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《国立西洋美術館》

☆パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ 2023年10月3日〜2024年1月28日
世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語る上で欠くことのできない貴重な作品を展示。50点以上が日本初出品となる。20世紀美術の真の出発点となり、新たな地平を開いたキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など 約130点を通して紹介する。
☆ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ 2024年3月12日〜5月12日
☆内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙 2024年6月11日〜8月25日
☆モネ 睡蓮のとき 2024年10月5日〜2025年2月11日
《東京国立近代美術館》

☆中平卓馬展(仮称) 2024年2月6日~4月7日
中平卓馬(1938-2015)は、日本の戦後写真における転換期となった1960年代末から70年代半ばにかけて、実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家。60年代末には “アレ・ブレ・ボケ”と呼ばれる映像によって既存の写真美学に異議を申し立て、70年代に入るとそれまでの自らの試みをも否定し、新たな方向を模索するなど、そのラディカルで挑発的な姿勢は、同時代の写真表現、ひいては近代社会の在り方それ自体への問いを投げかけるものだった。中平は77年に急性アルコール中毒で倒れ、記憶喪失を患い、活動を中断。再起後は2010年代の初頭まで作品を発表し続けるが、そこでの試みは、既存の写真表現の枠外で、ひたすら世界の断片をとらえ続けるような写真行為へと収斂していった。本展は没後初めての本格的な回顧展として、近年あらたに見つかった作品や資料なども踏まえ、今日もなお看過できない問いを投げかける、中平の写真をめぐる思考と実践の軌跡をたどる。
☆TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション 2024年5月21日~8月25日
パリ、東京、大阪-それぞれ独自の文化を育んできた3都市の美術館のコレクションが集結。セーヌ川のほとりに建つパリ市立近代美術館、皇居にほど近い東京国立近代美術館、大阪市中心部の中州に位置する大阪中之島美術館はいずれも、大都市の美術館として、豊かなモダンアートのコレクションを築いてきた。本展覧会は、そんな3館のコレクションから共通点のある作品でトリオを組み、構成するという、これまでにないユニークな展示を試みる。時代や流派、洋の東西を越えて、主題やモチーフ、色や形、素材、作品が生まれた背景など、自由な発想で組まれたトリオの共通点はさまざま。総勢110名の作家による、絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像など150点あまりの作品で34のトリオを組み、それをテーマやコンセプトに応じて7つの章に分けて紹介することで、20世紀初頭から現代までのモダンアートの新たな見方を提案し、その魅力を浮かびあがらせる。
《東京国立博物館》

☆特別展「本阿弥光悦の大宇宙」 2024年1月16日~2024年3月10日
本阿弥光悦(ほんあみこうえつ・1558〜1637)は戦乱の時代に生き、さまざまな造形にかかわり、革新的で傑出した品々を生み出した。それらは後代の日本文化に大きな影響を与えている。しかし、光悦の世界は大宇宙(マクロコスモス)のごとく深淵で、その全体像をたどることは容易ではない。そこで、この展覧会では、光悦自身の手による書や作陶にあらわれた内面世界と、同じ信仰のもとに参集した工匠たちがかかわった蒔絵など同時代の社会状況に応答した造形とを結び付ける糸として、光悦とその一族が篤く信仰した当代の法華町衆の社会についても注目する。造形の世界の最新研究と信仰のあり様とを照らしあわせることで、総合的に光悦を見通そうとするのである。「一生涯へつらい候事至てきらひの人」で「異風者」(『本阿弥行状記』)といわれた光悦が、篤い信仰のもと確固とした精神に裏打ちされた美意識によって作り上げた諸芸の優品の数々は、現代において私たちの目にどのように映るのか。
☆建立900年 特別展「中尊寺金色堂」 2024年1月23日~2024年4月14日
本展は上棟の天治元年(1124)を建立年ととらえ、中尊寺金色堂の建立900年を記念して開催する特別展。堂内中央に設置された須弥壇に安置される国宝の仏像11体が一堂にそろうほか、かつて金色堂を荘厳していた国宝・金銅迦陵頻伽文華鬘をはじめとするまばゆいばかりの工芸品の数々を展示する。会場では、900年のあいだ祈りをささげられてきた黄金に輝く金色堂を8KCGの技術を用い原寸大で再現。世界遺産にも登録される平泉の文化遺産の粋を紹介する。
☆特別展「法然と極楽浄土」 2024年4月16日~ 2024年6月9日
平安時代末期、繰り返される内乱や災害・疫病の頻発によって世は乱れ、人々は疲弊していた。比叡山で学び、中国唐代の阿弥陀仏信仰者である善導(ぜんどう、613~681)の教えに接した法然(法然房源空、ほうねんぼうげんくう、1133~1212)は、承安5年(1175)、阿弥陀仏の名号を称えることによって誰もが等しく阿弥陀仏に救われ、極楽浄土に往生することを説き、浄土宗を開いた。その教えは貴族から庶民に至るまで多くの人々に支持され、現代に至るまで連綿と受け継がれている。本展は、令和6年(2024)に浄土宗開宗850年を迎えることを機に、法然による浄土宗の立教開宗から、弟子たちによる諸派の創設と教義の確立、徳川将軍家の帰依によって大きく発展を遂げるまでの、浄土宗850年におよぶ歴史を、全国の浄土宗諸寺院等が所蔵する国宝、重要文化財を含む貴重な名宝によってたどる。困難な時代に分け隔てなく万人の救済を目指した法然と門弟たちの生き方や、大切に守り伝えられてきた文化財に触れられる貴重な機会となる。
《国立新美術館》
☆大巻伸嗣展(仮称) 2023年11月1日~12月25日
空間と時間を抽出し、体感させるような大規模なインスタレーションで注目されてきた美術家、大巻伸嗣。そこに足を踏み入れる者は、身体と感覚を揺さぶられ、この世界にある様々な事象、そして我が身の存在に新たな視点を投げかける。本展覧会で大巻は、天井高8mの大空間を生かした新たなインスタレーションを発表する。
☆NACT View 04 和田礼治郎:FORBIDDEN FRUIT 2024年1月24日~6月10日
☆マティス 自由なフォルム 2024年2月14日~5月27日
