ギャラリー数寄(愛知県江南市) 2026年5月23日〜6月28日
庄司達
庄司達さんは1939年、京都市生まれ。生後まもなく名古屋市に転居した。62年に京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)美術学部彫刻科卒業。64年、京都市立美術大学専攻科彫刻専攻修了。
68年から92年まで名古屋の桜画廊で個展(16回)。68年から2011年まで京都のgalerie16で個展。名古屋画廊での個展は、2013、16、19、22、25年。
また、近年、愛知県江南市のギャラリー数寄でも個展を開催。ここでは、主に1階に小品を展開し、2階の空間では、大規模な布のインスタレーションを展示している。

25年の名古屋画廊個展レビュー、2023年の愛知県江南市のギャラリー数寄での個展レビュー、2022年の「布の庭にあそぶ 庄司達」展(名古屋市美術館)のレビューを参照。
また、趣旨は異なるが、同展と同じタイミングで、愛知県美術館において1970年の第10回日本国際美術展(東京ビエンナーレ)、いわゆる「人間と物質」展の作品を再現展示したときのレビューでは、庄司さんの初期の制作思考をリアルな作品を通じて感じ取れる。
「垂れ布 2026ー虚空へ」
80代になった庄司達さんは近年、自らのさまざまなシリーズの集大成を意識して、ギャラリーでの個展に臨んでいる。

ギャラリー数寄の前回2023年の個展では2階に、白い布を数多くの糸で引っ張り、しなやかさとともに緊張感をもった彫刻的な作品を展示。繊細かつ力強い造形性を追求した。
他方、2025年の名古屋画廊の個展を経て開いた今回の個展では、「垂れ布」の作品を見せ、空間性がより強く意識されている。
庄司さんによると、垂れ布シリーズは、1977年の兵庫県立近代美術館での「アート・ナウ ’77」が最初である。

布の一方を壁などに固定して垂らし、そこから動きをつくりながら、造形性によって空間を一変させるシリーズである。
会場の空間に合わせて、作品は造形される。床面が矩形で天井が高くない名古屋画廊2階の空間では、水の流れのような造形のダイナミズムを感じさせたが、今回の数寄では、空間が正方形で天井も高いことから、垂直方向への力と空間性がより豊かである。
矩形の赤い布が四囲の壁から垂らされ、空間の中央で合流。そこに切れ込みが入って、4つの剣先のような布が糸でピンと上方に引っ張られている。

シンプルにして、雄大である。壁から中央への流れるような4つの動きが、空間の真ん中で上昇する力にコンバートされ、空間に見えない力を生み出すような造形力をもっている。
そのほか、「写真の中の赤い線シリーズ」など、1階の展示も見応えがあった。旧作あり、今年の作品ありと、バラエティに富む。
これまでのさまざまな思考実験や創造のアイデアとともに、80代後半でありながら、大作によって、旺盛な制作意欲を見せてくれた希有な展示であった。