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小田香監督に第1回大島渚賞

 ぴあフィルムフェスティバル(PFF)の公式サイトによると、「セノーテ」(2019年)、「鉱 ARAGANE」(2015年)などで知られる小田香監督に、PFFが主催する第1回大島渚賞が贈られた。「セノーテ」は、愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品である。小田監督の関連記事は、プラスキューブ 小田香「メモリーズ・イン・セノーテ」第24回アートフィルム・フェスティバル 特集 映像人類学をめぐる旅、小田香監督の映画「セノーテ」初公開 死者と出会うマヤの水源。

小田香

 「松竹ヌーベルバーグ」を生み、独立プロダクションを設立して話題作を連打、カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞するなど大きな足跡を残した大島監督にちなんで、新鋭監督を称える。大島監督は、世界を視野に活躍、毎年、PFFに応募された8ミリ映画を大量に見て、次世代を応援し続けた。大島渚監督は、二十歳のとき、ハンセン病と闘った歌人・明石海人(1901~1939年)の「深海に生きる魚族のように、自らが燃えなければ、何処にも光はない」という言葉と出合って座右の銘とし、墓碑銘にした。

 賞は、自ら世界に挑戦し、新しい道を切り拓こうとしている若い映画監督に、この言葉を添えて贈る。 同サイトによると、映画の新しい才能を<発見>する「PFFアワード」、その才能を<育成>する「PFFスカラシップ」、そしてその先、その才能をさらに世界へ<飛躍>させるための賞が「大島渚賞」である。大島渚監督が高い志を持って世界に挑戦していったように、それに続く次世代の監督を、期待と称賛を込めて顕彰するという。

 選考対象は、日本で活躍する映画監督(劇場公開作3本程度)で、原則として前年に発表された作品がある人。審査は、毎年、国内外の日本映画に造詣の深い映画祭ディレクターやプログラマー、映画ジャーナリストなど、多様な国、年齢、キャリアの映画人からの推薦により、候補5監督を選出。その中から審査員が授賞者1名を決定する。

小田香

 審査員長は、音楽家の坂本龍一さん。審査員は、映画監督の黒沢清さんと、PFFディレクターの荒木啓子さん。

 大島渚監督は、1932年京都府生まれ。54年京都大学法学部を卒業し、松竹に助監督として入社。59年『愛と希望の街』で監督デビュー。『青春残酷物語』『日本の夜と霧』などで新鮮な技法を見せ一躍脚光を浴びる。61年松竹を退社し、独立プロ「創造社」を設立。以後、『日本春歌考』『絞死刑』『少年』『儀式』などを監督した。75年「大島渚プロダクション」を設立。76年日仏合作映画『愛のコリーダ』が海外で高い評価を得て、78年『愛の亡霊』で第31回カンヌ映画祭の最優秀監督賞を受賞。その他に『戦場のメリークリスマス』『マックス、モン・アムール』などの海外合作映画も発表した。99年『御法度』を制作。01年フランス芸術文化勲章を授与。13年に80歳で永眠した。79年から88年まで「ぴあフィルムフェスティバル」の審査員を務めた。

小田香
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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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