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第11回円空大賞展 1月20日-3月5日に岐阜県美術館で開催 円空大賞は須藤玲子氏、円空賞はデイヴィッド・ナッシュ、中島晴美、舟越桂、三島喜美代の4氏 

円空の精神を受け継ぐ芸術家を顕彰

 第11回円空大賞展が2023年1月20日〜3月5日、岐阜県美術館で開催されている。

 岐阜県が郷土ゆかりの江戸時代の修行僧、円空の精神を受け継ぐ芸術家を顕彰する取り組み。1999年度に制定し、およそ隔年で受賞者を選んできた。

 今回の円空大賞は、テキスタイルデザイナーの須藤玲子さん。円空賞は、英国の彫刻家、デイヴィッド・ナッシュさん、陶芸家の中島晴美さん、彫刻家の舟越桂さん、現代美術家の三島喜美代さんの4人。

円空大賞展の概要

会  期:2023年1月20日(金)~3月5日(日)
場  所:岐阜県美術館展示室 3
開館時間:10時~18時(入場は17時30分まで)
※1月20日(金)は14時30分頃開場(開場式終了後)
※1月20日(金)、2月17日(金)は20時まで開館(入場は19時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日
観 覧 料:一般800円(700円)/大学生600円(500円)/高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金

受賞者・展示

円空大賞 テキスタイルデザイナー 須藤玲子

 1953年、茨城県生まれ。株式会社「布」の設立に参加。英国UCA芸術大学から名誉修士号授与。東京造形大学名誉教授。最先端のテクノロジーを駆使しながら、伝統的な織物の技術、素材、美学のセンスを再解釈。良品計画のファブリック企画開発にも携わっている。

須藤玲子

 美術館ホールの宙空には、さまざまな色柄のテキスタイルこいのぼりを泳がせたインスタレーション「こいのぼりなう!」を設置。変化に富んだ空間を演出しつつ、軽やかに流れのダイナミズムをつくりだしていた。

 また、「布の迷路」という別のインスタレーションでは、多様な透かし模様の白い布地を垂らして空間を構成。スリットの入った同心円状の布がつくる繊細な空間の中心に円空仏を配している。

須藤玲子、円空

円空賞 彫刻家 デイヴィッド・ナッシュ

 1945年、英国イーシャー生まれ。チェルシー美術学校等で学ぶ。1970年代から自然木の倒木や間伐材を素材に、自然界の循環や自然と人間の関わりをテーマとした作品を制作。1982年の「今日のイギリス美術」展(東京都美術館他)などで日本に紹介されている。

デイヴィッド・ナッシュ

 神奈川県立近代美術館所蔵の彫刻「二つの器」(1993年)と、自身の作品の系統図を示した「家族の木1967-1993(左・右)」(1993年)に加え、作家蔵の映像作品「Wooden Boulder」(2019年)が展示されている。

円空賞 陶芸家 中島晴美

 1950年、岐阜県生まれ。大阪芸術大学デザイン科陶芸専攻卒業。2003~2014年、愛知教育大学教授。多治見市陶磁器意匠研究所所長。2009年度日本陶磁協会賞受賞。土素材と徹底的に向き合うことで、身体性、精神と一体となった新たな形態を生みだす造形の道筋を切り開いてきた。

中島晴美

 今回は、2013年から2022年までの作品32点を展示し、インスタレーション風に見せている。

 「不条理を開示する形態」「ざわざわするかたち」「内なるかたち」のシリーズが混在しながら、高低差をつくって配置され、個々の作品の力強さはもとより、全体がかつてないほどに賑やかに蠢くような展示である。

円空賞 彫刻家 舟越桂

 1951年、岩手県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ、第20回サンパウロ・ビエンナーレ、ドクメンタIXなどに参加。楠を素材に、着色と大理石の玉眼によって、深い精神性を備えた特異な人体像を制作している。

舟越桂

 彫刻6点、ドローイング5点で、見応えのある展示になっている。神秘的で謎めいていながら、その静謐なたたずまいが見る者を瞑想にいざなうようである。

円空賞 現代美術家 三島喜美代

 1932年、大阪府生まれ。ファエンツァ国際陶芸展ゴールドメダル受賞。1950年代後半以降、新聞や雑誌などをコラージュした実験的な油彩画で注目された。1970年代初めからは、そうした活字をシルクスクリーンで陶に転写した立体作品を手掛け、現代社会の課題を探究した。

三島喜美代

 岐阜県現代陶芸美術館所蔵の作品「リーフレット」(2007年)に、割れたパーツを組み合わせた大規模なインスタレーションである。陶に商業広告チラシを転写し、砕けたパーツとともに大量に床に散らばらせた圧倒的な展示である。

主な関連イベント

ナンヤローネ アートツアー

日時:1月22日(日)14時00分~15時30分
会場:岐阜県美術館展示室 3、多目的ホール(展示会場)
要事前申し込み(先着12名)
※「円空大賞展」観覧券が必要

中島晴美ワークショップ 「水玉模様のお皿を作ろう」

日時:2月11日(土・祝)13時00分~15時00分
会場:岐阜県美術館多目的ホール
要事前申し込み(先着20名)、参加費無料

須藤玲子ワークショップ「つぎつぎ布ワークショップ」

日時 2 月 18 日(土)13時00分~14時30分
会場:岐阜県美術館多目的ホール
要事前申し込み(先着20名)、参加費無料

作品鑑賞会

日時:
2月11日(土・祝)10時30分~11時30分(中島晴美さんによる作品解説)
2月17日(金)18時30分~19時30分(展覧会担当者による作品解説・夜間開館日)
2月18日(土)10時30分~11時30分(須藤玲子さんによる作品解説)
会 場 県美術館展示室 3(展示会場)
事前申し込み不要
※「円空大賞展」観覧券が必要

3Dバーチャル美術展

 コロナ禍でも鑑賞できるように、スマートフォン、パソコンなどを使った展覧会場VR体験コンテンツを公開する。
[公開日時]2023年1月20日(金)~3月5日(日)
[閲覧方法]岐阜県公式ホームページ内文化創造課のページから

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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