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長谷川繁 ペイン天狗 豊田市美術館で2026年10月24日-2027年1月24日に開催

2008年 mado collection Copyright the artist
photo by Kenji Aoki, courtesy of Satoko Oe Contemporary

現代絵画の軽やかで大胆な試み

 豊田市美術館で2026年10月24日~2027年1月24日、「長谷川繁 ペイン天狗」が開催される。

 絵画につかまれた人。長谷川繁(1963-)は絵画に憑かれ、絵画を描くために生きてきたといっていい。それくらい頭の中は絵のことでいっぱいである。

 愛知県立芸術大学大学院修了後、1989年にドイツに渡り、デュッセルドルフ芸術アカデミーでヤン・ディベッツに学んだ長谷川は、日本人である自分が、西洋由来の「絵画」を描くことの困難に直面。千本ノックのように絵を描き続ける日々を送った。

1997年頃 作家蔵 Copyright the artist 
photo by Tamotsu Kido

 これまでの絵を「捨てる」ための、自己の弔いともいうべき制作の日々を過ごしたのち、1992年にオランダへ。アムステルダムのデ・アトリエーズでのレジデンスを経て、96年まで同地に滞在するなかで、ようやく自分の絵をつかみ始める。

 勢いのある筆で、3㍍を超すような大画面に描き出されたのは、生姜のようにも、障壁画の松の巨木のようにも見える形で、その異様さと滑稽さは、現在に続く長谷川の絵の始まりをしるすものといえた。

2006年 作家蔵 Copyright the artist
photo by Kenji Aoki, courtesy of Satoko Oe Contemporary
 

 長谷川の作品に繰り返し登場するナスやキュウリ、バナナや魚といったモチーフは、伝統的な静物画を換骨奪胎したようであり、ドレープや椅子の脚といった西洋由来のモチーフも、意味を剥奪されたただの形として画面を自在に組み立てるパーツとなっている。

 こうして限られた要素だけを用いながら常に違う絵を描こうという長谷川の大胆な試みは、ときに行き詰まり、2013年には発表を休止。しかし、その潜伏期にも制作は続けられ、2019年の個展再開後は、精力的に発表を続けてきた。

2008年 作家蔵 Copyright the artist
photo by Tamotsu Kido

 わずかな絵具を伸びやかに使い、極限まで切り詰めて描き出された最近作は、あたかも内側から発光しているようで、初期からの道のりを顧みれば、驚くほど変化している。

 本展では、長谷川の長年の制作を新旧織り交ぜながら紹介しつつ、そこにある徹底した意志と軽やかな展開を明らかにする。

《種まく人-みかん》 2021年 作家蔵 Copyright the artist
photo by Tamotsu Kido

 古今東西、多くの作品を見てきた長谷川の眼と、他方で、高尚な芸術とは別に、幼少期からの生活のなかで育まれた独自の感受性にも着目。同館コレクションと長谷川の作品、そして彼の雑多な蒐集品で構成した一室も設け、その世界を体験してもらう。

2018-19年 作家蔵 Copyright the artist
photo by Kenji Aoki, courtesy of Satoko Oe Contemporary

開催概要

会  期:2026年10月24日〜2027年1月24日
開館時間:午前10時-午後5時30分(入場は午後5時まで)
休 館 日:月曜日(11月23日、1月11日は開館)、年末年始2026年12月28日-2027年1月4日
主  催:豊田市美術館
協  力:Satoko Oe Contemporary
協  賛:株式会社サンゲツ
会  場:展示室1-5
観覧料

一般高校・大学生中学生以下
当日窓口販売1,300円1,000円無 料
オンライン販売1,100800円無 料

*前売券及び20名以上の団体は当日料金から200円割引
*同時開催の井田照一展も見られるお得なセット券を販売(オンライン限定)
 一般: 2,000円、高校・大学生: 1,500円
*前売券販売所、セット券詳細、その他観覧料の減免や割引等については同館ウェブサイトで確認

《死ゲル》 2021年 豊田市美術館蔵 Copyright the artist
photo by Kenji Aoki, courtesy of Satoko Oe Contemporary

見どころ

1 未発表作を含む初期作品を紹介
 1989年からおよそ4年間のドイツ留学時代。それまでの絵を葬ろうと試行錯誤した作品は、自らを弔う墓石のようにも見える。帰国後、長らく開梱せずに留めておいた貴重な油彩画を含む、ドイツ時代の試行の軌跡をたどることのできる作品をまとめて紹介する。

1990年  作家蔵 Copyright the artist

2 オランダ時代の絵画を一堂に展示
 長谷川は、オランダでの制作の日々のなかで、ようやく自身の絵画をつかむ。生姜をモチーフにした3 ㍍を超す絵画は、今に続くスタイルの始まりといえる。未公開作品に加え、山口県立美術館の秘蔵作品を通して、その前後の飛躍的な制作の展開を紹介する。

1994年 山口県立美術館蔵 Copyright the artist

3 オリジナル壁紙を背に作品を展示
 西洋生まれの「絵画」と格闘してきた長谷川は、作品を展示する空間についても自問してきた。西洋の模倣、まがいもの文化に囲まれて生活してきたと述べる長谷川にとって、キッチュな壁紙に覆われた部屋こそが、それに相応しいものに感じられた。本展の一室では、長谷川がデザインしたオリジナルの壁紙を背に作品を縦横無尽に展示する。
4 本展に向けて制作した大小の新作を展示
 本展の開催に向けて制作した新作を複数点展示。なかでも、およそ30年ぶりに手がけた3㍍を超す大作は、新たなモチーフを得て、さらなる変化の兆しをみせている。

《死ゲル-木》 2026年 作家蔵 Copyright the artist
photo by Tamotsu Kido


5 豊田市美術館コレクションとのコラボ展示+ヴィトリーヌ展示 
 長谷川は古今東西、様々な絵画を見て、自作の制作の糧にしてきた。展示室5では、ルネ・マグリットやウィリアム・モリス、会田誠など、長谷川が選んだ豊田市美術館所蔵作品と共に、長谷川作品を展示する。高尚な芸術とは別に、幼少期からの生活のなかで育まれた長谷川独自の感受性にも着目し、ガラスケースのなかに、彼の雑多な蒐集やドローイングからなる煌びやかな世界を展開する。

《種まく人( 男)》 2020年 作家蔵 Copyright the artist
photo by Kenji Aoki, courtesy of Satoko Oe Contemporary

関連事業

1 死ゲルの死ぬまでトーク
 長谷川自身が、展示室で作品を見ながら、半日におよぶトークを行う。最初から最後まで話を聞いても、途中で抜けて他の展示室に行っても、また戻ってきて話に参加しても、自分のタイミングで自由にしていい。
日 時:11月1日(日)、1月10日(日) 両日とも午後1時~5時
会 場:展示室
*参加には、当日の長谷川繁展観覧券が必要。

2 対談: 長谷川繁氏×清水穰氏(同志社大学教授)「絵を語る」
 本展図録に寄稿予定の清水穰さんとの対談を行う。長谷川さんの「バッド(Bad)」な絵の追求について、鋭く切り込んだ話が展開される。
日 時:11月15日(日) 午後2時~
定 員:先着170名 聴講無料
会 場:美術館講堂

3 担当学芸員によるギャラリートーク 
日時:10月25日(日)、12月13日(日)、1月16日(土) 各日午後2時~3時
*参加には、当日の長谷川繁展観覧券が必要。

《死ゲル-木》 2026 年 作家蔵 Copyright the artist
photo by Kenji Aoki, courtesy of Satoko Oe Contemporary

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