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イメージフォーラム・フェスティバル2022 愛知芸術文化センター(名古屋)で11月23-26日 ビー・ガン監督、フー・ボー監督の短編集も

ビー・ガン「壊れた太陽の心」

アンダーグラウンドの再想像

 映像アートの最新動向を紹介する「イメージフォーラム・フェスティバル2022」(イメージフォーラム主催、愛知県美術館共催)が2022年11月23〜26日、名古屋・栄の愛知芸術文化センター12階アートスペースA、EFで開かれる。

 36回目を迎える今年は、全15プログラムの76作品を上映。ほかにインスタレーション1作品が展示される。

チャイ・チャイベイ「銀幕」

 「アンダーグラウンドの再想像」と題し、1960年代カウンターカルチャーを象徴するアンダーグラウンドという言葉の現代性を考える。

 中でも、表現の自由が大幅に制限されている中国の新世代の映像を紹介するプログラム「⻘年特快:中国インディペンデント映画の新しい声とビジョン」は注目である。

 国際的に評価されるビー・ガン監督や、「象は静かに座っている」の故フー・ボー監督の短編集は人気を呼びそうである。

 東アジアを対象とし た公募部門「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティ ション」には、過去最多の461作品が応募。このうち24作品がノミネートされた。

 大賞受賞作の磯部真也「ユーモレスク」や、ビー・ガン「壊れた太陽の心」などを集めたプログラムなど、多彩な内容である。

タイムテーブル

チケット情報

・1回券 一般1,200円/学生800円/イメージフォーラム会員1,000円
・東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション6回券 4,800円
※当日券のみ。自由席・各回入替制。各プログラムは上映開始20分前に開場

G ⻘年特快:中国インディペンデント映画の新しい声とビジョン

 天安門事件以降に生まれた新世代が、現代の映画表現に新しい息吹を吹き込んでいる。中国映画の「今」と「これから」を見つめる6プログラム。

G1 失われた/見つけた故郷(5作品97分)

多方向への移動、ディアスポラ的な旅、中国内外における他者としての感性/語られない歴史と記憶について。
故郷を離れて暮らすアフガニスタンの老人が夜の街を彷徨し、個人史を語っていく『蘇りの夜』、ゲームエンジンで出力された仮想空間を通じて歴史的体験を再現、ポル・ポトによる虐殺から生き残った中国人生存者の記憶を語『海から森が伸びるまで』など5作品を上映。異国への旅の経験、語られなかった歴史、他者であるという記憶……。故郷を離れて漂白するものたちの魂を描く。
蘇りの夜  シエン・ディ / デジタル / 19分 / 2021年
僕は家から消えていく  リ・ウェイラン / デジタル / 16分 / 2020年
記憶への旅  ワン・クージン / デジタル / 18分 / 2021年
海から森が伸びるまで  リュウ・グアンリ / デジタル / 21分 / 2020年
微熱  ヂォン・ルーシンユェン / デジタル / 23分 / 2018年

G2 想起の技法(5作品114分)

アーカイブ映像、ニューメディア、サウンドスケープを駆使し、現在を記録し、過去を再構築する実験的かつ革新的な作品集。
アニメーション作家としても知られるレイ・レイは古い家族写真からインスピレーションを受け、子ども時代の思い出から『盧山日記』を完成させた。アンチモンの世界有数の産出地である冷水江を舞台にニュース映像を使って、時代を超えた物語を紡ごうとする『冷水江放送』、8ミリカメラを通して自分と母親の関係を描く『私を見つめ返して』など、様々な技法を駆使して描く個人の視点からのドキュメンタリー。
鞍山日記  トウ・シュウチ / デジタル / 28分 / 2021年
盧山日記  レイ・レイ / デジタル / 28分 / 2020年
冷水江放送  リュウ・グアンリ / デジタル / 27分 / 2019年
ユリシーズ  ツアオ・シュ / デジタル / 11分 / 2017年
私を見つめ返して  ホアン・シュリー / デジタル / 20分 / 2022年

G3 エクスペリメンタル・カレイドスコープ(5作品95分)