20世紀最大の巨匠の一人アンリ・マティス(1869-1954年)。大胆な色彩表現が特徴であるフォーヴィスムの中心人物として20世紀初頭、パリで頭角を現す。後半生を過ごすこととなるニースでは、アトリエで様々なモデルやオブジェを精力的に描く一方で、マティスは色が塗られた紙をはさみで切り取り、それを紙に貼り付ける技法「切り紙絵」に取り組む。フランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、素描、版画、テキスタイル等の作品やマティス旧蔵のオブジェ等を紹介する。切り紙絵が日本でまとめて展示されることはきわめて稀で、マティスの記念碑的な表現方法に触れる貴重な機会となるだろう。
☆遠距離現在 Universal / Remote 2024年3月6日~6月3日
パンデミックをきっかけに考えるようになった社会の在り方、その中の私たちの暮らしや労働など、様々な事象を現代美術を通して考察する展覧会。全世界規模の「Pan-」と、非対面の遠隔操作「リモート」の2つの視点から、グローバル資本主義や社会のデジタル化といった現代美術における従来のテーマを新たに捉えなおす。過剰な監視システムや精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、その中で生きる人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、またポストコロナ時代の世界と真摯に向き合うものである。
出品作家:井田大介、徐冰(シュ・ビン)、トレヴァー・パグレン、ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ/ヒト・シュタイエル/ミロス・トラキロヴィチ、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子
《東京都現代美術館》

☆MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ 2023年12月2日~2024年3月3日
「MOTアニュアル」は1999年に始まり、若手作家の作品を中心に現代美術の一側面をとらえ、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展のシリーズ。19回目を迎える本展では、アーティストの想像力や手仕事による「創造」と、近年、社会的に注目を集めるNFTや人工知能、人工生命、生命科学などのありようを反映するかのように自動的に生まれる「生成」とのあいだを考察する。1990年代頃から一般にも広く認識されはじめたメディアアートやメディア芸術領域は今も拡張を続け、復元やアーカイブ化による再検証や歴史化の過渡期にある。また、国際的な企画展やコンペティションに集まる作品群の中にも、ビッグデータやAI、機械学習によるもの、A-Life、群知能を思わせる作品が多数見られるようになった。繊細な手仕事によって成立する作品も確実に存在する一方で、それらの根底にも、現在的な情報処理の概念が存在する。本展では、「創造と生成」の両方を見つめ、テクノロジーを用いながらも造形的な語彙によってアイデアを外在化し、私たちの想像力をこれまで以上に掻き立てようとする作家たちの多様な試みに着目し、11組の作家による約50点の作品・資料を展示する。2020年以降、プログラミング教育が普及し、次世代に向けて、表現のプラットフォームは変容を続けている。本展では、リアル展示に限らず、デジタル上に拡がるメタバースや空間アーカイブなどを視野に入れた事業やイベントを展開。本展の試みを通して、これまで対立的に捉えられがちであった「創造と生成」「アナログとデジタル」のありようを見直し、それらを超えて両者のあいだに生まれるシナジー(相乗効果)を見つめ、私たちの知覚の拡がりを問いかける。
☆豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表 2023年12月9日~2024年3月10日
豊嶋康子(1967-)は、1990年より30年以上にわたって、私たちを取り巻くさまざまな制度や価値観、約束事に対して「私」の視点から独自の仕方で対峙し続けてきた作家。物や道具の仕組み、学校教育、経済活動から日常の様々な行為まで、私たちに避けがたく内面化、自動化されてきた思考や行為の枠組みやルールを、自身の感じる違和感や関心を梃(てこ)として独自の仕方で読み替え、捉え返すことで、人の思考の型の形成、社会と自己の成り立ちの在り様を問うてきた。豊嶋の制作は、1990年の《エンドレス・ソロバン》や《鉛筆》など、物の使用法や構造に従い、守りつつ攻めるといった方法で別様に展開、その機能を宙吊りにする作品に始まる。90年代後半からは、「表現」の領域を広く考察し、銀行での口座の開設や株式の購入、生命保険への加入といった社会・経済活動そのものを素材として用いて、特定のシステムの全体を「私」の一点から逆照射するような《口座開設》《ミニ投資》などを発表した。2005年の《色調補正1》では、一般的に共有される色の体系を「私」の設定のもと、ひたすらに塗り替えることを試みている。作品それぞれの外観は幅広いものだが、それらはいずれも、いわゆる既成の仕組みや枠組み、順列などに対して、脈絡を守りつつ「私」を用いて別の見方を挿入し、本来の意味作用を逸脱させ、歪ませ、反転や空回りをさせることで、その構造と私たちの認識や体験の「発生」を捉えようとするものだといえる。〈ある順番に並べる〉(2014-2016)や〈隠蔽工作〉(2012)、一連の〈パネル〉(2013-2015)、〈地動説2020〉(2020)などは、こうした構造それ自体を抽象的に展開した作品と捉えることができるだろう。順序や表/裏、支持体と図、天と地、作ると作らない…、こうした二項自体をずらし、重ね、また反転させ続け、複数の見方が現れる作品群が生み出されている。本展は、こうした豊嶋の制作の全貌を、初期作品から新作まで400点近くを一堂に集め検証する初めての試み。あまたある世の決まりごとに「私」を交差させる豊嶋の作品は、システムと不可分の存在であり続ける私たちに、多くの示唆を与えてくれる。「天地」や「左右」はどのようにして決まるのでしょうか?あるいは裏と表をひっくり返すことは? 自身の思考を素材とする一種の潔さとユーモアをもって、私たちをめぐる事物に対する「私」の応じ方をかたちにし、さまざまなシステムと「私」双方の「発生法」を捉えようとする豊嶋の制作は、私たちの思考や行為、そして自由の領域について、あらためて捉え返す契機を与えてくれるに違いない。
☆Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展 2024年3月30日~7月7日
「Tokyo Contemporary Art Award」第4回の受賞者、サエボーグと津田道子による展覧会を東京都現代美術館で開催する。
