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2024-2025年 首都圏の主な展覧会 東京、神奈川(横浜)、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木、山梨の美術館・博物館(随時更新)

  • 2023年10月4日
  • 2024年4月26日
  • 美術

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2023-2024年 主な中部(東海)の展覧会 愛知(名古屋)、三重、岐阜、静岡、長野、石川、富山、滋賀、京都の美術館・博物館(随時更新)はこちら

2023-2024年 主な関西の展覧会 滋賀、京都、大阪、兵庫(神戸)、奈良、和歌山の美術館・博物館(随時更新)

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国立西洋美術館

パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ 2023年10月3日〜2024年1月28日

 世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語る上で欠くことのできない貴重な作品を展示。50点以上が日本初出品となる。20世紀美術の真の出発点となり、新たな地平を開いたキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など 約130点を通して紹介する。

☆ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 2024年3月12日〜5月12日

 飯山由貴│梅津庸一│遠藤麻衣│小沢剛│小田原のどか│坂本夏子│杉戸洋│鷹野隆大│竹村京│田中功起│辰野登恵子│エレナ・トゥタッチコワ│内藤礼│中林忠良│長島有里枝│パープルーム(梅津庸一+安藤裕美+續橋仁子+星川あさこ+わきもとさき)│布施琳太郎│松浦寿夫│ミヤギフトシ│ユアサエボシ│弓指寛治

☆内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙 2024年6月11日〜8月25日

モネ 睡蓮のとき 2024年10月5日〜2025年2月11日

 印象派を代表する画家のひとりとして親しまれる、クロード・モネ。その晩年の制作に焦点をあてた本展では、マルモッタン・モネ美術館の珠玉のコレクションおよそ50点に加え、日本国内に所蔵される名品の数々から、“印象派を超えた”モネの芸術の豊かな展開をたどる。なかでも注目なのは、〈睡蓮〉の大画面に取り囲まれ、たゆたう水と一体になるかのような展示空間。画家が長い道のりの果てにたどり着いた境地である。

東京国立近代美術館

☆新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》 2024年1月23日~4月7日

 フランスの彫刻家ジェルメーヌ・リシエの彫刻《蟻》(1953年)を初公開。リシエ(1902–59)は、第二次大戦後における女性彫刻家の先駆的存在の一人で、近年その再評価が急速に進んでいる。オーギュスト・ロダンの助手、エミール=アントワーヌ・ブールデルに学び、古典的彫塑の手法を守った点で近代彫刻の正当な継承者と言える一方、人体と自然界・動植物のイメージを有機的に結合させた独自の作風を確立して注目を浴びるが、キャリア全盛期に病に倒れた。リシエと同時期にブールデルに学んだ戦前の日本人彫刻家、リシエに大きな影響を受けた戦後の日本人彫刻家、第二次大戦後の荒廃と芸術との関係など「時代」からつながっていく拡がり、あるいは人間と動植物との混成、天を仰ぐ女性、彫刻の肌と骨格など「造形」からつながっていく拡がり。多方向にその網を張りめぐらす、リシエの彫刻の豊かな表現が楽しめる。

中平卓馬 火―氾濫 2024年2月6日~4月7日

 日本の戦後写真における転換期となった1960年代末から70年代半ばにかけて、実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家である中平卓馬(1938-2015年)。その存在は、森山大道や篠山紀信ら同時代の写真家を大いに刺激し、またホンマタカシら後続の世代にも多大な影響を与えてきた。1960年代末、『PROVOKE』誌などに発表した「アレ・ブレ・ボケ」の強烈なイメージや、1973年の評論集『なぜ、植物図鑑か』での自己批判と方向転換の宣言、そして1977年の昏倒・記憶喪失とそこからの再起など、中平のキャリアは劇的なエピソードによって彩られている。しかしそれらは中平の存在感を際立たせる一方で、中平像を固定し、その仕事の詳細を見えにくくするものでもあった。 本展では、あらためて中平の仕事をていねいにたどり、その展開を再検証するとともに、特に、1975年頃から試みられ、1977年に病で中断を余儀なくされることとなった模索の時期の仕事に焦点を当て、再起後の仕事の位置づけについてもあらためて検討する。 2015年に中平が死去して以降も、その仕事への関心は国内外で高まり続けてきた。本展は、初期から晩年まで約400点の作品・資料から、今日もなお看過できない問いを投げかける、中平の写真をめぐる思考と実践の軌跡をたどる待望の展覧会である。

TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション 2024年5月21日~8月25日

 パリ、東京、大阪-それぞれ独自の文化を育んできた3都市の美術館のコレクションが集結。セーヌ川のほとりに建つパリ市立近代美術館、皇居にほど近い東京国立近代美術館、大阪市中心部の中州に位置する大阪中之島美術館はいずれも、大都市の美術館として、豊かなモダンアートのコレクションを築いてきた。本展覧会は、そんな3館のコレクションから共通点のある作品でトリオを組み、構成するという、これまでにないユニークな展示を試みる。時代や流派、洋の東西を越えて、主題やモチーフ、色や形、素材、作品が生まれた背景など、自由な発想で組まれたトリオの共通点はさまざま。総勢110名の作家による、絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像など150点あまりの作品で34のトリオを組み、それをテーマやコンセプトに応じて7つの章に分けて紹介することで、20世紀初頭から現代までのモダンアートの新たな見方を提案し、その魅力を浮かびあがらせる。

ハニワと土偶の近代 2024年10月1日~12月22日

 古の地層から出土するハニワや土偶のイメージは日本中に浸透し、いまや押しも押されもせぬキャラクターと化しているといっていい。出土遺物は、美術に限らず、工芸、建築、写真、映画、演劇、文学、伝統芸能、思想、さらには教育番組にいたるまで、幅広い領域で文化現象を巻き起こしてきた。戦後、岡本太郎やイサム・ノグチによって、それまで考古学の資料として扱われていた出土遺物の美的な価値が「発見」されたというエピソードはもはや伝説化している。なぜ、出土遺物は一時期に集中して注目を浴びたのか、その評価はいかに広まったのか、作家たちが「遺物」の掘り起こしに熱中したのはなぜか――本展は美術を中心に、文化史の舞台に躍り出た「出土モチーフ」の系譜を、明治時代から昭和戦後にかけて追いかけつつ、ハニワや土器、土偶に向けられた視線の変遷を探る。

東京国立博物館

特別展「本阿弥光悦の大宇宙」 2024年1月16日~2024年3月10日

 本阿弥光悦(ほんあみこうえつ・1558〜1637)は戦乱の時代に生き、さまざまな造形にかかわり、革新的で傑出した品々を生み出した。それらは後代の日本文化に大きな影響を与えている。しかし、光悦の世界は大宇宙(マクロコスモス)のごとく深淵で、その全体像をたどることは容易ではない。そこで、この展覧会では、光悦自身の手による書や作陶にあらわれた内面世界と、同じ信仰のもとに参集した工匠たちがかかわった蒔絵など同時代の社会状況に応答した造形とを結び付ける糸として、光悦とその一族が篤く信仰した当代の法華町衆の社会についても注目する。造形の世界の最新研究と信仰のあり様とを照らしあわせることで、総合的に光悦を見通そうとするのである。「一生涯へつらい候事至てきらひの人」で「異風者」(『本阿弥行状記』)といわれた光悦が、篤い信仰のもと確固とした精神に裏打ちされた美意識によって作り上げた諸芸の優品の数々は、現代において私たちの目にどのように映るのか。

建立900年 特別展「中尊寺金色堂」 2024年1月23日~2024年4月14日

 本展は上棟の天治元年(1124)を建立年ととらえ、中尊寺金色堂の建立900年を記念して開催する特別展。堂内中央に設置された須弥壇に安置される国宝の仏像11体が一堂にそろうほか、かつて金色堂を荘厳していた国宝・金銅迦陵頻伽文華鬘をはじめとするまばゆいばかりの工芸品の数々を展示する。会場では、900年のあいだ祈りをささげられてきた黄金に輝く金色堂を8KCGの技術を用い原寸大で再現。世界遺産にも登録される平泉の文化遺産の粋を紹介する。

特別展「法然と極楽浄土」 2024年4月16日~ 2024年6月9日

 平安時代末期、繰り返される内乱や災害・疫病の頻発によって世は乱れ、人々は疲弊していた。比叡山で学び、中国唐代の阿弥陀仏信仰者である善導(ぜんどう、613~681)の教えに接した法然(法然房源空、ほうねんぼうげんくう、1133~1212)は、承安5年(1175)、阿弥陀仏の名号を称えることによって誰もが等しく阿弥陀仏に救われ、極楽浄土に往生することを説き、浄土宗を開いた。その教えは貴族から庶民に至るまで多くの人々に支持され、現代に至るまで連綿と受け継がれている。本展は、令和6年(2024)に浄土宗開宗850年を迎えることを機に、法然による浄土宗の立教開宗から、弟子たちによる諸派の創設と教義の確立、徳川将軍家の帰依によって大きく発展を遂げるまでの、浄土宗850年におよぶ歴史を、全国の浄土宗諸寺院等が所蔵する国宝、重要文化財を含む貴重な名宝によってたどる。困難な時代に分け隔てなく万人の救済を目指した法然と門弟たちの生き方や、大切に守り伝えられてきた文化財に触れられる貴重な機会となる。

☆内藤礼 生まれておいで 生きておいで 2024年6月25日~9月23日

 太陽が形づくる光と影、地が生成する水や石、大気が織りなす風や雨。美術家・内藤礼は、私たちの傍らにある自然の諸要素と日常のささやかな事物を受け止めることで、私たちが日々見過ごしがちな世界の片隅に宿る情景、知覚しがたい密やかな現象を見つめ、「根源的な生の光景」を出現させてきた。精緻に構想されるその作品の世界は、その場を訪れる人をそれぞれの沈潜にいざなう。本展は、150年の歴史を持つ東京国立博物館の収蔵品、その建築空間と内藤との出会いから始まった。1万数千年という時を超え、内藤は縄文時代の土製品に自らの創造と重なる人間のこころを見出した。それは、自然・命への畏れと祈りから生まれたものであり、作家はそこに「生の内と外を貫く慈悲」を感じたという。生の求めに迫られてつくりだされた一つ一つの土製品は、人間本来の姿を私たちに伝えるよう。会期中、自然光に照らし出される展示室では、かつて太陽とともにあった生と死を、人と動植物、人と自然のあわいに起こる親密な協和を、そっと浮かび上がらせる。色彩に生を、風景に物語を、光に祈りを見出す内藤の作品は、縷々として尽きることなく私たちの世界を満たしてきた、遥か遠い時代から続く創造の営みを想起させる。そこには、人間が繰り返してきた「つくる」ということ、今につながる「生きる」ということへの希求が垣間見える。時空を超えた交感がなされる会場は、空間よりも広く、時間よりも深く、目には見えない存在、耳では聞こえない声の確かさを感じ取る契機となる。本展の体験を通して、原始、この地上で生きた人々と、現代を生きる私たちに通ずる精神世界、創造の力を感じてもらえたら。

☆創建1200年記念 特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」 2024年7月17日~9月8日

 京都市の北西部、高雄に所在する神護寺は、紅葉の名所として古くから知られてきた。天長元年(824)、高雄山寺と神願寺というふたつの寺院がひとつになり、神護国祚真言寺(神護寺)が誕生する。高雄山寺は平安遷都を提案した和気清麻呂の氏寺で、唐で密教を学んだ空海が帰国後、活動の拠点とした寺院である。国宝「灌頂歴名」や国宝「両界曼荼羅(高雄曼荼羅)」は、空海に直接関わる作品としてあげられる。また、神護寺の前身寺院にまつられていた国宝「薬師如来立像」は、平安初期彫刻の最高傑作で、寺外での公開は神護寺史上初めてのこと。本展は、空海と真言密教のはじまりの地、神護寺に伝わる寺宝の数々を見るまたとない機会である。1200年を超える歴史の荒波を乗り越え伝わった、貴重な文化財が紹介される。

挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」2024年10月16日~12月8日

 埴輪とは、王の墓である古墳に立て並べられた素焼きの造形。その始まりは、今から1750年ほど前にさかのぼる。古墳時代の350年間、時代や地域ごとに個性豊かな埴輪が作られ、王をとりまく人々や当時の生活の様子を今に伝えている。なかでも、国宝「埴輪 挂甲の武人」は最高傑作といえる作品。この埴輪が国宝に指定されてから50周年を迎えることを記念し、全国各地から約120件の選りすぐりの至宝が空前の規模で集結。素朴で“ユルい”人物や愛らしい動物から、精巧な武具や家にいたるまで、埴輪の魅力が満載の展覧会である。東京国立博物館では約半世紀ぶりに開催される埴輪展。

国立新美術館

大巻伸嗣展 2023年11月1日~12月25日

 空間と時間を抽出し、体感させるような大規模なインスタレーションで注目されてきた美術家、大巻伸嗣。そこに足を踏み入れる者は、身体と感覚を揺さぶられ、この世界にある様々な事象、そして我が身の存在に新たな視点を投げかける。本展覧会で大巻は、天井高8mの大空間を生かした新たなインスタレーションを発表する。

☆NACT View 04 和田礼治郎:FORBIDDEN FRUIT 2024年1月24日~6月10日

マティス 自由なフォルム 2024年2月14日~5月27日

 20世紀最大の巨匠の一人アンリ・マティス(1869-1954年)。大胆な色彩表現が特徴であるフォーヴィスムの中心人物として20世紀初頭、パリで頭角を現す。後半生を過ごすこととなるニースでは、アトリエで様々なモデルやオブジェを精力的に描く一方で、マティスは色が塗られた紙をはさみで切り取り、それを紙に貼り付ける技法「切り紙絵」に取り組む。フランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、素描、版画、テキスタイル等の作品やマティス旧蔵のオブジェ等を紹介する。切り紙絵が日本でまとめて展示されることはきわめて稀で、マティスの記念碑的な表現方法に触れる貴重な機会となるだろう。

遠距離現在 Universal / Remote 2024年3月6日~6月3日

 パンデミックをきっかけに考えるようになった社会の在り方、その中の私たちの暮らしや労働など、様々な事象を現代美術を通して考察する展覧会。全世界規模の「Pan-」と、非対面の遠隔操作「リモート」の2つの視点から、グローバル資本主義や社会のデジタル化といった現代美術における従来のテーマを新たに捉えなおす。過剰な監視システムや精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、その中で生きる人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、またポストコロナ時代の世界と真摯に向き合うものである。
 出品作家:井田大介、徐冰(シュ・ビン)、トレヴァー・パグレン、ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ/ヒト・シュタイエル/ミロス・トラキロヴィチ、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子

CLAMP展 2024年7月3日~9月23日

 少年漫画、少女漫画、青年漫画、と幅広いジャンルにおいて多様な作品を世に送り出してきた女性4人の創作集団CLAMPによる活動の軌跡をたどる原画展。出版社や掲載雑誌を横断して、デビューから現在までの作品を、漫画原稿を中心に展示する。CLAMPがこれまでの作品を通して年齢・性別・国を超えて読者たちを魅了し、届けてきたメッセージをいま、改めて紐解く大規模展覧会となる。

田名網敬一 RETROSPECTIVE(仮称) 2024年8月7日~11月11日

 日本人アーティスト、田名網敬一の世界初となる大規模回顧展。田名網の半世紀以上に渡る創作活動を紐解くキーワードとなる「記憶」を辿って、その作品の全貌に迫る。新作のペインティング、立体作品、アニメーションに加え、60年代後半から70年代初めにかけて制作された貴重なグラフィックデザインやイラストレーション、80年代にかけて制作された極彩色の木彫シリーズの他、近年スタジオで発見された最初期のポップアート作品も展示。

