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国際芸術祭「あいち 2022」 企画概要発表 会期は2022 年7月30日~10月10日

目次

国際芸術祭あいち 2022—期間、テーマ、企画体制(芸術監督)

 愛知県で2022年に開かれる「国際芸術祭『あいち2022』」の組織委員会が2021年3月30日、芸術祭の概要を発表した。

 会期は、2022年7月30日~ 10月10日。会場については、こちらを参照。

「あいち 2022」 概要

【テーマ】
 STILL ALIVE 今、を生き抜くアートのちから

【芸術監督】
 片岡真実(森美術館館長、国際美術館会議《CIMAM》会長)

【会期】
 2022 年7月 30 日(土)~ 10 月 10 日(月・祝) 73 日間

【会場】
 愛知芸術文化センター ほか

【事業展開】
・最先端の現代美術を愛知芸術文化センターを中心に広域展開
・先鋭的なパフォーミングアーツを上演
・ラーニング・プログラムを実施
・県内の芸術大学などと多様な連携事業
・短期間の巡回展示を県内数カ所で開催
・オンラインでの映像配信やプログラム

テーマ:STILL ALIVE
今、を⽣き抜くアートのちから

 テーマ「STILL ALIVE(いまだ⽣きている)」は、愛知県出⾝で世界的に評価されるコンセプチュアル・アーティスト、河原温が、1970 年代以降、電報で⾃⾝の⽣存を発信し続けた「I AM STILL ALIVE」シリーズに着想を得た。
 この「STILL ALIVE」を多⾓的に解釈し、過去、現在、未来という時間軸を往来しながら、現代美術の源流を再訪すると同時に、類型化されてきた領域の狭間にも注⽬。芸術表現を通して不確かさや未知の世界、多様な価値観、圧倒的な美しさと出会い、そこからいかに理想的で持続可能な未来を共につくりあげられるのかを考える。
 併せて、地域再発⾒という観点から、愛知県の誇る歴史、地場産業、伝統⽂化などを視野に⼊れ、世界各地のローカルをいかにグローバルに繋げていくかという問いにも応答する。

過去から未来への時間軸を往来しながら「STILL ALIVE」を考える

100 万年後の未来における地球や⼈間の存続を考える

 現代世界を⾃然の営みや宇宙の法則といった⼤局的な視点から捉え、100 年後、100 万年後の未来にも地球が美しく存続し、⼈類が平和に⽣きるための意識喚起や提案を重視。「あいちトリエンナーレ」が、2005 年の愛知万博「愛・地球博」のレガシーとして創設された歴史を継承する。

過去の多様な物語をいかに現代に蘇らせるのかを考える

 地球の歴史、⼈類の歴史に光を当て、世界各地のローカルな⽂脈を現代に照らして再考。世界の多様な物語を蘇らせる。

現代を、この瞬間を、どう⽣き抜くのかを考える

 コロナ禍による健康危機、あるいは、⼈種、ジェンダー、⺠族的な差異に対する差別や不平等などは、「命の重さ」を改めて考えさせた。「⽣きること」と芸術制作が強く結びついた⼒強い表現を通して、困難な時代の「⽣」について考える。

現代美術の源流を再訪しつつ、類型化されてきた芸術分野の狭間に光を当てる

コンセプチュアル・アートの源流を再訪する

 愛知県からは河原温、荒川修作など国際的に評価されたコンセプチュアル・アーティストが輩出された。世界各地のコンセプチュアル・アートにも光を当てる。

伝統⼯芸、先住⺠の芸術表現などを現代芸術の⽂脈から再考する

 愛知県には地場産業、伝統⼯芸など固有の⽂化的伝統がある。⼯芸と美術を横断する表現、先住⺠族の芸術表現などが再評価される中、こうした芸術領域を固定概念から解放する。

⾔葉と記号による芸術表現を再考する

 ⽂字を使った美術表現やポエトリー(詩)の領域にも注⽬する。

身体表現や五感でアートを体感する

 現代美術とパフォーミング・アーツが共存してきたあいちトリエンナーレの歴史を踏襲。現代美術の⽂脈で語られてきたパフォーマンス・アートにも注⽬する。

⽣きることは学び続けること。未知の世界、多様な価値観、圧倒的な美しさと出会う

ラーニング・プログラムを通じて、体験や感動を未来に継承

 さまざまなラーニング・プログラムを通して、作品への理解や、体験、感動が記憶に刻まれ、知恵や知識、精神の糧として人生に生かされるようにする。

美しさに⼼を動かす

 芸術の圧倒的な美しさに感動し、⼈⽣のどの⼀瞬にあっても明⽇を⽣きるためのポジティブなエネルギーに繋がる、⼼躍る出会いや体験の場になることを⽬指す。

企画体制

◆芸術監督 

⽚岡真実(森美術館館⻑/国際美術館会議《CIMAM》会⻑)

