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イメージフォーラム・フェス 11.8-10愛知芸術文化センターで開催

アヤ・コレツキー監督「30歳のとき、世界を廻った」(現代ポルトガル映画:語りの霊性)

 
 最先端の映像表現の祭典「イメージフォーラム・フェスティバル2019」が2019年11月8〜10日、名古屋・栄の愛知芸術文化センター12階アートスペースA、EFで開かれる。33回目となる今回のテーマは「ラフ&ワイルド」。一見洗練されておらず、既存の価値観や文脈で捉えることができない表現や、周縁的で小さく見える出来事が時と場所を超えて大きな意味をもつ可能性に注目する。名古屋会場では、12プログラムで40作品を上映し、2つのインスターレーションを展示する。コンペのほか、現代ポルトガル映画や、元名古屋造形芸術大(現・名古屋造形大)教授で、日本の実験映画の草分けでもある飯村隆彦さんの作品などの特集がある。詳細はフェスティバルのweb
 2018年にリニューアルした公募部門「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」は、446作品の応募作品のうち、日本、中国、韓国、台湾出身または在住の作家による22作品を選出。西洋中心主義で語られがちな映画史や前衛芸術史に対し、東アジアからの視点で捉え直す。現代美術家の束芋さんら3人の審査員が、大賞のイエルン・バンデルシュトック監督「Night Horse」など5作品を入賞作に選んだ。

アンドレ・ジル・マタ監督「時間の木」

 

 「エクスペリメンタル・パノラマ」部門は、「現代ポルトガル映画:語りの霊性」と題し、ポルトガル映画を特集する。アンドレ・ジル・マタ監督は、ハンガリーの鬼才、タル・ベーラ監督に師事した新鋭。「時間の木」は、ユーゴスラビア内戦下のある村を舞台に、師匠譲りの長回しで戦争の記憶を描いている。

 

 アヤ・コレツキー監督「30歳のとき、世界を廻った」は、ある老人の若かりし頃の旅の思い出を古い日記と写真で構成し、父の語りと娘のカメラが紡ぐパーソナル・ドキュメンタリー。父ジローは1970年、30歳の時に日本を飛び出し、ソ連、ヨーロッパ、中近東、米国の旅をした。父が30歳になった娘に優しく語りかけ、娘はガーデニングをする現在の父の姿を16ミリフィルムで記録する。そこに挟み込まれる古い写真と旅の思い出の日記。現在と過去への追憶が交感する。2019年ロッテルダム国際映画祭ブライト・フューチャー賞。
 カリスト・マクナルティー監督「デルフィーヌとキャロル」は、「去年マリエンバードで」などで知られる女優、デルフィーヌ・セイリグと、フランスで2台目のビデオカメラを入手したとされる(1台目はジャンリュック・ゴダール)ビデオ・アーティストのキャロル・ロッソプロスの出会いを描く。2人は、同志的友情で結ばれ、1970年代のフェミニズム運動のただ中にビデオカメラを手に飛び込む。しなやかに世界に対峙したその活動は、常識を揺るがす、非妥協的で不遜、過激でユーモアあふれるものだった。

 「フィルム・メーカーズ・イン・フォーカス」部門では、飯村隆彦さんを特集。飯村さんは、1960年代初めに、大林宣彦や高林陽一らと「フィルム・アンデパンダン」を設立。日本の個人映画草創期に活動を始めた映像作家で、フィルム、ビデオ、インスタレーションと領域を拡大しつつ、国際的に活動している。名古屋では、「フィルム・ポエムの出発点に立って」で、小杉武久、オノ・ヨーコ、刀根康尚らとコラボレーションした初期作品を紹介する。

 1回券一般1200円、学生800円。フリーパス一般6000円、学生4000円。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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