☆ホー・ツーニェン エージェントのA 2024年4月6日~7月7日
シンガポールを拠点に活動するアーティスト、ホー・ツーニェンの個展である。ホー・ツーニェンは、東南アジアの歴史的な出来事、思想、個人または集団的な主体性や文化的アイデンティティに独自の視点から切り込む映像やヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスを制作してきた。既存の映像、映画、アーカイブ資料などから引用した素材を再編したイメージとスクリプトは、東南アジアの地政学を織りなす力学や歴史的言説の複層性を抽象的かつ想起的に描き出す。そのようなホーの作品は、これまでに世界各地の文化組織、ビエンナーレなどで展示され、演劇祭や映画祭でも取り上げられてきた。国内でも、同館で開催した「他人の時間」展(2015年)を含めた多くの展覧会に参加し、近年は国際舞台芸術ミーティング in 横浜(2018年、2020年)、あいちトリエンナーレ2019(2019年)、山口情報芸術センター[YCAM](2021年)、豊田市美術館(2021年)で新たな作品を発表し話題を呼んだ。本展では、ホーのこれまでの歴史的探求の軌跡を辿るべく、最初期の作品から6点の映像インスタレーション作品を展示するとともに、国内初公開となる最新作を紹介。ホーが監督と脚本を務めたデビュー作《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》(2003年)は、シンガポールという国名の由来「シンガプーラ(サンスクリット語でライオンのいる町)」とその地を命名したとされるサン・ニラ・ウタマに関する諸説を巡りながら、イギリス人植民地行政官スタンフォード・ラッフルズを建国者とする近代の建国物語を解体する。3Dアニメーションを用いた《一頭あるいは数頭のトラ》(2017年)では、トラを人間の祖先とする信仰や人虎にまつわる神話をはじめ、19世紀にイギリス政府からの委任で入植していた測量士ジョージ・D・コールマンとトラとの遭遇や、第二次世界大戦中、イギリス軍を降伏させ「マレーのトラ」と呼ばれた軍人山下奉文など、シンガポールの歴史における支配と被支配の関係が、姿を変え続けるトラと人間を介して語られる。ホーは他にも、既存の映像を転用し、マレー半島の近現代史とその編纂に影響を与えた人物に焦点を当てた作品を制作している。第二次世界大戦中、マラヤ共産党総書記を務めながら、イギリス、日本、フランスの三重スパイとして暗躍したライ・テックを取りあげた《名のない人》(2015年)、マラヤ共産党とマラヤ危機について、党の機密情報に基づいた文献を残した、ゴーストライターとも言われているジーン・Z・ハンラハンを描いた《名前》(2015年)は、いくつもの映画の断片をつなげ、複数のイデオロギーに介在した謎多き人物に、同一性をもたせることなく、その内側に迫る。これらの作品を生み出す基盤となるプロジェクトが、2012年から進行中の《東南アジアの批評辞典》である。幅広いソースから抽出された東南アジアに関連するAからZのキーワードとイメージが、アルゴリズムによって都度組み合わされる映像は、東南アジアというその呼び名が想起させる総体に抗う多層性、複数性を描き出す。近年日本で制作した作品からは、山口情報芸術センター[YCAM]とのコラボレーション作品《ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声》(2021年)を展示する。VRと6面の映像で構成された本作では、西洋主義的近代の超克を唱え、大東亜共栄圏建設について考察した京都学派の哲学者たちの対話、テキスト、講演などが現前する。VRでは、戦争の倫理性と国家のための死についての議論が行われた座談会から、西田幾多郎の「無」の概念を象徴する抽象的空間まで、京都学派の思想と哲学者たちの主観性を体現する空間に没入することができる。ホーの最新作で新たな展開ともいえる《T for Time》(邦題未定) (2023年)では、ホーが引用しアニメーション化した映像の断片が、アルゴリズムによって、時間の様々な側面とスケール—素粒子の時間から生命の寿命、宇宙における時間まで—を描き出すシークエンスに編成される。それらが喚起する意味や感覚は、時間とは何か、そして私たちの時間の経験や想像に介在するものは何かを問いかける。
☆坂本龍一展(仮) 2024年12月21日~2025年3月30日
音楽家・アーティスト、坂本龍一(1952-2023)の大型インスタレーション作品を包括的に紹介する、日本では初となる最大規模の個展。坂本は多彩な表現活動を通して、時代の先端を常に切り拓いてきた。2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考/実践した。生前、坂本が本展のために構想した新作と、これまでの代表作を美術館内外の空間にダイナミックに構成・展開。クロニクル展示を加えることで、坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどる。
《東京都美術館》

☆印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵 2024年1月27日~4月7日
ウスター美術館(アメリカ)のコレクションを中心に、印象派の国際的な広がりを紹介する展覧会。バルビゾン派など印象派誕生前夜から、モネやルノワールなどのフランス印象派、さらにアメリカをはじめとするフランス国外の状況まで、印象派の受容と展開をたどる。ほとんどが日本初公開で、アメリカ印象派の知られざる魅力を堪能できる。
☆デ・キリコ展 2024年4月27日~8月29日
20世紀を代表する巨匠の一人、ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)。彼が1910年頃から描き始めた「形而上絵画」(幻想的な風景や静物によって非日常的な世界を表現する絵画)は、数多くの芸術家や国際的な芸術運動に大きな影響を与えた。本展では、デ・キリコのおよそ70年にわたる画業を「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」などのテーマに分け、初期から晩年までの作品を余すところなく紹介。デ・キリコが描いた世界をたどる、日本では10年ぶりの大規模な個展となる。
☆大地に耳をすます 気配と手ざわり The Whispering Land: Artists in Correspondence with Nature 2024年7月20日~10月9日
出品作家:榎本裕一、川村喜一、倉科光子、ふるさかはるか、ミロコマチコ
