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2023-2024年 主な関西の展覧会 滋賀、京都、大阪、兵庫(神戸)、奈良、和歌山の美術館・博物館(随時更新)

  • 2023年1月25日
  • 2024年1月14日
  • 美術

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2022-2023年 主な中部地方の展覧会 愛知(名古屋)、三重、岐阜、静岡、長野、石川の美術館・博物館(随時更新)はこちら

2023-2024年 主な中部(東海)の展覧会 愛知(名古屋)、三重、岐阜、静岡、長野、石川、富山、滋賀、京都の美術館・博物館(随時更新)はこちら

2023-2024年 主な首都圏の展覧会 東京、神奈川(横浜)、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木、山梨の美術館・博物館(随時更新)

2024-2025年 主な中部(東海)の展覧会 愛知(名古屋)、三重、岐阜、静岡、長野、石川、富山、滋賀、京都の美術館・博物館(随時更新)

2024-2025年 主な関西の展覧会 滋賀、京都、大阪、兵庫(神戸)、奈良、和歌山の美術館・博物館(随時更新)

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滋賀県立美術館

企画展 川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり 2023年1月21日〜3月26日

 写真家、川内倫子は1972 年に滋賀県で生まれ、2001年のデビュー以降、精力的に活動してきた。柔らかい光をはらんだ独特の淡い色調を特徴とし、人間や動物、あらゆる生命がもつ神秘や輝き、儚さ、力強さが写された川内の作品は、国内外で高く評価されている。本展では、川内がこれまで発表したシリーズを織り交ぜつつ、地球との繋がりをテーマとする新しいシリーズの「M/E」に、コロナ禍における日常を撮影した新作群を加えて紹介する。

特集展示「川内倫子と滋賀」 2023年1月11日〜5月7日

 企画展「川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり」の開催に合わせ、2021年に同館のリニューアルオープンのために撮り下ろされた写真を中心にして再構成した作品や、川内が13年にわたって家族を撮り続けた〈Cui Cui〉(2005)、そして、滋賀県甲賀市にある福祉施設「やまなみ工房」を撮影したシリーズ〈やまなみ〉(2022)など、川内の作品の中でも特に滋賀との関わりの深いものを特集展示する。

小倉遊亀と日本美術院の画家たち展 横山大観、菱田春草、安田靫彦、前田青邨、速水御舟ほか 2023年4月29日〜6月18日

 1984年(昭和59)に開館した滋賀県立美術館(当時は滋賀県立近代美術館)は、2024年(令和6)に40周年を迎える。これを記念して、同館のコレクション形成に大きく尽力した小倉遊亀を一望する展覧会を開催する。初期から晩年にわたる同館所蔵品を中心に、各地で収蔵されている代表作や、アトリエに残された下絵や原稿などの資料も加えて展示する。遊亀が作品を発表したのは、横山大観や菱田春草らが東京で興した日本美術院である。同館は「日本美術院を中心とした近代日本画」を収集方針のひとつに定め、関西圏にありながら、日本美術院に注目するという、独自のスタンスによって、独自性と厚みのあるコレクションを実現した。そこには、遊亀に影響を与えた、師の安田靫彦や先輩の速水御舟らの作品も含まれる。遊亀の作品には、理知的な造形に相反するようなぬくもりが感じられる。対象を構想や概念で捉えるのではなく、本質を見る遊亀の目がそこにある。

今森光彦 里山 水の匂いのするところ」 2023年7月8日〜9月18日

 滋賀県大津市出身の写真家・今森光彦は、長年にわたり撮り続けてきた滋賀の里山を通して、水の循環に着目した。撮影の中で出会った水の匂いに、自身の原風景を思い出したという今森は、里山における水の循環を、生命の循環とともに写しとっている。水は奥山から人々の住処を流れ、琵琶湖へと戻り、大気を通して再び大地へと還ってゆく。里山に宿る多様な生態系と、その土壌となっている豊かな環境は、私たちの忘れてしまった原風景を、水の匂いとともに思い出させてくれるかもしれない。

☆みかた”の多い美術館展 さわる知る 読む聞くあそぶ はなしあう 「うーん」と悩む 自分でつくる! 2023年10月7日〜11月19日

 この展覧会では、作品をみることや、美術館で過ごすことの可能性を広げることを、狙いとしている。そのために、小さな子どものいる家族や視覚に障害のある方、外国にルーツのある方など、様々な方々と一緒にアイデアを出し合った。話し合いの結果、さわったり、はなしあったり、写真を撮ったり、などなど、ちょっとかわった8つの“みかた”が生まれた。見るだけではない、いろいろな作品との出会いを楽しめる。出品作家:今井祝雄、鵜飼結⼀朗、岡本⾼幸、ワシリー・カンディンスキー、神⼭清⼦、澤⽥真⼀、⽥代雄⼀、⽥中敦⼦、塔本シスコ、藤岡祐機、前川紘⼠、松井利夫、百瀬⽂、⼭⼝晃、若林孝典、渡辺泰幸 ほか。

千年の秘仏と近江の情景 2023年10月7日〜11月19日

MIHO MUSEUM

春季特別展 美の祈り Universal Symphony 2023年3月18日〜6月11日

☆夏季特別展 蒔絵百花繚乱 江戸時代の名工とその系譜 2023年7月15日〜8月20日

秋季特別展「金峯山の遺宝と神仏」 2023年9月16日~12月10日

 古代より修験道の聖域とされてきた奈良県吉野の金峯山を参詣した平安貴族の「御嶽詣」に伴う金峯山経塚の出土品を一堂に展示。藤原道長の金峯山参詣を端緒とする平安貴族の盛んな「御嶽詣」に伴う埋経は、金峯山経塚遺物として今日に伝わっている。新たに確認された遺物も含む金峯山出土遺物から、平安貴族の金峯山への信仰と憧憬の一端を紹介する。

佐川美術館

☆平山郁夫 日本文化の源流 2022年11月8日~2023年3月31日

☆佐藤忠良 彫刻家の眼 2022年12月7日~2023年3月31日

☆樂直入展 守破離の彼方 2023年3月16日~9月18日

☆生誕100年 山下清展 -百年目の大回想 2023年4月8日~6月11日

 ”放浪の天才画家”と言われた山下清(1922-71年)。18歳で放浪の旅を始め創作を続けるなか、31歳の時、アメリカのグラフ誌がその画才に注目し、脚光を浴びるようになった。その後、「今年の花火見物はどこに行こうかな」の言葉を最後に49歳で生涯を閉じるまで、「日本の原風景」として人々に愛され続けてきた貼絵など、多岐にわたる作品を手掛けた。本展では、貼絵や油彩、水彩画、ペン画、陶磁器とともに1961年のヨーロッパ旅行に持参したスケッチブックの中から初公開の習作を含めた約190点を展観。山下芸術の新たな側面を発見するとともに、「百年目の大回想」という名にふさわしく、生誕百年を迎えた山下清の生涯にわたる創作活動を振り返る。

ガウディとサグラダ・ファミリア展 2023年9月30日〜12月3日

滋賀県立陶芸の森

湯呑茶碗~日本人がこよなく愛したやきもの~ 2023年3月11日~6月25日

 湯呑茶碗は日本人に最も親しみのある「やきもの」である。家庭や職場など生活のさまざまな場面で用いられる、個人用の湯呑茶碗や夫婦茶碗の存在は、日本独特の器文化といえる。とくに明治時代末期から昭和時代前期には、日本人が最もやきものに親しんだ時代である。日本各地の名所や名物を、多彩な技法や技術を用いて表現した、その小さな器には当時の名工や作家の技とこだわりが凝縮されている。本展では、陶芸の森「坂口恭逸湯呑コレクション」から日本人がこよなく愛した湯呑茶碗の魅力に迫る。

