テラオハルミ展/深谷仁美ガラス展 IDF(名古屋)1月30日まで

GALLERY IDF(名古屋) 2022年1月15~30日

テラオハルミ

 テラオハルミさんは1969年、愛知県生まれ。愛知県立旭丘高校美術科卒業。1993年、金沢美術工芸大学油画科卒業、1995年、金沢美術工芸大学大学院油画専攻修了。

 筆者は、テラオさんの作品を、彼女が大学院を修了し、名古屋で発表を始めた1990年代半ばごろから知っている。

 絵画、立体とも比較的小ぶりな作品が多いこともあって、見たり見なかったりという期間があった。

テラオハルミ

 以前から一貫して、カラフルな色彩で動物や植物をユーモラスに描いている。

 奇を衒うことなく、分かりやすく素直に包み隠さず、それでいて形や色彩を丁寧に選び取っている。

 キャリアを積んでも変わらない作風を改めて見ると、テラオさんの感性には魅せられるところがある。 

 植物は沖縄やメキシコなど、まぶしい陽光を浴びたイメージとともに描くことが多く、ナマケモノ、アルマジロ、コウモリなど、デフォルメされた動物はとてもかわいい。

テラオハルミ

2022年 南国の植物達

 今回は、奄美大島など南国の植物にスポットを当てている。

 久しぶりに描いたというサイズの大きな作品は迫力がある。以前は油絵具を使っていたが、今回はアクリル絵具である。

 テラオさんは、田中一村が好きで2018年に奄美を訪ねている。ほかに熊谷守一にも影響を受けた。

テラオハルミ

 日本画家の田中一村は、50歳で奄美大島に単身移住。亜熱帯の植物や鳥を力強く描き、没後の1980年代にNHKの『日曜美術館』などで紹介され、全国的に注目された。

 テラオさんも、アダン、ビヨウタコノキ、クロトンなどの植物を単純化した形と豊かな色彩で描いている。

 明瞭な色彩、形によって植物のユニークな存在感が的確にとらえられ、晴朗、快活な雰囲気に満ちている。

 うねるような葉や幹、はちきれんばかりの実に生命力がみなぎり、空間全体に生気が放たれている。

テラオハルミ

 あえて模様のように描いているのも特長。陰影をつけずに(それゆえ平明で生き生きしている)、形と色でどれだけ立体感、奥行きを出するかを考えていて、部分はフラットな印象ながら、全体の植物の密集した描写には、ほどよい奥行きが感じられる。

 鑑賞者が、南国の植物の生動感、色彩の明るさによって、元気をもらえるような作品である。

 カシワバアジサイなど、南国以外の植物をモチーフにした作品も出品されている。植物のパーツを幾何学的にデフォルメした作品もある。

深谷仁美ガラス展

GALLERY IDF(名古屋) 2022年1月15~30日

深谷仁美

 同時開催の深谷仁美ガラス展の作品も、透明感とともに豊かな色彩があふれ、心地よい展示である。

 深谷仁美さんは1980年、愛知県生まれ。愛知教育大学教育学部総合造形コースガラス専攻を卒業した。

深谷仁美

 吹きガラスによる器は、切り子の研磨機で表面を削っていて、シンプルに見えて変化に富んでいる。

 今回は、グラスの側面を引っ張るように膨れませた愛らしい形の新作も出品している。

 内側から発するような優しい光がガラスを柔らかく包み込み、繊細な存在感を響かせている。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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