絵のアティテューズ―― 荒川ナッシュ医(仮) 2024年10月30日~12月16日

 本展は、2000年代以降、主にニューヨークで様々な画家が描いた絵画と、荒川ナッシュ医(Ei Arakawa-Nash)による展覧会。様々なアーティストと共同作業を続ける荒川ナッシュは、「私」という主体を再定義し、アートの不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現してきた。ストロークはシナリオに、キャンバスは役者に、色彩は音楽へと変容。コンセプチュアルかつ祝祭的なパフォーマンスによって、鑑賞者は絵画との新しい関係を育む。荒川ナッシュ医は1977年福島県生まれ、1998 年よりニューヨークを、2019年よりロサンゼルスを拠点に活動するパフォーマンス作家である。パフォーマンスはアーティストをはじめとする多彩な人々との共同作業によって生まれる。彼/彼女らが演者としてパフォーマンスに参加することもあれば、彼/彼女らの作品がパフォーマンスに登場することもある。荒川ナッシュの作品は、アーティストや鑑賞者との共同作業を通じて成立する。

国立科学博物館

和食 ~日本の自然、人々の知恵~ 2023年10月28日〜2024年2月25日

☆鳥 2024年11月2日〜2025年2月24日

特別展「大哺乳類展3-わけてつなげて大行進 2024年3月16日~6月16日

企画展「知られざる海生無脊椎動物の世界」 2024年3月12日~6月16日

東京都現代美術館

MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ 2023年12月2日~2024年3月3日

 「MOTアニュアル」は1999年に始まり、若手作家の作品を中心に現代美術の一側面をとらえ、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展のシリーズ。19回目を迎える本展では、アーティストの想像力や手仕事による「創造」と、近年、社会的に注目を集めるNFTや人工知能、人工生命、生命科学などのありようを反映するかのように自動的に生まれる「生成」とのあいだを考察する。1990年代頃から一般にも広く認識されはじめたメディアアートやメディア芸術領域は今も拡張を続け、復元やアーカイブ化による再検証や歴史化の過渡期にある。また、国際的な企画展やコンペティションに集まる作品群の中にも、ビッグデータやAI、機械学習によるもの、A-Life、群知能を思わせる作品が多数見られるようになった。繊細な手仕事によって成立する作品も確実に存在する一方で、それらの根底にも、現在的な情報処理の概念が存在する。本展では、「創造と生成」の両方を見つめ、テクノロジーを用いながらも造形的な語彙によってアイデアを外在化し、私たちの想像力をこれまで以上に掻き立てようとする作家たちの多様な試みに着目し、11組の作家による約50点の作品・資料を展示する。2020年以降、プログラミング教育が普及し、次世代に向けて、表現のプラットフォームは変容を続けている。本展では、リアル展示に限らず、デジタル上に拡がるメタバースや空間アーカイブなどを視野に入れた事業やイベントを展開。本展の試みを通して、これまで対立的に捉えられがちであった「創造と生成」「アナログとデジタル」のありようを見直し、それらを超えて両者のあいだに生まれるシナジー(相乗効果)を見つめ、私たちの知覚の拡がりを問いかける。

豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表 2023年12月9日~2024年3月10日

 豊嶋康子(1967-)は、1990年より30年以上にわたって、私たちを取り巻くさまざまな制度や価値観、約束事に対して「私」の視点から独自の仕方で対峙し続けてきた作家。物や道具の仕組み、学校教育、経済活動から日常の様々な行為まで、私たちに避けがたく内面化、自動化されてきた思考や行為の枠組みやルールを、自身の感じる違和感や関心を梃(てこ)として独自の仕方で読み替え、捉え返すことで、人の思考の型の形成、社会と自己の成り立ちの在り様を問うてきた。豊嶋の制作は、1990年の《エンドレス・ソロバン》や《鉛筆》など、物の使用法や構造に従い、守りつつ攻めるといった方法で別様に展開、その機能を宙吊りにする作品に始まる。90年代後半からは、「表現」の領域を広く考察し、銀行での口座の開設や株式の購入、生命保険への加入といった社会・経済活動そのものを素材として用いて、特定のシステムの全体を「私」の一点から逆照射するような《口座開設》《ミニ投資》などを発表した。2005年の《色調補正1》では、一般的に共有される色の体系を「私」の設定のもと、ひたすらに塗り替えることを試みている。作品それぞれの外観は幅広いものだが、それらはいずれも、いわゆる既成の仕組みや枠組み、順列などに対して、脈絡を守りつつ「私」を用いて別の見方を挿入し、本来の意味作用を逸脱させ、歪ませ、反転や空回りをさせることで、その構造と私たちの認識や体験の「発生」を捉えようとするものだといえる。〈ある順番に並べる〉(2014-2016)や〈隠蔽工作〉(2012)、一連の〈パネル〉(2013-2015)、〈地動説2020〉(2020)などは、こうした構造それ自体を抽象的に展開した作品と捉えることができるだろう。順序や表/裏、支持体と図、天と地、作ると作らない…、こうした二項自体をずらし、重ね、また反転させ続け、複数の見方が現れる作品群が生み出されている。本展は、こうした豊嶋の制作の全貌を、初期作品から新作まで400点近くを一堂に集め検証する初めての試み。あまたある世の決まりごとに「私」を交差させる豊嶋の作品は、システムと不可分の存在であり続ける私たちに、多くの示唆を与えてくれる。「天地」や「左右」はどのようにして決まるのでしょうか?あるいは裏と表をひっくり返すことは? 自身の思考を素材とする一種の潔さとユーモアをもって、私たちをめぐる事物に対する「私」の応じ方をかたちにし、さまざまなシステムと「私」双方の「発生法」を捉えようとする豊嶋の制作は、私たちの思考や行為、そして自由の領域について、あらためて捉え返す契機を与えてくれるに違いない。

サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展 2024年3月30日~7月7日

 「Tokyo Contemporary Art Award」第4回の受賞者、サエボーグと津田道子による展覧会を東京都現代美術館で開催する。

ホー・ツーニェン エージェントのA 2024年4月6日~7月7日

 シンガポールを拠点に活動するアーティスト、ホー・ツーニェンの個展である。ホー・ツーニェンは、東南アジアの歴史的な出来事、思想、個人または集団的な主体性や文化的アイデンティティに独自の視点から切り込む映像やヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスを制作してきた。既存の映像、映画、アーカイブ資料などから引用した素材を再編したイメージとスクリプトは、東南アジアの地政学を織りなす力学や歴史的言説の複層性を抽象的かつ想起的に描き出す。そのようなホーの作品は、これまでに世界各地の文化組織、ビエンナーレなどで展示され、演劇祭や映画祭でも取り上げられてきた。国内でも、同館で開催した「他人の時間」展(2015年)を含めた多くの展覧会に参加し、近年は国際舞台芸術ミーティング in 横浜(2018年、2020年)、あいちトリエンナーレ2019(2019年)、山口情報芸術センター[YCAM](2021年)、豊田市美術館(2021年)で新たな作品を発表し話題を呼んだ。本展では、ホーのこれまでの歴史的探求の軌跡を辿るべく、最初期の作品から6点の映像インスタレーション作品を展示するとともに、国内初公開となる最新作を紹介。ホーが監督と脚本を務めたデビュー作《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》(2003年)は、シンガポールという国名の由来「シンガプーラ(サンスクリット語でライオンのいる町)」とその地を命名したとされるサン・ニラ・ウタマに関する諸説を巡りながら、イギリス人植民地行政官スタンフォード・ラッフルズを建国者とする近代の建国物語を解体する。3Dアニメーションを用いた《一頭あるいは数頭のトラ》(2017年)では、トラを人間の祖先とする信仰や人虎にまつわる神話をはじめ、19世紀にイギリス政府からの委任で入植していた測量士ジョージ・D・コールマンとトラとの遭遇や、第二次世界大戦中、イギリス軍を降伏させ「マレーのトラ」と呼ばれた軍人山下奉文など、シンガポールの歴史における支配と被支配の関係が、姿を変え続けるトラと人間を介して語られる。ホーは他にも、既存の映像を転用し、マレー半島の近現代史とその編纂に影響を与えた人物に焦点を当てた作品を制作している。第二次世界大戦中、マラヤ共産党総書記を務めながら、イギリス、日本、フランスの三重スパイとして暗躍したライ・テックを取りあげた《名のない人》(2015年)、マラヤ共産党とマラヤ危機について、党の機密情報に基づいた文献を残した、ゴーストライターとも言われているジーン・Z・ハンラハンを描いた《名前》(2015年)は、いくつもの映画の断片をつなげ、複数のイデオロギーに介在した謎多き人物に、同一性をもたせることなく、その内側に迫る。これらの作品を生み出す基盤となるプロジェクトが、2012年から進行中の《東南アジアの批評辞典》である。幅広いソースから抽出された東南アジアに関連するAからZのキーワードとイメージが、アルゴリズムによって都度組み合わされる映像は、東南アジアというその呼び名が想起させる総体に抗う多層性、複数性を描き出す。近年日本で制作した作品からは、山口情報芸術センター[YCAM]とのコラボレーション作品《ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声》(2021年)を展示する。VRと6面の映像で構成された本作では、西洋主義的近代の超克を唱え、大東亜共栄圏建設について考察した京都学派の哲学者たちの対話、テキスト、講演などが現前する。VRでは、戦争の倫理性と国家のための死についての議論が行われた座談会から、西田幾多郎の「無」の概念を象徴する抽象的空間まで、京都学派の思想と哲学者たちの主観性を体現する空間に没入することができる。ホーの最新作で新たな展開ともいえる《T for Time》(邦題未定) (2023年)では、ホーが引用しアニメーション化した映像の断片が、アルゴリズムによって、時間の様々な側面とスケール—素粒子の時間から生命の寿命、宇宙における時間まで—を描き出すシークエンスに編成される。それらが喚起する意味や感覚は、時間とは何か、そして私たちの時間の経験や想像に介在するものは何かを問いかける。

☆翻訳できない わたしの言葉 2024年4月6日〜7月7日

 世界には様々な言語があり、一つの言語の中にも、方言や世代・経験による語彙・文法の違いなど、無数の豊かなバリエーションがある。話す相手や場に応じて、仲間同士や家族だけで通じる言葉を使ったり、他言語を使ったりと、複数の言葉を使い分ける人もいる。言葉にしなくても伝わる思いもある。それらはすべて、個人の中にこれまで蓄積されてきた経験の総体から生まれる「わたしの言葉」である。他言語を学ぶことでその言語を生み出した人々の文化や歴史に触れるように、誰かのことを知ることは、その人の「わたしの言葉」を、別の言葉に置き換えることなくそのまま受けとろうとすることから始まるのではないか。この展覧会では、ユニ・ホン・シャープマユンキキ南雲麻衣新井英夫金仁淑の5人のアーティストの作品を紹介。彼らの作品は、みんなが同じ言語を話しているようにみえる社会に、異なる言語があることや、同じ言語の中にある違いに、解像度をあげ目を凝らそうとするものだ。第一言語ではない言葉の発音がうまくできない様子を表現した作品や、最初に習得した言語の他に本来なら得られたかもしれない言語がある状況について語る作品、言葉が通じない相手の目をじっと見つめる作品、そして小さい声を聞き逃さないように耳を澄ませる体験などを通して、この展覧会では、鑑賞者一人ひとりが自分とは異なる誰かの「わたしの言葉」、そして自分自身の「わたしの言葉」を大切に思う機会を提示する。

☆日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション 2024年8月3日〜11月10日

 高橋龍太郎コレクションは、現在まで3000点を超え、質・量ともに日本の現代美術の最も重要な蓄積として知られている。本展は、1946年生まれのひとりのコレクターの目が捉えた現代日本の姿を、時代に対する批評精神あふれる作家たちの代表作とともに辿る。本展が手がかりとするのは、戦後世代のひとつの顔としての高橋龍太郎氏の視点である。1946年に生まれ、団塊世代の先駆けとして育った彼は、全共闘運動に参加し、文化と政治が交差する東京の60年代の空気を色濃く吸い込んだのち、精神科医としてデイケアをはじめとする地域医療の推進に尽力する。その活動が軌道に乗った90年代半ばより、彼は、日本の現代美術のコレクションを開始し、現在に至るまで、3000点を超える作品を収集してきた。高橋氏は、その動向を内側から観察し、その重要な部分を、受け手として、表現者とは異なるかたちで体現してきた存在といえる。本展では、高橋龍太郎コレクションの代名詞ともいえる、1990年代から2000年代にかけての日本の自画像のような作品群だけでなく、東日本大震災以降に生まれた新たなコレクションの流れを、時代の感覚の変化を映し出したものとしても紹介する。高橋龍太郎コレクションの形成は、1995年に開館した東京都現代美術館の活動期と重なっている。東京という都市を拠点に形成されたこの二つのコレクションは、互いに補完関係にあるといえる。一方それは、バブル崩壊後の日本の、いわゆる「失われた30年」とも重なっている。停滞する日本社会に抗うように生み出されたこれらの作品を、高橋氏は「若いアーティストたちの叫び、生きた証」と呼ぶ。本展は、東京都現代美術館がこれまで体現してきた美術史の流れにひとつの「私観」を導入しつつ、批評精神にあふれる日本の現代美術の重要作品を総覧する、貴重な機会となる。

☆開発好明展 2024年8月3日~11月10日

 日常の出来事を出発点に、コミュニケーションを含んだ表現に挑み続けてきた開発好明(1966-)の都内美術館初となる大型個展。作家の全面的な協力のもと、初期の実験的な試みから、参加型作品含む代表的なプロジェクト、本展のための新作まで包括的に紹介。パフォーマンス、ワークショップ、公開制作などを多数行い、動きと変化、出会いと対話が起こる場を創出する。

☆MOTコレクション 2024年8月3日~11月10日

☆TOKYO ART BOOK FAIR 2024 2024年11月28日~12月1日

 TOKYO ART BOOK FAIR 2024では、独創的なアートブックやZINE(自主制作出版物)を制作する国内外の出版社、ギャラリー、アーティストら出展者が会場である東京都現代美術館に集結し、それぞれの印刷物の魅力を直接のコミュニケーションをとおして来場者へと伝える。一つの国や地域の出版文化に焦点を当てる企画「Guest Country」や、老舗から新進気鋭の出版社、さまざまな分野で活躍するアーティストやデザイナーらを紹介する展示やトークイベントにより、豊かな出版シーンをひもとく。

☆MOTアニュアル2024 2024年12月14日~2025年3月30日

坂本龍一展(仮) 2024年12月21日~2025年3月30日

 音楽家・アーティスト、坂本龍一(1952-2023)の大型インスタレーション作品を包括的に紹介する、日本では初となる最大規模の個展。坂本は多彩な表現活動を通して、時代の先端を常に切り拓いてきた。2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考/実践した。生前、坂本が本展のために構想した新作と、これまでの代表作を美術館内外の空間にダイナミックに構成・展開。クロニクル展示を加えることで、坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどる。

東京都美術館

☆印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵 2024年1月27日~4月7日

 ウスター美術館(アメリカ)のコレクションを中心に、印象派の国際的な広がりを紹介する展覧会。バルビゾン派など印象派誕生前夜から、モネやルノワールなどのフランス印象派、さらにアメリカをはじめとするフランス国外の状況まで、印象派の受容と展開をたどる。ほとんどが日本初公開で、アメリカ印象派の知られざる魅力を堪能できる。

デ・キリコ展 2024年4月27日~8月29日

 20世紀を代表する巨匠の一人、ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)。彼が1910年頃から描き始めた「形而上絵画」(幻想的な風景や静物によって非日常的な世界を表現する絵画)は、数多くの芸術家や国際的な芸術運動に大きな影響を与えた。本展では、デ・キリコのおよそ70年にわたる画業を「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」などのテーマに分け、初期から晩年までの作品を余すところなく紹介。デ・キリコが描いた世界をたどる、日本では10年ぶりの大規模な個展となる。

大地に耳をすます 気配と手ざわり The Whispering Land: Artists in Correspondence with Nature 2024年7月20日~10月9日 

出品作家:榎本裕一、川村喜一、倉科光子、ふるさかはるか、ミロコマチコ

 本展では、自然に深く関わり制作をつづける現代作家5人を紹介する。野生動物、山の人々の生業、移りゆく景色や植生、生命の輝きや自然の驚異を捉えた作品は、自然とともに生きる瑞々しい歓喜に溢れている。同時に、ときに暴力的に牙をむき、したたかな生存戦略をめぐらせる自然の諸相を鮮烈に思い起こさせ、都市生活では希薄になりがちな、人の力の及ばない自然への畏怖と敬意が認められる。未開の大自然ではなく自然と人の暮らしが重なる場から生まれた彼らの作品は、自然と人の関係性を問い直すものでもある。古来人間は、自然の営みに目を凝らし、耳をすまし、長い年月をかけて共生する術を育んできた。自然に分け入り心動かされ、風土に接し生み出された作品は、人間中心の生活のなかでは聞こえにくくなっている大地の息づかいを伝えてくれる。かすかな気配も捉える作家たちの鋭敏な感覚をとおして触れる自然と人のあり様は、私たちの「生きる感覚」をも呼び覚ましてくれるだろう。