特別展「岡本太郎 アートの夢-陶壁・陶板・21世紀のフィギュア造形」 ~大衆にじかにぶつかる芸術を~ 2023年7月15日~12月17日

 芸術家・岡本太郎は、「一般大衆にじかにぶつかる、社会に開かれた芸術を実現したい」 と記し、1952年に初めてのパブリックアートとなるモザイクタイルを手掛けた。1954年には、量産を目指し粘土で≪犬の植木鉢≫を常滑で制作、その後、刈谷でも類似の造形を手掛けた。1963年に信楽で制作された≪坐ることを拒否する椅子≫は、人と直に触れ合うアートの在り方を探り、代表作として全国に多数存在している。戦後、建築家・デザイナー・芸術家による建築陶器が人とアートとの結びつきを強めていく中、岡本太郎が信楽で手掛けた日本万国博覧会 (大阪万博) の ≪太陽の塔≫ の <黒い太陽> (1979年)は、多くの人々の記憶に刻まれている。このように産地と岡本太郎の出会いの中で培われた技術力は、大塚オーミ陶業株式会社の大型陶板などに受け継がれる。また、岡本太郎は絵画に比べ「彫刻はより肉体的であり、直接的である。実体がそこにある彫刻の強さ。」と記している。アニメ・マンガのキャラクター造形は21世紀の大衆が求めたアートのひとつである。 クリエイターらの世界観を再現した高精度なフィギュアが生まれている。本展覧会では、〈芸術の大衆化〉 をテーマに、近代の建築装飾陶器、パブリックアートや量産品のデザインを手掛けた岡本太郎らの作品を紹介。またフィギュア造形の世界や壁画の可能性を併せて取り上げつつ、岡本太郎が思い描いた夢の先、21世紀アートの息吹を見つめる。

京都国立近代美術館

リュイユ―フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション 2023年1月28日〜4月16日

 「やわらかな色面」を感じさせるリュイユの一番の魅力は、複雑に構成された色彩の表現にある。ウフラ=ベアタ・シンベリ=アールストロム(1914–1979年)は、水彩によるデザイン画をもとに、幾何学的な模様を無数の階調で表現したリュイユの代表的なデザイナーの1人。こうした色彩構成は、レーナ=カイサ・ハルメ(b. 1940)の近年の作品のように、ウールのみならず、リネンやヴィスコースなどの異なる質感の素材を用いることで、より複雑な表現へと展開している。リュイユは、フィンランドのアイデンティティが表れた織物だといわれる。16世紀にはすでに寝具として用いられていたリュイユの大きな転換点は、1900年パリ万博。画家アクセリ・ガッレン=カッレラ(1865–1931年)によってデザインされた《炎》は、フィンランド館を彩り、ロシアからの独立を視野にナショナル・ロマンティシズムの一端を担う。一方、画家のデザインをもとに制作を担ったのは、伝統的な手工芸を保存し活かすことを掲げて1879年に設立されたフィンランド手工芸友の会だった。同会は、デザイナーと優秀な織り手との豊かな関係を築いたほか、家庭用の制作キットを作ることで、趣味の良い生活と、自ら作る喜びを広めていく。新たなデザインのリュイユは、時代の変化とともに生み出され、1950年代にはガラスや陶芸と同様に、ミラノ・トリエンナーレで受賞を重ねるなど「フィンランド・デザイン」として国際的な評価を高めた。現在では、作家が自ら手掛ける作品も多く、造形や素材は多様化して表現の幅はより広がりを見せている。リュイユの歴史は、いわば近代以降のテキスタイル・アートの変遷を凝縮した物語になっている。本展では、フィンランド国立博物館と並び称されるリュイユのコレクションとして著名なトゥオマス・ソパネン・コレクションを日本で初めて紹介する。リュイユの歴史を概観できる重要な作品を厳選し、主に1950年代以降に制作された作品約40点を展観する。

開館60周年記念甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性 2023年2月11日~4月9日

 大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家、甲斐荘(または甲斐庄)楠音(1894-197年年)。国画創作協会で彼が発表した作品は美醜を併せ吞んだ人間の生を描いて注目を集めたが、やがて映画界に転身。風俗考証等で活躍したこともあって、その画業が充分には顧みられない時期が続いた。1997年、同館で開催された「甲斐庄楠音展」は彼の画業について再評価を促したが、その際、映画人としての側面については大きく取り上げることがなかった。今回は、彼が手がけた時代劇衣裳が太秦で近年再発見されたのを受け、映画人、演劇人としての側面を含めた彼の全体像を展観する。

☆Re: スタートライン 1963-1970/2023 現代美術の動向展シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係 2023年4月28日〜7月2日

 「現代美術の動向」展は、京都国立近代美術館が開館した1963年から 1970年まで毎年開催された定点観測的なグループ展シリーズである。国公立の美術館がまだ少なかった1960年代当時、日本の現代美術の中堅・若手作家を紹介する展覧会として大きな注目を集めた。全9 回におよぶ「動向」展が取り上げた作家・作品は、素材や形式も実にさまざまだ。高度経済成長期を迎えた1960年代は、社会や人々の生活の変化を背景に、絵画や彫刻といった既成の区分の逸脱と、形式・素材の多様化が進み、美術の概念そのものを刷新する動きが活発化した時代でもあった。抽象絵画、ネオ・ダダ、ポップ、キネティック、コンセプチュアル、ハプニング、もの派など、今日の「現代美術」の表現言語の多くは、まさにこの時期に生み出された。「動向」展は、美術館がこうした目まぐるしく変貌する美術の状況と向き合い、若い世代のアーティストや鑑賞者との共感にもとづく実験場となるべく創始された。美術館の建物を用いたその場限りのインスタレーションやハプニングなど、関係者の記憶や記録写真だけが頼りの作品も少なくない。今回の展覧会では、293組の出品作家の中から、62組による主な出品作もしくは関連作、記録写真、展覧会に関するアーカイヴ資料を紹介しながら、1960 年代当時の美術館とアーティストが切り結んだ美術の現場のスタートラインを検証する。

開館60周年記念 走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代 2023年7月19日~9月24日

 1948年に八木一夫、叶哲夫、山田光、松井美介、鈴木治の5人で結成された走泥社は、その後、会員の入れ替わりを経ながら50年間にわたり日本の陶芸界を牽引してきた。しかし、50年という走泥社の活動期間全体を見渡したとき、日本陶芸界におけるその重要性は特に前半期にある。本展は、走泥社結成25年となる1973年までを主な対象とし、走泥社と同時期に前衛陶芸を展開した四耕会の作品なども合わせて展示することで、日本の前衛陶芸が確立していくうえで中心的な役割を果たした走泥社の活動の意味を再検証するものである。約180点の作品および関連資料を通じて、走泥社における「前衛陶芸」の展開を紹介する。

開館60周年記念京都画壇の青春―栖鳳、松園につづく新世代たち 2023年10月13日〜12月10日

 京都の明治以降の美術界の歴史は、東京や西欧との対峙の歴史と言っても過言ではない。開館60周年を記念して開催する今展では、その中でも特に明治末~昭和初期を近代京都画壇の青春時代ととらえ、土田麦僊(1887~1936)を中心に据え、小野竹喬、榊原紫峰、岡本神草などの代表作約80点を4章に分けて展示する。まさに青春時代と重なった画家だけでなく、上村松園、菊池契月、木島桜谷といった先輩作家達や師匠の竹内栖鳳も含んで一丸となり、東京、西欧、そして京都の伝統に挑んだ彼らの、青春時代特有の過剰さと繊細さとをあわせもつ、完成期とはまた異なる魅力を放つ作品群を堪能できる。

☆開館60周年記念 小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ 2024年1月6日〜3月10日

 小林正和(1944-2004)は京都市に生まれ、京都市立美大で漆芸を専攻するものの、より自由な色彩表現を求めて川島織物デザイン部に就職、そこで「糸」と出会った。一本の「糸」に内在する表現の可能性を追求した彼の作品は、伝統的なテキスタイルの枠組みを越えて「ファイバーアート」と呼ばれ、国内外で高い評価を得ることになった。本展では、この分野の重要な先駆者としての小林の活動を回顧するとともに、彼と伴走した作家たちの作品を併せて紹介することで、改めて「ファイバーアート」の過去、現在そして未来について考える。

京都国立博物館

親鸞聖人生誕850年特別展 親鸞—生涯と名宝 2023年3月25日~5月21日

 2023年は浄土真宗を開いた親鸞聖人(1173~1262年)の生誕850年にあたる。親鸞は京都に生まれ、9歳で出家して比叡山で修行に励むが、29歳で山を下り、法然上人の弟子となる。そこですべての人が平等に救われるという阿弥陀仏の本願念仏の教えに出遇うも、法然教団は弾圧を受け、親鸞も罪人として還俗させられ越後に流罪となる。その後、罪が赦された親鸞は、関東へ赴き、長く布教に励み、やがて京都へと戻り、晩年まで主著『顕浄土真実教行証文類』(教行信証)や「和讃」など多くの著作の執筆や推敲を重ねた。親鸞の求道と伝道の生涯を、自筆の名号、著作、手紙をはじめ、彫像、影像、絵巻など浄土真宗各派の寺院が所蔵する法宝物によって紹介する。

