横山奈美 《forever》岐阜県美術館で滞在制作・展示 11月-来年1月

アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.11 横山奈美

横山奈美
横山奈美《forever》2020年 木炭紙に木炭 
撮影:若林勇人

 アーティストが滞在制作するプロセスと作品を公開する岐阜県美術館の「アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.11 横山奈美」が2021年11月-2022年1月に開催される。

 公開制作は、2021年11月12日(金)~12月11日(土)で、作品展示は、12月21日(火)~2022年1月23日(日)。会場は同館アトリエ。

 滞在制作では、《forever》というドローイング作品を制作する予定。横山さんが、芝生に寝そべる自分自身を一定期間描き続けるシリーズで、2020年、名古屋のKENJI TAKI GALLERYでの個展「誰もいない」では、1週間のバージョンが公開された。

 横山さんが、前日の絵を見ながら同じように描き続けるルールのもとに制作。今回は、30日間、毎日、美術館のアトリエで描くことになる。

 作品については、「誰もいない」のレビューも参照。

横山奈美

横山奈美
横山奈美《forever》2020年 木炭紙に木炭 (一部) 
撮影:若林勇人

 横山奈美さんは1986年、岐阜県生まれ。2010年、愛知県立芸術大学油画専攻卒業、2012年、愛知県立芸術大学大学院美術研究科 油画版画領域修了。豊田市美術館愛知県美術館などに作品がコレクションされている。

 消費され捨てられる物に光を当て、それを描く「最初の物体」シリーズ(2012 年〜)や、ネオンをモチーフに、ガラス管や背後に存在する配電線、フレームまで克明に描く「ネオン」シリーズ(2016 年〜)など、物を見て描くという行為を通し、私達や物に与えられた役割や制度を再考する。

 近年の主な展覧会に「誰もいない」 (KENJI TAKI GALLERY、2020 年)、「アペルト 10 横山奈美 LOVE と私のメモリーズ」 (金沢 21 世紀美術館、2019 年)、「開館 25 周年記念コレクション展 VISION Part 1 光について /光をともして」 (豊田市美術館、2020 年)、「日産アートアワード 2017 」
(BankART Studio NYK、2017 年)など。

作家ステイトメント

横山奈美
横山奈美《painting》2020年 麻布に油彩 
撮影:若林勇人

 私は、日々の生活の中から見つけた消耗されていくもの、廃棄されていくものをモチーフに静物画を描いています。消耗品や廃棄品は最後には捨てられる宿命を持って作り出されます。その物にとってはどうしようもない事です。
 中学生の頃、私はアメリカ人のアイドルに憧れていました。どうしたら彼女のようになれるかを考え、金髪のウィッグを被ったり、水色のアイシャドウをたっぷり塗ってみたりしました。でも、いつも近づこうとするほど彼女との違いに打ちのめされたのです。私にとってのどうしようもない事は、日本人だという事でした。
 私が選んだこの油彩画というメディアも、西洋からの輸入によってもたらされたものでした。輸入されて間もない頃、高橋由一をはじめとする画家たちは、今でいう3D のような奥行きのある絵画や、油絵具の美しいタッチに魅了されました。海の向こうのアイドルに憧れた私と同じように、西洋絵画に憧れ習得しようとしていたのだと思います。彼らの作品からは西洋への憧れと現実のせめぎ合いを感じます。
 西洋の長い絵画の歴史の壁が立ちはだかる前で、日本人としてどんな油彩画が描けるのか。それは壁を見上げるのではなく、自分の足元にあるどうしようもない事をいかに作品として立ち上がらせるかだと思います。私にとってそれは日本の油彩画の原点に戻り、日常から見つけたものをモチーフに静物画を描くことです。モチーフは捨てられるものですが、そのものの全てを逃さず隅々まで描いていきます。本来主役にならないものたちを主役にすることで、与えられた意味、用途から離れて、人間よりも大きな物体や生物、風景へと見え方が変わっていきます。捨てられていく物たちの宿命という柵を取り払い、そのものが持つ根源的な存在感を現しています。
 現在は廃棄される物の他に、ネオンを描くシリーズを制作しています。ネオンは廃棄される物ではありませんが、目立ってしまうと格好悪いとされている裏側の配電線のチューブや軸に焦点を当てて描いています。ネオン管の光を理想や憧れ、裏側を取り繕えないことに見立てて一枚の絵画に描く。理想や憧れと共に誤魔化せない格好悪い部分が表に現れます。そして露わになったネオンの光の背後で交差する配電線の黒いチューブや軸は、絵画を支える構造の一つになり、ネオンの光の美しさと同等に、表舞台に立ち上がってきます。
 世の中にはどうしようもない物事がたくさんあります。でもそれは壁を見上げたり、決められた価値に囚われているだけかもしれません。私はその囚われた柵から自分や物を解放するために、外から決められた価値や美しさではなく、全てのものに備わっている根源的な美しさ、存在意義を絵画を通して表現しています。

展覧会概要

アーティスト・イン・ミュージアム AiM Vol.11 横山奈美

場  所/岐阜県美術館 アトリエ
公開制作/2021年11月12日(金)~12月11日(土)
作品展示/2021年12月21日(火)~2022年1月23日(日)
開館時間/10時00分~18時00分
夜間開館/11月19日(金)、2022年1月21日(金)は、20:00まで開館
休 館 日/毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、12月27日(月)~2022年1月4日(火)
料  金/無料

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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