田中一村展 奄美の光 魂の絵画 2024年9月19日~12月1日

 自らの芸術の探究に生涯を捧げた孤高の画家・田中一村(たなか・いっそん/1908-1977年)。本展は、神童と称された幼年期から、最晩年の奄美で描かれた作品まで、その全貌を紹介する大回顧展。世俗的な栄達から距離を置き、我が道を歩んで描き続けた一村の生涯は、「不屈の情熱の軌跡」といえるものだった。自然を主題とした、澄んだ光にあふれた絵画はその情熱の結晶であり、彼の魂の輝きをも宿しているかのようだ。本展では、近年の研究で発見された資料を多数含む構成により、この稀にみる画家の真の姿に迫る。

寺田倉庫G1ビル

☆ゴッホ・アライブ東京展 2024年1月6日〜3月31日

上野の森美術館

モネ 連作の情景 2023年10月20日~2024年1月28日

 印象派を代表する画家のひとり、クロード・モネ(1840-1926)は、自然の光と色彩に対する並外れた感覚を持ち、柔らかい色使いとあたたかい光の表現を得意とし、自然の息遣いが感じられる作品を数多く残した。同じ場所やテーマに注目し、異なる天候、異なる時間、異なる季節を通して一瞬の表情や風の動き、時の移り変わりをカンヴァスに写し取った「連作」は、巨匠モネの画業から切り離して語ることができない。移ろいゆく景色と、その全ての表情を描き留めようとしたモネの時と光に対する探究心が感じられる「連作」は、巨匠モネの画家としての芸術的精神を色濃く映し出していると言えるのかもしれない。1874年に第1回印象派展が開催されてから150年の節目を迎えることを記念し、東京と大阪を会場に国内外のモネの代表作60点以上*が一堂に会す本展では、モネの代名詞として日本でも広く親しまれている〈積みわら〉〈睡蓮〉などをモティーフとした「連作」に焦点を当てながら、時間や光とのたゆまぬ対話を続けた画家の生涯を辿る。サロン(官展)を離れ、印象派の旗手として活動を始めるきっかけとなった、日本初公開となる人物画の大作《昼食》を中心に、「印象派以前」の作品も紹介。モネの革新的な表現手法の一つである「連作」に至る過程を追う。

☆第40回上野の森美術館大賞展 絵画大賞受賞者 渡辺愛子展 2024年2月17日 〜3月1日

☆VOCA展2024 2024年3月14〜30日

☆石川九楊大全 【古典篇】遠くまで行くんだ 2024年6月8~30日
☆石川九楊大全 【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ 2024年7月3~28日

東京都写真美術館

☆即興 ホンマタカシ 2023年10月6日~2024年1月21日

☆日本の新進作家 vol.20 見るまえに跳べ 2023年10月27日~2024年1月21日 

 出品作家:うつゆみこ、淵上裕太、星玄人、夢無子、山上新平

☆恵比寿映像祭2024 月へ行く30 の方法 2024年2月2~18日
☆恵比寿映像祭2024 コミッション・プロジェクト 2024年2月20日~3月24日

☆記憶:リメンブランス ―現代写真・映像の表現から 2024年3月1日~6月9日

 写真・映像は、人々のどのような「記憶」を捉えようとしてきたのか。現場で記録するルポルタージュやドキュメンタリーだけでなく、時間や空間が隔てられていても、観る者の感覚を揺さぶり、想像力を拡張させることで目には見えない記憶を伝える試みも続けられた。それぞれが他者の記憶、あるいは時代に刻まれたイメージと観る者自身の記憶とを結び付ける写真・映像の特性を活かしたものでありながらも、作家たちのアプローチは多様である。本展では、『決闘写真論』(1976 年)における篠山紀信の示唆を起点としながら、高齢化社会や人工知能(AI)のテーマに至る日本、ベトナム、フィンランドの注目される7 組8 名のアーティストたちの新作、日本未公開作を含む70 余点を紹介する。参加作家:篠山紀信、米田知子、グエン・チン・ティ(NGUYỄN Trinh Thi ベトナム)、小田原のどか、村山悟郎〔コンセプト:池上高志(サイエンス)+ 村山悟郎(アート)実装:Alternative Machine + Qosmo, inc.〕、マルヤ・ピリラ(Marja PIRILÄ フィンランド)、 Satoko Sai + Tomoko Kurahara

☆没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる 2024年3月16日~5月12日

 本展では、日本の写真史に大きな足跡を残した写真家・木村伊兵衛(1901-1974)の没後50年展として、その仕事を回顧する。1920年代に実用化が始まったばかりの小型カメラに写真表現の可能性をいち早く見出し、それを駆使した文芸諸家のポートレート、あるいは東京下町の日常の場面を素早く切り取るスナップショットで名声を確立した。1933年に開催された「ライカによる文芸家肖像写真展」では、従来の型にはまった肖像写真ではなく、被写体の一瞬の表情の変化を捉える独自のスタイルを確立し、また1936年には初めて沖縄を訪れて生活感にあふれた日常を記録するなど、“ライカの名手”としての名を早くに馳せた。木村伊兵衛はまた、広告宣伝写真や歌舞伎などの舞台写真、カラーフィルムによる滞欧作品、秋田の農村をテーマにするシリーズなど、実にさまざまな被写体を捉えた数多くの傑作を残した。その卓越したカメラ・ワーク、そして写真機材や感光材料への深い理解などは、旺盛な好奇心と豊かな体験に裏付けられている。印刷メディアを媒体として人間の営みのイメージを伝えるという写真の社会的な機能を自覚して、自らを「報道写真家」と位置づけた。その独特な眼差しにこだわった写真表現は、きわめてユニークなもので、見るものの記憶の中にいつまでも生き続ける。没後50年に合わせ、本展では最近発見されたニコンサロンでの 木村伊兵衛生前最後の個展「中国の旅」(1972-1973)の展示プリントを特別公開する。

☆TOPコレクション 時間旅行 千二百箇月の過去とかんずる方角から 2024年4月4日~7月7日

 本展覧会は「時間旅行」をテーマとする東京都写真美術館のコレクション展。人が様々な時代を自由に旅する「時間旅行」という発想は昔からよく知られたSF的なファンタジーだが、想像の世界や芸術の領域では、人は誰でも時間と空間の常識を飛び越えることが可能なのではないか。詩人で童話作家の宮沢賢治が1924(大正13)年に刊行した『心象スケッチ 春と修羅』では、宇宙的なスケールの時間感覚の中で「わたくし」の心象、言葉で記録された風景、そして森羅万象とがひとつに重なりあったような「第四次延長」という世界が描かれている。その世界観は当時の最先端の科学や思想から影響を受けた宮沢賢治の想像力が生み出したものだ。しかし、百年前の詩人の言葉とそれを生み出した想像力には、現代という分断の時代を生きる私たちの心にも響く何かがきっとあるはずである。本展は、百年前である1924年を出発点として、「1924年–大正13年」「昭和モダン街」「かつて、ここで」「20世紀の旅」「時空の旅」の5つのセクションに分け、37,000点*を超える当館収蔵の写真・映像作品、資料を中心に紹介する。「時間旅行」をテーマとする本展で鑑賞者は、それぞれの時代、それぞれの場所で紡ぎ出される物語と出会うことができる。また、本展は宮沢賢治による『春と修羅』序文の言葉をひとつの手掛かりとして、戦前、戦後そして現代を想像力によってつなぐ旅でもある。

☆今森光彦 にっぽんの里山 2024年6月20日~9月29日

 人と自然との関わりを、美しい映像と親しみやすい文章で伝えつづける自然写真家・今森光彦(1954-)の個展。今森は、人間を含む生態系をまるごと「里山」として捉え、多様性にあふれる里山の概念をすぐれた映像により可視化し、その重要性を世界に向けて発信してきた。人間と自然が共生する奇蹟の空間を鮮やかに浮かびあがらせ、我が国の自然の豊かさについて多くの人々に新たな発見を促す、「里山」をめぐる数々の旅。

☆TOPコレクション 見るということ 2024年7月18日~10月6日

 写真の発明以前から、視覚に関する研究は数多くなされてきた。私たちが普段当たり前のように行っている「見る」という行為は、歴史的にどのように変化してきたのか。本展では、イメージであふれている現代の視覚情報の多様化に焦点を当てると共に、「見る」ことの歴史・経験の豊かさを感じさせる当館所蔵の国内外の名品をとおし、私たちの日常生活における「見る」という行為を捉えなおす。

☆いわいとしお×東京都写真美術館 光と動きの100かいだてのいえ ―19世紀の映像装置とメディアアートをつなぐ 2024年7月27日~11月3日

 日本を代表するメディアアーティストであり、東京都写真美術館の収蔵作家でもある岩井俊雄(1962-)の作品を中心とし、同館所蔵の映像資料作品を活用して、映像の歴史や仕組みを分かりやすく紹介する。同館のコレクションのひとつでもある「初期映像装置」が、どのように現在のメディアアートに影響を与え、発展してきたかをたどる。

☆アレック・ソス 2024年10月10日~2025年1月19日

☆日本の新進作家 vol.21 2024年10月17日~2025年1月19日

東京都庭園美術館

開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z 2024年2月17日〜5月12日

 旧朝香宮邸に関するアルファベットの頭文字AからZのキーワードをピックアップして解説し、新たな見どころや魅力を紹介する展覧会。建築や室内空間との対話を大切に考え、「素のまま」の旧朝香宮邸を見せる。また、伊藤公象(1932-)と須田悦弘(1969-)をゲストアーティストに迎え、旧朝香宮邸や庭園で、さらに深く読み解く手がかりとなるようなインスタレーションを展開する。

☆生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界 2024年6月1日~8月25日

 大正ロマンを代表する芸術家・竹久夢二(1884-1934)を紹介する展覧会。時代感覚を先取りするパイオニアでもあった夢二は、美術のみならず、文学、音楽等あらゆる分野で活躍した。本展では、夢二郷土美術館のコレクションを中心に、再発見された油彩画や初公開となるスケッチ等の作品を展覧し、日本だけでなく欧米でも過ごした夢二の生涯を、新たな視点により振り返る。

☆建物公開2024 2024年9月14日~11月10日

 本展は1933年に竣工した旧朝香宮邸(東京都庭園美術館本館)の魅力を紹介する、年に1度の建物公開展。今回は邸内の多彩な照明に着目し、見どころやデザインの源泉を辿る。また、照明作品を中心に家具や調度を用いた情景再現を行い、新館の展示室ではアール・ヌーヴォー期からアール・デコ期にデザインされたランプ等、本館の意匠や装飾を想起させる照明器具を照会する。

☆鉄とガラス 青木野枝/三嶋りつ惠(仮称) 2024年11月30日~2025年2月16日

 現代を代表する二人の女性作家、鉄の造形で知られる青木野枝(1958- )とガラスを用いる三嶋りつ惠(1962- )の二人展。旧朝香宮邸でも装飾に用いられている鉄とガラスという二つの素材を通して、生命の輝きを想起させる現代美術の世界観を紹介する。両作家とも旧朝香宮邸の装飾様式を独自の視点で読み解き、空間の特性や魅力を採り込んだ、新作インスタレーションを発表する。

☆戦後西ドイツのグラフィックデザイン(仮称) 2025年3月8日~5月18日

 ドイツを拠点に活躍するグラフィックデザイナー、イェンス・ミュラー氏が所蔵する貴重なグラフィックデザイン資料を日本で初めて公開。冷戦時代東西に分断されたドイツでは、バウハウスの流れを汲むウルム造形大学などの優れた教育機関が中心となり、新しい時代の表現が模索されていた。同国で生み出された斬新かつ理知的なグラフィックデザインの魅力に迫る。

森美術館

森美術館開館20周年記念展私たちのエコロジー 2023年10月18日~2024年3月31日

 産業革命以降、特に20世紀後半に人類が地球に与えた影響は、それ以前の数万年単位の地質学的変化に匹敵すると言われている。環境危機は喫緊の課題であり、国際的なアートシーンにおいても重要なテーマとして多くの展覧会が開催されている。本展では、国際的なアーティストによる歴史的な作品から本展のための新作まで多様な表現を、4つの章で紹介。第1章「全ては繋がっている」では、環境や生態系と人間の政治経済活動が複雑に絡み合う現実に言及する。第2章「土に還る」では、1950~80年代の高度経済成長の裏で、環境汚染が問題となった日本で制作・発表されたアートを再検証し、環境問題を日本という立ち位置から見つめ直す。第3章「大いなる加速」では、人類による過度な地球資源の開発の影響を明らかにすると同時に、ある種の「希望」も提示する作品を紹介。第4章「未来は私たちの中にある」では、アクティビズム、先住民の叡智、フェミニズム、AIや集合知(CI)などさまざまな表現にみられる、最先端のテクノロジーと古来の技術の双方の考察をとおして、未来の可能性を描く。本展のタイトル「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」は、私たちとは誰か、地球環境は誰のものなのか、という問いかけである。人間中心主義的な視点のみならず、地球という惑星を大局的な視点から見渡せば、地球上にはいくつもの多様な生態系が存在することにあらためて気付くであろう。本展では、環境問題をはじめとする様々な課題について多様な視点で考えることを提案する。また輸送を最小限にし、可能な限り資源を再生利用するなどサステナブルな展覧会制作を通じて、現代アートやアーティストたちがどのように環境危機に関わり、また関わり得るのかについて思考を促し、美術館を対話が生まれる場とする。

シアスター・ゲイツ展 2024年4月24日~9月1日

 米国シカゴのサウスサイド地区を拠点に国際的に活躍するシアスター・ゲイツ(1973年シカゴ生まれ)は、彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを横断する活動で知られている。本展は、ゲイツにとって日本初、そしてアジア最大規模の個展となる。これまでの代表作のみならず、本展のための新作を含む、日本文化に関係の深い作品も紹介する。自身の創作の原点ともいうべき、愛知県常滑市で制作した陶芸作品やプロジェクトから、日本の民藝運動と黒人文化の美学を融合するゲイツ独自の哲学である「アフロ民藝」まで、多岐にわたる作品と活動を幅広く展示する。ゲイツは、土という素材、客体性(鑑賞者との関係性)、空間と物質性などの視覚芸術理論を用いて、ブラックネス(黒人であること)の複雑さを巧みに表現する。黒人文化やその歴史は、日本人の一般的な知識としては希薄かもしれない。しかし、本展は、ゲイツのこれまでの作品と実践を網羅的に紹介することで、手仕事、人種への問い、政治、文化のハイブリッド性などを謳うアートの今日的な重要性を伝える。

ルイーズ・ブルジョワ展 2024年9月25日~2025年1月19日

 ルイーズ・ブルジョワ(1911年パリ生まれ、2010年ニューヨークにて没)は、20世紀から21世紀にわたって活躍した最も重要なアーティストの一人。70年にわたるキャリアの中で、ブルジョワは感情や心理状態の多面性をさまざまなメディアで表現し、感情の起伏と稀有な造形力を融合させた孤高の作品群を生み出してきた。本展は、ブルジョワの日本における27年ぶりの大規模個展として、絵画、版画、素描、彫刻、インスタレーション、遺稿などを紹介し、その活動の全貌に迫る。とりわけ1938年から1949年までの絵画作品の数々は、東アジアでは初めての紹介となる。この初期の絵画群は、その重要性が最近になってようやく認識されるようになったが、ブルジョワがその後数十年にわたって描き続けることになる造形と主題をすでに確立していることがうかがえる、大変興味深いもの。さらに、「蜘蛛」を題材としたシリーズを紹介することで、六本木ヒルズのパブリックアート作品《ママン》に込められた「母の愛」、「治癒の力」や「記憶」などのテーマを探求する。「アートは心の健康を保証するもの」という自身の言葉が表すように、ブルジョワの生きることへの強い意志を表現する作品は、世界的なパンデミックによる健康危機の後、あるいは緊迫した国際情勢の下、私たちが直面するさまざまな課題を生き抜くための重要なヒントを与えてくれる。