特別展 東福寺 2023年10月7日~12月3日

 新緑や紅葉の名所として知られる東福寺は、京都を代表する禅寺の一つである。日本から中国へと渡り、南宋時代の高僧無準師範(ぶじゅんしばん)に禅を学んだ円爾(えんに)(聖一国師)を開山に迎えて創建された。「東福寺」の名は、奈良の東大寺と興福寺になぞらえて、その一字ずつをとったことに由来する。東福寺の寺宝をまとめて紹介する初の機会となる本展では、「画聖」とも崇められた絵仏師・明兆による記念碑的大作「五百羅漢図」全幅を修理後初公開。応仁の乱による戦火を免がれた貴重な文化財の数々や、巨大伽藍にふさわしい特大サイズの仏像や書画類の優品も一堂に展覧する。草創以来の東福寺の歴史を辿りつつ、大陸との交流を通して花開いた禅宗文化の全容を幅広く紹介。東福寺の日本文化における意義とその魅力を余すところなく見せる。

特別展 雪舟伝説 ―「画聖(カリスマ)」の誕生― 2024年4月13日~5月26日

 日本で雪舟ほどよく知られた画家はいない。雪舟は6件もの作品が国宝に指定されており、間違いなく日本美術史を代表する画家の一人である。桃山時代の雲谷派や長谷川派、江戸時代の狩野派だけではなく、実にさまざまな画家たちが雪舟を慕い、その作品に学びながら、新しい絵画世界を切り開いてきた。本展では、主に近世における雪舟受容をたどることで、「画聖」と仰がれる雪舟への評価がいかにして形成されてきたのかを考える。

京都市京セラ美術館

跳躍するつくり手たち展:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー 2023年3月9日〜6月4日

 地球環境への意識の高まりやテクノロジーの進化など、人間社会のあり⽅が⼤きく変化する現代は、新たな視点が求められ、人間がなしうることの重要性が問い直されている。本展では、企画・監修者に、デザインを軸としてリサーチと思索を重ねてきた川上典李⼦⽒(武蔵野美術⼤学客員教授)を迎え、人間や地球の歴史を意識しながら、柔軟な発想でめざましい活動を展開する日本のアート、デザイン分野の気鋭の20作家(個人・チーム)を取り上げる。1970年代、1980年代生まれを中心とした参加作家による新作や初公開作品を多数紹介。過去と未来、自然と人⼯、情報環境と実社会といったさまざまな関係性を軽やかにつないで再解釈する作品や活動から、激動の時代に求められる「創造へ向かう跳躍するエネルギー」が鮮やかに浮かび上がる。

☆コレクションルーム 春期 2023年3月10日~6月18日 特集「魅惑の昭和モダン」

☆生誕100年 回顧展 石本正 2023年4月4日~5月28日

 舞妓や裸婦の官能的な表現で知られる日本画家、石本正(1920-2015)。石本の生誕100年を記念して、活動拠点だった京都で初めてとなる大規模な回顧展を開催する。石本は島根県浜田市に生まれ、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学んだ。その後、日本だけでなくヨーロッパの中世美術も広く研究・吸収して確立した情熱的でリアリティーあふれる舞妓や裸婦像は、戦後日本画の人体表現に新風を吹き込んだ。本展では、石本正の個人美術館である浜田市立石正美術館の門外不出の作品に加え、全国から集めた代表作など約140点を一堂に公開。青年時代から75年にも及ぶ画業の全容を振り返る。没後のアトリエで新たに見つかった素描や絶筆となった未完の「舞妓」も展示し、生涯、地位や名声を求めることなく、最期の瞬間まで絵画一筋に生きた石本の生涯と創作の原点に迫る。

マリー・ローランサンとモード 2023年4月16日〜6月11日

 二つの世界大戦に挟まれた1920年代のパリは、さまざまな才能がジャンルを超えて交錯し、類いまれな果実を生み出した奇跡の空間だった。ともに1883年に生まれたローランサンとシャネルの二人は、大戦後の自由な時代を生きる女性たちの代表ともいえる存在だった。本展では、美術とファッションの境界を交差するように生きた二人の活躍を軸に、ポール・ポワレ、ジャン・コクトー、マン・レイ、マドレーヌ・ヴィオネなど、時代を彩った人々との関係にも触れながら、モダンとクラシックが絶妙に融合する両大戦間パリの芸術界を俯瞰。オランジュリー美術館やマリー・ローランサン美術館など国内外のコレクションから、絵画、ドレス、資料など約90点を紹介する。

☆ザ・トライアングル 米村優人 2023年6月20日~9月24日

☆コレクションルーム 夏期 2023年6月23日~9月24日 特集「人間国宝 稲垣稔次郎―遊び心に触れて―」

ルーヴル美術館展 愛を描く 2023年6月27日~9月24日

井田幸昌展 Panta Rhei|パンタ・レイ―世界が存在する限り 2023年9月30日~12月3日

京都市美術館開館90周年記念展「竹内栖鳳(仮称)」 2023年10月7日~12月3日(前期10月7日~11月5日 後期11月7日~12月3日)

 竹内栖鳳は、近代京都の日本画界に最も大きな影響を与えた画家。画壇革新を目指した明治期には、旧習を脱却した新たな日本画表現を模索し、西洋にも渡った。技術が円熟に達した大正・昭和期には、画壇の重鎮として、第一線で活躍しながら多くの弟子を育成した。「写生」を重要視しながら、抜群の筆力で生き生きとした作品を生み出し、圧倒的な求心力で画壇をリードして、近代京都日本画の礎を作った。同館所蔵の重要文化財《絵になる最初》をはじめ、若手時代から円熟期まで、栖鳳の代表作を集めて展示し、一堂にその画業を振り返る。栖鳳の挑戦をより明らかにするため、本画に加え、制作にまつわる写生や下絵、古画の模写など、さまざまな資料も紹介。栖鳳の奮闘を余すところなく振り返る大規模回顧展である。

☆ザ・トライアングル 山本雄教 2023年10月13日~2024年2月12日

MUCA展 ICONS of Urban Art 〜バンクシーからカウズまで〜 2023年10月20日-2024年1月8日公式サイト

 ヨーロッパで高い人気を誇る、アーバン・アートと現代アートに特化したドイツ・ミュンヘンの美術館 Museum of Urban and Contemporary Art (MUCA)のコレクションを紹介する展覧会。20世紀から21世紀にかけて世界各国の都市を舞台に発表されてきたアーバン・アートは、都市空間から生まれ、言語、文化、宗教、出身地などのあらゆる壁や境界を越えた視点から世界を見つめるアーティストたちによって創られてきた。彼らの作品は、ルールや規則に縛られることなく、私たちの眼を社会の不公正、資本主義、人種差別といった様々な課題に向けさせ、考えることを促している。本展では、世界的な活躍を見せるバンクシー、カウズ、バリー・マッギーなど、10名の作家にスポットを当て、日本初公開の作品を含む、約70点を紹介。ポップ・アートからニューリアリズムまで、25年以上にわたる収集活動を基に設立された世界屈指のMUCAのコレクションを代表する、アーバン・アートの「アイコン」とも呼ぶべき先駆者たちの大胆不敵で独創的な作品の数々が楽しめる。

☆コレクションルーム 秋期 2023年10月27日~12月17日 特集「Tardiologyへの道程」

☆コレクションルーム 冬期 2023年12月22日~2024年2月25日 特集「昭和前期の日本画と古典」

☆第10回日展京都展 2023年12月23日~2024年1月20日

京都市美術館開館90周年記念展 村上隆 もののけ 京都 2024年2月3日~9月1日

 村上隆(1962年生まれ)は、マンガやアニメといったポピュラーカルチャーなどの引用やそれらとのコラボレーションを通して、アートの価値や本質的な意味を問いかけてきた。そのキャリアは、欧米が事実上の規範となっている国際的なアートシーンに、日本から独自の視点で挑み、刺激を与え続けてきた営みであると言える。高い評価を受ける村上の作品は、世界各地の美術館でコレクションされており、『アートレビュー』誌の「Power 100(アート界で最も影響力のある100人)」には10年連続で選出されている。江戸時代に絵師たちが活躍した京都に深い関心を持ち、インスピレーションを得てきた村上にとって、本展は国内で約8年ぶり、東京以外で初めての個展となる。現在、《かわいい夏休み(黄金の王国の夏休み)》や、「光琳」シリーズなど日本美術に想を得た作品の本展特別バージョンを制作中であるほか、京都とその歴史を参照した数々の新作を構想しており、美しい伝統と都市の活気とが交差する京都を舞台に初公開する。