本展では、自然に深く関わり制作をつづける現代作家5人を紹介する。野生動物、山の人々の生業、移りゆく景色や植生、生命の輝きや自然の驚異を捉えた作品は、自然とともに生きる瑞々しい歓喜に溢れている。同時に、ときに暴力的に牙をむき、したたかな生存戦略をめぐらせる自然の諸相を鮮烈に思い起こさせ、都市生活では希薄になりがちな、人の力の及ばない自然への畏怖と敬意が認められる。未開の大自然ではなく自然と人の暮らしが重なる場から生まれた彼らの作品は、自然と人の関係性を問い直すものでもある。古来人間は、自然の営みに目を凝らし、耳をすまし、長い年月をかけて共生する術を育んできた。自然に分け入り心動かされ、風土に接し生み出された作品は、人間中心の生活のなかでは聞こえにくくなっている大地の息づかいを伝えてくれる。かすかな気配も捉える作家たちの鋭敏な感覚をとおして触れる自然と人のあり様は、私たちの「生きる感覚」をも呼び覚ましてくれるだろう。
☆田中一村展 奄美の光 魂の絵画 2024年9月19日~12月1日
自らの芸術の探究に生涯を捧げた孤高の画家・田中一村(たなか・いっそん/1908-1977年)。本展は、神童と称された幼年期から、最晩年の奄美で描かれた作品まで、その全貌を紹介する大回顧展。世俗的な栄達から距離を置き、我が道を歩んで描き続けた一村の生涯は、「不屈の情熱の軌跡」といえるものだった。自然を主題とした、澄んだ光にあふれた絵画はその情熱の結晶であり、彼の魂の輝きをも宿しているかのようだ。本展では、近年の研究で発見された資料を多数含む構成により、この稀にみる画家の真の姿に迫る。
《上野の森美術館》
☆モネ 連作の情景 2023年10月20日~2024年1月28日
印象派を代表する画家のひとり、クロード・モネ(1840-1926)は、自然の光と色彩に対する並外れた感覚を持ち、柔らかい色使いとあたたかい光の表現を得意とし、自然の息遣いが感じられる作品を数多く残した。同じ場所やテーマに注目し、異なる天候、異なる時間、異なる季節を通して一瞬の表情や風の動き、時の移り変わりをカンヴァスに写し取った「連作」は、巨匠モネの画業から切り離して語ることができない。移ろいゆく景色と、その全ての表情を描き留めようとしたモネの時と光に対する探究心が感じられる「連作」は、巨匠モネの画家としての芸術的精神を色濃く映し出していると言えるのかもしれない。1874年に第1回印象派展が開催されてから150年の節目を迎えることを記念し、東京と大阪を会場に国内外のモネの代表作60点以上*が一堂に会す本展では、モネの代名詞として日本でも広く親しまれている〈積みわら〉〈睡蓮〉などをモティーフとした「連作」に焦点を当てながら、時間や光とのたゆまぬ対話を続けた画家の生涯を辿る。サロン(官展)を離れ、印象派の旗手として活動を始めるきっかけとなった、日本初公開となる人物画の大作《昼食》を中心に、「印象派以前」の作品も紹介。モネの革新的な表現手法の一つである「連作」に至る過程を追う。
《東京都写真美術館》
☆ホンマタカシ(仮) 2023年10月6日~2024年1月21日
☆日本の新進作家 vol.20 見るまえに跳べ 2023年10月27日~2024年1月21日
出品作家:うつゆみこ、淵上裕太、星玄人、夢無子、山上新平
☆恵比寿映像祭2024 月へ行く30 の方法 2024年2月2~18日
☆恵比寿映像祭2024 コミッション・プロジェクト 2024年2月20日~3月24日
☆記憶:リメンブランス ―現代写真・映像の表現から 2024年3月1日~6月9日
☆アンリ・カルティエ=ブレッソン 眼の記憶 2024年3月16日~5月12日
《森美術館》
☆森美術館開館20周年記念展私たちのエコロジー 2023年10月18日~2024年3月31日
産業革命以降、特に20世紀後半に人類が地球に与えた影響は、それ以前の数万年単位の地質学的変化に匹敵すると言われている。環境危機は喫緊の課題であり、国際的なアートシーンにおいても重要なテーマとして多くの展覧会が開催されている。本展では、国際的なアーティストによる歴史的な作品から本展のための新作まで多様な表現を、4つの章で紹介。第1章「全ては繋がっている」では、環境や生態系と人間の政治経済活動が複雑に絡み合う現実に言及する。第2章「土に還る」では、1950~80年代の高度経済成長の裏で、環境汚染が問題となった日本で制作・発表されたアートを再検証し、環境問題を日本という立ち位置から見つめ直す。第3章「大いなる加速」では、人類による過度な地球資源の開発の影響を明らかにすると同時に、ある種の「希望」も提示する作品を紹介。第4章「未来は私たちの中にある」では、アクティビズム、先住民の叡智、フェミニズム、AIや集合知(CI)などさまざまな表現にみられる、最先端のテクノロジーと古来の技術の双方の考察をとおして、未来の可能性を描く。本展のタイトル「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」は、私たちとは誰か、地球環境は誰のものなのか、という問いかけである。人間中心主義的な視点のみならず、地球という惑星を大局的な視点から見渡せば、地球上にはいくつもの多様な生態系が存在することにあらためて気付くであろう。本展では、環境問題をはじめとする様々な課題について多様な視点で考えることを提案する。また輸送を最小限にし、可能な限り資源を再生利用するなどサステナブルな展覧会制作を通じて、現代アートやアーティストたちがどのように環境危機に関わり、また関わり得るのかについて思考を促し、美術館を対話が生まれる場とする。
☆シアスター・ゲイツ展 2024年4月24日~9月1日
米国シカゴのサウスサイド地区を拠点に国際的に活躍するシアスター・ゲイツ(1973年シカゴ生まれ)は、彫刻と陶芸作品を中心に、建築、音楽、パフォーマンス、ファッション、デザインなど、メディアやジャンルを横断する活動で知られている。本展は、ゲイツにとって日本初、そしてアジア最大規模の個展となる。これまでの代表作のみならず、本展のための新作を含む、日本文化に関係の深い作品も紹介する。自身の創作の原点ともいうべき、愛知県常滑市で制作した陶芸作品やプロジェクトから、日本の民藝運動と黒人文化の美学を融合するゲイツ独自の哲学である「アフロ民藝」まで、多岐にわたる作品と活動を幅広く展示する。ゲイツは、土という素材、客体性(鑑賞者との関係性)、空間と物質性などの視覚芸術理論を用いて、ブラックネス(黒人であること)の複雑さを巧みに表現する。黒人文化やその歴史は、日本人の一般的な知識としては希薄かもしれない。しかし、本展は、ゲイツのこれまでの作品と実践を網羅的に紹介することで、手仕事、人種への問い、政治、文化のハイブリッド性などを謳うアートの今日的な重要性を伝える。
☆ルイーズ・ブルジョワ展 2024年9月25日~2025年1月19日