森アーツセンターギャラリー

☆テレビ朝日開局65周年記念「MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~」 2024年3月15日~6月2日

☆さくらももこ展 2024年10月5日~2025年1月5日

東京ステーションギャラリー

☆みちのく いとしい仏たち 2023年12月2日~2024年2月12日

 厳しい風土を生きるみちのくの人々のささやかな祈りの対象として、江戸時代から民家やお堂に祀られてきた仏像や神像。仏師ではなく大工や木地師らの手によるこうした民間仏の特徴は、素朴でユニークな造形と表情にある。本展では青森・岩手・秋田の北東北に伝わる約130点の木像を紹介し、日本の信仰のかたちについて考える。

☆生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 2024年2月23日~4月14日

 戦前日本の写真表現をけん引した偉大な写真家・安井仲治(やすいなかじ/1903-1942)の約20年ぶりとなる回顧展。安井のヴィンテージプリントを中心に、彼の生涯にわたる仕事を紹介する。さらに未発表ネガを検証した研究成果をもとに新たなプリントも作成。多くの写真家たちに影響を与えた業績の全貌を振り返る。

☆どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより 2024年4月27日~6月23日

☆空想旅行案内人ジャン=ミッシェル・フォロン[仮称] 2024年7月13日~9月23日

 ジャン=ミッシェル・フォロン(1934-2005)は、ベルギーが生んだユニークなアーティスト。雑誌の表紙や挿絵で評価を得た後、ポスターや舞台美術、壁画、そして彫刻も手がけるなどマルチな活躍をみせた。詩的でユーモアに富み、やわらかな色彩と軽やかなタッチで表現されたその作品は、みる人を空想の旅へと連れ出してくれる。フォロンの没後20年を記念する本展では、多彩な作品によって、そのあたたかく深遠な魅力を紹介する。

☆テレンス・コンランモダン・ブリテンをデザインする[仮称] 2024年10月12日~2025年1月5日

 サー・テレンス・コンラン(1931-2020)は、デザイナー、家具の作り手、ライフスタイルショップ「habitat」の先駆的経営者として知られ、現在でいうセレクトショップや新しいスタイルのレストランなども数多く手がけた。また都市開発プロジェクトやデザインミュージアムの設立、多数の著作など、半世紀にわたってそのデザイン理念を実践。本展は、プロダクトや資料、さまざまなインスピレーション源をたどりながら、英国の生活文化を変えたといわれる独自の世界観と功績を紹介する。

Bunkamuraザ・ミュージアム

アーティゾン美術館

マリー・ローランサン ―時代を写す眼 2023年12月9日~2024年3月3日

 マリー・ローランサン(1883-1956)は、20 世紀前半に活躍した女性画家。パリのアカデミー・アンベールで学び、キュビスムの画家として活動をはじめた。1914 年にドイツ人男爵と結婚、ドイツ国籍となったため、第一次世界大戦がはじまるとフランス国外への亡命を余儀なくされた。1920年に離婚を決意して、パリに戻ってくると、1921 年の個展で成功を収める。第二次世界大戦勃発後もほとんどパリに暮らし、1956 年に 72 歳で亡くなるまで制作をつづけた。本展では、ローランサンの画業を複数のテーマから紹介し、関連する他の画家たちの作品と比較しつつ、彼女
の作品の魅力を明らかにする。

☆特集コーナー展示 野見山暁治 2023年12月9日~2024年3月3日

 野見山暁治(1920-2023)は、長い画業のなかで具象と抽象のあいだを漂う独特の画風を確立した。特集コーナー展示「野見山暁治」では、石橋財団が所蔵している野見山暁治の作品全 7 点からその魅力に迫る。近年新たに収蔵した 3 点は初公開となる。

☆ブランクーシ 本質をかたどる 2024年3月30日~7月7日

 ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)は、純粋なフォルムの探究を通じて、ロダン以後の 20 世紀彫刻の領野を切り拓いた存在として知られる。本展は、彫刻作品を中核に、フレスコ、テンペラなどの絵画作品やドローイング、写真作品などが織りなす、ブランクーシの創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての機会となる。パリのブランクーシ・エステートおよび国内外の美術館等より借用の彫刻作品約 20 点に、絵画作品、写真作品を加えた、計約 90 点で構成される。

☆特集コーナー展示 清水多嘉示 2024年3月30日~7月7日

 日本近代を代表する彫刻家、清水多嘉示(1897-1981)は、はじめ画家を志してフランスへ留学。そしてパリでブールデルの作品と出会い、彫刻に目覚める。一方で絵画制作も続け、日本人としてはじめてサロン・ドートンヌに絵画と彫刻が同時入選を果たすなど、成功を収めた。本展では新収蔵の 17 点を中心に、清水による絵画作品に光を当てる。

☆空間と作品 Place and Piece: Where was this work displayed, who loved it, and why is it
here now? 2024年7月27日~10月14日

 美術館の展示室に整然とならぶ美術品、それらは、今日、誰もが観賞することのできる公共的なものとなっている。だが、その美術品が生まれた時のことを振り返ると、それは邸宅の建具として作られたり、プライベートな部屋を飾るためにえがかれたりと、それを所有する人との関係によって生み出されたものであることが分かる。また、時を経る間に、何人もの手を渡り、受け継がれてきたものもある。この展覧会では、モネ、ピカソ、藤島武二、岸田劉生、琳派による作品や抽象絵画まで、古今東西、様々な分野の作品からなる石橋財団コレクションによって、美術品がどのような状況で生まれ、どのように扱われ、受け継いでこられたのか、その時々の場を想像し体感できる。

☆ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子―ピュシスについて 2024年11月2日~2025年2月9日

 アーティゾン美術館の開館(2020 年)から毎年開催している、石橋財団コレクションとアーティストとの共演、「ジャム・セッション」展。第 5 回目となる本展は、世界から今注目を浴びているアーティスト、毛利悠子を迎えて開催する。主にインスタレーションや彫刻を通じて、磁力や電流、空気や埃、水や温度といった、ある特定の空間が潜在的に有している流れ/変化に形を与え、立ち会った人々のあらたな知覚の回路を開く毛利。環境を制御しようとするのではなく、その場に漂いながら創造的な関わりを築いていく姿勢が──近年の切迫した地球環境問題に照らして──関心を集めている理由のひとつかもしれない。彼女の都内初大規模展覧会である本展では、毛利の新・旧作品とともに、作家の視点から選ばれた石橋財団コレクションとを並べることで、ここでしか体感できない「微細な音や動きで満たされた静謐でいて有機的な空間」にいざなう。

☆ 特集コーナー展示 マティスのアトリエ 2024年11月2日~2025年2月9日

 アンリ・マティス(1869-1954)の絵画において、室内は常に重要な要素であり続けたが、とりわけ 1940年代以降、生活と創作とが一体となった空間として重要になるのが、アトリエである。本展では、《踊り子とロカイユ椅子、黒の背景》(1942年)の収蔵にちなみ、石橋財団のコレクションにより、マティスの創作においてアトリエが果たした役割について、複数の視点から探る。

☆ひとを描く Looking Human: The Figure Painting 2024年11月2日~2025年2月9日

 古代ローマの大プリニウスの『博物誌』には、コリントの陶器商の娘が旅立つ恋人の姿を残しておくために壁に影をかたどったというギリシア人の説話が書かれている。この物語は、18 世紀後半から 19 世紀初めには、絵画の起源として引き合いに出された。そして実際、ヨーロッパの美術の歴史を見てみると、「ひとを描く」ことは作品制作の重要な要素のひとつだった。たとえば、自画像は、自らの技量を示すことのできる題材であると同時に、さまざまな新しい表現の実験の場でもありました。肖像画は、画家たちにとって重要な生活の糧となっていった。また、物語に登場する人物を描いた作品もあります。この展覧会では人物表現の豊かさを紹介する。

根津美術館

☆繡と織 華麗なる日本染織の世界 2023年12月16日~2024年1月28日

☆画展 魅惑の朝鮮陶磁 2024年2月10 日~3月26日
☆特別企画 謎解き奥高麗茶碗 2024年2月10 日~3月26日

☆特別展 国宝・燕子花図屏風 -デザインの日本美術- 2024年4月13日~5月12日

 尾形光琳の「燕子花図屏風」には日本の美術が内包するデザイン性が究極の形で現れている。絵画と工芸の親密な関係にも目配りしながら展観する。

☆企画展 古美術かぞえうた -名前に数字がある作品- 2024年6月1日~7月15日

 作品名にある数字は、形や色、モチーフなど、その作品にとって重要な意味を持ってる。数えることが見ることにつながる。

☆企画展 美麗なるほとけ-館蔵仏教絵画名品展- 2024年 7月27日~8月25日

 仏教絵画のコレクションは、根津美術館の中核をなす作品群。国宝「那智瀧図」をはじめとする、日本・東洋の仏教絵画の名品を堪能できる。

☆企画展 夏と秋の美学-鈴木其一と伊年印の優品とともに- 2024年9月14日~ 10月20日

 日本では古来、春と秋がとくに愛されたが、近世には夏と秋を組み合わせる作品も目立つ。初夏から晩秋まで、美術で季節の移ろいを楽しむ。

☆特別展 百草蒔絵薬箪笥と飯塚桃葉 2024年11月2日~12月8日

 徳島藩主・蜂須賀家に伝来した「百草蒔絵薬箪笥」について、本草学を手がかりに制作背景を読み解き、その作者・飯塚桃葉(初代)にも迫る。

☆企画展 古筆切-わかちあう名筆の美- 2024年12月21日~2025年2月9日

 貴重な古筆を切断分割することで、より多くの人が鑑賞できるようになった古筆切。個々の魅力に富む名筆の美しさを楽しむ。

☆特別展 片桐石州-江戸の武家の茶- 2025年2月22日~3月30日

 片桐石州(1605~73、貞昌、石見守)は江戸前期の大名茶人。江戸幕府の数寄屋坊主や各地の大名など武家に広がりをみせた石州の茶を顕彰する。

東京芸術大学大学美術館

☆青木淳退任記念展 雲と息つぎ ―テンポラリーなリノベーションとしての展覧会 番外編― 2023年11月18日~12月3日

☆大吉原展 2024年3月26日~5月19日

 江戸の吉原は、約250年続いた幕府公認の遊廓だった。遊廓は、前借金の返済にしばられ自由意志でやめることのできない遊女たちの犠牲の上に成り立っていた、現在では許されない、二度とこの世に出現してはならない制度である。一方で、江戸時代における吉原は、文芸やファッションなど流行発信の最先端でもあった。3月にだけ桜を植えて花見を楽しむ仲之町の桜や、遊女の供養に細工を凝らした盆燈籠(ぼんとうろう)を飾る7月の玉菊燈籠、吉原芸者が屋外で芸を披露する8月の俄(にわか)など、季節ごとに町をあげて催事を行い、贅沢に非日常が演出され仕掛けられた虚構の世界。書や和歌俳諧、着物や諸道具の工芸、書籍の出版、舞踊、音曲、生け花、茶の湯などが盛んだった。そうした吉原の様子は多くの浮世絵師たちによって描かれ、蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)らの出版人、大田南畝(おおた なんぽ)ら文化人たちが吉原を舞台に活躍した。また、年中行事は江戸庶民に親しまれ、地方から江戸見物に来た人々も吉原を訪れた。国内外から吉原に関する美術作品を集め、その一つひとつを丁寧に検証しつつ、江戸時代の吉原の美術と文化を再考する機会として開催する。展示は、ワズワース・アテネウム美術館や大英博物館からの里帰り作品を含む、菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)、英一蝶(はなぶさ いっちょう)、喜多川歌麿(きたがわ うたまろ)、鳥文斎栄之(ちょうぶんさい えいし)、葛飾北斎(かつしか ほくさい)、歌川広重(うたがわ ひろしげ)、酒井抱一(さかい ほういつ)らの絵画や錦絵、修復後初公開となる高橋由一の油絵《花魁》(重要文化財)などに工芸品を加えた約230点による構成。現代美術家・福田美蘭さんによる描きおろし作品《大吉原展》も出品される。

SOMPO美術館

ゴッホと静物画ー伝統から革新へ 2023年10月17日〜2024年1月21日公式サイト

 フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)は何を学び、何を伝えたのか…。本展覧会は17世紀オランダから20世紀初頭まで、ヨーロッパの静物画の流れの中にゴッホを位置づけ、ゴッホが先人達から何を学び、それをいかに自らの作品に反映させ、さらに次世代の画家たちにどのような影響をあたえたかを探る。また、本展覧会では「ひまわり」に焦点をあてたコーナーを設け、ゴッホやその他の画家たちによる「ひまわり」を描いた作品を紹介、なぜ彼らがこの主題を描いたかに注目する。

☆FACE展2024 2024年2月17日~3月10日

☆北欧の神秘 ―ノ ルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画 2024年3月23日~6月9日

 19世紀後半から20世紀初頭にかけての北欧の絵画芸術に焦点を定めた画期的な展覧会。スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館が所蔵する作品約70点を展示する。北欧ロマン主義の誕生、北欧の自然、古くから伝わる神話やおとぎ話、村や街に暮らす人々という4つの主要なテーマに沿って、各国の気候・風土、歴史や文化を反映する詩情豊かな絵画作品を紹介。

☆フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線 2024年6月22日~9月23日

 ロートレックのグラフィック作品の個人コレクションとしてはおそらく最大級のフィロス・コレクション(米)より、約240点を紹介する展覧会。フィロス・コレクション最大の特徴である素描作品を核に、版画、ポスター、挿図や装丁を手がけた雑誌や書籍、さらにロートレックの手紙、知人が撮影したロートレックの写真など、作家そのものに肉薄した作品と資料を紹介する。

☆カナレットとヴェネツィアの輝き 2024年10月12日~12月28日

 都市景観画(ヴェドゥータ)の巨匠カナレット(1697-1768)の全貌を紹介する日本で初めての展覧会。スコットランド国立美術館など英国コレクションを中心に、油彩、水彩、版画等で構成する。カナレットによる緻密かつ壮麗なヴェネツィアの描写を通じ、18世紀の都市景観画というジャンルの成立過程をたどるとともに、その伝統を継承しヴェネツィアの新たなイメージを開拓していった19世紀の画家たちの作品もあわせて紹介する。

☆絵画のゆくえ 2025 2025年1月18日~2月11日

 FACE2022からFACE2024までの3年間に「グランプリ」と「優秀賞」を受賞した作家12名の近作・新作約100点を展示し、受賞作家たちのその後の展開を紹介。また、当館所蔵となった「グランプリ」受賞作品もあわせて見せる。絵画のゆくえを探る展示となる。

☆FACE展2025 2025年3月1日~3月23日

サントリー美術館

☆サントリー美術館コレクション名品展(仮称) 2023年12月20日~2024年1月14日

☆四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎 2024年1月31日~3月24日

 織田信長の弟・織田有楽斎(長益、1547~1621)は、信長、秀吉、家康の三天下人に仕えて戦乱の世を生き抜く一方、茶の湯を深く愛好した。京都・建仁寺の塔頭である正伝院内に建てた国宝の茶室「如庵」をはじめ、有楽斎の美意識は現代の茶道に息づき、規範とされている。本展は、織田有楽斎の四百年遠忌に際し、有楽斎ゆかりの寺・正伝永源院の寺宝を紹介するとともに、有楽斎にまつわる茶道具の名品や手紙などからその稀有な人物像に迫る。

☆サントリー美術館 コレクション名品展(仮称) 2024年4月17日~6月16日

☆徳川美術館展 尾張徳川家の至宝 2024年7月3日~9月1日

 将軍家に連なる御三家の筆頭格であった尾張徳川家に受け継がれてきた什宝の数々を所蔵する徳川美術館。家康ゆかりの遺品「駿府御分物」をはじめ、歴代当主や夫人たちの遺愛品から、刀剣、茶道具、香道具、能装束などにより、徳川家の歴史と華やかで格調の高い大名文化を紹介する。とくに屈指の名品として知られる国宝「源氏物語絵巻」と、三代将軍家光の長女千代姫が婚礼調度として持参した国宝「初音の調度」も特別出品される貴重な機会となる。