☆ザ・トライアングル 嶋春香 2024年3月5日~6月23日

☆「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展̶美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」 2024年3月20日~7月7日

美術館「えき」KYOTO

☆ミュシャ展~マルチ・アーティストの先駆者~ 2023年2月17日~3月26日

 アール・ヌーヴォーの代表的な画家として知られるアルフォンス・ミュシャ(1860-1939年)は、サラ・ベルナールの演劇ポスター「ジスモンダ」をはじめとする数々のポスター作品で知られているが、実際に手掛けたジャンルは非常に多岐にわたる。ミュシャ作品に特徴的な優美な女性像と花々を組み合わせたグラフィックおよびプロダクトデザインは、絵画作品とはまた異なる魅力を宿している。本展では、チェコ在住のズデニェク・チマル博士のコレクションから、ベル・エポックの時代を象徴するミュシャ芸術の中で、特にデザインの仕事に着目。マルチ・アーティストとしてのミュシャについてひもとく。

☆オードリー・ヘプバーン写真展 AUDREY in Cinema 2023年4月1日〜5月14日

和田誠展 WADA Makoto 2023年5月20日〜6月18日 

☆THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦 2023年6月24日〜7月30日

☆絵本作家 谷口智則展~いろがうまれるものがたり~ 2023年8月5日〜9月3日

☆芭蕉布 人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事 2023年9月9日〜10月29日

☆生誕140年 ユトリロ展 2023年11月3日〜12月25日

☆石をやく 土をやく 樂雅臣 樂直入 2024年1月2〜29日

☆京都 日本画新展 2024 2024年2月2〜11日

細見美術館

☆特別展 初代 志野宗信没後五百年記念 香道 志野流の道統 2023年3月4日~5月31日

琳派展23 琳派の扇絵と涼の美 2023年6月10日~8月20日

☆開館25周年記念展いとし、こいし、江戸絵画 ― 若冲・北斎・江戸琳派 ― 2023年 9月5日~11月5日

開館25周年記念展II挑み、求めて、美の極致 ― みほとけ・根来・茶の湯釜 ― 2023年11月14日〜2024年1月28日

アサヒビール大山崎山荘美術館

☆没後40年 黒田辰秋展―山本爲三郎コレクションより 2023年1月21日~5月7日

 黒田辰秋(1904-1982年)の没後40年を記念する展覧会。黒田辰秋は、早くから木漆工芸の制作過程における分業制に疑問を抱き、一人で素地から塗りや加飾、仕上げまでを行う一貫制作を志す。柳宗悦や河井寬次郎の知遇を得たことで民藝運動と関わり、1927年、「上加茂民藝協団」を結成して志を同じくする青年らと共同生活を送りながら制作に邁進した。協団解散後、本格的に木漆工芸作家として歩み、精力的な活動の末、1970年には木工芸分野で初となる重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定される。本展では、20代前半の凝縮された時期に焦点を当てる。民藝運動との出合いを経た黒田は、1928年、御大礼記念国産振興東京博覧会に出品されたパビリオン「民藝館」で、初期の代表作である欅拭漆のテーブルセットをはじめ多くの家具什器を手がけた。民藝館は、運動の支援者であったアサヒビール初代社長山本爲三郎が建物と什器を買い取り、博覧会終了後に大阪・三国の自邸に移築、「三國荘」とよばれるようになる。山本家から当館に寄贈され、開館以来当館所蔵品の軸となっている三國荘ゆかりの山本爲三郎コレクションを中心に、所蔵品を一挙に公開。黎明期からその後の展開にも触れながら、名匠黒田辰秋の創作の原点に迫る。

☆受贈記念:没後10年 舩木倭帆展 2023年7月15日~12月3日

藤田嗣治 心の旅路をたどる―手紙と手しごとを手がかりに 2023年12月16日~2024年2月25日

京都芸術センター

京都府京都文化博物館

特別展「知の大冒険―東洋文庫 名品の煌めき―」 2023年2月21日~4月9日

 東洋文庫(東京都文京区)は、1924年に三菱の第三代社長・岩崎久彌によって設立された。東洋学分野でのアジア最大級の研究図書館で、世界五大東洋学研究図書館の一つでもある。本展では、東洋文庫が有する約100万冊の蔵書の中から、国宝、重要文化財をはじめとする貴重な所蔵品約120件を展示する。教科書で見たことがある有名な書物や地図、絵画のほか、あまり知られていない文字や言語、服装、動植物など、まだ見ぬ新たな「知」との出会いが待っている。

四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎 2023年4月22日~6月25日

 有楽斎こと、織田長益は天文16年(1547年)、織田信秀の子、信長の弟として生まれた。信長、秀吉、家康のもと、武将として活躍し、晩年には京都・建仁寺の塔頭である正伝院を再興、隠棲する。正伝院内に建てた茶室(如庵)は国宝に指定され、各地に如庵の写しが建てられた。近代化の中で寺名を改めつつ、正伝永源院には現在も有楽斎ゆかりの文化財が数多く伝来している。文化人・有楽斎として名高い一方、武士・長益には悲観的なイメージが付きまとう。天正10年(1582年)、本能寺の変では、二条御所に籠る自らが付き従う信忠(信長長男)の切腹後、二条御所を脱出。このため、京の人々には「切腹をすすめておいて、逃げた男」と揶揄された。その後、信雄(信長次男)に仕え、家康と秀吉の講和を調整するなど存在感を示したものの、信雄が改易されると今度は秀吉の 御伽衆に加わる。関ヶ原の戦いでは東軍として参戦、戦後も豊臣家に仕えたが、大坂夏の陣の前には家康の許可を得て、主人から離れた。織田、豊臣、徳川の3天下人に仕えて時流を乗り切り、75歳までの長い人生を「有楽斎」として京に隠棲した彼の心中には、どのような思いがあったのか。戦乱を生き延びた彼の美意識は現代の茶道に息づき、規範とされている。有楽斎の四百年遠忌にあたり、正伝永源院に伝わる文化財を再度調査。得られた知見をもとに、織田有楽斎という人物を今一度捉え直す展覧会である。

☆発掘された珠玉の名品 少女たち—夢と希望・そのはざまで 星野画廊コレクションより 2023年7月15日~9月10日

もしも猫展 2023年9月23日〜11月12日

☆Kyoto Art for Tomorrow 2024-京都府新鋭選抜展 2024年1月20日〜2月4日

コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより 2024年2月17日〜4月14日

国立国際美術館

☆ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展 2023年2月4日~5月21日

 ドイツ、ベルリンにあるベルリン国立ベルクグリューン美術館は、ドイツ生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューン(1914-2007年)のコレクションを収蔵展示する美術館として1996年に開館。2004年から現在の名称に改まった。本展は、同美術館のコレクション97点をまとめて紹介する日本初となる展覧会。ピカソの初期から晩年にいたるまでの作品と、同時代に活躍したクレー、マティス、ジャコメッティら、ベルクグリューンが最も敬愛した芸術家たちの優品に、日本の国立美術館が所蔵する11点を加えることで、20世紀ヨーロッパ美術の偉大な足跡をたどる。

コレクション2 特集展示:メル・ボックナー 2023年2月4日~5月21日

 国立国際美術館は、米国のコンセプチュアル・アートを代表するアメリカ人作家メル・ボックナーの重要作品の一つ《セオリー・オブ・スカルプチャー(カウンティング)&プライマー》を収集した。この新たな収蔵作品に同館コレクションから日本人作家—荒川修作、河原温、高松次郎等の作品を加え、コンセプチュアル・アートについて考える。メル・ボックナー(1940年- )は、その60年近くにわたるキャリアの中で、コンセプチュアル・アートの中心的存在として、彫刻、インスタレーション、絵画、ドローイング、写真など様々な媒体を用いて作品を制作してきた。今回、同館が新たに収蔵した作品は、とりわけ「彫刻」の根底にある基礎的な概念に対する作家の探究心の全てが表現されており、またドローイング作品においては、ドローイングの厳格な定義に挑戦しながらドローイングとは何かを常に問いかけるボックナーの特筆すべき一点と評されている。併せて、同館の収蔵作品から、荒川修作、河原温、高松次郎等の同時代に活躍した日本人作家による作品も紹介する。