ルイーズ・ブルジョワ(1911年パリ生まれ、2010年ニューヨークにて没)は、20世紀から21世紀にわたって活躍した最も重要なアーティストの一人。70年にわたるキャリアの中で、ブルジョワは感情や心理状態の多面性をさまざまなメディアで表現し、感情の起伏と稀有な造形力を融合させた孤高の作品群を生み出してきた。本展は、ブルジョワの日本における27年ぶりの大規模個展として、絵画、版画、素描、彫刻、インスタレーション、遺稿などを紹介し、その活動の全貌に迫る。とりわけ1938年から1949年までの絵画作品の数々は、東アジアでは初めての紹介となる。この初期の絵画群は、その重要性が最近になってようやく認識されるようになったが、ブルジョワがその後数十年にわたって描き続けることになる造形と主題をすでに確立していることがうかがえる、大変興味深いもの。さらに、「蜘蛛」を題材としたシリーズを紹介することで、六本木ヒルズのパブリックアート作品《ママン》に込められた「母の愛」、「治癒の力」や「記憶」などのテーマを探求する。「アートは心の健康を保証するもの」という自身の言葉が表すように、ブルジョワの生きることへの強い意志を表現する作品は、世界的なパンデミックによる健康危機の後、あるいは緊迫した国際情勢の下、私たちが直面するさまざまな課題を生き抜くための重要なヒントを与えてくれる。
《東京ステーションギャラリー》
☆みちのく いとしい仏たち 2023年12月2日~2024年2月12日
厳しい風土を生きるみちのくの人々のささやかな祈りの対象として、江戸時代から民家やお堂に祀られてきた仏像や神像。仏師ではなく大工や木地師らの手によるこうした民間仏の特徴は、素朴でユニークな造形と表情にある。本展では青森・岩手・秋田の北東北に伝わる約130点の木像を紹介し、日本の信仰のかたちについて考える。
☆生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 2024年2月23日~4月14日
戦前日本の写真表現をけん引した偉大な写真家・安井仲治(やすいなかじ/1903-1942)の約20年ぶりとなる回顧展。安井のヴィンテージプリントを中心に、彼の生涯にわたる仕事を紹介する。さらに未発表ネガを検証した研究成果をもとに新たなプリントも作成。多くの写真家たちに影響を与えた業績の全貌を振り返る。
☆どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより 2024年4月27日~6月23日
☆空想旅行案内人ジャン=ミッシェル・フォロン[仮称] 2024年7月13日~9月23日
ジャン=ミッシェル・フォロン(1934-2005)は、ベルギーが生んだユニークなアーティスト。雑誌の表紙や挿絵で評価を得た後、ポスターや舞台美術、壁画、そして彫刻も手がけるなどマルチな活躍をみせた。詩的でユーモアに富み、やわらかな色彩と軽やかなタッチで表現されたその作品は、みる人を空想の旅へと連れ出してくれる。フォロンの没後20年を記念する本展では、多彩な作品によって、そのあたたかく深遠な魅力を紹介する。
☆テレンス・コンランモダン・ブリテンをデザインする[仮称] 2024年10月12日~2025年1月5日
サー・テレンス・コンラン(1931-2020)は、デザイナー、家具の作り手、ライフスタイルショップ「habitat」の先駆的経営者として知られ、現在でいうセレクトショップや新しいスタイルのレストランなども数多く手がけた。また都市開発プロジェクトやデザインミュージアムの設立、多数の著作など、半世紀にわたってそのデザイン理念を実践。本展は、プロダクトや資料、さまざまなインスピレーション源をたどりながら、英国の生活文化を変えたといわれる独自の世界観と功績を紹介する。
《Bunkamuraザ・ミュージアム》
《アーティゾン美術館》
☆マリー・ローランサン ―時代を写す眼 2023年12月9日~2024年3月3日
マリー・ローランサン(1883-1956)は、20 世紀前半に活躍した女性画家。パリのアカデミー・アンベールで学び、キュビスムの画家として活動をはじめた。1914 年にドイツ人男爵と結婚、ドイツ国籍となったため、第一次世界大戦がはじまるとフランス国外への亡命を余儀なくされた。1920年に離婚を決意して、パリに戻ってくると、1921 年の個展で成功を収める。第二次世界大戦勃発後もほとんどパリに暮らし、1956 年に 72 歳で亡くなるまで制作をつづけた。本展では、ローランサンの画業を複数のテーマから紹介し、関連する他の画家たちの作品と比較しつつ、彼女
の作品の魅力を明らかにする。
☆特集コーナー展示 野見山暁治 2023年12月9日~2024年3月3日
野見山暁治(1920-2023)は、長い画業のなかで具象と抽象のあいだを漂う独特の画風を確立した。特集コーナー展示「野見山暁治」では、石橋財団が所蔵している野見山暁治の作品全 7 点からその魅力に迫る。近年新たに収蔵した 3 点は初公開となる。
☆ブランクーシ 本質を象る 2024年3月30日~7月7日
ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)は、純粋なフォルムの探究を通じて、ロダン以後の 20 世紀彫刻の領野を切り拓いた存在として知られる。本展は、彫刻作品を中核に、フレスコ、テンペラなどの絵画作品やドローイング、写真作品などが織りなす、ブランクーシの創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての機会となる。パリのブランクーシ・エステートおよび国内外の美術館等より借用の彫刻作品約 20 点に、絵画作品、写真作品を加えた、計約 90 点で構成される。
☆特集コーナー展示 清水多嘉示 2024年3月30日~7月7日
日本近代を代表する彫刻家、清水多嘉示(1897-1981)は、はじめ画家を志してフランスへ留学。そしてパリでブールデルの作品と出会い、彫刻に目覚める。一方で絵画制作も続け、日本人としてはじめてサロン・ドートンヌに絵画と彫刻が同時入選を果たすなど、成功を収めた。本展では新収蔵の 17 点を中心に、清水による絵画作品に光を当てる。
☆空間と作品 Place and Piece: Where was this work displayed, who loved it, and why is it
here now? 2024年7月27日~10月14日
美術館の展示室に整然とならぶ美術品、それらは、今日、誰もが観賞することのできる公共的なものとなっている。だが、その美術品が生まれた時のことを振り返ると、それは邸宅の建具として作られたり、プライベートな部屋を飾るためにえがかれたりと、それを所有する人との関係によって生み出されたものであることが分かる。また、時を経る間に、何人もの手を渡り、受け継がれてきたものもある。この展覧会では、モネ、ピカソ、藤島武二、岸田劉生、琳派による作品や抽象絵画まで、古今東西、様々な分野の作品からなる石橋財団コレクションによって、美術品がどのような状況で生まれ、どのように扱われ、受け継いでこられたのか、その時々の場を想像し体感できる。