☆没後300年記念 英一蝶(仮称) 2024年9月18日~11月10日

 英一蝶(1652~1724)は元禄年間(1688~1704)前後に、江戸を中心に活躍した絵師。はじめは狩野探幽の弟・安信に師事したが、菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、市井の人々を活写した独自の風俗画を生み出した。元禄11年(1698)、47歳で三宅島に流罪になり、島で描かれた作品は〈島一蝶〉と呼ばれ、とくに高く評価されている。一蝶の没後300年を記念する本展では、代表作を通して、その画業と魅力あふれる人物像に迫る。

☆日本美術と儒教(仮称) 2024年11月27日~2025年1月26日

 儒教は、紀元前6世紀の中国で孔子と弟子たちが唱えた倫理思想。日本には古代に伝来し、その後、主に宮廷や寺院で享受されていたが、江戸時代以降になると社会に広く普及した。その結果、儒教は為政者から民衆まで浸透し、理想の君主像を表した「帝鑑図」から浮世絵の見立絵まで、美術にも幅広く影響を与えた。本展は、儒教に根ざした日本美術に注目し、儒教を学び受容した人々が生み出した豊かな作品群を紹介する。

パナソニック汐留美術館

開館20周年記念展/帝国ホテル2代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト世界を結ぶ建築 2024年1月11日〜3月10日

 フランク・ロイド・ライト(1867-1959)は、落水荘やグッゲンハイム美術館の設計で知られるアメリカ近代建築の巨匠。彼のアーカイヴの近年の研究成果は、芸術、建築、デザインから著述、造園、教育、技術革新、都市計画に至る視野の広さを照らし出し、新たな全体像を結びつつある。旅の中で世界の風景や文化をつなぐ情熱からデザインを創出したライトは、東京の帝国ホテル(1923年竣工)でグローバル・アーキテクトの地位を確立した。

テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本 2024年4月6日~6月9日

 人類史上に輝く繁栄を誇った古代ローマ。なかでも、その豊かなくらしと優れた建築技術を象徴するのがテルマエ(公共浴場)。本展は、ナポリ国立考古学博物館所蔵の絵画、彫刻、考古資料を含む100件以上の作品や映像、模型などを通して、テルマエを中心に古代ローマの人々の生活を紹介する。独自の風土のなかで育まれた日本の入浴文化もとりあげる。古代ローマと日本のそれぞれのお風呂文化を比較し、体感することのできる機会となる。

織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠 ポール・ケアホルム展時代を超えたミニマリズム 2024年6月29日~9月16日

 ポール・ケアホルム(1929-1980)は20世紀デンマークを代表する家具デザイナー。木製家具を極めながら、当時では珍しい金属や石を素材とした家具製作に挑戦し、約30年の活動期間に今日にも復刻される名作を次々と生み出した。本展は、椅子研究家・織田憲嗣のコレクションを中心にケアホルムの主要作品を網羅した、日本の美術館では初めての展覧会。極限にまで洗練された家具の美を、建築家・田根剛(ATTA)の会場デザインにより体現する。

☆ベル・エポック―美しき時代パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に 2024年10月5日~12月15日

 19世紀末から1914年頃までのパリが芸術的にもっとも華やいだ時代「ベル・エポック」。本展は、ベル・エポック期から1930年代に至る時代の美術、工芸、舞台、音楽、文学、モード、科学技術といったさまざまなジャンルで花開いた文化のありようを重層的に紹介する。フランスのワイズマン&マイケルコレクションより、当時のパリの活気を伝える情景と人々を描いた絵画やグラフィック作品が初来日するほか、国内所蔵の絵画作品、工芸作品、服飾作品、貴重書などが出品される。

☆ル・コルビュジエ絵画から諸芸術の綜合へ 2025年1月11日~3月23日

 近代建築の巨匠であり優れた芸術家としての顔も併せ持つル・コルビュジエ(1887-1965)。本展は1930年代以降に手がけられた絵画、彫刻、タペストリーを展観し、芸術、建築、デザインが反応し合い統一体となる、その「諸芸術の綜合」の概念を明らかにする。またレジェ、アルプ、カンディンスキーといった芸術家たちによる作品との共鳴にも着目し、ル・コルビュジエがめざした「調和の時代」の理想的世界観を探る。20世紀を創ったクリエイティブな頭脳の革新的な表現を紹介する。

三菱一号館美術館

☆再開館記念 トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル展(仮称) 2024年11月23日~2025年1月26日

東京オペラシティアートギャラリー

☆ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家 2024年1月17日~3月24日

 日本とスウェーデンのアーティストによるガラスの器と静物画、写真からなる展覧会。2018年、スウェーデン在住のガラス作家・山野アンダーソン陽子の発案で、山野が作ったガラスの器を18人の画家が静物画に描くというプロジェクトが始まった。身近なガラスを媒介に、山野と多様な文化的背景をもつ画家たちは、言葉とイメージを通じた対話を経て作品を制作。ガラスの器と静物画、写真家の三部正博が撮り下ろした写真等で構成し、空間全体でアーティストたちの物語をつむぐ展覧会となる。
 参加作家:山野アンダーソン陽子、アンナ・ビヤルゲル、アンナ・カムネー、イルヴァ・カールグレン、イェンス・フェンゲ、カール・ハムウド、CM・ルンドベリ、ニクラス・ホルムグレン、マリア・ノルディン、レベッカ・トレンス、石田淳一、伊庭靖子、小笠原美環、木村彩子、クサナギシンペイ、小林且典、三部正博、田幡浩一、八重樫ゆい、ほか

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO 2024年4月11日〜6月16日

 日本を代表するイラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍し続ける宇野亞喜良(1934-)。1960年代の日本において、「イラストレーション」「イラストレーター」という言葉を広め、時代を牽引してきたレジェンドでありながら、常に進化し続けている。その創作はイラストレーション、ポスター、絵本、書籍、アニメーション映画、絵画、舞台美術など多岐におよび、1950年代初めのデビュー以来、活動の範囲は限りなく広がっている。本展は宇野亞喜良の初期から最新作までの全仕事を網羅する過去最大規模の展覧会。1950年代の企業広告をはじめ、1960年代のアングラ演劇ポスターや絵本・児童書、近年の俳句と少女をテーマとした絵画など、多彩で貴重な原画や資料等を紹介。「魅惑のサウスポー」から生み出される、時代を超越した宇野亞喜良の華麗で耽美な創作世界に迫る。

☆髙田賢三 2024年7月6日〜9月16日

 KENZOの創設者、髙田賢三(1939-2020)は、日本人デザイナーとしていち早くパリに進出し、ファッション界の常識を打ち破るスタイルを次々と生み出した。「木綿の詩人」と称賛され注目を集めた後も「衣服からの身体の解放」をテーマに、日本人としての感性を駆使した新しい発想のコレクションでさまざまな試みを行い、後進の日本人デザイナーが世界へ進出する道を開いた。本展は「色彩の魔術師」と呼ばれた髙田の変遷を衣装展示やデザイン画でたどるとともに、幼少期からのスケッチやアイデアの源泉となった資料、彼を支えた人々との交流を示す写真なども紹介。2020年に惜しまれつつ他界した髙田の没後初の大規模個展となる本展は、生まれ故郷の姫路と、学生時代を過ごした東京を巡回。日本人デザイナーのパイオニアとしての創作活動を回顧するとともに、未曾有の困難な時代を生き抜こうとする人類の未来に向けて髙田が遺したレガシーの本質を発見できる。

☆松谷武判 Matsutani Takesada(仮称) 2024年10月3日〜12月17日

 パリを拠点に活動する松谷武判(1937-)は、60年を越える活動を通して、物質が示す表情や肌理(きめ)、存在感に生命の波動、流動を交錯させる優れた制作を続けてきた。1960年代に当時の新素材であるボンドを使って有機的フォルムを生み出す作品で具体美術協会の第二世代の作家として頭角を現した松谷は、1966年に渡仏。パリを拠点に版画制作に取り組み独自の有機的フォルムによる空間表現を深め、やがて幾何学的な色面による表現に移行。のちに、改めてボンドによる有機的フォルムに鉛筆の黒鉛を重ねた作品で独自の境地をひらく。2017年のベネチアビエンナーレ、2019年のパリ ポンピドゥー・センターでの回顧展など、近年国際的な高い評価を得ている。キャンバスや紙、ボンドや黒鉛など、作品を構成するさまざまな物質が示す表情に生身の身体と五感で対峙することで生み出される松谷の作品、その豊かな多様性は、見る者を魅了してやまない。本展は、初期から現在までの作品、資料、映像などによって長きにわたる活動の全貌を紹介するとともに、その広い射程を今日的視点から検証する。

☆今津景 Imazu Kei(仮称) 2025年1月11日〜3月23日

 今津景(1980-)は、様々なメディアから採取した画像をコンピュータを用いて加工を施しながら構成し、その下図をもとにキャンバスに油彩で描く手法で絵画を制作する。人類の知覚は、技術の発展と密接に関わっている。かつて写真や映画の登場がそうであったように、スマートフォンの普及やAIなど現代の科学技術の革新は、我々の知覚や空間認識、物事に対する考え方をますます変容させている。今津はそうした変化に呼応するように、美術史における新たな絵画表現を探求。2017年以降、インドネシアに拠点を移した今津の作品は従来からのモチーフに加え、インドネシアの歴史や神話も題材にしている。本展でも神話「ハイヌウェレ」を題材にした新作シリーズを中心に過去作品と合わせて全貌を紹介。地球環境問題/エコフェミニズム、神話、歴史、政治、といった要素が同一平面上に並列される画面は、膨大なイメージや情報が彼女の身体を通過することで生み出されるダイナミックな表現といえる。国内外で大きな注目を浴びている今津の初の大規模個展。

21_21 DESIGN SIGHT

企画展「もじ イメージ Graphic 展」 2023年11月23日〜2024年3月10日

ダニエル・ブラッシュ展 ― モネをめぐる金工芸 2024年1月19日〜4月15日

企画展「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」 2024年3月29日〜8月12日

企画展「ゴミうんち展」 2024年8月30日〜2025年1月26日

出光美術館

☆青磁—世界を魅了したやきもの 2023年11月3日~2024年1月28日

☆生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水 2024年2月10日~3月24日

☆出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅠ 復刻 開館記念展 ―仙厓・古唐津・中国陶磁・オリエント 2024年4月23日~5月19日

☆出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅡ 出光佐三、美の交感 ―波山・放菴・ルオー 2024年6月1日~7月7日

☆出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅢ 日本・東洋陶磁の精華 ―コレクションの深まり 2024年7月20日~8月25日

☆出光美術館の軌跡 ここから、さきへⅣ 物、ものを呼ぶ ―伴大納言絵巻から若冲へ 2024年9月7日~10月20日

☆トルコ展(仮称) 2024年11月上旬~12月開催予定

山種美術館

☆【特別展】癒やしの日本美術―ほのぼの若冲・なごみの土牛― 2023年12月2日~2024年2月4日

☆[公募展]Seed 山種美術館 日本画アワード 2024 ―未来をになう日本画新世代― 2024年2月17日~3月3日

☆【特別展】花・flower・華 2024 ―奥村土牛の桜・福田平八郎の牡丹・梅原龍三郎のばら― 2024年3月9日~5月6日

☆特別展 犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―(仮称) 2024年5月12日~7月7日

☆特別展 没後25年記念 東山魁夷と日本の夏 (仮称) 2024年7月20日~9月23日 

☆特別展 没後50年 福田平八郎×琳派(仮称) 2024年9月29日~12月8日

☆特別展 HAPPYな日本美術 ―伊藤若冲から横山大観へ―(仮称) 2024年12月14日~2025年2月24日

☆特別展 桜 さくら SAKURA 2025 ―美術館でお花見!―(仮称) 2025年3月8日~2025年5月11日

日本民藝館

☆古染付と中国工芸 2024年3月30日~6月2日

 明時代末期の中国・景徳鎮民窯で、日本への輸出品として作られた古染付。茶人に好まれ珍重された古染付の器形は様々で、驚くほど軽妙な絵付が施されている。柳宗悦はこれらの器を「真に染付としての生命が甦っている」と、賛美した。本展は、当館が所蔵する古染付を一挙に公開すると共に、中国の長い歴史の中で生まれた力強い工芸の数々を紹介する。

☆朝鮮民族美術館設立100年記念 柳宗悦と朝鮮民族美術館 2024年6月15日~8月25日

 朝鮮時代の工芸の美をいち早く見出し、京城(現在のソウル)に朝鮮民族美術館を設立した浅川伯教・巧兄弟と柳宗悦。本年は、創設から100年の節目に当たる。本展ではその足跡をたどり、当時集められた品々を中心に、設立募金関連資料や開催された展覧会の資料を交えて展示し、世界で初めての朝鮮工芸の専門美術館・朝鮮民族美術館の意義を、改めて検証する。

☆生誕130年 芹沢銈介の世界 2024年9月5日~11月20日

 自由な色彩感覚と模様を生む天賦の才に恵まれた染色家・芹沢銈介(1895-1984)。身辺の品々などを日々スケッチしていた芹沢の日常への眼差しに裏打ちされた多彩な作品は観る者の心を躍らせる。「本当の美しさがわかっている」と柳宗悦が評した芹沢の蒐集にも注目。来年生誕130年を迎える芹沢の手と眼の世界を堪能できる。

☆2024年度日本民藝館展—新作工藝公募展— 2024年12月7~22日

 手仕事による伝統的な工芸品を中心に、日本各地の新作工芸品の数々を展示・頒布する、恒例の新作工芸公募展。出品作は、陶磁・織物・染物・木工・漆工・金工・竹工・藁及草工・硝子工・紙ほか。

☆仏教美学柳宗悦の見届けたもの 2025年1月12日~3月20日

 1949年に主著作『美の法門』を上梓した柳宗悦。仏教美学の更なる探求と強固な構築を目指した柳は、1961年5月に歿するまで、その樹立を願い留まることはなかった。本展では、仏教美学に関わる資料を展示。柳が1955年10月に行った「東洋思想講座 第五回」の映像(音源を基に制作)を初上映し、柳が直観で見届けた具体的な作物の提示と共に、悲願とした「仏教美学」を顕彰する。

目黒区美術館

☆広がるコラージュ / 同時開催 IIDA 101 飯田善國 2024年2月17日~3月24日

 コラージュは、「糊で貼り付ける」という意味のフランス語(coller)から派生した言葉で、身近にある様々な素材を切り取り、組み合わせる手法である。この手法が新しい芸術表現のジャンルとして価値づけられたのは、1912年にフランスでパブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックによって油彩画に布や紙片が貼り付けられた作品が制作されたのがきっかけといわれている。日本では、西洋美術の前衛的な表現を積極的に学んだ大正時代以降に発展し、様々な作品が作られてきた。20世紀よりもはるか以前から存在していたコラージュという行為は、従来の芸術表現を問い直す機運の中で再発見されてきたと考えられる。次第に、技法を示す言葉の意味の範疇を越えて、多様な広がりをもって制作に用いられるようになり、現在では、その発想を読み取れる作品が数多く存在することに気づかされる。本展では、当館のコレクションより、コラージュによって作られた作品のほか、その発想に基づいて多様なイメージやテクスチャーを引用し組み合わせた作品を紹介し、その手法と表現を掘り下げる。

☆青山悟 刺繡少年フォーエバー 2024年4月20日~6月9日

 「永遠なんてあるのでしょうか」。この言葉は、青山悟が近年取り組んでいるテーマ、時代とともに 社会から姿を消そうとしている様々な「消えゆくもの」への問い かけのメッセージである。青山は、目黒区出身の現代美術作家。彼は、刺繍というおよそ美術作品の制作のために用いる技法とは程遠い手段で作品を制作している。手仕事としての刺繍が、ミシンという工業機械に取って代わられることには、現代社会における労働や資本主義の問題が示唆されると同時に、ミシンで大量生産される製品と美術作品の違いとは何かという問題も示されている。さらに青山の作品は、刺繍は女性がするものという伝統的な男女の役割に対しての問題も浮かび上がらせる。50代である青山の展覧会名のサブタイトルが「刺繍少年」となっていることには、ジェンダー、エイジズム(年齢差別)の問題も暗示されている。青山は、刻一刻と変化する私たちの生きる社会が抱える様々な問題に対し、常に敏感に反応し、ミシン針でチクリと風刺をきかせる。

