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KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2025 プログラム発表 2025年10月4–26日に開催

©︎小池アイ子

分断へのささやかな抵抗目指す

 「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2025」が2025年10月4~26日、ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、THEATRE E9 KYOTO、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、伊藤記念図書館(京都市立芸術大学附属図書館)、京都市左京東部いきいき市民活動センター、CLUB METROなどで開催される。  

 KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭は、2010年から開催されている京都発の国際舞台芸術祭で今年で16 回目。

 国内外の「EXPERIMENT(エクスペリメント)=実験」的な舞台芸術を創造・発信し、芸術表現と社会を新しい形の対話でつなぐことを目指している。

 演劇、ダンス、音楽、美術、デザインなどジャンルを横断した実験的な表現が集まり、そこから生まれる創造、体験、思考を通じて、舞台芸術の新たな可能性を開く。

 KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2025 は、松尾芭蕉の俳句から引いた「松茸や知らぬ木の葉のへばりつく」がキーワード。

 松茸に松ではない知らない木の葉がくっついている、という意の芭蕉の俳句からは、未知や違和感との出会いと共存のあり方が示唆される。実験的な舞台芸術を通して違和感やノイズを肯定的に捉え、分断へのささやかな抵抗とすることを目指す。

 今回も、関西地域をアーティストの視点で探究し、未来の創造的な土壌を耕していくためのリサーチプログラム「Kansai Studies」、世界各地の実験的な舞台芸術を紹介する上演プログラム「Shows」、実験的表現とそれが生まれる背景や、いまを考えるトピックを扱うワークショップやトークが体験できるエクスチェンジプログラム「Super Knowledge for the Future [SKF]」の 3 つのプログラムで構成される。

開催概要

会期:2025年10月4日(土)–10月26日(日)
会場: ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、THEATRE E9 KYOTO、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、伊藤記念図書館(京都市立芸術大学附属図書館)、京都市左京東部いきいき市民活動センター、CLUB METROほか
主催:京都国際舞台芸術祭実行委員会 [京都市、ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)、京都芸術大学 舞台芸術研究センター、THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)]、一般社団法人KYOTO EXPERIMENT
公式サイトhttps://kyoto-ex.jp/

Kansai Studies(リサーチプログラム)

 京都発の国際舞台芸術祭として、フェスティバルが立脚する「地域」について自覚的に捉え、フィールドワークを通して探求するプログラム。

 アーティストが中心となり、地域住民やプロデューサー、研究者と一緒に京都や関西の文化を継続的にリサーチする。

 活動を通じて生まれた思考の軌跡やプロセスは特設ウェブサイトに蓄積され、誰もがアクセスできるオンライン図書館として公開。未来のクリエイターや企画のためのナレッジベースや実験場、アイデアソースとなることを目指す。

リサーチャー:おおしまたくろう[京都(日本)]
ノイズ・ミュージックさがしてー超洛外でのフィールドレコーディング/異世界への綻び
日時:10.4(土)–10.26(日)10:00–20:00
会場:京都芸術センター ギャラリー北・南

©おおしまたくろう

 2025年度のリサーチャー、サウンドコンシェルジュのおおしまたくろうは、身近な道具を改変した楽器でパフォーマンスを展開。ユーモアによって社会をマッサージすることを企むアーティストだ。
 今回は、ノイズ・ミュージックという言葉のもつ矛盾した響きに着目して、ノイズ混じりな人間のあり様を調査。動物や人工物にとっての京都を「超洛外」と名づけ、彼らの視点を借りるための自作の音響装置を用いて、超音波や電磁波のフィールドレコーディングを行い、“異世界との裂け目から漏れ出る綻びの音” を採集する。
 フィールドワークの様子はnote にて順次公開中。また、リサーチの活動報告としての展示とイベントを、フェスティバル会期中に京都芸術センターで開催する。

Shows(上演プログラム)

