「布の庭にあそぶ 庄司達」名古屋市美術館で6月26日まで

布の庭にあそぶ 庄司達

 「布の庭にあそぶ 庄司達」展が2022年4月29日~6月26日、名古屋市美術館で開催されている。

 愛知県を拠点に50年以上活動を続ける造形作家、庄司達さんの個展である。

 〈白い布による空間〉〈Navigation〉〈Cloth Behind〉という3つの代表的シリーズから19点を展示した。

庄司達

 庄司さんは1968年、この地方で活躍する多くの美術家を育てた桜画廊で初個展を開催して以来、布を使った作品を発表してきた。

 名古屋市美術館での個展と同じタイミングで、愛知県美術館では、庄司さんが1970年の第10回日本国際美術展「人間と物質」に出品したインスタレーション作品が再現展示されている(2022年4月1日〜7月3日)

庄司達

 これらは新聞紙を使った作品で、ほかに別の特集的な展示として、庄司さんの映像作品も紹介されている。

 また、名古屋画廊では、「庄司達 ドローイング展」が2022年4月28日〜5月21日(春期休廊4月29日〜5月8日)の日程で催されている。

庄司達

展示構成

 デビュー作である〈白い布による空間〉シリーズ7点と〈Navigation〉に加え、〈Cloth Behind〉の新作を展示。計19点もの作品が空間に配置され、見応えがある。

 〈Navigation〉のシリーズから、「アーチ」「フライト」「レベル」の3種類すべてを一堂に展示するのは初めてである。

庄司達

 庄司さんの展覧会の集大成ともいえる内容。布の作品を名古屋市美術館で、布以外の作品を愛知県美術館の展示で見ると、庄司さんの全体像に近づける。

 名古屋市美術館では、〈白い布による空間〉(マケット含む)のシリーズから始まり、〈Navigation〉、〈Cloth Behind〉の順に展開し、最後にオレンジ色の〈浮かぶ布〉がある。

庄司達

 〈白い布による空間〉シリーズは、布を張ったときの緊張感や弛緩したときの柔らかさを巧みに使って、立体感と空間性を表した「布の彫刻」である。

 布がつくりだす造形性、シャープな線としなやかな曲面はもとより、布と布のあわいの空間、光を受けて現れる繊細な陰影、布の立体が与えてくれる気配が一緒になって、豊かな感覚を見る者にもたらしてくれる。

 〈Navigation〉シリーズは、空間に布を張り渡すように展開した大掛かりな作品。布によって空間をダイナミックに変容させ、鑑賞者を包み込むような場を創造する。

庄司達

 〈Cloth Behind〉では、布に包まれた空間に鑑賞者が入ることで、空間の変化をよりリアルに体感することができる。

 今回は、名古屋市美術館の空間に合わせた新作インスタレーションを展示。親密空間の中を歩くことで、身体性や視覚、触覚などさまざまな感覚が優しく覚醒される。

アーティスト・トーク

講師|庄司達
日時|5月15日(日)午後2時~(約60分)
会場|名古屋市美術館2階講堂
定員|90名(先着順)
※午後1時30分開場。定員になり次第、締め切り。
※入場無料。展覧会観覧券(観覧済半券可)の提示が必要。

庄司達

 庄司達さんは1939年、京都市生まれ。生後2カ月ほどで名古屋市に転居した。1962年に京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)美術学部彫刻科卒業。1964年、京都市立美術大学専攻科彫刻専攻修了。

庄司達

 1966年、名古屋市立工芸高校デザイン科教諭に着任(1973年まで)。1977年から1985年まで、名古屋造形芸術短大専攻科非常勤講師。

 1979年、第4回名古屋市芸術奨励賞受賞。1999年から2010年まで、名古屋芸大美術学部彫刻科教授を務めた。2010年、平成21年度愛知県芸術文化選奨文化賞。

庄司達

 主な個展は、1995年、新潟市美術館での「浮かぶ布—庄司達展(柔・空間の散歩)」、1996年、下山芸術の森発電所美術館(富山県入善町)での「庄司達展—布・赤い河」、2010年、愛知・碧南市藤井達吉現代美術館での「庄司達展 空間の航行」。

 主なグループ展は、1968年、京都国立近代美術館での「現代美術の動向」、1970年、東京都美術館などでの「第10回日本国際美術展『人間と物質』」、1991年、米国サンタ・モニカ美術館などでの「セブン・アーチスツー今日の日本美術展」、1998年、愛知県美術館での「久野真・庄司達展—鉄の絵画と布の彫刻—」、2018年、岐阜県美術館での「第9回円空大賞展」。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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