ホー・ツーニェン『ヴォイス・オブ・ヴォイドー虚無の声』展 10月に京都で開催

VR映像の一部 Courtesy of Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM]

ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声(YCAM とのコラボレーション)

 2019年のあいちトリエンナーレで、「喜楽亭」(愛知県豊田市)での映像インスタレーション「旅館アポリア」が注目されたホー・ツーニェンの「ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声」が、2021年10月1〜24日に開催される「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 AUTUMN」で公開される。

 「ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声」は、山口情報芸術センター[YCAM]で、2021年4月3日〜7月4日、初公開された。今回は、KYOTO EXPERIMENT のプログラムの一環で、YCAM とのコラボレーションとして展示される。入場無料。

 京都学派をテーマにした今回の展示は、「旅館アポリア」とも関係が深く、また、10月23日〜2022年1月23日には、豊田市美術館でホー・ツーニェン展が開催される。

 ホー・ツーニェンの日本の歴史をテーマとした一連のプロジェクトは、「旅館アポリア」、 「ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声」 に続き、豊田の展覧会で締めくくられる。

 2019年に「旅館アポリア」を鑑賞し、この秋、豊田市美術館でのホー・ツーニェン展を楽しみにしている向きには、 「ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声」 も必見である。

 豊田市美術館のホー・ツーニェン個展の詳細は、こちら

 なお、 「旅館アポリア」 については「あいちトリエンナーレ対談 ホー・ツーニェン×浅田彰」も参照。

  京都での「ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声」展 の会期は10月1日〜 24日の10:00から20:00まで(10月1日は22:00まで)。京都芸術センターのギャラリー南、大広間、和室「明倫」、制作室4などに映像を展開する。

 ホー・ツーニェンは、歴史的、哲学的なテクストや素材を基に、映像作品や演劇的パフォーマンスを発表している。近年は、東南アジアの近現代史につながる第二次世界大戦期の日本に関心を広げる。

 その新作が、「京都学派」( 西田幾多郎[1870 ~ 1945年] や田辺元[1885 ~ 1962年] を中心に京都帝国大学で形成された知識人のグループ) をテーマにした今回の映像/ VR インスタレーションである。

 京都学派の4 人の思想家が真珠湾攻撃の直前、1941年11 月末に京都・東山の料亭で行った座談会の記録と、同時代の関連テクストや証言を読み解く。

 結果として、太平洋戦争を思想面で支えたと批判も受ける京都学派だが、歴史の単純化や、論理の糾弾をしたいわけではない。むしろ、3Dアニメーション、日本のアニメの美学を融合させたVRによって、 鑑賞者をアニメーションの登場人物へと同一化させながら、「歴史の再演」を目撃させるのである。
 会場は明治初期に開校し、1931年に改築された旧小学校。「過去からの声」を蘇らせるための格好の舞台装置となるに違いない。

ホー・ツーニェン

 シンガポール生まれ。さまざまな歴史的、哲学的テクストや素材との出会いから出発して映画や映像作品、インスタレーション、演劇的パフォーマンスを制作している。
 近年の作品では、トラ人間 (《一頭あるいは数頭のトラ》、2017年)、三重スパイおよび裏切り者 (《名のない人》、 2015年 と《神秘のライ・テク》、2018年) といった変容する登場人物たちを扱っている。
 2011年ヴェネツィア・ビエンナーレのシンガポール館での個展をはじめとして、多くの国際的な美術展や舞台芸術祭、映画祭に招待されている。

ヴォイス・オブ・ヴォイド展 トークシリーズ①アーティスト・トーク

 10月3 日(日) 13:00–14:30、京都芸術センターミーティングルーム2で、アーティストトークがある。参加無料。

 ホー・ツーニェンさんと、 YCAMでの「ヴォイス・オブ・ヴォイド」展キュレーターを務めた吉﨑和彦さんをゲストに迎え、展示について語ってもらう。
 ただし、ホー・ツーニェンさんは、オンライン登壇の可能性がある。

 参加予約は8月10日午前11時から。

ヴォイス・オブ・ヴォイド展 トークシリーズ②身体論的にひもとく西田哲学について

 10月9日 (土) 13:00–14:30には、京都芸術センターミーティングルーム2で、 京都大学大学院文学研究科教授の上原麻有子さん(日本哲学史)が、「ヴォイス・オブ・ヴォイド」展の主要テーマである「京都学派」の思想と哲学の本質、背景について、西田哲学の身体論と芸術の接続点から解説する。参加無料。

 参加予約は8月10日午前11時から。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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