 世界各地から先鋭的なアーティストを迎え、いま注目すべき舞台芸術作品を上演するプログラム。京都および関西における舞台芸術の変遷と動向に注目しながら、ダンス、演劇、音楽、美術といったジャンルを越境した実験的作品を紹介する。

参加アーティスト[上演順]

Photo by Elina Giounanli

[ パフォーマンス・展示|ベイルート(レバノン)、ニューヨーク(アメリカ)]
電力と権力を探して 日本初演
[パフォーマンス]
10.4( 土)15:00
10.5( 日)13:00 / 18:00
10.6( 月)14:00
10.7( 火)13:00
10.8( 水)13:00
10.9( 木)13:00
上演時間:75 分
言語: 英語(日本語通訳あり)
[展示]
10.11(土)–11.16(日)10:00–18:00
休館日:10.27(月)、11.4(火)、11.10(月)
会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
 
レバノンの停電問題と権力の闇を告発する、愛と復讐の宴がはじまる
 中東の小国レバノンが、数十年間に及ぶ電力危機とこれに端を発する政情不安に見舞われてきたことをご存知だろうか。国から配給される電力は1 日わずか数時間のため、国民は独自の解決策に頼らざるをえない。状況は2020年の金融破綻や昨今のイスラエルによるレバノン侵攻によって悪化の一途をたどるばかりだ。
 レバノン内戦下(1975–90)に生まれたターニヤ・アル゠フーリーと歴史家の夫、ズィヤード・アブー・リーシュは、ある停電の夜、この問題の根源を解明するプロジェクトに乗り出した。本作は「謎解きをするには最高のカップル」と自ら語る二人が見つけた事実を、観客参加型のレクチャー・パフォーマンスで告発していくものだ。
 ある祝いの夕べへ誘われる参加者たち。供されるのは、複数の国で収集した公文書や記録文書の数々だ。これまで隠蔽されてきた資料を含むこれらは、レバノンの電力インフラと旧宗主国や欧米間の覇権争い、マネーゲームをめぐる歴史の闇の痕跡。ひとつずつ手にとって見ていくことで、観客自身もこの歴史の継承者となっていく。上演後の空間はインスタレーションとして保存され、会期終了まで一般公開される。

中間アヤカ

撮影:阪下滉成

[ダンス|神戸(日本)]
Hello, I’m Your New Neighbor. /こんにちは、今日からお隣さんです。< 翔んで京都編> 再制作
10.4( 土)15:30
10.5( 日)11:00
10.7(火)15:30
10.9(木)14:30
10.10(金)16:30
10.11(土)11:00
10.12(日)11:00
会場:京都市内
上演時間:60分(予定)
 屋外を歩きながら参加するツアー型作品。開演時間に遅れた場合、参加できない。雨具、歩きやすい服装、熱中症対策など各自準備。雨天決行。

“ご近所さん” の距離感でまちを見つめる歩行パフォーマンス。
 庭で他者の記憶を踊る4 時間のソロダンス、空き地に仮設劇場を建てて、踊り、解体するまでを見届けるプロジェクト。
 中間アヤカは舞台と観客の境界線をゆるやかにしながら、「ダンスとしか呼ぶことのできない現象」が自身と他者の間に現れる瞬間を大切に描き出してきた。今回は2024年に神戸・新長田で、自身のスタジオのお披露目イベントとして行った「歩行パフォーマンス」の京都出張編を上演。京都市内を観客と共にツアー形式でおさんぽ。
 “お隣さん” に引越しのあいさつに行くような親しみを込めて地域をめぐり、歩行の周辺にある出来事をダンスとして立ち上がらせていく。 
 劇場はともすると閉鎖的で、個々に完結しているようにも見えるけれど、演じる人がそこにいる時間、観客が向かう途中、帰り道に、目に見えない作用を周囲に及ぼしている(はず)。そこに「歩くこと」でするりと分け入っていく中間の試みは、小さな点と点を結んで地図や星座を描くことに似ているのかも。

