記事内に商品プロモーションを含む場合があります

SPAC 秋→春のシーズン2022-2023 #3 新作『リチャード二世』1月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)、28日(土)、29日(日)

シェイクスピアの隠れた名作! 俳優の力量を存分に味わえる大作

演出は寺内亜矢子

 SPAC-静岡県舞台芸術センターの新作舞台『リチャード二世』(演出:寺内亜矢子、作:ウィリアム・シェイクスピア、訳:小田島雄志)が2023年1月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)、28日(土)、29日(日)の14:00から、静岡市の静岡芸術劇場で上演される。

 演出を手がける寺内亜矢子は、長年、SPACで俳優として活動。近年、演出家としても活躍する。今回は、劇場の空間そのものの力強さを生かしたミニマルな舞台美術で、シェイクスピアの傑作歴史劇に挑む。

王様だった男の感情のジェットコースター

 暴君の失墜、新しい王の誕生、先王の暗殺───。30年に及ぶ薔薇戦争の起因となった王位簒奪劇を描くシェイクスピアの『リチャード二世』。

 好き放題に振る舞ってきた男が王位を奪われ、「何者でもなくなる」ことに怯えて右往左往する様は、喜劇的でありながら、他人事でない普遍性も併せ持っている。

 傲慢から卑屈、希望から絶望、諦めから執着へと一瞬で切り変わるリチャード二世。情念の激しさは、「この役をこなせる役者がいたら、シェイクスピアの書いた他のどんな役よりも観客を楽しませるだろう」と評されるほどである。

 演じるのは、台詞術・発声術が海外でも高い評価を得るSPAC俳優の阿部一徳、対する新王ヘンリー・ボリングブルックには本多麻紀。

空っぽの劇場を通して、シェイクスピアの言葉が現代に響く

 演出の寺内亜矢子は、シェイクスピアの傑作歴史劇を「言葉の不全」をめぐる悲劇に仕立てる。『リチャード二世』では、言葉の真偽が議論ではなく決闘によって裁かれ、王の願いが言葉に出されないまま実現されている。

 それは、感情を煽る言葉がSNS上で幅を利かせ、曖昧な言葉をめぐる忖度が日常にあふれる現代にもつながる。

 舞台美術を担当するのは、SPAC内外で多くの作品を手がけてきた深沢襟。静岡芸術劇場の空間そのものを生かし、直線と平面から構成したミニマルな劇空間は、時代を超えた普遍性とともに人間の生々しさを際立たせる。

 空っぽの劇場に響く、今の世界を問うシェイクスピアの言葉。歴史劇の面白さがぎっしり詰まったイングランド王の物語が、虚言、疫病、戦争に翻弄される現代を照らす。

公演概要

タイトル:リチャード二世 [新作]
上演時間:約2時間20分(途中休憩なし)
演出:寺内亜矢子/:ウィリアム・シェイクスピア/:小田島雄志/舞台美術デザイン:深沢襟/衣裳デザイン:清千草/照明デザイン:花輪有紀/出演:阿部一徳、石井萠水、大高浩一、片岡佐知子、木内琴子、小長谷勝彦、永井健二、 ながいさやこ、本多麻紀、牧山祐大、宮城嶋遥加、吉植荘一郎、渡辺敬彦

公演日時:1月14日(土)、15日(日)、21日(土)、22日(日)、28日(土)、29日(日)
各日14:00 開演
会場:静岡芸術劇場(グランシップ内)

チケット(税込/全席指定)

一般:4,200円
ペア割引:3,700円(2 名で1枚につき)
ゆうゆう割引:[満60 歳以上]3,500円
学生割引:[大学生・高校生]2,000円[高校生以下]1,000円
※そのほか各種割引あり

◎取り扱い
SPAC チケットセンター
TEL:054-202-3399(10:00〜18:00, 休業日1/16 を除く)
ウェブ予約はこちら

問い合わせ:SPAC-静岡県舞台芸術センター
TEL:054-203-5730
E-mail:mail@spac.or.jp

演出家プロフィール 寺内亜矢子(てらうち・あやこ)

 1997年、ク・ナウカ シアターカンパニーで演劇活動を始めた。2007年の劇団休止後は、SPACを主な拠点に国内外の舞台に出演。東京藝術大学で身体表現教育にも携わった。

 俳優・演出・演奏・音楽構成・ドラマトゥルク・通訳・翻訳等、舞台芸術創作に関わるもろもろを手がける国際派マルチプレイヤー。SPACでの演出作に、『おぉっとえぇっと ええじゃないか』(ふじのくに野外芸術フェスタ2020 in 掛川)、『忠臣蔵2021』(共同演出)、『三原色』(SPAC 演劇アカデミー第1期生成果発表会)などがある。

関連企画

アーティストトーク

終演後にトークを開催。参加無料/予約不要
▷ 1月14 日(土)
司会:宮城聰(SPAC芸術総監督)
出演:寺内亜矢子(演出)、阿部一徳、本多麻紀(出演俳優)
▷ 1月15 日(日)
ゲスト司会:山田裕幸(劇作家、演出家、ユニークポイント代表)
出演:寺内亜矢子(演出)、石井萠水、永井健二、ながいさやこ、渡辺敬彦(出演俳優)

スペシャルトーク

▷ 1月28 日(土)
注目を集める哲学者、國分功一郎さん(ゲスト)が、演出の寺内亜矢子さんと対談する。司会はSPAC文芸部メンバーで社会学者の大澤真幸さん。『リチャード二世』を切り口に、現代社会について語り合う。

最新情報をチェックしよう!
>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

CTR IMG