☆生誕130年 武井武雄 幻想の世界へようこそ 2024年7月6日~8月25日

 大正から昭和期にかけ、子どもたちに本物の芸術に触れてもらうことを目的に「童画」という呼称を広めた武井武雄は、2024年に生誕130年を迎える。童画の他にも、本の芸術作品「刊本作品」とその原画、版画作品などを中心に、多岐にわたる創作の広がりを紹介する。同館所蔵作家の秋岡芳夫の童画関連作品も併せて展示。

☆区展(区民作品展) 2024年9月18日~9月29日

☆目黒区美術館コレクション展 2024年10月12日~11月17日

☆障がいのあるアーティストによる作品展 日々のよろこび2024 2024年10月26日~11月17日

☆めぐろの子どもたち展 2025年1月18日~2月2日

☆中世の華・黄金テンペラ画への旅 チェンニーノ・チェンニーニ『絵画術の書』と石原靖夫 2025年2月15日~3月23日

世田谷美術館

倉俣史朗のデザイン――記憶のなかの小宇宙 2023年11月18日~2024年1月28日

 倉俣史朗(1934-1991)は、今なお世界から高い評価を受け、影響を与え続けているデザイナー。アクリルやガラスのほか、建築用金属素材も用いた家具やインテリアの仕事は、見るものを日常の外へと誘いだす力を持っている。東京では20数年ぶりの個展となる本展覧会では、初期から晩年までの作品に加えて、その制作の背景となる夢日記やスケッチも紹介する。

美術家たちの沿線物語 小田急線篇 2024年2月17日~4月7日

 世田谷区内を走る鉄道と、その沿線で活動した美術家たちの創作と交流の足跡を辿る「沿線物語」シリーズ完結篇。1927年に新宿~小田原間で開通した小田原急行鉄道(現・小田急電鉄)の沿線を取り上げる。白と黒の会(経堂界隈)や、砧人会(成城界隈)といった美術家たちの集いをはじめ、画家の髙山辰雄や横尾忠則、写真家の荒木経惟など、沿線ゆかりの作家たちが織りなすさまざまな物語が楽しめる。

民藝 MINGEI─美は暮らしのなかにある 2024年4月24日〜6月30日

 日々の暮らしで使われていた手仕事の品の「美」に注目した思想家・柳宗悦(1889-1961)は、無名の職人たちによる民衆的工藝を「民藝」と呼んだ。本展は、美しい民藝の品々を「衣・食・住」のテーマに沿って展示するほか、今も続く民藝の産地を訪ね、その作り手と、受け継がれている手仕事を紹介する。さらには現代のライフスタイルにおける民藝まで視野を広げ、その拡がりと現在、これからを展望する。

☆生誕130年 没後60年を越えて 須田国太郎の芸術―三つのまなざし 2024年7月13日〜9月8日

 須田国太郎(1891-1961)は美学・美術史研究者として出発するとともに、自ら絵筆を執り、「東西の絵画の綜合」という壮大なテーマを追求した画家。本展では、油彩の代表作をはじめ、戦前の滞欧期にスペインなど各地を写した貴重な写真や、能・狂言への造詣の深さをしめすデッサンを紹介する。また、自ら蒐集した“グリコのおもちゃ”のユニークなコレクションなど、約410点の作品・資料で須田国太郎の芸術を多角的に検証する。

生誕130年記念北川民次展―メキシコから日本へ 2024年9月21日~11月17日

 1920-30年代、革命を経た激動のメキシコで画家・美術教育者として活動した北川民次(1894-1989)。1936年の帰国後は鋭い社会批判を込めた作品を発表し、戦後は愛知を制作の拠点として、独自の美術教育や、壁画制作にも挑んだ。北川の生誕130年を記念する本展では、油彩約70点、水彩・素描・版画約70点に、資料をあわせた約180点により、骨太に生きた芸術家の多面的な魅力を紹介する。

東急 暮らしと街の文化 2024年11月30日〜2025年2月2日

 企業と美術シリーズのVol.5として、多彩な企業活動を展開する「東急」に焦点をあてる。「東急と世田谷の街」、「東急と街づくり」、「東急と文化」などの視点を通じて、その企業活動と世田谷という地の歴史的関係、そして街と暮らしの変遷、さらに社会貢献としての文化活動も取り上げ、写真をはじめ、さまざまな美術作品や文学作品、また映像、模型、地図などで、およそ100年間にわたる「東急」が育んできた企業文化をたどる。

板橋区立美術館

☆『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本 2024年3月2日〜4月14日

 1924年、アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を発表して100年。フランスで誕生し詩や思想、絵画に多大な影響を及ぼした芸術運動は、当時の日本の画家たちを魅了した。1920年代後半からシュルレアリスムを先駆的に試みたのは古賀春江や東郷青児、福沢一郎をはじめとする人々だった。1930年代には若い画家や画学生たちがエルンストやダリの作品の影響を受け、表現の幅を広げた。さらに靉光、北脇昇らによる日本のシュルレアリスムを象徴する作品が描かれた。しかし、戦時中にシュルレアリスムは危険思想として監視の対象となるとともに、戦死する画家も現れ、活動は困難を極めた。それでも戦後、その影響は絶えることはなく、山下菊二をはじめとする画家たちは混迷する社会と向き合いながら、日本特有のシュルレアリスムの作品を生み出した。東京のみならず日本各地で展開したシュルレアリスム。戦中、戦後の激動の時代、シュルレアリスムという前衛表現によって時代と対峙した画家たちの軌跡を約120点の作品と資料から検証する。

☆歸空庵コレクションによる 洋風画という風 ー近世絵画に根づいたエキゾチズムー 2024年5月3日~6月16日

 同館では、日本絵画における西洋風の絵画技法を用いた「洋風画」による歸空庵コレクションを預かっている。2004年には、「日本洋風画史展」を開催し、桃山時代から明治初期に至るそれらを一挙公開した。歸空庵コレクションには、近世初期の西洋風俗画や秋田蘭画、司馬江漢といった名品から、大らかで民衆的な作品までが含まれる。また、中国経由で日本にもたらされた写実的な画風も洋風表現と深い関わりを持った。本展では、歸空庵コレクションより未公開作品を加えた選りすぐりの作品を展示。近世絵画に新鮮な風を送り込み、これまでにない表現を切り拓いた洋風画の魅力に迫る。

☆2024イタリア・ボローニャ国際絵本原画展 2024年7月2日~8月12日

 イタリア・ボローニャで毎年開催される児童書のイラストレーション・コンクールの入選作品を紹介する。絵本表現のトレンドや今後の動向を一堂に展観できる本展は、世界中の児童書関係者たちからも注目されている。58回目となる2024年は、世界81か国から3,520作品の応募があり、国籍の異なる4名の審査員による選考を経て、日本を含む32か国78作品が入選した。

☆館蔵品展 もっと魅せます!板橋の前衛絵画 シュルレアリスムとアブストラクト・アート 2024年8月22日~9月23日

 1930年代シュルレアリスム絵画とアブストラクト・アート(抽象絵画)は日本の画家や画学生を魅了し、それらの影響を受けた作品が次々に誕生した。本展では前衛美術の2大潮流が日本でどのように受容され、展開したのかを作品と資料から読み解く。同時開催の特集展示としてシュルレアリスムに影響を受け、長く板橋区前野町に暮らした画家、古沢岩美の作品と新収蔵資料を紹介する。

☆レオ・レオーニと仲間たち 2024年11月9日〜2025年1月13日

 『スイミー』、『フレデリック』などの絵本で知られるレオ・レオーニは、アメリカとイタリアを拠点にアートディレクターやアーティストとしても活躍した。豊かな文化的環境で育ったレオーニは、多数の画家やデザイナー、文化人たちと影響を与え合いながらキャリアを築き、晩年まで多彩な活動を展開した。本展は、絵画、彫刻、デザイン、イラストレーション、絵本原画などレオーニが生涯にわたって作り続けた作品と、交流のあったアーティストたちの作品を合わせて展示することで、文化史の大きな流れの中でレオ・レオーニの仕事を検証する試みである。

☆エド・イン・ブラック 江戸絵画に見る黒(仮称) 2025年3月8日~4月13日

 「黒」は色彩の中で何にも染まらない特異な存在といえる。日本の絵画においては、古くから欠かすことのできない要素のひとつでもあり、江戸時代には黒を効果的に用いた幅広い表現の作品が制作された。夜の情景を描いたものや、真っ黒な背景による独特な作品、美人画に見られる黒の用いられ方などから、その多様さや黒に象徴されたイメージを探る。

府中市美術館

☆白井美穂 森の空き地 2023年12月16日〜2024年2月25日

 メディアを自在に横断し旺盛に制作を続ける白井美穂(1962- )による美術館での初個展。1990年代前半に発表された貴重な立体作品と、2000年代に入って華麗に展開する絵画を中心に構成する。

春の江戸絵画まつり  ほとけの国の美術 2024年3月9日〜5月6日

 仏教の美術は、豊かな創作の場でもあった。例えば中世の来迎図には、人々が包まれている仏教の世界を表現するために様々なアイディアが注がれ、また、奇抜な絵で現代人を魅了する伊藤若冲の創作の源は、篤い信仰だった。来迎図から若冲まで、「ほとけの国」で生まれた、美しく、アイディアに溢れた作品を紹介する。

Beautiful Japan 吉田初三郎の世界 2024年5月18日~7月7日

 大正から昭和戦前期、日本各地を空から見下ろす視点で描いた吉田初三郎 (1884-1955)。独自のデフォルメによって広い範囲が一望できる鳥瞰図の画面は、細部まで描き込まれ、まるで絵の中を旅するかのようにいつまでも見飽きることがない。本展では大型の肉筆鳥瞰図を中心に、絵画・ポスターなど様々なメディアで展開された吉田初三郎の世界を紹介する。

市制施行70周年記念  自然、生命、平和  私たちは見つめられている  吉田遠志展 2024年7月20日~9月6日

 吉田遠志(1911-1995)の父は明治の天才画家吉田博、母は画家ふじを、弟は版画家の穂高である。一家は吉田ファミリーとして全米をめぐり木版画を普及した。幼い頃からの動物園スケッチは、ついにアフリカの大草原へと続いていった。遠志の独自の動物観察眼は自然の側におかれ、動物がわれわれ人間を凝視するかのよう。本展は画家吉田遠志の初回顧展となる。

市制施行70周年記念 アルフォンス・ミュシャ展 2024年9月21日~12月1日

 世紀末パリを彩るポスターの数々を生んだデザイナー、そして、壮大なテーマを重厚な油彩で描き出した画家。ミュシャ(1860-1939)は、二つの顔を持つ芸術家だと捉えられている。しかし、その両方に貫かれているのは、どんな素材を扱っても「ミュシャ風」にする圧倒的な造形力。本展では、版画、油彩画に、貴重な下絵なども交えながら、ミュシャ最大の魅力である造形の力を紐解く。

小西真奈 Wherever 2024年12月14日~2025年2月24日

 小西真奈(1968-)は、鑑賞者の個人的記憶をアルバムをめくるように思い出させる、大画面の風景画を描いてきた。移動が制限されたコロナ禍において、多摩にある自宅近くを取材し、感覚をそのままにとどめたフレッシュな風景画を描き始めた。これら新作を中心に、美術館初の個展に臨む。

春の江戸絵画まつり かっこいい油絵 司馬江漢と亜欧堂田善 2025年3月15日~5月11日

 江漢と田善は、江戸時代に油絵や銅版画を手がけた洋風画家である。風雅を愛する文人だった江漢と、西洋の技術にのめり込んで「ものづくり」に熱中した田善。二人の作品の特徴は異なるが、共通して感じられるのは、遠近法への素直な驚きから生まれた造形の「かっこよさ」だろう。二人の持ち味の違いにも注目しつつ、洋風画の魅力に迫る展覧会。

東京富士美術館

☆没後70年 戦争を越えて -ロバート・キャパ、愛と共感の眼差し- 2024年4月9日〜6月23日

☆印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵 2024年7月6日〜9月29日

☆サムライ・アート展 -刀剣、印籠、武具甲冑、武者絵、合戦絵- 2024年10月12日〜12月22日

☆生誕135年 -愛しのマン・レイ展- 2025年1月11日〜3月23日

町田市立国際版画美術館

☆新収蔵作品展Present for You わたしからあなたへ/みんなから未来へ 2023年12月21日〜2024年2月18日

☆黒崎彰 50年の軌跡 2023年12月21日〜2024年3月10日

版画の青春 小野忠重と版画運動―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち― 2024年3月16日〜5月19日

 本展では1930-40年代に活動した「新版画集団」と「造型版画協会」による版画運動を、リーダーであった小野忠重の旧蔵品を中心に紹介する。約300点の作品を通じて、激動の時代に版画に熱中した青年たちがいかにこの時代を超えようとしたか、明治の終わりに登場し30年にも満たなかった創作版画はいかなる「青春期」を迎えたのかを探る機会になる。

日本のグラフィック・デザイナーと版画 2024年3月13日〜5月19日

 「グラフィック・デザイナー」という言葉が日本で知られるようになったのは、戦後復興期にあたる1950年代のこと。1951年には全国規模のデザイナー団体である日本宣伝美術会(通称:日宣美)が設立されると同時に広告代理店ライト・パブリシティが創業、さらに1959年には第一線で活躍する作家たちを招集した日本デザインセンターも発足した。青年期に終戦を迎えた若きグラフィック・デザイナーたちが切磋琢磨し、互いを励まし合ったこの時代は、日本のデザイン界における「青春」とも言える。グラフィック・デザイナーたちは多種多様な広告物を手がける過程で、しばしば同じ印刷物である「版画」にも関心を示した。「チームワークと無名の行為」を求められる広告の仕事と異なり、自らの個性を存分に発揮できる版画は、強い魅力を放っていたはずである。本展では、永井一正(1929年生まれ)、横尾忠則(1936生まれ)、和田誠(1936-2019)を中心に、戦後から現代にかけて活躍してきたグラフィック・デザイナーの版画約40点を紹介する。

☆飯田善國の版画と《彫刻噴水・シーソー》 2024年5月29日~9月1日

 彫刻家・飯田善國(1923-2006)の版画の世界と、芹ヶ谷公園に設置された飯田による野外彫刻「彫刻噴水・シーソー」の魅力を紹介。

☆幻想のフラヌール―版画家たちの夢・現・幻 2024年6月1日~9月1日

 ときに鏡にたとえられる版画は、作者の夢想と見る者の願望を如実に映し出す。版面/紙面の不可思議なモチーフや奇妙なフォルムは想像力を否応なく刺激し、見慣れた現実をも幻想の世界に変容させる版画家たちの精神と手業は既成の概念を揺り動かし、私たちを別の世界へといざなうかのよう。独自の世界をさまよう〈フラヌール(遊歩者)〉ともいうべき版画家たちの作品は、過去や私たちの内に眠る原初的な記憶を呼び起こしながら現実世界の可能性、すなわち未来の姿をも浮かび上がらせる力を秘めているといえる。本展では企画協力に美術評論家の相馬俊樹氏をむかえ、幻想の力によって〈アナムネシス(記憶回復)〉を喚起する作品を、当館収蔵品から紹介。版画/鏡を覗きこみながら作品のあいだを遊歩するうちにおのずと取り込まれる世界は、「夢幻」と「現実」、「作品」と「私たち」、そして「芸術のための芸術」と「生のための芸術」などの境界がとけあう場となる。

☆両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代 2024年9月14日12月1日

 ふたつの世界大戦の狭間にあたる1920-30年代の版画に着目する展覧会。キュビスムやアール・デコの挿絵本、ドイツ表現主義の木版画、ロシアの絵本、シュルレアリスムの実験的な銅版画等を展示し、人々の期待と不安が入り混じったモダニズムの時代の版画を概観する。あわせて第一次世界大戦(1914-1918)を経験した作家が平和への祈りを込めた版画や、第二次世界大戦(1939-1945)の戦禍を逃れて渡米した「亡命芸術家」の作品など、現代的な意味を持つ作品も紹介する。