バック・トゥ・バック・シアター

Photo by Jeff Busby

[演劇|ジーロング(オーストラリア)]
いくつもの悪いこと 日本初演
10.4(土)17:00
10.5(日)15:30 ★
★ポスト・パフォーマンス・トーク
会場:ロームシアター京都 サウスホール
上演時間:60 分
言語:英語(日本語・英語字幕あり)
*15 歳以上推奨
 
悪夢か予言か、ホラーコメディか? 差別と悪意が渦巻く職場へようこそ
 知的障害やニューロダイバーシティ(神経多様性)* を自認するパフォーマーを中心とする劇団として、30年以上活動してきたバック・トゥ・バック・シアター。鋭い批評性、挑発的な演目で世間の前提を揺さぶってきた彼らは、2024年のヴェネチア・ビエンナーレ演劇部門で金獅子生涯功労賞を受賞! その興奮冷めやらぬなか、2 年ぶりにKYOTO EXPERIMENT で新作を上演する。
 ここは“世界の果て” にある倉庫。暗雲が垂れ込め、不穏な音が鳴り響くなか、3 人の労働者が奇妙にねじれた建造物を組み立てている。
 そんな彼らを監視する1 人の男。一見すると「多様性や平等を重んじる職場」だが、疲労や気づかいの限界が近づくと状況は一変。ジェンダーや個の尊重は失われ、互いの偏見や差別、支配欲が露見しはじめる。エスカレートする悪行、自己正当化に満ちた怒声で世界が歪んでいく今、次にスケープゴートになるのは誰かー?
 意外な結末が待っているものの、彼らが「これは演劇です。現実ではありません」と主張するのがめっぽう怪しい。これは既に現実で起こったこと? それとも近い将来の予言めいた黙示録?
 
 *脳や神経、またはそれに起因する個人の特性の違いを多様性と捉え、尊重しあう考え方。発達障害のひとつである自閉症の当事者による市民運動として発展した経緯がある。

Photo by Mark Teh

[演劇|クアラルンプール(マレーシア)]
トゥアの片影 日本初演
10.4(土)18:30
10.5(日)13:00 ★/ 17:30
★ポスト・パフォーマンス・トーク
会場:ロームシアター京都 ノースホール
上演時間:75 分
言語:英語・マレー語(日本語・英語字幕あり)
 
マレーシアの伝説的英雄に見る ロマンと神話とナショナリズム
 現代マレーシアを代表する演出家でキュレーター、研究者のマーク・テが、自国の現代史の影を描いた演劇『Baling ( バリン)』以来、9 年ぶりに京都で公演。最新作はマレーシアで育った人なら誰もが知っている英雄「ハン・トゥア」の複層的な実体がテーマだ。
 15世紀、マラッカ王国の黄金時代に活躍したとされる戦士トゥアは主君への忠誠心や勇敢さで知られ、時を経た今日ではマレー民族主義のシンボルへと変貌した。道路やスタジアム、コーヒーにトゥアの名が冠され、数多の映画や書籍で描かれてきたことでもおなじみだ。
 マーク・テと彼が協働するパフォーマー、デザイナー、研究者のチームは、この英雄のイメージが歴史のなかでいかに変容し、時に国家の神話づくりに利用されてきたかを、各地に残るトゥアの痕跡をたどりながら探求。マルチメディアと楽曲を駆使し、時を超えた壮大なドキュメンタリー・パフォーマンスとして編み上げた。巡った土地はバリ島からロンドン、沖縄まで。
 トゥアは本当に実在したのか、虚像なのか。ヒーローか、イデオロギーの体現者か。歴史的英雄になる方法とは?あなた自身の目で、その答えを探してほしい。

村川拓也

© 朝日克俊『テニス』

[演劇|京都(日本)]
舞台版『テニス』 新作
10.9(木)16:00
10.10(金)14:00 ★
10.11(土)14:00 / 18:00
10.12(日)14:00
10.13(月・祝)12:00
★ポスト・パフォーマンス・トーク
会場:京都市左京東部いきいき市民活動センター
上演時間:80 分(予定)
言語:日本語(英語字幕あり)
 
