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庄司達展-垂れ布シリーズ2025- 名古屋画廊で2025年9月12-25日に開催

名古屋画廊(名古屋)2023年10月13〜21日

庄司達

 庄司達さんは1939年、京都市生まれ。生後まもなく転居し、名古屋市で育った。62年、京都市立美術大学彫刻科卒。68年から92年まで名古屋の桜画廊で個展(16回)。68年から2011年まで京都のgalerie16で個展。名古屋画廊での個展は、2013、16、19、22年。

 また、2023年には愛知県江南市のギャラリー数寄で庄司達展「空間から空へ」を開いている。

 66年、名古屋市立工芸高校デザイン科教諭に着任(73年まで)。77年から85年までは名古屋造形芸術短大専攻科非常勤講師を務めた。99年から2010年まで、名古屋芸術大学美術学部彫刻科教授。

 1979年、第4回名古屋市芸術奨励賞受賞。2010年、平成21年度愛知県芸術文化選奨文化賞。

 美術館での主な個展は、1995年、新潟市美術館での「浮かぶ布—庄司達展(柔・空間の散歩)」、1996年、下山芸術の森発電所美術館(富山県入善町)での「庄司達展—布・赤い河」、2010年、愛知・碧南市藤井達吉現代美術館での「庄司達展 空間の航行」。

 また、「布の庭にあそぶ 庄司達」展が2022年4-6月、名古屋市美術館で開催された。同じタイミングで愛知県美術館では、庄司さんが1970年の第10回日本国際美術展「人間と物質」に出品したインスタレーション作品が再現展示された

 美術館での主なグループ展は、1968年の京都国立近代美術館「現代美術の動向」、70年、東京都美術館などでの「第10回日本国際美術展『人間と物質』」、1991年、米国サンタ・モニカ美術館などでの「セブン・アーチスツー今日の日本美術展」、1998年、愛知県美術館での「久野真・庄司達展—鉄の絵画と布の彫刻—」、2018年、岐阜県美術館での「第9回円空大賞展」。

-垂れ布シリーズ2025-

 精力的に作品を発表し続けている。名古屋市美術館での2022年の「布の庭にあそぶ 庄司達」展はとても見応えがあり、愛知県美術館での歴史的な再現展示も興味深かった。2023年のギャラリー数寄での個展で展示された直径6メートルの新作も圧巻であった。

 この個展では、円盤状の大作が展示され、見事なほどの構築力、造形力が発揮された。布をピンと張ったときの緊張感と布素材の柔らかさが絶妙な均衡を保ち、彫刻的でありながら、空間性も備えていた。

 今回は、名古屋画廊の2階のスペースを使い、「垂れ布シリーズ」の新作を見せてくれた。これも力を注いだ大作である。

 庄司さんによると、垂れ布シリーズは、1977年の兵庫県立近代美術館での「アート・ナウ ’77」が最初である。その言葉通り、布の一方を壁などに固定しつつ、布を垂らして、空間を一変させる作品である。

 今回は、手前に帯状の赤い布で川のような流れを作り、奥に布を立体的に持ち上げて、穴のような空間を設えたインスタレーションである。

 手前の布は滝の水が落下し、その流れの先で跳ね上がっているようにも見える。奥は、赤い布が浮いているように浮上し、岩場の内部空間を連想させる穴が見える。

 庄司さんの作品は、布による造形作品であるとともに、単なるモノでなく、コト、すなわち現象として認識されるような動きを備えている。

 うつろい、瞬間、瞬間、現象として現れては消えるダイナミズム、まさしく全体が大きな水の流れのような躍動感を持っている。

 1階には、1979年と2025年の平面作品と、立体1点が展示されている。立体は白い布を直方体の枠組みに張るようにして、筒状に造形されている。両側はラッパの開口部、あるいは朝顔型に広がる。

 そこにも、うねるようなダイナミズム、流れが感じられる。庄司さんの言葉を借りれば、それは「出来事としての空間」である。そのあわいの空間には、現代世界の不穏な予兆をも映し出されているといえるのではないか。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)

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