  ワン・トゥオ「審問」

新進気鋭の映像作家による最先端の実験志向の作品集。
エッジーな実験的アプローチの短編映像集。北京郊外で石像を彫る石工を詩的な視線で捉え、偉大な記念碑と 疲れ切った生身の肉体を対照的に描く『全ての動きが風を殺すはず』、中国共産党の審問官へのインタビューを フォトモンタージュにのせた『審問』、視覚を失った友人を主題に存在と距離についての思索を紡ぐ実験的ドキュメンタリー『遠ざかり』など、劇映画・ドキュメンタリー・アニメーションといった枠にとらわれない作品のセレクション。
朝嵐  ス・ジェハオ / デジタル / 18分 / 2018年
全ての動きが風を殺すはず  ワン・ユーヤン / デジタル / 12分 / 2019年
審問  ワン・トゥオ / デジタル / 19分 / 2017年
ワン・デイ  ジン・ジャン / デジタル / 24分 / 2020年
遠ざかり  ヂュ・ユンイー / デジタル / 22分 / 2021年

G4 出会いを詩に(5作品115分)

エメットジャン・メメット「すてきな冬」  

日常性、人間関係、日常生活の小さなドラマをテーマにした多言語映像作品と美的実験。中華系言語コミュニティーや中央とは異なる背景を持つ短編作品集。
現代のウイグルの生活を、ささやかなユーモアとともに描くカシュガル生まれで北京電影学院を卒業した監督エメットジャン・メメット。韓国映画アカデミーで制作し、ロッテルダム映画祭などで紹介されている『海辺のマリア』のタウビク・ニザミヂンなど、中華圏外のインディペンデント映画作家による作品を紹介するプログラム。
アレクス  エメットジャン・メメット / デジタル / 12分 / 2019年
すてきな冬  エメットジャン・メメット / デジタル / 12分 / 2020年
アリズの夜  タウビク・ニザミヂン / デジタル / 35分 / 2017年
海辺のマリア  タタウビク・ニザミヂン / デジタル / 38分 / 2019年
相乗り  イクラム・ヌルメフメット / デジタル / 18分 / 2020年

G5 目覚ましきデビュー作1(4作品74分)

ビー・ガン「金剛経」 

近年、素晴らしい長編作品を発表し、世界の映画祭で重要な賞を獲得している中国アートの新世代作家二人による初期の短編作品と委嘱作品(フー・ボー追悼のミニ回顧展も兼ねる)。
1988年生まれのフー・ボー(『象は静かに座っている』)と1989年生まれのビー・ガン(『ロングデイズ・ジャーニー—この世の涯てへ』)。中国映画の新たな世代の登場を告げる2人の注目監督の短編集。日本初公開作含むレアなプログラム。
金剛経  ビー・ガン / デジタル / 23分 / 2012年
秘密金魚  ビー・ガン / デジタル / 1分 / 2016年
コルドバへ  フー・ボー / デジタル / 23分 / 2011年
ナイト・ランナー  フー・ボー / デジタル / 27分 / 2014年

G6 目覚ましきデビュー作2(3作品70分)

フー・ボー「Man in the Well」  

近年、素晴らしい長編作品を発表し、世界の映画祭で重要な賞を獲得している中国アートの新世代作家二人による初期の短編作品と委嘱作品(フー・ボー追悼のミニ回顧展も兼ねる)。
フー・ボーが自身の短編小説をタル・ベーラの指導の元に映画化した『Man in the Well』をはじめ、フー・ボーが国際映画祭などで高い評価を得るきっかけとなった短編作品集。
牛乳を盗む人  フー・ボー / デジタル / 31分 / 2012年
ディスタント・ファザー  フー・ボー / デジタル / 23分 / 2014年
Man in the Well  フー・ボー / デジタル / 16分 / 2017年 / 配給:ビターズ・エンド

M カナダのアジアン・ディアスボラ:モントリオールから東京へ(9作品57分)