 東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て、2003年より森美術館。2020年より同館館⻑。
 2007〜2009年はヘイワード・ギャラリー(ロンドン)にて、インターナショナル・キュレーターを兼務。第9回光州ビエンナーレ(2012年)共同芸術監督、第21回シドニー・ビエンナーレ芸術監督(2018年)。

◆キュレトリアル・アドバイザー

コスミン・コスティナス(パラサイト エグゼクティブ・ディレクター/キュレーター )

 2011年よりパラサイト(⾹港)のエグゼクティブ・ディレクター/キュレーター。2021年のカトマンズ・トリエンナーレ芸術監督も務める。過去には、ダカール・ビエンナーレ(2018年)やダッカ・アート・サミット(2018年)のゲスト・キュレーター、第10回上海ビエンナーレ(2014年)共同キュレーターなど。

ラーナ・デヴェンポート(南オーストラリア州⽴美術館館⻑)

 2018 年より南オーストラリア州⽴美術館(アデレード、オーストラリア)館⻑。

マーティン・ゲルマン(インディペンデント・キュレーター)

 ドイツ・ケルン在住、キュレーター。2012年から2019年まで、ゲント現代美術館(ベルギー)の芸術部⾨を率いた。

ウンジー・ジュー(サンフランシスコ近代美術館キュレーター)

 サンフランシスコ近代美術館の現代美術キュレーター。

ガビ・ンゴボ(ジャベット・アート・センター キュレトリアル・ディレクター)

 ヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)を拠点とするアーティスト、キュレーター、エデュケーター。第10回ベルリン・ビエンナーレ「We don’t need another hero」(2018年)キュレーター、第32回サンパウロ・ビエンナーレ(2016年)共同キュレーターも歴任。

ヴィクトリア・ノーソーン(ブエノスアイレス近代美術館館⻑)

 2013年よりブエノスアイレス近代美術館(アルゼンチン)の館⻑を務める。第11回リヨン・ビエンナーレ(2011年)などの国際展を企画。

トビアス・オストランダー(インディペンデント・キュレーター)

 メキシコシティ在住、キュレーター。マイアミ・ペレス美術館(PAMM)の前チーフ・キュレーター兼キュレーション担当副ディレクター(2011-2019 年)を務めた。タマヨ美術館チーフ・キュレーター(2001-2009 年、メキシコシティ)などを歴任。

ラルフ・ルゴフ(ヘイワード・ギャラリー館⻑)

 2006年よりヘイワード・ギャラリー(ロンドン)の館⻑を務める。エド・ルシェ、トレーシー・エミン、ジェレミー・デ
ラー、カデル・アチアなどの個展を企画。リヨン・ビエンナーレ(2015年)のゲスト・キュレーター、第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2019年)芸術監督を歴任。渡英前は、カリフォルニア美術⼤学ワティス(Wattis Institute for Contemporary
Art、サンフランシスコ)のディレクターを務め、トーマス・ヒルシュホルン、ロニ・ホーン、アン・ヴェロニカ・ジャンセンズ、マイク・ケリー、マイク・ネルソンなど数多くのアーティストの個展を企画。デイヴィッド・ハモンズ、ポール・マッカーシー、リュック・タイマンス、ジャン=リュック・ミレーヌ、映画監督のジャン・パンルヴェなど多数のアーティストについて、カタログや書籍に寄稿。

島袋道浩(美術家)

 1990年代初頭より世界中を旅しながら、そこに⽣きる⼈々の⽣活や新しいコミュニケーションのあり⽅に関するパフォーマンスやインスタレーション作品などを制作している。近年はモナコ国⽴新美術館やクンストハーレ・ベルンなどで個展が開催される。ヴェネツィア・ビエンナーレ(2003、2017年)、サンパウロ・ビエンナーレ(2006年)、あいちトリエンナーレ2010、ハバナ・ビエンナーレ(2015年)、リヨン・ビエンナーレ(2017年)などに参加。