特別展 ホーム・スイート・ホーム 2023年6月24日~ 9月10日

 「ホーム・スイート・ホーム」では、アンドロ・ヴェクア、竹村京ら国内外で活躍する現代美術作家8名たちによる「ホーム」をテーマにした作品を紹介する。歴史、記憶、アイデンティティ、場所、家族のあり方・役割等、キーワードに表現された作品群から、私たちにとっての「ホーム」――家、国そして家族とは何か、私たちが所属する地域、社会の変容、普遍性を浮かび上がらせることを試みる。タイトルの「ホーム・スイート・ホーム」は、愛しい我が家などとも訳せられ、用いられてきた。「ビター」な社会が続く中、出品作品を通して私たちのホーム・スイート・ホームについて考察する。

特別展 古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン 2024年2月6日~ 5月6日

 紀元前15世紀から後16世紀のスペイン侵攻まで、3千年以上にわたって繁栄したメキシコの古代文明。本展では、そのうち「マヤ」、「アステカ」、「テオティワカン」を中心に、多彩な遺物約140件を紹介する。火山の噴火や地震、干ばつなどの厳しい自然環境の中で、これらの文明では壮大なモニュメントが築かれた。普遍的な神と自然への祈り、そして多様な環境から生み出された独自の世界観と造形美を通して、その奥深い魅力を今に伝える。

大阪中之島美術館

開館1周年記念特別展 大阪の日本画 2023年1月21日~4月2日

 大阪は商工業都市として発展を続けるとともに、東京や京都とは異なる文化圏を形成し、個性的で優れた芸術文化を育んできた。江戸時代からの流れをくむ近代大阪の美術は、町人文化に支えられ、伝統にとらわれない自由闊達な表現が多彩かつ大きく花開いたといえる。とりわけ大正から昭和前期にかけては画壇としての活動が隆盛を極め、北野恒富(きたの・つねとみ)、島成園(しま・せいえん)、菅楯彦(すが・たてひこ)、矢野橋村(やの・きょうそん)など、多くの画家が個性豊かな作品を生み出した。本展は、明治から昭和に至る近代大阪の日本画に光をあて、50名を超える画家による約150点の作品を展示する。作品が生まれた背景にも目を向けることで、個々の作品の魅力や画壇のあり方をより深く知るとともに、今につながる大阪の街の文化を浮き彫りにする。

Osaka Directory 3 supported by RICHARD MILLE 遠藤薫 2023年1月20日~2月26日

 遠藤薫(1989年、大阪生まれ)は国内外各地で、その地に根ざした工芸や歴史、生活と密接に関わる政治との関係性を紐解き、主に「布」を用いて作品を制作してきたアーティストである。それらを「使う」こと自体によって、工芸的と名指しされるものが、社会のなかでどのような位置にあるかを表現してきた。本展覧会では、今回のために石垣島で制作された丸木舟を展示。丸木舟は、沖縄を含む南西諸島では1950年代頃まで、漁船としてだけでなく、荷物の運搬や移動手段としても活用されていた。展示する舟の帆は、沖縄の米軍嘉手納基地の敷地内で黙認されてきた耕作地に生える糸芭蕉(バナナの一種)の繊維でできている。作家が自ら繊維を取り出し、芭蕉布を織り上げ、帆に仕立てた。本展は、芭蕉布と沖縄・八重山列島をめぐるパイパティローマ伝説(八重山列島最南端の島、波照間島のさらに南にあると信じられていた島についての伝説)と、基地からの副産物で創られる沖縄の民芸品について、弱さとも強さとつかない柔らかで痛切な「人の営み」に視線を向けている。インスタレーションに組み込まれた、日用品に限らない「生活の中で用いられてきたもの」から、その土地に暮らす人々の記憶から切り離せない政治や歴史的背景の存在を感じることができる。

大阪中之島美術館 開館1周年記念展 デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン 2023年4月15日~6月18日

 私たちのまわりにあふれる「デザイン」と「アート」という言葉。デザインとは、アートとは、何だろう? そして、デザインとアートの境界はどこにあるのか。この展覧会は、約百点の戦後日本の作品を時とともに追いながら、デザインとアートの境界や重なりを見つけていく小さな旅である。開館1周年を迎えた大阪中之島美術館の活動の両輪であるアートとデザインを並行的に紹介する初めての展覧会である。美術館が準備したストーリーに来館者を誘うのではなく、来館者の視点が作り上げていくスタイル。鑑賞を超えた「参加」という体験も用意されている。

開館1周年記念特別展 佐伯祐三 ― 自画像としての風景 2023年4月15日~6月25日

 約100年前、「大阪」「東京」「パリ」の3つの街を拠点に、短くも鮮烈な生涯を生きた画家、佐伯祐三(1898 – 1928年)。1924年に初めてパリに渡ってからわずか4年余りの本格的画業の中で、都市の風景を題材とする独自の様式に達した。特に、一時帰国を挟んだ後の2回目の渡仏期に到達した、繊細で踊るような線描による一連のパリ風景は、画家の代名詞とされ、その比類ない個性は今でも多くの人を魅了し続けている。私たちは、佐伯の絵画に向き合う時、風景に対峙する画家の眼、筆を走らせる画家の身体を強く想起させられる。そして、描かれた街並みの中に、画家の内面や深い精神性を感じ取る。それゆえ作品はしばしば、画家自身を映したもの―自画像にたとえられる。本展では、佐伯が描いた「大阪」「東京」「パリ」の3つの街に注目し、画家が自らの表現を獲得する過程に迫る。最大級の質と量を誇る大阪中之島美術館の佐伯祐三コレクションを中心に、画家の代表作が一堂に集結。15年ぶりの大回顧展となる本展は、佐伯芸術の魅力を再発見する機会となるだろう。

『民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある』 2023年7月8日〜9月18日

 約100年前に思想家・柳宗悦が説いた民衆的工藝、「民藝」。日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる、この「民藝」のコンセプトはいま改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものとなりつつある。本展では、民藝について「衣・食・住」をテーマにひも解き、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示する。また、いまに続く民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と、受け継がれている手仕事も紹介。さらに、昨夏までセレクトショップBEAMSのディレクターとして長く活躍し、現在の民藝ブームに大きな役割を果たしてきたテリー・エリス/北村恵子(MOGIFolkArt ディレクター)による、現代のライフスタイルと民藝を融合したインスタレーションも見どころのひとつ。柳が説いた生活の中の美、民藝とは何か、そのひろがりと今、そしてこれからを展望する展覧会である。

Parallel Lives 平行人生― 新宮晋+レンゾ・ピアノ展 2023年7月13日~9月14日

 日本とイタリアの芸術家、新宮晋とレンゾ・ピアノの二人の人生を平行する展覧会である。二人の世界規模のダイナミックな歩みをたどりながら、現在進行形の創作活動とその世界観を紹介する。映像と会場構成ではイタリアのグループ、スタジオ・アッズーロが加わり、2人のスケッチや設計図、作品写真をもとに2人の創造の世界と煌めく交差の軌跡を壮大なスケールの映像で表現する。

特別展 生誕270年 長沢芦雪 2023年10月7日~12月3日

 伊藤若冲、曽我蕭白と共に「奇想の画家」のひとりとして近年国内外から注目を集める長沢芦雪(1754 – 1799)の画業を紹介する、大阪で初となる回顧展。芦雪は江戸時代中期に京都で活躍した画家で、写生画の祖、円山応挙の高弟です。卓越した描写力に加えて、奇抜な着想と大胆な構図、また人を驚かせ楽しませようというサービス精神や面白みで、独自の世界を展開し人気を博した。絵を描くことが好きで、常に新しい表現や技法を追求し、精力的に活動した芦雪。多くの傑作は200年以上経った今も、観る人を魅了してやまない。本展では、代表作の《龍・虎図襖》(重要文化財)、初公開作品も含め、初期から晩年までの選りすぐりの優品を一堂に展覧し、奇想の天才絵師、長沢芦雪の魅力に迫る。