キム・サン・チャウ「ミッドランド」  

“移民大国”カナダから、その人口の多くを占めるアジア系移民たちによる映像作品集。
異なる文化圏への移民体験、自らのルーツとの切断、故郷への想い、移民先の社会への統合……。そうした繊細な問題を、移民という背景を持った作家自身たちが、映像を通して語って行く。モントリオールのマルチヂ シプナリー・フェスティバルとの交換プログラム。〈提供:フェスティバル・アクセス・アジー〉〈キュレーション:ファブリツィオ・ジラルディーノ(映画プログラマー)〉
森よ永遠に  アリシ・テレングット / デジタル / 5分 / 2019年 (モンゴル+カナダ)
儚きもの  イヴェッタ・スンヨン・カン / デジタル / 6分 / 2017年 (韓国+カナダ)
私を放っておいて、放っておかないで  キム・ジンヨン / デジタル / 12分 / 2019年 (韓国+カナダ)
食べている時、どのように食べるか  ヤン・シャオシャオ / デジタル / 1分 / 2018年 (中国+カナダ)
時の最後の音節  パヴィトラ・ウィックラマシンへ / デジタル / 3分 / 2012 (スリランカ+カナダ)
インナー・スモーク  キム・サン・チャウ+レイ・ラヴァース / デジタル / 11分 / 2016年 (ベトナム+フ
ランス+カナダ)
四重  アリシ・テレングット / デジタル / 7分 / 2020年 (モンゴル+カナダ)
ミッドランド  キム・サン・チャウ / デジタル / 7分 / 2020年 (ベトナム+フランス+カナダ)
あなたのパンダではない  ティグリス・サクダ / デジタル / 5分 / 2018年 (中国+カナダ)

N 短編パノラマ:最果ての予感(4作品59分)

パペット・アニメーションやCGアニメ、ファウンド・フッテージ作品など、世界の映画祭で評価されている短編映像作品のアンソロジー。
手作りの等身大の家をアニメーション化した『The Wolf House』(2018)が話題となったチリの二人組のアリ・アスターによるプロデュース新作『骨』や、2つの太陽が昇るロシアの極北の街を舞台に白夜の悪夢的風景の中を彷徨う青年を描く『太陽の犬』、リュミエール兄弟の『列車の到着』とクルト・クレンの『秋の木々』に インスパイアされた巨匠チェルカススキーのファウンドフッテージ作品など話題の新作を上映。〈協力:ひろしまアニメーション・シーズン〉
クライシス  レオポルド・マウラー / デジタル / 4分 / 2021年 (オーストリア)
  クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ / デジタル / 14分 / 2021年 (チリ)
太陽の犬  ドリアン・イエスペルス / デジタル / 21分 / 2020年 (ベルギー・ロシア)
列車、再び  ペーター・チェルカススキー / 35ミリ / 20分 / 2021年 (オーストリア)

R1 田名網敬一特集1(12作品67分)

初期の代表的アニメーション作品で色鮮やかなコラージュが楽しい『Commercial War』、『優しい金曜日』。幼少期の記憶をテーマとして制作した代表作の1本『幼視景(序説)』、アニメーション作家・相原信洋との初めての共作作品『闇の記憶・夢の陰影』、ボクシングの試合の写真を製版プロセスで網点に分解し、グラフィカルに展開する実験映画『WHY』、そして、2021年の最新作『赤い陰影』までを上映。
Commercial War  16ミリ(デジタル版) / 5分 / 1971年
Flicker Love No.1  16ミリ(デジタル版) / 4分 / 1971年
優しい金曜日  16ミリ(デジタル版) / 3分 / 1975年
彼女の独裁者たちによって裸にされた性服の処女研究  16ミリ(デジタル版) / 4分 / 1972年
闇の記憶・夢の陰影  16ミリ(デジタル版) / 4分 / 2000年 / 共作:相原信洋
幼視景(序説)  16ミリ(デジタル版) / 11分 / 1978年
メモリーズ(幼年期の情景)  16ミリ(デジタル版) / 3分 / 2002年 / 共作:相原信洋
FETISH DOLL  16ミリ(デジタル版) / 6分 / 2003年/ 共作:相原信洋
TRIP  16ミリ(デジタル版) / 5分 / 2005年/ 共作:相原信洋
WHY  16ミリ(デジタル版) / 11分 / 1975年
キリコ・DE CHIRICO  16ミリ(デジタル版) / 5分 / 2008年 / 共作:相原信洋
赤い陰影  デジタル / 7分 / 2021年