◆チーフ・キュレーター(学芸統括) 

飯⽥志保⼦(キュレーター)

 東京都⽣まれ。名古屋市在住。1998年の開館準備期から11年間東京オペラシティアートギャラリーに勤務。2009年から2011年までブリスベンのクイーンズランド州⽴美術館/現代美術館内の研究機関に客員キュレーターとして在籍。第15回アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ2012、あいちトリエンナーレ2013、札幌国際芸術祭2014キュレーター、あいちトリエンナーレ2019チーフ・キュレーター(学芸統括)を務めた他、2014年から2018年まで東京藝術⼤学准教授。

◆キュレーター(現代美術)

中村史⼦(愛知県美術館主任学芸員)

 愛知県⽣まれ。東海圏から関⻄圏を拠点に活動。2007年より愛知県美術館に勤務。美術館で担当した主な展覧会に「放課後のはらっぱ」(2009年)、「魔術/美術」(2012年)、「これ
からの写真」(2014年)など。

堤拓也(キュレーター/グラフィックデザイナー)

 滋賀県⽣まれ。⼤津市在住。主なキュレーション実績に「類⽐の鏡/The Analogical Mirrors」(滋賀、2020年)、「ISDRSI 磯⼈麗⽔」(兵庫、2020年)など。2018年より共同アトリエ「⼭中suplex」プログラムディレクター。

◆パフォーミングアーツ・アドバイザー

藤井明⼦(愛知県芸術劇場プロデューサー)

 1992年より愛知県⽂化情報センター学芸員(⾳楽)、2016年より愛知県芸術劇場シニアプロデューサー兼チーフマネージャー。企画に、野村誠『プールの⾳楽会』(2010年)、⼩杉武久「MUSIC EXPANDED #1、#2」(2016年)、三輪眞弘+前⽥真⼆郎モノローグ・オペラ『新しい時代』再演(2017年)など。

前⽥圭蔵(アートプロデューサー)

 フェスティバル/トーキョー2011制作アドバイザー、あいちトリエンナーレ2013パフォーミングアーツ部⾨プロデューサー、六本⽊アートナイト2014プログラムディレクターなどを歴任。2012年以降は、公益財団法⼈東京都歴史⽂化財団東京芸術劇場のスタッフとして、国内外のパフォーミングアーツの企画制作等に携わっている。

◆キュレーター(パフォーミングアーツ)

相⾺千秋(アートプロデューサー/NPO 法⼈芸術公社代表理事)

 フェスティバル/トーキョー初代プログラム・ディレクター(2009-13 年)、「急な坂スタジオ」初代ディレクター(2006-10 年)等を経て、2014 年にNPO 法⼈芸術公社を設⽴。国内外で舞台芸術、現代美術、社会関与型芸術を横断するプロデュースやキュレーションを多数⾏う。あいちトリエンナーレ 2019 キュレーター。2017 年より「シアターコモンズ」実⾏委員⻑兼ディレクター。

◆キュレーター(ラーニング)

会⽥⼤也(⼭⼝情報芸術センター《YCAM》アーティスティック・ディレクター)

 2003年開館当初より 11年間、⼭⼝情報芸術センタ(YCAM)の教育普及担当として、メディアリテラシー教育と美術教育の領域にまたがるオリジナルワークショップや教育コンテンツの開発と実施を担当する。2014 年より東京⼤学⼤学院ソーシャル ICT グローバル・クリエイティブ・リーダー[GCL]育成プログラム特任助教。あいちトリエンナーレ 2019 ラーニング・キュレーター
を経て、2021年現在、YCAM学芸普及課⻑。

⼭本⾼之(アーティスト/スクール・イン・プログレス・コディレクター/オンゴーイング・スクール・ディレクター)

 愛知県⽣まれ。⼦どもの会話や遊びに潜在する創造的な感性を通じて、普段は意識することのない制度や慣習の特殊性や個⼈と社会の関係性を描き出してきた。近年は地域コミュニティと協働して実施するプロジェクトや、⼀般を対象としたオルタナティヴなアートスクール・プログラムにも取り組む。あいちトリエンナーレ 2010(旧⽯⽥ビル、2010 年)、「アジアの亡霊」(アジア美術館、サンフランシスコ、2012 年)など。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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