RISD美術館蔵
Courtesy of the Museum of Art, Rhode Island School of Design, Providence
Gift of Mrs. John D. Rockefeller, Jr.
時代と国境を越える花鳥風月の世界
三重県立美術館で2026年6月13日~7月26日、「ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン美術館所蔵 ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に」が開催される。
米国の富豪ロックフェラーJr.の妻、アビー夫人が収集した世界屈指の花鳥版画コレクションが35年ぶりに来日。葛飾北斎や歌川広重、伊藤若冲ら江戸時代の人気絵師による花鳥版画を一堂に鑑賞できる貴重な機会となる。
四季折々の花や鳥に美を見出す心(花鳥風月)は、古くから日本文化の根幹をなすもの。江戸時代には葛飾北斎や歌川広重らの浮世絵師によって「花鳥版画」が生み出され、人々はそれを身近に飾り、日常の中で季節の移ろいを楽しんだ。

伊藤若冲《雌雄鶏図》江戸時代 RISD美術館蔵
Courtesy of the Museum of Art, Rhode Island School of Design, Providence
Gift of Mrs. John D. Rockefeller, Jr.
100年前、アビー夫人が築いた「ロックフェラー・コレクション」は役者絵や風景画ではなく、「花鳥版画」に特化した浮世絵コレクションとして、世界的に珍しい存在。
本展では、同コレクション約700点から厳選した163点を公開。時代と国境を越えて愛された花鳥風月の世界を堪能できる。

歌川広重《梅に四十雀/雪芦に鴛鴦》天保(1830-1844)末期 RISD美術館蔵
Courtesy of the Museum of Art, Rhode Island School of Design, Providence
Gift of Mrs. John D. Rockefeller, Jr.
展覧会情報
■展覧会名/ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン美術館所蔵 ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に
■会 場/三重県立美術館企画展示室
■会 期/2026年6月13日(土)から7月26日(日)まで
■休 館 日/月曜日(ただし7月20日は開館)、7月21日(火)
■開館時間/9:30から17:00まで(入館は16:30まで)
■主 催/三重県立美術館助成/美術館連絡協議会、読売新聞社、公益財団法人岡田文化財団、公益財団法人三重県立美術館協力会協力/日本航空
■観 覧 料/一般1,200円(1,000円) 学生1,000円(800円) 高校生以下無料
※( )内は前売および20名以上の団体割引料金
※この料金で「美術館のコレクション」、柳原義達記念館も見ることができる。
※生徒、学生は生徒手帳、学生証等を提示。
※障害者手帳等(アプリ含む)をのある人および付き添いの1名は観覧無料。
※教育活動の一環で県内学校(幼・小・中・高・特別支援)および相当施設が来館する場合、引率者も観覧無料(要申請)。
※毎月第3日曜の家庭の日(6月21日、7月19日)は団体割引料金で見ることができる。
※主な前売券販売所:チケットぴあ、ファミリーマート、セブン-イレブンほか。

歌川広重《月に雁》天保3-6(1832-1835)年頃 RISD美術館蔵
Courtesy of the Museum of Art, Rhode Island School of Design, Providence
Gift of Mrs. John D. Rockefeller, Jr.
見どころ
日本初公開――伊藤若冲の「世界に1点」の版画
世界的に高い人気を誇る絵師、伊藤若冲(1716-1800)は「浮世絵師」ではないが、いくつかの花鳥版画を残した。通常、版画は複数枚作られるが、《雌雄鶏図》は世界で1点しか現存が確認されていない。若冲といえば、極彩色の写実的な鶏の絵が有名。しかし、この鶏は少しとぼけたような顔をしている……⁉
奇跡の保存状態――葛飾北斎の“団扇絵”
「団扇絵(うちわえ) 」とは、団扇の骨に貼って使用するために作られた浮世絵版画のこと。夏の実用品(消耗品)として制作されたため、現存する数が少なく、きれいな状態で後世に伝わることはまれだ。葛飾北斎(1760-1849)の《露草に鶏》は、保存状態が極めてよい1点。納涼にふさわしい色合いが、今なお鮮やかに保たれている。向暑の折の鑑賞におすすめしたい作品である。
江戸の人々も知らない⁉――歌川広重の知られざる下絵
浮世絵制作の「舞台裏」では、まず絵師が版元(プロデューサー)から依頼を受けて、紙に下絵(原画)を描く。その後、決定稿である版下絵は、裏返して木板に貼り付けられ、紙ごと彫り込まれてしまう。そのため、下絵や版下絵が現存すること自体、とても珍しい。また、下絵や版下絵は、公開用の絵(完成品)ではない。本展では、江戸時代の人々でさえ滅多に見る機会はなかったであろう、歌川広重(1797-1858)の下絵を見ることができる。
関連イベント
記念講演会
「アビー・ロックフェラーが愛した花鳥版画その魅力と江戸の出版文化」
講師:田辺昌子(国際浮世絵学会常任理事)
日時:6月13日(土)14:00から15:30まで(13:30開場)
会場:美術館講堂
定員:140名(当日先着順)/参加無料
担当学芸員によるギャラリー・トーク
日時:6月28日(日)、7月18日(土)14:00から14:30まで
会場:企画展示室
※展示室入口に集まる。
参加無料(展示室に入るため、観覧券が必要)
展覧会公式図録
北斎、広重、そして初来日の若冲まで、全163点を網羅した「花鳥版画」図録の決定版。絵師や作品の解説はもちろん、「主題」「流派」「技法」「判型」「流通」「ジャポニスム」など、あらゆるテーマから花鳥版画の世界を深堀りしている。
画賛の翻刻に加え、章解説・絵師解説・論考・コラムの英語訳も収録。資料性に富んだ1冊になっている。定価:本体2,727円+税
※本図録は会場限定販売ではなく一般書籍であるため、全国の書店・ネット書店でも購入できる。