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レイ・ジョンソンと荒川修作+マドリン・ギンズの交流 

  • 2021年5月12日
  • 2021年5月12日
  • 美術

『Distraction Series』第19号より  
Postcardfrom Ray Johnson to Arakawa, 1975

『Distraction Series』19弾

 荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所Reversible Destiny Foundationが、荒川+ギンズが創造したさまざまな哲学、プロジェクトを共有しようと配信を始めたニューズレター『Distraction Series』の第19号で、 メール・アートで知られる米国のアーティスト、レイ・ジョンソン(1927〜1995年)と荒川修作さん、マドリン・ギンズさんの親交をさまざまな資料を通して振り返っている。

 米国ニューヨークのデイヴィッド・ツヴィルナーギャラリーで2021年4月8日~5月22日に開催されているレイ・ジョンソンの展覧会—Ray Johnson: WHAT A DUMP ― に合わせて企画された。

 レイ・ジョンソンは、郵便によるメール・アートを始めたとされる米国人アーティスト。コラージュ作品でもよく知られる。ネオ・ダダ、初期ポップ・アートにおいて重要な作家と位置付けられ、フルクサスとも関わりが深い。

  『Distraction Series』の第19号 によると、ジャレット・アーネストのキュレーションによるこの個展では、レイ・ジョンソンエステート所有のコラージュ作品やアーカイブ資料を紹介している。

 長年、親しい関係にあった3人の交流の記録は、パーソナルな内容のやりとりのほかにも、ジョンソンならではのメール・アート、コラージュ、その他の資料として、レイ・ジョンソンエステートのみならず、Reversible Destiny Foundationのアーカイブにも大切に保管されている。

 印象的なウサギのようなキャラクター、コミック・ストリップ、塗り絵本のページ、メール・アートに関するスタンプ、ジョンソンのコラージュの手法を解説するスタンプが繰り返し押されたノートのページ…。

 荒川さんらのもとには、数多くの不思議な郵便物がジョンソンの「ニューヨーク・コレスポンデンス・スクール」(New York Correspondence School)から郵送されてきた。

 今回は、これらの郵便物に加え、デイヴィッド・ツヴィルナーギャラリーとレイ・ジョンソンエステートの協力で、開催中のジョンソン展に出品されている <シルエット・シリーズ> とコラージュ作品のうち、荒川さんに関係のあるものを紹介している。

 1976年、ジョンソンは<シルエット・シリーズ>の一環として、荒川さん、ギンズさんの横顔のシルエットを描いている。

 荒川さんのシルエットはシリーズ初期に制作され、ジョンソンのコラージュ作品に幾度も出現する。

 その他にも、コラージュのタイトルに「Arakawa」と言及されているものや、「For Arakawa」と書き添えられているもの、さらには、荒川さんの絵画の中に見られるインストラクション(指示)的な要素が組み込まれている作品もある。

 荒川さんが言葉による指示を作品コンセプトに取り入れたように、ジョンソンも、彼のアイコンともいえるバニーの描き方の説明自体を作品化するなど、2人のつながりはinstructionという概念からも考えることができる。

 アート界の人物が数多く登場するジョンソンのコラージュ作品などで、荒川さんはアンディー・ウォーホルに次ぐ頻度で現れている。

 アーカイブには、荒川さんとジェフリー・ヘンドリックスの交流を示す資料もある。レイ・ジョンソンのメール・アートをたどることで、荒川さんと当時のアーティストたちを結ぶネットワークが鮮やかに浮かび上がってくる。

 詳細は、『Distraction Series』19弾を参照。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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