「テニスコート」という舞台装置が若者の群像を映し出す
 舞台上のテニスコートでテニスをしたり、他愛のない会話を楽しむ学生たち。若者特有のにぎやかさと不意に訪れる暇な時間が混じった風景に被せるように、そのなかの数名に“実際に” 行ったインタビュー音声が流れる。ぽつりぽつりと語られる彼らの生い立ち、そして現在。思いがけず彼らの複雑な事情を知ることになる私たちは、その時何を思うだろうか。
 一方、コート上で朗らかに続いていくテニスの光景から何をみるだろうか。
 演劇と並行して学んだドキュメンタリー映画の手法を用いて、村川拓也は虚構とリアル、偶然性が作用しあうオルタナティブな世界を描いてきた。ドキュメンタリー映画『テニス』(朝日克俊監督)を原作にした本作は、自分と他者の間に横たわる近くて遠い距離を映し出す。
 公演会場は左京区岡崎にある市民活動センターの集会室。ごくありふれた日常と地続きの場所で、上演される。

筒井潤

[演劇|大阪(日本)]
墓地の上演
10.9(木)18:00
10.10(金)18:00
10.11(土)13:00
10.12(日)18:00
10.13(月・祝)15:00
会場:THEATRE E9 KYOTO
上演時間:180 分
言語:日本語(英語字幕あり)
上演中に観客との対話の時間がある
 
大文字の「国家の歴史」に抗う個人の戦争体験と記憶のアーカイブ
 戦後80年の今、舞台芸術はいかに戦争の記憶を継承し、他者との対話の場を拓きうるのか。公演芸術集団dracom を率いる筒井潤が、大阪市の旧真田山陸軍墓地をめぐるリサーチとヒアリングを重ねて2024年に発表した演劇『墓地の上演』は、その嚆矢となる実験的な試みだ。
 1871年に設置された国内最古にして最大の陸軍埋葬地には、軍と戦争に関わった人びとの約5000基の墓碑と5基の合葬墓碑、そして8000 以上の遺骨が納まる納骨堂がある。ここから殉国や英霊の大義とは対極にある「個人の記憶と記録」を掬い上げ、6つの短編を創作した筒井。時代は西南戦争後から現代まで。わたしたちは断片的ながら、個人史を通した近代日本の歩みを目撃することとなる。
 本作の上演構造は特殊で、短編の上演順は観客が引くクジで決定し、「観客参加の対話」の時間を挟んで、もう一度上演が行われる。それも各回5編のみが上演されるため、常に見落とされる物語が出てしまう。「語られ方」を恣意的にずらすことで、
観る人の印象を揺さぶっていく本作は、歴史における「語りの危うさ」への問題提起にもなることだろう。
 本作の初演は、京都芸術大学共同利用・共同研究拠点形成事業〈舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点〉2023年度テーマ研究「舞台芸術を用いた〈他者〉との対話の場の構築と継続―旧真田山陸軍墓地を巡る二つの創作を通して」(研究代表:岡田蕗子)の劇場実験にて、上演された。

荒木優光

Artwork by 荒木 綸

[音楽・パフォーマンス|京都(日本)]
ノー・ボンチ(ファストリサーチスクラッピング) 新作
10.10(金)18:00 ★
10.11(土)16:00
10.12(日)16:00
★ポスト・パフォーマンス・トーク
会場:ロームシアター京都 ノースホール
上演時間:60 分(予定)