☆テート美術館展 光 ―ターナー、印象派から現代へ 2023年10月26日~2024年1月14日

 英国のテート美術館のコレクションより「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までのアーティストたちの独創的な創作の軌跡に注目する。異なる時代、地域で制作された約120点の作品を一堂に会し、光をめぐる表現の深淵なる世界を考察する。

☆決定版!女性画家たちの大阪 2023年12月23日~2024年2月25日

 大正元年(1912年)に島成園が文展に入選し、その成功に触発された木谷千種や生田花朝などの女性日本画家が活躍したことは、近代大阪の美術において重要な出来事だった。本展では、大阪の文化的土壌に触れながら、全国的にも注目を集めた彼女たちの作品と活動の軌跡を紹介する。

☆モネ 連作の情景 2024年2月10日~5月6日

 印象派の巨匠、クロード・モネ(1840–1926年)は自在に変化する風景の「瞬間性」をとらえようと探求を続けた。水辺の景色などが刻々と変化する情景を描き、連作という発想により絵画の新しいあり方を提示したモネのさまざまな作品を紹介する。

☆没後50年 福田平八郎展 2024年3月9日~5月6日

 豊かな色彩と奇抜な画面構成による独特の装色表現で知られる日本画家、福田平八郎の回顧展。伝統を継承しながら、新しい日本画の可能性を切り拓いた福田の画業を《漣》を含む数々の代表作で紹介する。

国立民族学博物館

ラテンアメリカの民衆芸術 2023年3月9日〜5月30日

 あふれる色とはじける形。ラテンアメリカの民衆芸術の展覧会である。ラテンアメリカでは、民衆のつくる洗練された手工芸品を民衆芸術(スペイン語でArte Popular=アルテ・ポプラル)と呼ぶ。北はメキシコから南はアルゼンチンまで、古代文明の遺物から現代のアート・コレクティブの作品まで、国立民族学博物館が所蔵する作品を中心に約400点のいろいろな民衆芸術作品を展示する。特別展では、なぜラテンアメリカの民衆芸術はこれほど多様なのかという問いを掘り下げる。先コロンブス時代以来の文化混淆の歴史、芸術として洗練されていった過程、そして現代の制作者の批判精神の3点に焦点をあて、その答えを探す。

カナダ北西海岸先住民のアート――スクリーン版画の世界 2023年9月7日〜12月12日

 カナダの太平洋沿岸には、ハイダやクワクワカワクゥ、コースト・セイリッシュといった先住民族が住んでいる。彼ら/彼女らは、北西海岸先住民と総称されており、大型の木製彫刻柱「トーテムポール」を制作し、ポトラッチ儀礼を行うことで知られている。1960年頃から伝統的文化の復興や創造的継承が始まり、今日に至っており、この動きをけん引したもののひとつが、スクリーン版画の制作だった。本展示では、ユニークな北西海岸先住民版画を紹介するとともに、社会変化と版画の変化との対応関係を提示する。

交感する神と人―ヒンドゥー神像の世界 2023年9月14日~12月5日

 ヒンドゥー教のあまたの神がみは、石や金属、土器、陶器などの立像、仮面、絵画や印刷物、タイル、刺繍、さらには絵本、コミック、切手やステッカーなど、さまざまなモノを通じて現れている。これらの神像は人びとが五感を通じて神と交流するための重要な媒体となってきた。神像との交流の核心には神への「愛」がある。この「愛」には神に愛されるという受動的側面よりも、人が神に愛をもって接近するという能動的、主体的側面が強く表れている。人びとはさまざまな神話を踏まえながら、親がいたずらな子を愛おしんだり、愛人が相手を熱烈に愛したり、あるいは忠実なしもべが主人に無償の奉仕をするように、神像に具体的に愛を捧げる。また、日常的な礼拝においても実際に神像を沐浴させたり、着飾らせたりするなど具体的な働きかけを通して神像を歓待し、願いを聞き届けて貰おうとする。本特別展ではこの「神への愛」に基づいた、神と人との交流のさまざまなかたちの展示を中心にすえる。具体的には現代インドで特に人気のある神々の神話を表現した図像の展示や神像への働きかけ方がわかる資料(神像の個別的なデコレーション、身体的感覚が発揮される儀礼用具などの展示や、儀礼の実際を取材した映像や写真画像など)を展示。それらを通じて、多神教的なヒンドゥー教世界や、そこに登場する弱みや欲望も合わせもった神がみの存在が紹介される。こういった神像はインドやネパールだけではなく、日本やヨーロッパでも制作され、ヒンドゥー教の世界で用いられていた。この特別展では南アジアの外の世界で作られた神像も展示し、信仰に関わるモノのグローバルな流通の一端も紹介する。

あべのハルカス美術館

アリス-へんてこりん、へんてこりんな世界- 2022年12月10日~2023年3月5日

 ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』は、1865年に初版本が発行されて以来、今もなお世界中の人々を魅了し続けている。本展は、英国ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)発の国際巡回展。ジョン・テニエルの貴重な原画をはじめ、物語をモチーフにした映画やデザイン、舞台やファッションなど、約300点の作品を通して、約160年の長きにわたり愛され続ける『不思議の国のアリス』の魅力を紐解く。

恐ろしいほど美しい 幕末土佐の天才絵師 絵金 2023年4月22日~6月18日

 謎の天才絵師とも呼ばれる土佐の絵師・金蔵は、幕末から明治初期にかけて数多くの芝居絵屏風などを残し、「絵金さん」の愛称で、地元高知で長年親しまれてきた。同時代のどの絵師とも異なる画風で描かれた屏風絵は、今も変わらず夏祭りの数日間、高知各所の神社等で飾られ、闇の中に蝋燭の灯りで浮かび上がるおどろおどろしい芝居の場面は、見るものに鮮烈な印象を残している。本展は、高知県外では約50年ぶりの大規模展。幕末の土佐に生き、異彩を放つ屏風絵・絵馬提灯などを残した「絵金」の類稀なる個性と、その魅力について、代表作の数々で紹介する。

超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA 2023年7月1日~9月3日

 2019年に同館で開催し、多くの観客を魅了した「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」。本展はそれをさらに発展させ、明治工芸のDNAを継承しつつ多様な素材と技法を駆使して、新たな領域に挑む現代作家の新作を中心に紹介する。進化し続ける作家たちが繰り出す驚きと感動の超絶技巧を、明治工芸の逸品と合わせて体感できる。

安野光雅展 2023年9月16日~11月12日

 島根県津和野町に生まれた安野光雅(1926―2020年)は、半世紀以上にわたり画家、絵本作家、装丁家として多彩な活躍を続けた。その独創的な作品は国内外の高い人気を得ている。本展では、絵本のデビュー作『ふしぎなえ』から、近年の大作『繪本 三國志』まで、やさしく、美しく、ユーモアと不思議にあふれた安野ワールドを紹介する。 

コシノジュンコ 原点から現点 2023年11月23日~2024年1月21日

 大阪・岸和田に生まれたコシノジュンコは、1960年に新人デザイナーの登竜門とされる装苑賞を最年少の19歳で受賞、以後、東京を拠点にファッションデザイナーとしての活動を展開させた。世界各地でショーを開催し、高い評価を得る一方、近年では服飾デザインの領域を超えた新たな境地を切り開いている。本展は、常にモードの先端を走り、新たな創造を繰り広げるコシノジュンコの活動の全貌を紹介する過去最大規模の展覧会。衣装やデザイン画、写真パネルなど約200点からその魅力に迫る。

☆あべのハルカス美術館開館10周年記念 円空 ―旅して、彫って、祈って― 2024年2月2日~ 4月7日

兵庫県立美術館

李禹煥 2022年12月13日~2023年2月12日

2023年コレクション展Ⅰ 特集1 虚実のあわい 2023年1月21日~7月23日

 同館の近現代作品の中で、リアルを追求しながら同時にフィクションであろうとする、またその逆にフィクションでありながら現実世界の在りようを如実に表す、といった虚実のあわいに位置する作品を展示して、その多様な表現を紹介する。

2023年コレクション展Ⅰ 特集2 「中国明清の書画篆刻-梅舒適コレクションの精華-」 2023年1月21日~4月9日

 戦後日本を代表する書家・篆刻家である 梅舒適ばいじょてき (1916~2008年、本名:稲田文一)が独自の金石研究に基づく慧眼で収集した梅舒適コレクションの中から、中国明・清時代の優品約90件を紹介する。