☆ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子―ピュシスについて 2024年11月2日~2025年2月9日
アーティゾン美術館の開館(2020 年)から毎年開催している、石橋財団コレクションとアーティストとの共演、「ジャム・セッション」展。第 5 回目となる本展は、世界から今注目を浴びているアーティスト、毛利悠子を迎えて開催する。主にインスタレーションや彫刻を通じて、磁力や電流、空気や埃、水や温度といった、ある特定の空間が潜在的に有している流れ/変化に形を与え、立ち会った人々のあらたな知覚の回路を開く毛利。環境を制御しようとするのではなく、その場に漂いながら創造的な関わりを築いていく姿勢が──近年の切迫した地球環境問題に照らして──関心を集めている理由のひとつかもしれない。彼女の都内初大規模展覧会である本展では、毛利の新・旧作品とともに、作家の視点から選ばれた石橋財団コレクションとを並べることで、ここでしか体感できない「微細な音や動きで満たされた静謐でいて有機的な空間」にいざなう。
☆ 特集コーナー展示 マティスのアトリエ 2024年11月2日~2025年2月9日
アンリ・マティス(1869-1954)の絵画において、室内は常に重要な要素であり続けたが、とりわけ 1940年代以降、生活と創作とが一体となった空間として重要になるのが、アトリエである。本展では、《踊り子とロカイユ椅子、黒の背景》(1942年)の収蔵にちなみ、石橋財団のコレクションにより、マティスの創作においてアトリエが果たした役割について、複数の視点から探る。
☆ひとを描く Looking Human: The Figure Painting 2024年11月2日~2025年2月9日
古代ローマの大プリニウスの『博物誌』には、コリントの陶器商の娘が旅立つ恋人の姿を残しておくために壁に影をかたどったというギリシア人の説話が書かれている。この物語は、18 世紀後半から 19 世紀初めには、絵画の起源として引き合いに出された。そして実際、ヨーロッパの美術の歴史を見てみると、「ひとを描く」ことは作品制作の重要な要素のひとつだった。たとえば、自画像は、自らの技量を示すことのできる題材であると同時に、さまざまな新しい表現の実験の場でもありました。肖像画は、画家たちにとって重要な生活の糧となっていった。また、物語に登場する人物を描いた作品もあります。この展覧会では人物表現の豊かさを紹介する。
《東京芸術大学大学美術館》
☆青木淳退任記念展 雲と息つぎ ―テンポラリーなリノベーションとしての展覧会 番外編― 2023年11月18日~12月3日
☆大吉原展〈予告〉 2024年3月26日~5月19日
《SOMPO美術館》
☆ゴッホと静物画ー伝統から革新へ 2023年10月17日〜2024年1月21日⇒公式サイト
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)は何を学び、何を伝えたのか…。本展覧会は17世紀オランダから20世紀初頭まで、ヨーロッパの静物画の流れの中にゴッホを位置づけ、ゴッホが先人達から何を学び、それをいかに自らの作品に反映させ、さらに次世代の画家たちにどのような影響をあたえたかを探る。また、本展覧会では「ひまわり」に焦点をあてたコーナーを設け、ゴッホやその他の画家たちによる「ひまわり」を描いた作品を紹介、なぜ彼らがこの主題を描いたかに注目する。
☆FACE展2024 2024年2月17日~3月10日
☆北欧の神秘 ―ノ ルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画 2024年3月23日~6月9日
19世紀後半から20世紀初頭にかけての北欧の絵画芸術に焦点を定めた画期的な展覧会。スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの国立美術館が所蔵する作品約70点を展示する。北欧ロマン主義の誕生、北欧の自然、古くから伝わる神話やおとぎ話、村や街に暮らす人々という4つの主要なテーマに沿って、各国の気候・風土、歴史や文化を反映する詩情豊かな絵画作品を紹介。
☆フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線 2024年6月22日~9月23日
ロートレックのグラフィック作品の個人コレクションとしてはおそらく最大級のフィロス・コレクション(米)より、約240点を紹介する展覧会。フィロス・コレクション最大の特徴である素描作品を核に、版画、ポスター、挿図や装丁を手がけた雑誌や書籍、さらにロートレックの手紙、知人が撮影したロートレックの写真など、作家そのものに肉薄した作品と資料を紹介する。
☆カナレットとヴェネツィアの輝き 2024年10月12日~12月28日
都市景観画(ヴェドゥータ)の巨匠カナレット(1697-1768)の全貌を紹介する日本で初めての展覧会。スコットランド国立美術館など英国コレクションを中心に、油彩、水彩、版画等で構成する。カナレットによる緻密かつ壮麗なヴェネツィアの描写を通じ、18世紀の都市景観画というジャンルの成立過程をたどるとともに、その伝統を継承しヴェネツィアの新たなイメージを開拓していった19世紀の画家たちの作品もあわせて紹介する。
☆絵画のゆくえ 2025 2025年1月18日~2月11日
FACE2022からFACE2024までの3年間に「グランプリ」と「優秀賞」を受賞した作家12名の近作・新作約100点を展示し、受賞作家たちのその後の展開を紹介。また、当館所蔵となった「グランプリ」受賞作品もあわせて見せる。絵画のゆくえを探る展示となる。
☆FACE展2025 2025年3月1日~3月23日
《サントリー美術館》
☆サントリー美術館コレクション名品展(仮称) 2023年12月20日~2024年1月14日
☆四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎 2024年1月31日~3月24日
織田信長の弟・織田有楽斎(長益、1547~1621)は、信長、秀吉、家康の三天下人に仕えて戦乱の世を生き抜く一方、茶の湯を深く愛好した。京都・建仁寺の塔頭である正伝院内に建てた国宝の茶室「如庵」をはじめ、有楽斎の美意識は現代の茶道に息づき、規範とされている。本展は、織田有楽斎の四百年遠忌に際し、有楽斎ゆかりの寺・正伝永源院の寺宝を紹介するとともに、有楽斎にまつわる茶道具の名品や手紙などからその稀有な人物像に迫る。
☆サントリー美術館 コレクション名品展(仮称) 2024年4月17日~6月16日
☆徳川美術館展 尾張徳川家の至宝 2024年7月3日~9月1日
将軍家に連なる御三家の筆頭格であった尾張徳川家に受け継がれてきた什宝の数々を所蔵する徳川美術館。家康ゆかりの遺品「駿府御分物」をはじめ、歴代当主や夫人たちの遺愛品から、刀剣、茶道具、香道具、能装束などにより、徳川家の歴史と華やかで格調の高い大名文化を紹介する。とくに屈指の名品として知られる国宝「源氏物語絵巻」と、三代将軍家光の長女千代姫が婚礼調度として持参した国宝「初音の調度」も特別出品される貴重な機会となる。