自転車都市・京都を音で体感。「サイクリングサウンドシアター」
 フェスティバルの柱のひとつである地域のリサーチプログラム「Kansai Studies」。この過去のアーカイブと1970年代末のN.Y. におけるアンダーグラウンドな音楽ムーブメントに触発され、独自のフィールドワークを元にした新作を発表する荒木優光。
 今回はコンパクトな都市・京都の日常に欠かせない自転車に着目し、独創的な「サイクリングサウンドシアター」を立ち上げる。
  “ファストリサーチ” と自ら名付けた短期リサーチにより、自転車の機能や構造、京都における移動性やポテンシャルを引き出していく荒木は、これらを即興的・身体的なアプローチでスクラップしながら楽曲を創作していく。一方で、自転車を活用したサウンドデバイスを新たに開発。動力源となる漕ぎ手によるパフォーマンス、街や人の声、路上からの中継が、混沌としながらも共鳴していくライブを通して、現代都市・京都のエネルギッシュで実験的なサウンドスケープを体感してほしい。

アダム・キナー & クリストファー・ウィレス

撮影:吉本和樹 提供:京都市立芸術大学

[パフォーマンス|モントリオール(カナダ)]
MANUAL
10.13( 月・祝 )–10.22(水)
12:00 / 12:20 / 12:40 / 13:00 / 13:20 / 13:40 / 14:00
14:20 ◎ / 15:40 / 16:00 / 16:20 / 16:40 / 17:00
17:20 / 17:40 / 18:00 / 18:20 / 18:40 / 19:00
受付開始は各日11:30 より。集合時間は各回開演の10 分前。
会場:伊藤記念図書館(京都市立芸術大学附属図書館)
上演時間:45分
言語:日本語(◎の回は、英語での上演)
各回定員1名。14歳以下入場不可。
 歩きながら参加する作品。イヤフォンの装着やテキストを読む場面がある。観客と近い距離でパフォーマンスが行われる。

知と感性の交差点「図書館」の時空を旅するパフォーマンス
 共にカナダを拠点に、公共空間におけるサウンドと観客参加に焦点を当てた領域横断的な作品を手がけてきたアダム・キナーとクリストファー・ウィレス。二人の共同作品『MANUAL』は世界各地の図書館を舞台に、一人のパフォーマーが一人の観客のために上演する親密なパフォーマンス作品だ。
 今回の舞台は、2023 年に京都駅東にキャンパスを移転した京都市立芸術大学の伊藤記念図書館(附属図書館)。2 人は関西を拠点とするアーティストと共創しながら、今ここでしか出会えない特別な時間と空間を立ち上げていく。
 指定された場所で待ち合わせた観客とパフォーマー(案内人)は、館内をそっと探検しながら、共に本を眺めたり、読んだり、イヤフォンから流れる音に耳を澄ませていく。深く集中するほどに鋭敏になる五感、高まる没入感。施設の日常と交錯しながら秘密裏に、スリリリングに進む一連の体験は、「感覚をひらく場」としての図書館を自分自身の手で再発見していく試みなのかもしれない。

ALKDO / アルコド、 MARJINAL、Radigals

[ 音楽|豊田(日本)・ジャカルタ(インドネシア)・シンガポール]
Punk and Beyond
会場:CLUB METRO
[ライブパフォーマンス]
10.18(土)16:00
10.19(日)18:00
上演時間:180分(予定)
*12 歳以下入場不可。オールスタンディング形式で、座席はない。チケット料金のほか、入場時に、1drink (¥600) が当日別途必要。
[トーク&上映会]
10.16(木)17:00
チケット料金のほか、入場時に、1drink (¥600) が当日別途必要。
プログラム 1
トークイベント :「京都とパンクおよび日本のパンクの歴史」(17:00-18:15)
ゲスト:マーフィー・マハン(京都大学法学研究科准教授)
司会 : 川上幸之介(倉敷芸術科学大学芸術学部准教授)
プログラム 2
上映会 & トーク:「東南アジアのパンクのあり方」(18:30-21:30)
トークゲスト : 居原田遥(京都芸術大学大学院芸術専攻講師)、高崎英樹(BRONZE FIST RECORDS 主宰)
司会 : 川上幸之介(倉敷芸術科学大学芸術学部准教授)
上映作品 :『このシーンはわたしたちのものでもある!』
(原題 : Ini Scene Kami Juga!、監督 : ヘラ・マリー、日本語字幕 : 徳永リサ、68 分)
インドネシアの女性パンクス 14 人が語り尽くすドキュメンタリー。
『Punk Save the Queen』(監督 : 久保田徹、20 分)
2021 年の軍事クーデター以前のミャンマーで活動するパンクを追ったドキュメンタリー
『Anarchy in the Philippines』(監督 : ジェス・コール、8 分)
フィリピンのパンクを追ったドキュメンタリー。
『Female Ego』(監督 : ラッセ・ネヴァラ、4 分)
ネパールの女性パンクを追ったショートドキュメンタリー。