☆明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に 2024年9月4日~12月1日

☆新収蔵作品展Present for You わたしからあなたへ/みんなから未来へ 2025年1月5日~2月16日

☆第38回 町田市公立小中学校作品展 2025年1月10日~2月16日

☆『月映』とその時代 ―1910年代日本の創作版画 2025年1月5日~3月9日

 恩地孝四郎、田中恭吉、藤森静雄の3人が発行した版画誌『月映』(つくはえ)とその時代の創作版画を展示。

☆日本の版画史(仮) 2025年3月20日~6月15日

 同館は開館以来、古今東西の版画の収蔵し、日本の版画に関しては国内有数のコレクションを形成している。本展覧会では奈良時代から現代までの版画を文化交流の切り口から展示する。

神奈川県立近代美術館・葉山館

☆葉山館20周年記念 100年前の未来:移動するモダニズム 1920–1930 2023年10月7日~2024年1月28日

 葉山館の開館20周年を記念して、当館が館名にかかげる「近代(モダン)」の文化が多様に展開した20世紀の1920年代を再考する。1910年代のロシア革命、第一次世界大戦、そしてスペイン風邪によるパンデミック後の世界で、芸術家たちは国境を越えて活動した。1923年の関東大震災とその復興期を駆けたモボ・モガたち、昭和へと移行する時代の新興美術運動など、100年前の世界が夢みた新しさの諸相を概観する。

☆芥川龍之介と美の世界二人の先達—夏目漱石、菅 虎雄 2024年2月10日~4月7日

 今も幅広い世代に愛される小説家・芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ/1892–1927年)。芥川は作品や書簡等においてしばしば美術に言及し、その文学と美術への関心の高さは、彼が師と仰いだ夏目漱石(なつめ・そうせき/1867–1916年)と共通している。一方、菅虎雄(すが・とらお/1864–1943年)は、芥川の一高時代のドイツ語の教師であるとともに、漱石を禅に導いた人物だった。本展では、芥川を中心とする漱石、菅の三人の交流関係に注目しながら、芥川の文学世界とその眼を通した美の世界を紹介する。

 ☆[ コレクション展 ]木茂(もくも)先生と負翼童子 2024年2月10日 – 2024年4月7日

☆吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる 2024年4月20日~6月30日

 多摩美術大学で斎藤義重に学んだ吉田克朗(1943-1999)は、1969年から物体を組み合わせ、その特性が自然に表出されるような作品を制作し始めた。このような作風を示す動向は後に「もの派」と称され、国際的に注目を浴びることになるが、吉田はその先鞭をつけた作家のひとりだった。やがて「もの派」の作風から離れた吉田は、1970年代から転写などの実験的な手法を試みながら絵画表現を模索した。1980年代前半には、風景や人体を抽象化して描く〈かげろう〉シリーズ、1980年代後半からは、粉末黒鉛を手指でこすりつけて有機的な形象を描く〈触〉シリーズを発表し注目を集めるが、惜しくも55歳で逝去した。本展は、吉田克朗の全貌に迫る初めての回顧展。これまでほとんど紹介されてこなかった作品や、作品プランやコンセプトを綴った制作ノートなどの資料を、調査をもとに展示する。転換期を迎えていた同時代の美術動向に向き合いながら、自ら選択すべき道について真摯に問い続けた吉田克朗の制作の軌跡を辿る。

☆コレクション展 斎藤義重という起点―世界と交差する美術家たち 2024年4月20日~6月30日

 企画展「吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる」にあわせた本展では、吉田克朗が多摩美術大学で師事し大きな影響を受けた美術家の斎藤義重(1904-2001)をとりあげる。斎藤は1960年代にヴェネチア・ビエンナーレへ2度選出されるなど、戦後の美術界で国際的注目を集めた。本展では彼の作品とともに、斎藤と交流し、このころ世界で活躍した今井俊満、佐藤敬、堂本尚郎などの代表作を展覧する。1964年、吉田克朗は多摩美術大学絵画科に入学して斎藤教室に学び、その師弟関係は生涯にわたるものとなった。学生運動の混乱のなかで斎藤は美術を志す若者たちを支え、「もの派」をはじめとする多くの作家を育てた。本展ではその幅広い活動について斎藤義重アーカイブの資料から紹介し、彼を起点に若手作家が世界へと飛躍していった背景を辿る。

☆石田尚志 絵と窓の間 2024年7月13日~9月28日

 画家/映像作家の石田尚志(いしだ・たかし/1972-)は、自らが描く絵画を撮影し続けて制作する映像作品によって評価を確立してきた。そこには、生成し変容し続ける絵画と、その場の光や闇による空間の質的変化、そして画家の思考の軌跡が残されている。2015年以来の大規模な個展となる本展では、初期の未発表作を含め、映像と立体を組み合わせたインスタレーションへ、そして再びカンヴァス絵画へと展開を見せる近年の作品を中心に石田尚志の仕事を概観する。

☆栗林隆展 2024年12月14日~2025年3月2日 

 栗林隆(くりばやし・たかし/1968–)は、インドネシアと日本を拠点とし、「境界」をテーマにドローイングやインスタレーション、映像などの多様なメディアを使いながら国内外で作品を発表するアーティスト。本プロジェクトは、当館の改修工事の期間に通常展示の行われない空間を用いて、作家が美術館の「内外」をつなぐ新作インスタレーションを発表する。

神奈川県立近代美術館・鎌倉別館

☆イメージと記号—1960年代美術の諸相 2023年12月9日~ 2024年2月12日

 美術という制度が問われた1960年代。乾いたユーモアで社会に氾濫するイメージを無化し、記号や位相幾何学を拠り所に造形することを問う作品が登場する。初の国際審査制が導入された1967年の第9回東京ビエンナーレは美術と社会の接面を映しだすものだった。同館所蔵品を中心に井上長三郎(いのうえ・ちょうざぶろう/1906–1995年)、堀内正和(ほりうち・まさかず/1911–2001年)、杉全直(すぎまた・ただし/1914–1994年)、麻生三郎(あそう・さぶろう/1913–2000年)、飯田善國(いいだ・よしくに/1923–2006年)、高松次郎(たかまつ・じろう/1936–1998年)、若林奮(わかばやし・いさむ/1936–2003年)らを取り上げ、ビエンナーレ出品作や資料をまじえて時代の断面を検証する。

☆小金沢健人×佐野繁次郎 ドローイング/シネマ 2024年2月23日~5月6日

 現代美術作家と同館所蔵作家から二人を特集し、一つの視点で読む展覧会。絵画から映像、立体まで多様な展開をみせる小金沢健人(こがねざわ・たけひと/1974– )と、独特の手描き文字と線画による装幀・挿画の仕事が油彩画と並び愛されている佐野繁次郎(さの・しげじろう/1900–1987年)の仕事を紹介する。線でイメージを描き出す「ドローイング」は、カット/イラストレーションとどう異なるのか? イメージの連なりがもたらす動きの感覚とは? 美術家の手と眼が生む色・線・動きに着目し、平面表現の境界を探求する。

☆鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす  神奈川県立近代美術館の保存修復 2024年5月18日~7月28日

 コレクションをよい状態で保存し次の世代へ伝えることは、美術館の大切な役割のひとつ。私たちは作品を守る環境を整え、ときに手当てをしながら、未来に残す最善の方法を模索しアップデートを重ねてきた。本展では「てあて」「まもり」「のこす」の3つの言葉を手がかりに、作品の修復過程や修復に使う道具、作品を守りつつ展示するための工夫など、普段は見られない美術館の取り組みを紹介する。

☆ゴヤ版画展 2024年8月10日~10月20日

 鋭い眼差しで人間を描破し、近代画家の先覚者と称されるフランシスコ・デ・ゴヤ(1746–1828)。スペインの宮廷画家として活躍するに飽き足らず、自らの創意を求めて版画に着手したのは40代後半、聴覚を失ってからのこと。本展ではゴヤの四大版画集のうち『気まぐれ』と『戦争の惨禍』を前後期に分けて全点紹介する。また、日本におけるゴヤの受容に関して、同館が開館以来紹介してきたスペイン版画の展覧会を資料でたどる。

☆たいせつなもの I 新収蔵作品展 2015~2019 2024年11月2日〜2025年1月19日

 同館の新収蔵作品を「たいせつなもの」と題するシリーズで紹介する。今回は2015年度から2019年度に収蔵された作品から、収蔵後未公開の油彩画、彫刻、版画など約70点を展覧する。

☆岩竹理恵+片岡純也×コレクション 重力と素材のための図鑑(仮題) 2025年2月1日~4月13日

 俵屋宗達(たわらや・そうたつ)作《狗子図》や《両界曼荼羅》など日本美術を中心に選定し、ユニットで活動する岩竹理恵+片岡純也(いわたけ・りえ、かたおか・じゅんや/共に1982-)の作品とあわせて展示することで、同館の所蔵作品に新たな光をあてる企画。日常や自然の現象から着想を得たキネティック作品や、望遠鏡や顕微鏡の視覚を取り入れた絵画や版画作品をインスタレーションとして構成し、見立てや多視点といった、日本美術に見られる造形的な特色をユニークな手法で探究する。

横浜美術館

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」 2024年3月15日~6月9日

横須賀美術館

日本の巨大ロボット群像―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現― 2024年2月10日〜4月7日

 『鉄人28号』(1963年)をロボットアニメの嚆矢として、その後『マジンガー Z』(1972年)の大ヒット、新風を吹き込んだ『機動戦士ガンダム』(1979年)の影響下、現在に至るまで多数のロボットアニメが制作され、魅力的なロボットがデザインされてきた。日本独自ともいえる進化と広がりを見せてきたそのデザインの変遷には、空想上の荒唐無稽なロボットという存在に、映像的な「リアリティ」を与えるために、デザインや設定上での創意工夫が凝らされ、多くのファンを魅了し続けてきた。本展では、近年までのロボットアニメにおけるデザインと映像表現の歴史を、それらの「リアリティ」形成において重要な役割を果たした設定上の「メカニズム」と「大きさ」を軸に検証する。その上で「巨大ロボットとは何か?」を観覧者の皆さんとともに考えていく。

☆所蔵品による 小特集:朝井閑右衛門が描いた「ドン・キホーテ」 2024年3月5日〜7月7日 

☆鈴木敏夫とジブリ展 2024年3月20日〜6月18日

☆驚異の細密表現展 ―江戸・明治の工芸から現代アートまで― 2024年4月20日〜6月23日

 開港場であり居留地のあった横浜は、明治期には陶磁器の一大生産地であり、真葛焼に代表される「横浜焼」の精巧な細工や意匠は欧米の人々を驚かせ、大変な評判を呼んだ。また同じく横浜では、洋家具をもとにして龍や松竹梅、鳳凰などの精密な彫刻をほどこした和洋折衷で輸出用の彫刻家具が制作された。近年、横浜焼が里帰りしつつあり、また日本にほとんど残っていない貴重な彫刻家具の表現にも改めて注目が集まっている。時代が変わっても、優れた技術を伴いつつ強烈な個性と芸術性をもつ作品は、人々を魅了してきた。近代においては西洋由来の写実的な表現として、迫真的な力強さを伴った絵画や彫刻を生み出していった。明治から昭和初期にかけて、高橋由一、岸田劉生、河野通勢らを始めとした鬼気迫るような油彩画はその好例といえる。また、今日においても自らの表現を突き詰める現代作家による注目すべき試みを見ることができる。ここでは現代美術として、絵画や様々な素材を用いた立体を展示する。本展は、日本の近代から現代における細密表現をキーワードにして、「江戸・明治の工芸」、「近代絵画・彫刻」、そして「現代美術」という幅広いジャンルから選りすぐった作品を紹介する。

☆エドワード・ゴーリーを巡る旅 2024年7月6日〜9月1日

 250点におよぶ原画を「子供」「動物」「舞台美術」「本づくり」といったテーマに分けて展示し、加えて貴重なドキュメンタリー映像などもあわせて、エドワード・ゴーリーの多岐にわたる制作活動を紹介する。

☆令和6年度第2期 所蔵品展 特集:新恵美佐子 祈りの花 特集:生誕100年 芥川紗織 2024年7月13日〜10月20日

☆瑛九 ーまなざしのその先にー 2024年9月14日~11月4日

 瑛九(えい・きゅう 1911-60)は、油彩画、フォトグラム、エッチングなど多彩なジャンルで創作活動を展開した。晩年には、点描による抽象表現に辿り着き、この表現を執ように追求するも、病気のため48歳で早世。本展では、戦前・戦後を駆け抜けた前衛芸術家・ 瑛九の足跡を、代表作を交え紹介する。

☆企画展:運慶展 運慶と三浦一族の信仰 2024年10月26日~12月22日

 武家文化と信仰との結接点に位置する運慶の、鎌倉・三浦半島での業績を紹介する展覧会。貴重な運慶像のうち五尊を伝える芦名・浄楽寺のお像が、揃って寺外で公開される最初で最後の機会となる。

☆令和6年度第3期 所蔵品展 特集:かながわ散歩 2024年10月26日~2025年2月16日

☆箱根ー横須賀連携企画第2弾 アートでつなぐ山と海 響きあう20世紀美術 彫刻の森美術館×横須賀美術館 2024年11月16日~12月22日

☆第77回 児童生徒造形作品展 2025年1月11~27日

☆生誕120周年 サルバドール・ダリ―天才の秘密― 2025年2月8日~4月6日

☆令和6年度第4期 所蔵品展 特集:新収蔵作品展 2025年3月1日~5月11日

平塚市美術館

☆岡田健太郎展 重なる景体 2023年12月5日~2024年4月7日

☆1950~60年代の日本画-造形への挑戦 2024年4月6日~6月2日

 戦後まもなく、それまでの伝統的な日本画のあり方に危機感をつのらせた画家たちが新たな表現を模索するようになった。1948年には「世界性に立脚する日本絵画の創造を期す」という宣言のもと、「創造美術」(現・創画会)が結成。日本画の革新運動は、新興の美術団体のみならず既存の団体を含む日本画壇全体におよび、戦後に台頭してきた若い画家たちを中心に、1950年代から60年代にかけてさまざまな試行錯誤が重ねられた。日本画の伝統に拘泥せず、画壇に新風を吹き込もうとした画家たちが参照したのは、欧米の絵画作品だった。その堅牢な造形や油絵具のもつ力強いマチエール、あるいは当時注目を集めていた抽象表現が取り入れられるなど、「革新」の呼び声のもと、一時代を象徴する作風が生み出された。結果として日本画は、同時代の洋画の造形に接近することになり、画材こそ違えども、日本画と洋画の造形的な境目があいまいになった。本展は、当館の所蔵品の中から創画会、日展、院展で活躍した日本画家を中心とした1950~60年代の作品のほか、同時期に制作された洋画を加えた約50点を共に展示することで、この時期の日本画の造形的な特徴の一端を明らかにしようとする。

☆平野杏子展-生きるために描きつづけて 2024年4月6日~6月9日

 平野杏子は1930年に伊勢原市に生まれ、戦後1954年から平塚市に住む洋画家。平野は共立女子専門学校在学中に師事した長屋勇のもと旺玄会展に出品、受賞を重ねた。女性作家が稀であった時期であり、結婚、出産、育児と制作の両立という課題に向き合いながら、描くことはそのまま生きることであり、常に絵筆を握る生活をつづけた。40歳代になると充実した画境を迎え、華厳経の世界観に触発された幻想的な大作を総合美術展「潮」に発表。こうした作品には平塚・出繩に構えたアトリエの幻想的な自然の印象も反映し、画業の一つの頂点となった。女性作家9人によって結成された潮展のほか現代女流画家展などでも大きな役割を果たし、女性が活躍する先駆けとなって画業を切り拓いた。あわせて韓国慶州、南山の取材で邂逅した磨崖仏に新羅時代の石匠による美の淵源を探り、代表作《磨崖仏讃》シリーズへ結実させた。平野杏子の画業は具象から抽象、平面から立体まで多彩だが、《磨崖仏讃》に見られる原初的な風土や歴史への興味は、故郷伊勢原の大山信仰や出土品、遺跡に惹かれた幼少期から一貫するもので、多くの作品を特徴づけている。1980年代には、かねてから交流のあったサロン・ド・メに招待出品。内外での取材や各地での発表など、90歳代となった現在も活き活きと新たな画境を求めて制作する姿勢からは、現代の長寿社会のなかでいかに生きるかをわれわれに示しているように感じられる。地元平塚に目を向ければ、平塚市総合公園にモニュメント『トキオコシ』(1990年)が設置され、多くの人々に親しまれている。アトリエには近隣の画家や評論家が集い、その交流は平塚の文化振興の原動力となった。本展は県内美術館では平野杏子の17年ぶりの本格的な回顧展。その代表作や初公開の作品を含めたおよそ60点により70年あまりの画業を振り返る。