☆特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」 2023年3月4日〜5月14日

 恐竜が“発見”された19世紀の奇妙な復元図から、20世紀にチャールズ・R・ナイトやズデニェク・ブリアンらが躍動する恐竜の姿を生き生きと描き出した絵画作品、漫画・玩具などサブカルチャーの分野やファインアートの領域に登場したイメージ、さらには近年の研究に基づく現代のパレオアート(古生物美術)まで、恐竜をはじめとする古生物のイメージの歴史を概観し、人々の想像力を絶えず刺激し続ける太古の世界の住人たちを紹介する。

☆ゴッホ・アライブ 2023年3月18日~6月4日 会場:ギャラリー棟3階

 会場中に設置した最大7mの壁・床に投影する最新鋭の映像と大迫力の音楽で贈る“ゴッホ”。世界で850万人を動員した話題の没入型展覧会。すべて撮影OK!アートファンからファミリーまで、自分が作品に溶け込むような感覚を楽しめる。

出会いと、旅と、人生と。ある画家の肖像 日本近代洋画の巨匠 金山平三と同時代の画家たち 2023年6月3日~7月23日

 兵庫県ゆかりの洋画家、金山平三(1883-1964年)の生誕140年を記念して開催する。これまで取り上げることの少なかった金山の交友関係や公共事業への取り組みなど、さまざまな視点から、新たな金山平三像の構築をめざす。同館および他館所蔵の金山の代表作に加え、彼と交流のあった美術家による珍しい絵画作品も展示する。

Perfume COSTUME MUSEUM パフューム コスチューム ミュージアム 2023年9月9日~11月26日

 三人組ユニットPerfumeが着用した楽曲・ライブ衣装約150着を紹介する初の大規模展覧会。メジャーデビュー以降の衣装を解説した『Perfume COSTUME BOOK』(2020年刊行)をもとに、楽曲の世界観を表現し、踊る姿を美しく飾るPerfume衣装の魅力を紹介する。

☆2023年度コレクション展Ⅱ 特集1「新収蔵作品展」(仮題) 2023年9月9日~12月24日

☆2023年度コレクション展Ⅱ 小企画「美術の中のかたち―手で見る造形
遠藤薫 展」(仮題) 2023年9月9日~12月24日

 1989年から続く本シリーズは、触って作品を鑑賞できる展覧会として、視覚中心の美術のあり方を問い直してきた。今回は、土地に根差す工芸や生活に着目し、主に染織技法によって制作を行う遠藤薫(1989- )の作品を展示。港、船、麻、輸出入…神戸を巡るキーワードのもと遠藤が織りなす作品群は、「美術」の境界線までをも考える機会となる。

☆注目作家紹介プログラム―チャンネル14 吉本直子 2023年10月28日~11月26日 会場:アトリエ1

 現在活躍中の作家を紹介するシリーズの第14回として、兵庫県出身・在住の吉本直子(1972- )の個展を開催。人々の生きた痕跡を留める白いシャツにより構成された立体作品からは生と死を、風に立ち向かい大空に羽ばたく鳥の作品からは、困難な状況の中にも決して失われない希望の光を感じられる。

☆没後80年・生誕120年 安井仲治 2023年12月16日~2024年2月12日

 日本の写真史の中でも傑出した存在として知られる安井仲治(1903-1942年)。1930年代 までに花開いたさまざまな写真表現を吟味し、約20年という短い活動期間にも関わらず、あらゆる対象にカメラを向けながら、現実の断片の中から強烈な象徴性をつかみ出し、作品化した。戦災を免れたヴィンテージプリントとネガの調査を元に、あらためて安井の活動を展覧する。

☆2023年度コレクション展Ⅲ 特集「美術の中の物語」 2024年1月13日~4月7日

☆2023年度コレクション展Ⅲ 小企画「生誕180年記念 呉昌碩の世界」(仮題) 2024年1月13日~4月7日

 近代中国の書画篆刻に大きな足跡を残した呉昌碩(1844~1927年)の生誕180年を記念し、同館所蔵の梅舒適コレクションを中心にその業績と交友関係を回顧する。

☆スーラージュと森田子龍 2024年3月16日~5月19日

 フランスのアヴェロン県と兵庫県との20年をこえる友好交流を記念し、画家のピエール・スーラージュ(1919-2022年/アヴェロン県出身)と、書家の森田子龍(1912-1998年/兵庫県出身)の展覧会を開催する。スーラージュと森田子龍は、森田が編集する雑誌『墨美』を通して、つながりを持つようになった。ふたりの作品をきっかけに、西洋と東洋の芸術家の出会いを考える。

神戸市立博物館

インド独立75周年・日印国交樹立70周年 インド近代絵画の精華―ナンダラル・ボースとウペンドラ・マハラティ 2023年1月14日~3月21

 日本とインドの国交樹立から70年の節目を記念して、ニューデリー国立近代美術館のコレクションによる、インド近代絵画の展覧会を開催する。インドの近代美術を代表する画家、ナンダラル・ボース(1882-1966年)とウペンドラ・マハラティ(1908-1981年)の作品である。ボースは、アバニンドラナート・タゴール(1871-1951年)をはじめとするベンガル派の画家たちから大きな影響を受けたことで知られている。ベンガル派は、20世紀初頭、岡倉天心(1862-1913年)や横山大観(1868-1958年)、菱田春草(1874-1911年)といった日本近代美術の重要人物たちとも交流し、急激な西洋化の波の中で、自国の美術が失われるかもしれないという危機的な状況を共有しながら、西洋画ではなく伝統的な絵画技法を重要視した。一方、マハラティは、ボースの次世代として登場し、インド近代絵画を牽引した重要な画家のひとり。1950年代に2年間日本に滞在しており、留学を契機として仏教的な主題を多く手掛けるようになった。本展では、ふたりの画業の一端をニューデリー国立近代美術館・パトナー美術館の所蔵作品25点から紹介する。

特別展 ジブリパークとジブリ展 2023年4月15日~6月25日

 2022年11月1日、愛知県長久手市の「愛・地球博記念公園」内にスタジオジブリ作品の世界を表現した公園施設「ジブリパーク」が開園した。本展覧会は、ジブリパークの制作現場を指揮する宮崎吾朗監督の、これまでの仕事と作品を振り返り、ジブリパークをどのように考え、描き、つくっているのかを初公開となる数々の制作資料と共に紹介する。

特別展 神戸の文化財Ⅲ ~今伝えたい、私たちの宝・街・心・技~ 2023年7月22日~ 9月10日

六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond

六甲ミーツ・アート芸術散歩2023 beyond 2023年8月26日〜11月23日 テーマ:表現の向こう側(にあるもの)

兵庫陶芸美術館

特別展 教えて!兵庫陶芸美術館―収集と展示のQ&A― 2022年12月10日~2023年2月26日
テーマ展 2022年度著名作家招聘事業×テーマ展 「矢部俊一展―空刻」 2022年12月10日~2023年2月26日
テーマ展 丹波焼の世界season6 2022年3月12日~2023年2月26日

テーマ展 丹波焼の世界season7 2023年3月11日~2024年2月25日

特別展 丹波の茶道具 茶の湯を彩る兵庫のやきもの 2023年3月18日~5月28日

 中世を通じて無釉の焼締陶器の生産に終始した丹波焼は、近世をむかえると新たな展開を見せる。赤土部や灰釉などの装飾技法で器面を彩り、文化や経済の中心地である上方に向けたやきものを生産していく。こうした地域で茶の湯が流行すると、他の産地と同様に丹波でも茶道具を作り始める。水指や花入、茶入や茶碗など、趣向を凝らした茶陶とともに、茶葉を入れる耳付の壺が数多く生み出された。丹波の茶道具には、工具で素朴な文様を施したものや端正な形状のもの、別の素材で作られた茶道具の姿形を写したものなど、当時の流行や茶人の好みが反映されている。また、暮らしの中で用いる壺や桶が茶の湯に適した道具として茶人に取り上げられ、茶道具に見立てられたものもある。本展では、各時代の茶人に受け継がれ、愛蔵されてきた丹波の茶道具の魅力に迫る。加えて、展示室内に茶室の空間を再現し、県下の諸窯で焼かれたさまざまな茶道具を取り合わせて、茶の湯の世界の一端を紹介する。

