国際芸術祭「あいち2022」記者会見/内覧会/オープニングセレモニーを開催 7月30日に開幕

「STILL ALIVE」 コンセプチュアル・アートと人間愛、地元愛

 「STILL ALIVE」をテーマに、国際芸術祭「あいち2022」が2022年7月30日に開幕した。

 会期は10月10日まで。開幕前日の7月29日には、名古屋・栄の愛知芸術文化センターなどで開幕記者会見と内覧会、オープニングセレモニーが開催された。

 30日は、午前9時45分から、愛知芸術文化センターでオープニングイベント(報道関係者向け)を開催。10時から、同センターをはじめ、各会場とも一般公開となった。

 記者会見で、芸術監督の片岡真実さんは「自分ならではの国際芸術祭は何かと考えた」と、長年、日本と海外を行き来しながら、多くのアーティスト、美術関係者と交わり、国際展を見てきた自分の経験の全てを「あいち2022」 として結実させたという熱い思いを語った。

 加えて、今回、自身が愛知県出身である片岡さんは、域外からのアーティストのみならず、東海地方の優れたアーティストと、愛知県の歴史、文化、街並み、風土、産業をとても重視した。

 筆者は、新聞記者時代に長く取材するなど、作品を見てきた地元の三輪美津子さんや、大泉和文さんらが今回の「あいち2022」に出品するのが、とてつもなくうれしい。

 そもそも、この国際展は、愛知県刈谷市出身の世界的なコンセプチュアル・アーティスト、河原温(1932-2014年)が起点である。

 片岡さんの愛知への親しみは、スタッフやアーティストの選定、展覧会全体のコンセプト、会場が名古屋市の中心部と、地域の独自性が色濃い有松(旧・愛知県知多郡、現・名古屋市緑区)、一宮市、常滑市の4カ所になっていることからも、うかがえる。

 つまり、今回の国際展は、コンセプチュアルな美術、そして、「人間が生存する」という、ただそのことが尊厳をもつことをテーマにしながら、同時に、地域への惜しみない愛をも主題に据えた、まさにグローカルなものである。 

 片岡さんは、コロナ禍で、日本のキュレーターが直接、海外で作家のリサーチをできなかったことを強調。海外のキュレトリアル・アドバイザーからの情報を基に、Zoomによる数百回ものやりとりを経て準備を進めたと述べた。

 輸送費の高騰など、多くの課題を乗り越え、実現にこぎつけた。

 7月29日午後6時から、愛知県芸術劇場大ホール(愛知芸術文化センター)で開催されたオープニングセレモニーでは、キュレーターやアーティストなどが順に紹介され、最後に、関係者全員が舞台に上がり、晴れやかな笑顔を見せた。

 参加するアーティストは全100組( 現代美術展とパフォーミングアーツの両方に参加するアーティスト3組は両方でカウント)である。

展示作品の速報

愛知芸術文化センター

 愛知芸術文化センター10階、8階の最初のところに展示してあるのは、マルセル・ブロータースの「美しい」作品である。そのことが、今回の国際展の意味合いをよく表している。

 コロナ禍、ウクライナなど、世界は混迷を深めているが、シニカルでなく、希望を見ているのだ。

 そこに、今回の「あいち2022」のスタッフ、アーティストの思いが詰まっている。 

 10階では、それに続いて、出発点である河原温の作品に大きなスペースが充てられている。「生きている」こと、生存していることの尊厳が静かに訴えてくる。

 荒川修作の作品も、広い空間に展示されている。

 キュレーションを見ると、全体に、日本の日常はもとより、世界に広くまなざしを向けている。世界や人間の課題とともに、希望と優しさを感じた。

 表面的でなく、鑑賞者の静思とともに意味が深まる作品が多くあった。

有松会場

常滑会場

一宮会場

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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