☆つながるコレクション+新収蔵 2024年6月8日~9月8日

☆ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展 〈童堂賛歌〉 2024年7月6日~9月1日

ポーラ美術館

☆モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン 2023年12月16日〜2024年5月19日

 1920年代を迎えたフランスの首都パリでは、第一次世界大戦からの復興によって急速に工業化が進み、「機械時代」(マシン・エイジ)と呼ばれる華やかでダイナミックな時代を迎えた。本展覧会は、1920-1930年代のパリを中心に、ヨーロッパやアメリカ、日本における機械と人間との関係をめぐる様相を紹介する。特にパリ現代産業装飾芸術国際博覧会(アール・デコ博)が開催された1925年は、変容する価値観の分水嶺となり、工業生産品と調和する幾何学的な「アール・デコ」様式の流行が絶頂を迎えた。日本では1923年(大正12)に起きた関東大震災以降、急速に「モダン」な都市へと再構築が進むなど、戦間期という繁栄と閉塞の狭間に、機械や合理性をめぐる人々の価値観は大きく変化していった。コンピューターやインターネットが高度に発達し、AI(人工知能)が生活を大きく変えようとする現在において、約100年前の機械と人間との関係は、私たちが未来をどのように生きるかを問いかけてくるだろう。

☆「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」 2024年6月8日~ 12月1日

 現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノは、今日最も注目されるアーティストの一人。映像、音、彫刻、オブジェ、テキストやドローイングなど作品は多岐にわたるが、その意識は常に、現実/フィクション/仮想の境界へと向けられている。また、芸術や「作者性」の概念にも疑問を投げかけ、数多くのアーティスト、建築家、音楽家と共同で作品を生みだしてきた。パレーノはAIをはじめとする先進的な科学技術を作品に採り入れながらも、ピアノやランプ、ブラインドやバルーンといった見慣れたオブジェを操り、ダイナミズムと沈黙、ユーモアと批評性が交錯する詩的な状況を生みだす。展覧会そのものをメディアとして捉えるパレーノが構築する空間は、まるでシンボルの迷宮のよう。何者かの気配、声、光、暗闇、隠されたメッセージ――ドラマティックな構成に導かれ、大規模な舞台装置のような会場に足を踏み入れる私たちは、まるで演者のように、新鮮な驚きとともに混乱をともなう体験の中へと身を投じることになる。国内最大規模の個展となるポーラ美術館での展覧会では、作家の代表作である映像作品《マリリン》(2012年)をはじめ、1990年代の初期作品から初公開のインスタレーションまで、作家の幅広い実践を多面的に紹介する。

埼玉県立近代美術館

イン・ビトウィーン 2023年10月14日~2024年1月28日

 1930年代から50年代にかけて、シュルレアリスムの表現を探究した画家・早瀬龍江(1905-1991)、「もの派」の理論形成に影響を与える一方、版画やドローイング、水墨による作品を手がけた林芳史(1943-2001)などの足跡をコレクションを中心にたどる。自身の身体的な感覚を拠りどころに、日常や歴史、国境などさまざまな境界の間に立ち、往還を試みるアーティストたちの眼差しを紹介する。

アブソリュート・チェアーズ 2024年2月17日~5月12日

 美術の中の椅子は、権威の象徴として、記憶の依り代として、あるいは拡張された身体として、さまざまな機能や象徴性をまとっている。椅子という身近でありながら特異な造形物の背後には、どのような哲学や思想を見出せるだろうか。デザインの文脈を離れ、現代のアーティストによる平面・立体・映像作品を通して、「究極・絶対」なるものとしての椅子に迫る。

☆第72回埼玉県美術展覧会(県展) 2024年5月29日〜6月20日

☆吉田克朗展 -ものに、風景に、世界に触れる 2024年7月13日〜9月23日

 吉田克朗(1943-1999)は、1960年代末に登場したもの派の中心的な作家として知られている。その一方、最初期から写真を素材にした版画を制作し、70年代半ばから風景の断片を描くドローイング、物体の転写などを通して絵画を模索。80年代には風景や身体を抽象化した絵画の連作「かげろう」を手がけ、その後、黒鉛を手でこすりつけて描く「触」のシリーズを精力的に制作していたが、惜しくも55歳で逝去した。この展覧会は、埼玉県深谷市出身の吉田克朗を初めて回顧する機会になります。遺された作品や資料を辿り、その全貌に迫る。

☆没後30年 木下佳通代 2024年10月12日〜2025年1月13日

 木下佳通代(1939-1994)は兵庫を拠点に活動した、関西の戦後美術を代表する作家のひとり。60年代半ばより、神戸で結成された前衛美術集団「グループ<位>」Group “i”と行動をともにしながら、存在、認識、空間などをテーマに、三次元と二次元像のズレを写真を用いて表現した。1981年にはドイツで個展を開催、その後、絵画へと軸足を移していったが、1994年に亡くなるまで、一貫して「存在とは何か」という哲学的な問いに向き合い続けた。この展覧会では、作家の没後30年を機に、初期から晩年までの代表作を一挙に展示し、国内初となる美術館での個展として、作家の全貌を紹介する。

☆メキシコへのまなざし 2025年2月1日〜5月11日

 1950年代の日本では、メキシコ美術が展覧会や雑誌を通じて盛んに紹介され、多くの美術家がその鮮やかな色彩、古代文明や革命の歴史と結びついた力強い造形表現に魅了さた。同館では、開館以来メキシコの近現代美術を収集してきたが、その出発点には、50年代のメキシコ美術に対する熱いまなざしがあったと考えられる。この展覧会では、メキシコに憧れた日本の美術家たちの足跡と、当館のコレクションの双方から、戦後日本がメキシコ美術をどのように捉えたのかを考察する。

☆アーティスト・プロジェクト#2.08 松平莉奈 2025年2月1日〜5月11 日

 京都を拠点に活動する松平莉奈(1989-)は、日本画や東洋の絵画の画材や技法をベースに、日本近世の史実や物語、歴史上の人物などを題材にした具象画を制作している。「他者について想像すること」をテーマとした松平が描く人物像は、時にユーモラスに、時に迫力をもって、完全にはわかりあえない他者への理解、共感を促す。本展では新作を中心に紹介。

千葉市美術館

サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展 2024年1月6日~3月3日

武士と絵画 ―宮本武蔵から渡辺崋山、浦上玉堂まで―(仮称) 2024年1月6日~3月3日

☆コレクション展 房総ゆかりの作家たち 特集展示:石井光楓 2024年3月9~29日

☆板倉鼎・須美子展 2024年4月6日~6月16日

☆つくりかけラボ15 Art Lab 15 齋藤名穂 空間をあむ 手ざわりハンティング 2024年6月12日〜9月29日

☆岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師―摘水軒コレクションを中心に 2024年6月28日〜8月25日

☆江戸絵画縦横無尽! 摘水軒コレクション名品展 2024年6月28日〜8月25日

☆Nerhol展(仮称) 2024年9月6日〜11月4日

☆ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展〈童堂賛歌〉 2024年11月16日〜2025年1月13日

☆第56回 千葉市民美術展覧会 2025年2月22日〜3月14日

☆ブラチスラバ世界絵本原画展 2025-2026(仮称) 2025年3月22日〜5月18日

DIC川村記念美術館

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 2024年3月9日〜6月30日

 カール・アンドレ(1935–)は1960年代後半のアメリカを中心に興隆したミニマル・アートの代表的な彫刻家。日本の美術館において初めての個展となる本展は、同一の形と大きさに加工した木、金属、石のユニットを床に直接置き、規則的に広がるアンドレの典型的な彫刻作品を大きな空間で展開する。無機質な印象とは裏腹に、実際の作品を前にすると物質の手ざわりや重量感、汚れや傷、錆といった素材そのままの大らかな姿を見ることができる。上を歩くことも許される能動的な鑑賞体験は、「場としての彫刻」というアンドレの言葉の意味する、作品と空間、そしてそれを知覚する自分の存在を感じる機会となるだろう。また、本展では知る人ぞ知るアンドレの詩をまとまったかたちで紹介する貴重な機会となる。単語を組み合わせて構成されるアンドレの詩は、読むことでも眺めることでも楽しめるものである。彫刻に通ずるアンドレの空間的、構造的な認識や、歴史、哲学への興味、原風景である地元クインシーへの愛着、身近な人々との関係などアンドレの思考が反映されている。

☆西川勝人 静寂の響き 2024年9月14日〜2025年1月26日

 ドイツを拠点に活動する西川勝人(1949–)は、光と闇、その間の漠とした陰影に心を配り、多様な技法を用いた作品を、40年以上にわたり手がけてきた。抽象的なフォルムをもつ彼の白い彫刻は、木や石膏を用いた簡素な構造ながら、表面に淡い陰影を宿し、周囲の光や音さえもそっと吸い込んでしまうように、ただ静かにある。存在を声高に主張することも、個性を高らかに示すこともしない。写真や絵画など、彫刻以外の制作においても、これは変わることがない最大の魅力である。本展は、1980年代より現在まで、一定して静けさという特質を保持し続ける西川作品の美学に近づこうとする日本初の回顧展。彫刻、写真、絵画、ドローイング、インスタレーション、建築的構造物の約60点が、作家自身の構成によって展示される。静寂が拡がり、静謐さに包まれた空間で、私たちはどのような情景と出会うだろうか。日常から隔たった美術館という場において、観想に耽ることを許す、一人ひとりのための展覧会である。

《水戸芸術館》

「今村源 遅れるものの行方」展 2023年11月3日~2024年1月28

 今村源は、普段、気にも留めないありふれたものに、少しの隙間を加える、あるいは天地を入れ替えたり裏返したりすることで、ユーモラスな造形でありつつも、その軽く透明感のあるイメージから一転、日常と表裏一体にある深遠な世界を観る人に想起させる作風で広く知られている。ボール紙、発泡スチロール、石膏、針金やビニールなど、およそ彫刻らしからぬ軽い素材で、浮遊感溢れる「彫刻」を制作してきた今村の作品の根源には、彼が関心を寄せる森の地下に菌糸を張り巡らし、ときおり地上に姿を顕すキノコの世界がある。人間には見えない世界で、しかし確実に世界と共生し、世界を支えている菌類へと向けられた今村の思索は、私(個)を超えて連綿と続く生命の営みへと広がっていった。本展は、1980年代前半より京都を拠点に制作活動をスタートさせ、いずれにも寄らない独自の哲学的作風で早くから注目を集めてきた現代美術家・今村源の10年ぶりとなる美術館の個展となる。

☆須藤玲子 NUNOの布づくり 2024年2月17日~5月6日 

茨城県立近代美術館

☆英国キュー王立植物園 おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり 2024年2月23日~4月14日

☆石岡瑛子 アイデザイン 2024年4月27日~7月7日

 デザイナーとして人々に新しい価値観を提示し、広告、舞台、映画など多岐に渡る分野で国際的に活躍した石岡瑛子(1938-2012)。本展では資生堂やPARCOなど前半期の代表作を中心に、彼女の飽くなき情熱が刻み込まれた約500点の作品を一挙公開。今なお鮮烈な輝きを放つ石岡瑛子の仕事の本質に迫るとともに、その創造の核となった「 アイ=私」を浮き彫りにする。

☆つくる展  TASKOファクトリーのひらめきをかたちに 2024年7月20日~9月23日

 ユニークな発想力と優れた技術力で、映像や立体物など幅広い分野の作品を手がけてきたアート・ファクトリー「TASKO (タスコ)」。本展では、明和電機出身者も集うTASKOらしい、磁力や風力を利用した動く装置や、光や影の特性を活かした空間展示、音やオブジェ、香りが連動する作品など、五感で楽しめる作品を通して、ものづくりの魅力を紹介する。

☆没後100年 中村つね展 2024年11月10日~2025年1月13日

 水戸市出身の洋画家・中村彝(1887-1924)の没後100年を記念して開催する展覧会。作品に描かれたテーブルや椅子など遺品類、あるいはルノワールやセザンヌなど影響を受けた西洋美術作品と彝の作品を比較することで、彝が何を見て、何を描こうとしたのかをさぐる。また、画家を支援した人々の存在に着目し、大正という時代の豊かさに迫る。

☆キース・ヘリング展アートをストリートへ 2025年2月1日~4月6日

 1980年代ニューヨークを代表するアーティストの一人、キース・ヘリング(1958-1990)の大規模な個展。「アートはみんなのために」という信念のもと、地下鉄駅構内やストリートを舞台に、グラフィティや広告デザインなど多彩な分野で活躍し、HIV・エイズ予防啓発運動にも取り組んだヘリング。本展では活動初期の貴重な作品から晩年の大作までの約150点により、今も色褪せないヘリングのメッセージをさぐる。

群馬県立近代美術館

☆特別展示:長谷川潔 銅版画の世界-自然をみつめるまなざし 2024年3月2日~4月7日

アーツ前橋

☆開館10周年記念展 New Horizon ― 歴史から未来へ 2023年10月14日~2024年2月12日

☆前橋の美術2024(仮称) 2024年3月2日~3月26日

栃木県立美術館

☆春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ 2024年1月13日~3月3日

 春陽会は1922(大正11)年に、再興院展洋画部から脱退した小杉放菴、山本鼎、森田恒友らと、草土社の岸田劉生らを中心としたメンバーにより、洋画界を代表する第三の団体として発足した。それぞれの画家の個性を尊重する自由な会風のもと、油彩だけではなく、版画、水墨画、素描、新聞挿画がジャンルの隔てなく出品された。また、次世代の育成をも念頭に置いた芸術研鑽の場を全国的に展開し、今日に続く春陽会展の基盤を固めた。本展では、日本近代美術史を語るうえでは欠かせない著名な画家たちに彩られた草創期から、1900年代後半までの約200点を紹介する。

☆高橋由一から黒田清輝へ―明治洋画壇の世代交代劇― 2024年4月20日〜6月16日

 1894(明治27)年、明治時代の洋画壇を切り開いた高橋由一が没した。 その前年の1893(明治26)年、フランスで洋画を学んだ黒田清輝が帰国し、「外光派」と呼ばれる新しい洋画を日本にもたらした。 日本の洋画壇に大きな影響を与え、ともに「近代洋画の父」と呼ばれることもある由一と黒田は、まるで交代劇を演じるかのように入れ替わったと言える。 明治初期に来日した外国人画家に絵を学び「旧派」や「脂派」と呼ばれる画派となった由一の世代と、欧米に留学し本場の文化に触れながら直接油絵を学び「新派」や「紫派」と呼ばれた黒田の世代には、同じ明治洋画でありながら大きな断絶がある。 本展では、高橋由一と黒田清輝を中心に、同時代の他の洋画家たちの作風も比較しながら、明治洋画壇で起きていた重要な世代交代劇を検証する。

《宇都宮美術館》

☆イヴ・ネッツハマー  ささめく葉は空気の言問い2024年3月10日~5月12日

 スイス現代美術を代表する映像インスタレーション作家、イヴ・ネッツハマー(1970~)による日本で最初の個展。デジタル・アニメーションの虚空間と奇妙なオブジェを掛け合わせ、土地の記憶の深層に潜行して起源の謎を照らし出すネッツハマーが、大谷という巨大な地下空洞を宿す街、宇都宮と出会う。

セゾン現代美術館

長期休館 2023年11月1日−2026年4月(予定)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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