社会運動としてのパンク音楽にライブ公演&映像で迫る
 反体制、社会批判、アナーキズム、DIY。1970 年代に興隆し、世界的なムーブメントとなったパンクカルチャーを演劇やダンスのように多面的な表現形式、あるいは社会運動と捉え、日本を含むアジア圏のパンクミュージックにおける独自の文脈と現在地を追う企画。注目のバンド 3 組によるライブと、主に東南アジアのパンクスを追ったドキュメンタリー映画を一挙に上映するイベント&豪華トークの 2 つの軸で展開する。
 公演を行う海外勢は、アジア有数の盛り上がりを見せるジャカルタのパンクシーンの代表格で、ストリートキッズや貧困層に生活の場を提供し、共にアート活動を行う「MARJINAL」、シンガポール発の女性バンドで、フェミニズムに根ざした力強いメッセージを放つ「Radigals」。日本からは、橋の下世界音楽祭の代表を務める永山愛樹によるアコースティック・パンクデュオ「ALKDO / アルコド」が登場。鮮烈なサウンドに乗せて発せられる、貧困や抑圧など社会問題に対する怒りや不満、行動を促すメッセージにも注目したい。専門家によるトークでは、歌詞の言語性やソーシャルな試みなど、アジア特有の社会状況を反映する音楽性と活動の広がりについても考察していく。
      共同キュレーション:川上幸之介(倉敷芸術科学大学芸術学部准教授)

倉田翠 / akakilike

撮影:前谷 開

[ダンス|京都(日本)]
病癒えし者の着色された魚への聖なる感謝の歌 新作
10.17(金)18:30
10.18(土)13:30
10.19(日)15:00 ★
★ポスト・パフォーマンス・トーク
会場:京都芸術劇場 春秋座
上演時間:70分(予定)
言語☞ 日本語(英語字幕あり)

食の幻想に支配されない自由な身体はあるのか?
 食や健康についての情報があふれる現在、「何を食べるべきか」という基準はとても曖昧だ。時代や環境によっても変わるし、メディアやブームに左右されることもある。絶対的なものなどないはずなのに、私たちはなぜ世間でなんとなく「正しい」とされている思考に振り回され、身体をコントロールしなければならない気がするのだろう。どんなに他者と相容れない食の嗜好を持っていても、誰かと共に食卓を囲みたいと願ってしまうのだろう。徹底的にフィクションでありながら、常に現実の自分自身と社会の間にある問題をダンスへ結実させてきた倉田翠の新作は、玉石混交の現代の「食自論」とその可笑しみを浮き彫りにしていく、フィクショナルで実験的な試みだ。
 倉田と共に舞台に立つのは、俳優と彫刻家、喫茶店の店主の3 名。彼らは公演前の約2 ヵ月間、日常の食習慣を少しズラし(好きなものを我慢したり、ちょっと偏った食べ方をしたり)、そのズラされた身体のまま舞台へ上がる。社会や自身が定義する「正
しい食」から切り離され、無意味なアクションを課せられた彼らの身体が織りなす、不協和音のような四重奏は何を語りかけてくるだろうか。