☆没後300年記念 英一蝶(仮称) 2024年9月18日~11月10日
英一蝶(1652~1724)は元禄年間(1688~1704)前後に、江戸を中心に活躍した絵師。はじめは狩野探幽の弟・安信に師事したが、菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、市井の人々を活写した独自の風俗画を生み出した。元禄11年(1698)、47歳で三宅島に流罪になり、島で描かれた作品は〈島一蝶〉と呼ばれ、とくに高く評価されている。一蝶の没後300年を記念する本展では、代表作を通して、その画業と魅力あふれる人物像に迫る。
☆日本美術と儒教(仮称) 2024年11月27日~2025年1月26日
儒教は、紀元前6世紀の中国で孔子と弟子たちが唱えた倫理思想。日本には古代に伝来し、その後、主に宮廷や寺院で享受されていたが、江戸時代以降になると社会に広く普及した。その結果、儒教は為政者から民衆まで浸透し、理想の君主像を表した「帝鑑図」から浮世絵の見立絵まで、美術にも幅広く影響を与えた。本展は、儒教に根ざした日本美術に注目し、儒教を学び受容した人々が生み出した豊かな作品群を紹介する。
《三菱一号館美術館》
《東京オペラシティアートギャラリー》
☆石川真生 私に何ができるか 2023年10月13日~12月24日
☆ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家 2024年1月17日~3月24日
《21_21 DESIGN SIGHT》
《出光美術館》
☆青磁—世界を魅了したやきもの 2023年11月3日~2024年1月28日
☆生誕300年記念 池大雅 ー 陽光の山水 2024年2月10日~3月24日
《山種美術館》
☆【特別展】癒やしの日本美術―ほのぼの若冲・なごみの土牛― 2023年12月2日~2024年2月4日
《世田谷美術館》
☆倉俣史朗のデザイン――記憶のなかの小宇宙 2023年11月18日~2024年1月28日
倉俣史朗(1934-1991)は、今なお世界から高い評価を受け、影響を与え続けているデザイナー。アクリルやガラスのほか、建築用金属素材も用いた家具やインテリアの仕事は、見るものを日常の外へと誘いだす力を持っている。東京では20数年ぶりの個展となる本展覧会では、初期から晩年までの作品に加えて、その制作の背景となる夢日記やスケッチも紹介する。
☆美術家たちの沿線物語 小田急線篇 2024年2月17日~4月7日
世田谷区内を走る鉄道と、その沿線で活動した美術家たちの創作と交流の足跡を辿る「沿線物語」シリーズ完結篇。1927年に新宿~小田原間で開通した小田原急行鉄道(現・小田急電鉄)の沿線を取り上げる。白と黒の会(経堂界隈)や、砧人会(成城界隈)といった美術家たちの集いをはじめ、画家の髙山辰雄や横尾忠則、写真家の荒木経惟など、沿線ゆかりの作家たちが織りなすさまざまな物語が楽しめる。
《府中市美術館》
☆白井美穂 森の空き地 2023年12月16日〜2024年2月25日
メディアを自在に横断し旺盛に制作を続ける白井美穂(1962- )による美術館での初個展。1990年代前半に発表された貴重な立体作品と、2000年代に入って華麗に展開する絵画を中心に構成する。
☆春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術 2024年3月9日〜5月6日
《町田市立国際版画美術館》
☆版画の青春 小野忠重と版画運動展 2024年3月16日〜5月19日
《神奈川県立近代美術館・葉山館》

☆葉山館20周年記念 100年前の未来:移動するモダニズム 1920–1930 2023年10月7日~2024年1月28日
葉山館の開館20周年を記念して、当館が館名にかかげる「近代(モダン)」の文化が多様に展開した20世紀の1920年代を再考する。1910年代のロシア革命、第一次世界大戦、そしてスペイン風邪によるパンデミック後の世界で、芸術家たちは国境を越えて活動した。1923年の関東大震災とその復興期を駆けたモボ・モガたち、昭和へと移行する時代の新興美術運動など、100年前の世界が夢みた新しさの諸相を概観する。
☆芥川龍之介と美の世界二人の先達—夏目漱石、菅 虎雄 2024年2月10日~4月7日
今も幅広い世代に愛される小説家・芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ/1892–1927年)。芥川は作品や書簡等においてしばしば美術に言及し、その文学と美術への関心の高さは、彼が師と仰いだ夏目漱石(なつめ・そうせき/1867–1916年)と共通している。一方、菅虎雄(すが・とらお/1864–1943年)は、芥川の一高時代のドイツ語の教師であるとともに、漱石を禅に導いた人物だった。本展では、芥川を中心とする漱石、菅の三人の交流関係に注目しながら、芥川の文学世界とその眼を通した美の世界を紹介する。
《神奈川県立近代美術館・鎌倉別館》
☆イメージと記号—1960年代美術の諸相 2023年12月9日~ 2024年2月12日
美術という制度が問われた1960年代。乾いたユーモアで社会に氾濫するイメージを無化し、記号や位相幾何学を拠り所に造形することを問う作品が登場する。初の国際審査制が導入された1967年の第9回東京ビエンナーレは美術と社会の接面を映しだすものだった。同館所蔵品を中心に井上長三郎(いのうえ・ちょうざぶろう/1906–1995年)、堀内正和(ほりうち・まさかず/1911–2001年)、杉全直(すぎまた・ただし/1914–1994年)、麻生三郎(あそう・さぶろう/1913–2000年)、飯田善國(いいだ・よしくに/1923–2006年)、高松次郎(たかまつ・じろう/1936–1998年)、若林奮(わかばやし・いさむ/1936–2003年)らを取り上げ、ビエンナーレ出品作や資料をまじえて時代の断面を検証する。
☆小金沢健人×佐野繁次郎 ドローイング/シネマ 2024年2月23日~5月6日
現代美術作家と同館所蔵作家から二人を特集し、一つの視点で読む展覧会。絵画から映像、立体まで多様な展開をみせる小金沢健人(こがねざわ・たけひと/1974– )と、独特の手描き文字と線画による装幀・挿画の仕事が油彩画と並び愛されている佐野繁次郎(さの・しげじろう/1900–1987年)の仕事を紹介する。線でイメージを描き出す「ドローイング」は、カット/イラストレーションとどう異なるのか? イメージの連なりがもたらす動きの感覚とは? 美術家の手と眼が生む色・線・動きに着目し、平面表現の境界を探求する。
《横浜美術館》

☆第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」 2024年3月15日~6月9日