特別展 デミタスカップの愉しみ 2023年6月10日~8月27日

☆特別展 日本工芸会陶芸部会50周年記念展 未来へつなぐ陶芸-伝統工芸のチカラ展 2023年9月9日~11月26日

☆2023年度著名作家招聘事業×テーマ展 竹内紘三展 2023年12月9日~2024年2月25日

☆令和の新収蔵品展-「コジン」からの「オクリモノ」- 2023年12月9日~2024年2月25日

☆特別展 フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン / ムーミンの食卓とコ ンヴィヴィアル展-食べること、共に生きること- 2024年3月16日~5月26日

奈良国立博物館

特別陳列 お水取り 2023年2月4日~3月19日

 お水取りは東大寺の二月堂でおこなわれる仏教法会で、正式には修二会(しゅにえ)といわれる。法会の目的は、仏の前で罪過をさんすること()。現在は3月1日から14日までおこなわれ、その間、心身を清めた僧が十一面観音の前で宝号を唱え、懺悔し、あわせててんあんのんなどを祈願する。天平勝宝4年(752)に東大寺のじっちゅうしょうが初めて十一面悔過を執行して以来、一度も絶えることがなく退たいぎょうぼうとして1271年にわたって勤め続けられてきた。本展は、毎年、東大寺でお水取りがおこなわれるこの時季にあわせて開催する恒例の企画。実際に法会で用いられた法具や、歴史と伝統を伝える絵画、古文書、出土品などを展示する。

☆名品展 特別公開 金峯山寺仁王門 金剛力士立像 ―奈良・金峯山寺所蔵― 2021年2月23日~仁王門修理完了まで(令和10年度予定)

 奈良県吉野町に位置する金峯山寺(きんぷせんじ)の重要文化財木造金剛力士立像2軀を特別公開している。この金剛力士像は、金峯山寺仁王門(国宝)に安置される像高5メートルに達する巨像で、彫刻部門の指定品の中では東大寺南大門像に次いで2番目に大きい像である。像内の銘文より南北朝時代の延元3年(1338)から翌年にかけて南都大仏師康成によって造られたことがわかっている。

☆名品展 特別公開 奈良・不退寺本尊聖観音菩薩立像 2023年3月21日~5月14日

 奈良市法蓮町に位置する不退寺の本尊聖観音菩薩立像を2023年3月21日から特別公開する。寺伝によると、在原業平(825~880年)の作で、「業平観音」の名で信仰を集めている。彩色の剝落止めや、矧ぎ目など変色箇所の修整を主とする保存修理が実施され、完了。近年の調査で、不退寺像は、文化庁所蔵(同館寄託)の観音菩薩立像ともとは一対であり、当初の尊名は不明ながら、三尊像の両脇侍であったと考えられるにいたった。かつて対をなしていた両像をそろって展示するまたとない機会である。

☆名品展 珠玉の仏たち 2022年12月20日から展示

 飛鳥時代から鎌倉時代に至る仏像を中心として、日本彫刻、およびその源流ともいうべき中国・朝鮮半島の諸作品を幅広く紹介する。

☆名品展 中国古代青銅器 2021年2月23日から展示

☆浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展 聖地 南山城 ―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝― 2023年7月8日~9月3日

 京都府の最南部、奈良市に隣接する地域は旧国名の山城国にちなんで、「南山城」と呼ばれている。本展では、奈良との深い関わりのなかで育まれた南山城地域のゆたかな歴史や文化について紹介する。

特別展 第75回 正倉院展 2023年10月28日~11月13日

特別陳列 おん祭と春日信仰の美術 2023年12月9日 (土)~2024年1月14日

特集展示 新たに修理された文化財 2023年12月19日~2024年1月14日

特別陳列 お水取り 2024年2月10日~2024年3月17日

生誕1250年記念特別展 空海 KUKAI ―密教のルーツとマンダラ世界 2024年4月13日~6月9日

 空海の生誕1250年を記念。総力を挙げた展覧会である。「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、わが願いも尽きむ」(この世の全ての物が消滅し、仏法の世界が尽きるまで、私は人々が救われることを願い続ける)=『性霊集』巻第八。空海が人々を救うためにたどり着いたのが密教だった。空海がもたらした密教の国際的なルーツを辿るとともに、空海が伝えたマンダラの世界を展示室に展開し、その偉業を顕彰する。

奈良県立美術館

☆開館50周年記念 企画展   富本憲吉展のこれまでとこれから 2023年7月8日~9月3日

 1973年3月、竣工した奈良県立美術館の開館を飾ったのは「富本憲吉展」だった。奈良県出身の日本近代陶芸の巨匠・富本憲吉(1886―1963)の足跡を振り返ったもので、開館記念としてふさわしい展覧会であった。それから半世紀の間、同館では継続して富本の活動を取り上げ、作品の収集に努めてきた。富本の陶業は、楽焼制作を皮切りに土焼・白磁・染付と多様な創作活動を展開した大和時代(安堵時代)、それまでに培った技術を洗練させ、かつ色絵磁器へと作域を広げた東京時代、そして金銀彩技法を完成させ華麗にして品格ある作品を作り出した京都時代という3つの時代に分類される。50年にわたる陶業は、独自の模様の探求、造形を通した美の表現、量産の試みといった課題に取り組んだ道のりでもあった。本展覧会では、富本憲吉をテーマとする同館の展覧会歴をたどりながら、彼の生涯と活動を改めて振り返る。あわせて、その軌跡が示す富本憲吉研究の展望を考える機会となることも目指す。

☆開館50周年記念 特別展   仮面芸能の系譜-仮面芸能のふるさと奈良- 2023年9月30日~11月12日

和歌山県立近代美術館

とびたつとき 池田満寿夫とデモクラートの作家 2023年2月4日~年4月9日

 池田満寿夫が1997(平成9)年に亡くなって四半世紀がたとうとしている。池田満寿夫は1934(昭和9)年に旧満州国・奉天で生まれ、終戦の年に父母と共に長野に引き揚げた。高校卒業後、画家を志して上京。しかし東京藝術大学を3回受験するも失敗。そうした頃、1955年に靉嘔に出会い、彼を通じて瑛九や美術評論家の久保貞次郎を知ることになる。瑛九は1951年に大阪で「デモクラート美術家協会」を結成。瑛九から版画をすすめられた池田もデモクラートの最若手のひとりとして参加し、泉茂や吉原英雄、靉嘔や加藤正らと交流を続け、久保の応援もあって銅版画の制作に打ち込んだ。1957年に東京国際版画ビエンナーレ第1回展が開催されると、デモクラートの画家たちも積極的に出品し、泉は新人奨励賞に輝いた。 しかし、デモクラートから入賞・入選者が生まれたことで、瑛九はデモクラートの解散を決めた。その後、池田をはじめ若い画家たちは版画の可能性に目ざめて制作を続け、なかでも池田の作品はヴェネチア・ビエンナーレでの国際大賞など、たび重なる受賞と世界各国での個展開催へと飛躍をみせ、脚光を浴びていった。今回は、1950年代から1966年頃までの池田満寿夫の作品とともに、池田が影響を受け、交遊のあった作家の作品を紹介し、当時世界を席巻した日本の版画を振り返る。

☆コレクション展2023-春 特集:新収蔵 奈良原一高の写真 2023年2月11日~5月7日

☆石ノウエ二描ク 石版画と作り手たちの物語 2023年4月22日~7月2日

☆コレクション展2023-春夏 特集:美術と音楽の出会い 2023年5月20日~7月30日

☆なつやすみの美術館13 feat.橋本知成 2023年7月11日~9月10日

☆コレクション展2023-夏秋 特集:本のために―大家利夫の仕事― 2023年8月11日~9月24日

☆特別事業 トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術 2023年9月30日~11月30日

 和歌山県人会世界大会記念特別事業として、移民という立場で多くの人々が海を渡った和歌山県の歴史を背景に、アメリカ西海岸で美術を志した人々の足跡を追う。

☆特別展 原勝四郎展 南海の光を描く 2023年10月7日~12月3日

 故郷の田辺や生活を営んだ白浜の風景を中心に、生涯にわたって身近なモチーフを描き続けた洋画家、原勝四郎(1886~1964年)。和歌山を愛し、和歌山に愛された画家の生涯を、地域における美術家たちとの交流とともに、田辺市立美術館との共催によって紹介する。

☆小企画展 原勝四郎と同時代の画家たち 2023年10月7日~12月24日

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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