マルタ・ルイサ・エルナンデス・カデナス

©Joanna Montero

[演劇|ハバナ(キューバ)]
私はユニコーンではない 日本初演
10.24(金)16:00 ★
10.25(土)18:00
10.26(日)18:00
★ポスト・パフォーマンス・トーク
会場:京都芸術センター 講堂
上演時間:40 分
言語:スペイン語(日本語・英語字幕あり)
*14 歳以上推奨

ジェンダーの連帯と抵抗のシンボルとしてのユニコーン
 伝説の美しき一角獣ユニコーン。その気高さと純粋さからLGBTQ の象徴としても知られる聖獣は、見る人によっては可愛いキャラクター、または奇形や蔑みの対象となるかもしれない。こうした複層的なイメージを持つユニコーンに、父権性が強く残るキューバで抑圧されてきた女性や性的マイノリティ、彼らのユートピアを重ねたのが、詩人で劇作家、パフォーマーのマルタ・ルイサ・エルナンデス・カデナスだ。「わたしはユニコーンではない」を意味する逆説的なタイトルの下、カデナスは自らの身体と映像、パーソナルな記憶、ファンタジーを織り交ぜながら、自由を希求する叙情詩を紡ぐ。
 「わたしの角は奇形ではない。わたしの愛は奇形ではない。わたしの裸は奇形ではない」。鮮烈な詩に導かれる物語は、アイデンティティとしての角を獲得したユニコーン(仮面を被ったカデナス) が、首都ハバナを彷徨う映像からはじまる。並行して舞台上では、カデナスがユニコーンのオブジェを並べ、ひとつの世界を築いていく。全編を貫くのはユニコーンたちへの鼓舞と連帯のメッセージ。ここ日本の声なき声とも、きっと共鳴することだろう。

Jang-Chi × 李 銘宸(リー・ミンチェン)× ネス・ロケ × 温又柔

Photo by Grace Lin © 2024 TPAC.

[演劇|東京(日本)・台北(台湾)・マニラ(フィリピン)]
クルージング:旅する舌たち 日本初演
10.24(金)19:00
10.25(土)15:00 ★
10.26(日)15:00
★ポスト・パフォーマンス・トーク
会場:ロームシアター京都 ノースホール
上演時間:60分(予定)
上演言語:日本語、英語、フィリピン語、台湾華語、カパンパンガン語、台湾語(日本語・英語字幕あり)

海を越えて混ざり合う食と言語をめぐる記憶の旅へ
 アジアの島々を群島と捉え、台北アーツフェスティバルが実施するリサーチプログラム「Cruising」。2024 年は日本・フィリピン・台湾を拠点とするアーティスト4 名が「食」をテーマに、文化やアイデンティティの多層性、混交性に着目したリサーチを台北と関西で行った。そこから豊かに実ったパフォーマンス作品を、台北に続き京都で上演する。
 メンバーはアーティスト・コレクティブ「オル太」メンバーのJang-Chi、台北拠点でパフォーマンスとビジュアル・アートを横断した活動を行う李銘宸、フィリピン出身の俳優・ドラマトゥルクのネス・ロケ、台湾生まれで日本語で小説を執筆する温又柔。それぞれの母語とそうでない言語が飛び交う舞台では、さまざまなトピックが旅していく。話題は太古の島々の発酵食から、互いの言語や翻訳にまつわるエピソード、大切な味の記憶まで。やがてキッチンでもある舞台で、できあがるものとは。

Echoes Now

©竹内敦子(XS)

Super Knowledge for the Future [SKF] ( エクスチェンジプログラム)

 アーティストは未来を予見する!?  実験的な舞台芸術作品と社会を対話やワークショップを通してつなぎ、新たな思考や対話、フレッシュな問題提起など、未来への視点を獲得していくプログラム。
 実験的表現が映し出す社会課題や問題をともに考え、議論し、現代社会に必要な智恵や知識を深めていく。ここで獲得できるスーパー知識 ( ナレッジ) は、予測不能な未来にしなやかに立ち向かうための拠り所となる。

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