《横須賀美術館》

☆日本の巨大ロボット群像―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現― 2024年2月10日〜4月7日
『鉄人28号』(1963年)をロボットアニメの嚆矢として、その後『マジンガー Z』(1972年)の大ヒット、新風を吹き込んだ『機動戦士ガンダム』(1979年)の影響下、現在に至るまで多数のロボットアニメが制作され、魅力的なロボットがデザインされてきた。日本独自ともいえる進化と広がりを見せてきたそのデザインの変遷には、空想上の荒唐無稽なロボットという存在に、映像的な「リアリティ」を与えるために、デザインや設定上での創意工夫が凝らされ、多くのファンを魅了し続けてきた。本展では、近年までのロボットアニメにおけるデザインと映像表現の歴史を、それらの「リアリティ」形成において重要な役割を果たした設定上の「メカニズム」と「大きさ」を軸に検証する。その上で「巨大ロボットとは何か?」を観覧者の皆さんとともに考えていく。
《平塚市美術館》
☆岡田健太郎展 重なる景体 2023年12月5日~2024年4月7日
《ポーラ美術館》
☆モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン 2023年12月16日〜2024年5月19日
1920年代を迎えたフランスの首都パリでは、第一次世界大戦からの復興によって急速に工業化が進み、「機械時代」(マシン・エイジ)と呼ばれる華やかでダイナミックな時代を迎えた。本展覧会は、1920-1930年代のパリを中心に、ヨーロッパやアメリカ、日本における機械と人間との関係をめぐる様相を紹介する。特にパリ現代産業装飾芸術国際博覧会(アール・デコ博)が開催された1925年は、変容する価値観の分水嶺となり、工業生産品と調和する幾何学的な「アール・デコ」様式の流行が絶頂を迎えた。日本では1923年(大正12)に起きた関東大震災以降、急速に「モダン」な都市へと再構築が進むなど、戦間期という繁栄と閉塞の狭間に、機械や合理性をめぐる人々の価値観は大きく変化していった。コンピューターやインターネットが高度に発達し、AI(人工知能)が生活を大きく変えようとする現在において、約100年前の機械と人間との関係は、私たちが未来をどのように生きるかを問いかけてくるだろう。
《埼玉県立近代美術館》
☆イン・ビトウィーン 2023年10月14日~2024年1月28日
1930年代から50年代にかけて、シュルレアリスムの表現を探究した画家・早瀬龍江(1905-1991)、「もの派」の理論形成に影響を与える一方、版画やドローイング、水墨による作品を手がけた林芳史(1943-2001)などの足跡をコレクションを中心にたどる。自身の身体的な感覚を拠りどころに、日常や歴史、国境などさまざまな境界の間に立ち、往還を試みるアーティストたちの眼差しを紹介する。
☆アブソリュート・チェアーズ 2024年2月17日~5月12日
美術の中の椅子は、権威の象徴として、記憶の依り代として、あるいは拡張された身体として、さまざまな機能や象徴性をまとっている。椅子という身近でありながら特異な造形物の背後には、どのような哲学や思想を見出せるだろうか。デザインの文脈を離れ、現代のアーティストによる平面・立体・映像作品を通して、「究極・絶対」なるものとしての椅子に迫る。
《千葉市美術館》
☆サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展 2024年1月6日~3月3日
☆武士と絵画 ―宮本武蔵から渡辺崋山、浦上玉堂まで―(仮称) 2024年1月6日~3月3日
《DIC川村記念美術館》
☆カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 2024年3月9日〜6月30日
カール・アンドレ(1935–)は1960年代後半のアメリカを中心に興隆したミニマル・アートの代表的な彫刻家。日本の美術館において初めての個展となる本展は、同一の形と大きさに加工した木、金属、石のユニットを床に直接置き、規則的に広がるアンドレの典型的な彫刻作品を大きな空間で展開する。無機質な印象とは裏腹に、実際の作品を前にすると物質の手ざわりや重量感、汚れや傷、錆といった素材そのままの大らかな姿を見ることができる。上を歩くことも許される能動的な鑑賞体験は、「場としての彫刻」というアンドレの言葉の意味する、作品と空間、そしてそれを知覚する自分の存在を感じる機会となるだろう。また、本展では知る人ぞ知るアンドレの詩をまとまったかたちで紹介する貴重な機会となる。単語を組み合わせて構成されるアンドレの詩は、読むことでも眺めることでも楽しめるものである。彫刻に通ずるアンドレの空間的、構造的な認識や、歴史、哲学への興味、原風景である地元クインシーへの愛着、身近な人々との関係などアンドレの思考が反映されている。
《水戸芸術館》
☆「今村源 遅れるものの行方」展 2023年11月3日~2024年1月28日
今村源は、普段、気にも留めないありふれたものに、少しの隙間を加える、あるいは天地を入れ替えたり裏返したりすることで、ユーモラスな造形でありつつも、その軽く透明感のあるイメージから一転、日常と表裏一体にある深遠な世界を観る人に想起させる作風で広く知られている。ボール紙、発泡スチロール、石膏、針金やビニールなど、およそ彫刻らしからぬ軽い素材で、浮遊感溢れる「彫刻」を制作してきた今村の作品の根源には、彼が関心を寄せる森の地下に菌糸を張り巡らし、ときおり地上に姿を顕すキノコの世界がある。人間には見えない世界で、しかし確実に世界と共生し、世界を支えている菌類へと向けられた今村の思索は、私(個)を超えて連綿と続く生命の営みへと広がっていった。本展は、1980年代前半より京都を拠点に制作活動をスタートさせ、いずれにも寄らない独自の哲学的作風で早くから注目を集めてきた現代美術家・今村源の10年ぶりとなる美術館の個展となる。
☆須藤玲子 NUNOの布づくり 2024年2月17日~5月6日
《群馬県立近代美術館》
《アーツ前橋》
☆開館10周年記念展 New Horizon ― 歴史から未来へ 2023年10月14日~2024年2月12日
☆前橋の美術2024(仮称) 2024年3月2日~3月26日
《栃木県立美術館》
☆春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ 2024年1月13日~3月3日
《宇都宮美術館》
☆イヴ・ネッツハマー[仮称] 2024年3月10日~5月12日
スイス現代美術を代表する映像インスタレーション作家、イヴ・ネッツハマー(1970~)による日本で最初の個展。デジタル・アニメーションの虚空間と奇妙なオブジェを掛け合わせ、土地の記憶の深層に潜行して起源の謎を照らし出すネッツハマーが、大谷という巨大な地下空洞を宿す街、宇都宮と出会う。