- 2019年6月27日
- 2019年7月17日
竹田大助 オートマティズムの極北60,61
この記事は、白土舎で2006年5月27日〜6月24日に開かれた展示に関するものである。 竹田大助については、同じ画廊の「戦後美術のメモランダム」シリーズが、これまでも一九五〇年代の初期油彩画やミメオグラフ(謄写版)のモノタイプを紹介しており、『REAR』10号でも、四〇年代末から五〇年代にかけての […]
この記事は、白土舎で2006年5月27日〜6月24日に開かれた展示に関するものである。 竹田大助については、同じ画廊の「戦後美術のメモランダム」シリーズが、これまでも一九五〇年代の初期油彩画やミメオグラフ(謄写版)のモノタイプを紹介しており、『REAR』10号でも、四〇年代末から五〇年代にかけての […]
STANDING PINE(名古屋) 2019年6月15日〜7月6日 イタリア人画家、ジャンフランコ・ザッペティーニさんの個展会場は、おおよそ白や青、赤の単色絵画が整然と並び、静謐な空気で満たされていた。1939年、ジェノヴァ生まれ。現在もキアーヴァリで制作を続け、80歳になろうかという年齢である […]
「実は映像作家というより、画家の仕事として映像を作っている」。この日、石田尚志さんが話した一つのテーマは、石田さんが軽やかにコンピューターを駆使する映像作家というよりは、絵画を出発点に映像へと進んだ作家だという点だ。 幼いころから、ひたすら絵を描いていた石田さんは「幼稚園のときの絵が僕の人生の中 […]
記念講演「谷口吉生—美術館を語る」 リニューアルオープンした豊田市美術館で2019年6月15日、美術館を設計した建築家、谷口吉生さんの記念講演「谷口吉生—美術館を語る」が催された。 抽選で選ばれた約150人が聴講。村田真宏館長が聞き手となり、丁寧に谷口さんの豊田市美術館への思いや建築思想を尋ねた […]
6月14日の朝日新聞朝刊が、慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画「主戦場」が異例のヒットとなっている状況を特集記事で伝えている。 名古屋で4月末から5月中旬にかけて公開した名古屋シネマテークでも、7月6日〜8月2日に再映する。単館系で公開された時から反響を呼び、シネマテークでも観客があふれた。 […]
「俺が代」「日本国憲法を踊る」の凄み—愛知県芸術劇場 この春、名古屋で見た舞台でどうしても書きたくなったのが、平成時代の終わりに当たって4月中旬から5月上旬にかけ、「さよなら平成ツアー」と題して名古屋、東京、沖縄で再演された劇団「かもめマシーン」の「俺が代」である。主宰の萩原雄太さんは、2013年 […]
愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品の最新第28作、小田香監督の「セノーテ」(2019年、75分、デジタル)が2019年6月16日、同センターのアートスペースAで初公開された。神秘的な水中と充溢した光芒、洞穴奥の影、マヤ文明に淵源をもつ人々の姿や暮らしが紡ぎ出される美しい映像。会場 […]
「日本人ほど近い存在のものを過小評価する民族はいないんですよ。目の前に素晴らしい宝の宝石があっても気づかない。それなのに、外国から入ってくると途端に価値があるように思ってしまう」。この言葉は、地元のコメを海外に売り込み、特産品に押し上げた石川県羽咋市役所の職員の言葉だ(読売新聞2013年5月17日) […]
水上旬の60、70年代 ここでは、これまでほとんどまとまった分析がなされていない水上旬の1960、70年代を本人への聞き取り調査を元に記述する。ハプニング(行為、リアクション)、THE PLAY(以下、プレイ)の活動、「もの派」に対して言語を駆使した「かみ(紙)派」または「ニル派」の観念芸術、メー […]
愛知県美術館で6月23日まで開催されているリニューアル・オープン記念全館コレクション企画「アイチアートクロニクル1919-2019」の記念座談会「公立美術館と地方の反芸術」が2019年6月8日、名古屋・栄の愛知芸術文化センターで開かれた。同館主任学芸員の石崎尚さんに小松健一郎さん(北九州市立美術館 […]
AIN SOPH DISPATCH(名古屋) 2019年5月25日〜6月8日 阿部さんと言えば、発泡バインダーで日常的な物を写し取り、表面や形態を立体コピーとして再現する作家という印象が強かった。 鷹野健さんとのユニットで、それを大型化し、家屋一軒を青焼きのような青っぽい被膜で複写し、剥がし […]
二〇〇七年十一月、東京国立近代美術館地階の講堂で、美術評論家連盟主催のシンポジウム「超資本主義への疾走 中国現代美術の過去と未来」が開かれた。当時、さまざまな美術系メディアで現代美術のバブル的な状況が指摘される中、シンポジウムからは、その中心的舞台・中国で展開する経済主導型文化開発の生々しい一端が浮 […]
名古屋の美術家水上旬と、松澤宥との最初の接点は、長良川河畔や岐阜市民センター(金公園)を会場に、岐阜アンデパンダン・アート・フェスティバルが開かれた一九六五年八月である。 既に六〇年代初頭から京都や名古屋でハプニングを展開していた水上も、岐阜の前衛芸術グループ「VAVA」がオーガナイズしたこの地 […]
岐阜県高山市出身の彫刻家、遠藤利克さんの「平成十八年度芸術選奨文部科学大臣賞」受賞を記念する講演会が二〇〇七年九月二十九日、名古屋市の名鉄ニューグランドホテルで開かれた。主催は、遠藤さんの母校である名古屋造形大学・短大(遠藤さんは、名古屋造形芸術短大彫刻科を一九七二年に卒業)の関係者らでつくる実行 […]
2019年3月に発表された第63回岸田國士戯曲賞の選評を、主宰する白水社が発表した。受賞作「山山」を書いた松原俊太郎さんは、第15回AAF戯曲賞(愛知県芸術劇場主催)を「みちゆき」で受賞し、作品が2016年、劇団「地点」の三浦基さんの演出によって同劇場で上演された。地点は17年、松原さんの長編「忘 […]
日経新聞二〇〇九年九月五日付の記事「邦画のセオリー変える」は読み方によっては、かなり辛らつな内容に思える。 「芸術性の追求より観客の満足感優先」。そんな見出しが躍る記事自体は、テレビの連続ドラマを映画化するだけの製作手法にクギを刺したよくある内容のものだが、当のテレビ局プロデューサーが「いわゆる […]
というのも、モーセはエジプト人であり、したがって彼は、そのアイデンティティの内部で夥しいまでに数多くの事どもがそうしたアイデンティティに抗い、その結果、アイデンティティが傷つき、そしてついには、かかるアイデンティティという内部を創りあげた当の本人であるにもかかわらず、おそらくは、彼に対する凱歌の声さ […]
ギャラリーA・C・S(名古屋) 2019年5月11日〜5月25日 長谷川哲さんの作品は、コピー機を使った独自の過程で制作される。風景などのモノクロ写真を撮り、プリントした後、改造したコピー機にかけ、トナーの黒粉が定着せず未だ浮いている段階で、へら状のものなど様々な道具によるストロークとともにトナー […]
序 沈黙について 「豊穣なカオスから眼覚めるコスモスへの渇望を僕の喉に啓へた熱い沈黙の画家へ」。古びた詩集の表紙をめくると、いくらか鋭角的な文字でこう書かれてある。今からちょうど五十年前の1955年5月、最初で最後の詩集を発表した若き詩人、前田耕(1935年、名古屋市生まれ)が、その一冊を親友だっ […]