東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション

受賞作品

 日本、中国、香港、台湾、韓国の東アジア地域出身か在住の作家によって、2021年以降に制作された作品を対象としている。

 応募は461点。一次審査、二次審査を経て、東アジアの「今」を映し出す24作品がノミネートされ、入賞6作品と観客賞が発表された。

大賞
ユーモレスク 磯部真也/デジタル/46分/2022年(日本)
寺山修司賞
メルティング・アイスクリーム ホン・ジンフォン/デジタル/70分/2021年(韓国)
SHIBUYA SKY賞
I’m Late 冠木佐和子/デジタル/10分/2021年(日本)
優秀賞
亡霊の堆積 エラ・ライデル/デジタル/70分/2021年(台湾)
銀幕 チャイ・チャイベイ/デジタル/14分/2022年(中国)
終わりの時と祖先の軌跡 エドウィン・ロー・ユンティン/デジタル/34分/2022年(香港)
東京会場観客賞
I’m Late 冠木佐和子/デジタル/10分/2021年(日本)
京都会場観客賞
幾多の北 山村浩二/デジタル/64分/2021年/日本

A 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション1

海になるための1001回の試行  ワン・ユーヤン / デジタル / 12分 / 2021年
蟹眼  前田青空 / デジタル / 12分 / 2022年
骨噛み  矢野ほなみ / デジタル / 10分 / 2021年
メルティング・アイスクリーム  ホン・ジンフォン / デジタル / 70分 / 2021年

B 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション2

喪失の家  全振圭 (チョン・ジンギュ) / デジタル / 10分 / 2022年
生後睡眠ヶ月  藤井アンナ / デジタル / 11分 / 2021年
不安な体  水尻自子 / デジタル / 5分 / 2021年
亡霊の堆積  エラ・ライデル / デジタル / 70分 / 2021年

C 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション3

山村浩二「幾多の北」

照明  ムスクィーキ・ジーイング / デジタル / 21分 / 2021年
雪解け  ノガミカツキ / デジタル / 3分 / 2021年
I’m Late  冠木佐和子 / デジタル / 10分 / 2021年
幾多の北  山村浩二 / デジタル / 64分 / 2021年

D 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション4

長い道のり  エリサ・ウェンディ、リー・ワイセン / デジタル / 15分 / 2022年
TUNOHAZU  手塚眞 / デジタル / 32分 / 2021年
おばあちゃんのはさみ  エリカ・シュー / デジタル / 6分 / 2021年
合成人間のリハビリ  芹沢洋一郎 / デジタル / 49分 / 2022年

E 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション5

 磯部真也「ユーモレスク」

銀幕  チャイ・チャイベイ / デジタル / 14分 / 2022年
The cleaning lady after 100 years : Spectre  七里圭 / デジタル / 19分 / 2022年
壊れた太陽の心  ビー・ガン / デジタル / 15分 / 2022年 / 配給:リアリーライクフィルムズ
ユーモレスク  磯部真也 / デジタル / 46分 / 2022年

F 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション6

百瀬文「Flos Pavonis」

モルティング  保田克史 / デジタル / 14分 / 2021年
終わりの時と祖先の軌跡  エドウィン・ロー・ユンティン / デジタル / 34分 / 2022年
半島の鳥 和田淳 / デジタル / 16分 / 2022年
Flos Pavonis 百瀬文 / デジタル / 30分 / 2021年

インスタレーション

入れ物についての考察 #1~5  
伊藤隆介 / ミクスト・メディア / 2022年 (日本)
 
 映像とその装置(支持体)について、日常用品や家具と同じ「モノ」として批評するシリーズの新作。本作では、かつての「マルチメディア時代」の主役であった640×480画素のモニターをモチーフに、モノやコトを大量に運ぶ媒体=キャリアの成り立ち、その量(収納や情報、解像度)の不思議さについ て考察する。

イメージフォーラム・フェス2021については、こちら
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イメージフォーラム・フェス2019については、こちら

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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