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生誕150年記念 モンドリアン展 豊田市美術館(愛知県)で7月10日〜9月20日

モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて

モンドリアン
ピート・モンドリアン《乳牛のいる牧草地》
1902-05年 油彩、紙、厚紙 デン・ハーグ美術館
 Kunstmuseum Den Haag

 20世紀を代表する画家のひとり、ピート・モンドリアン(1872-1944年)の画業を紹介する「生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」が2021年7月10日〜9月20日、愛知・豊田市美術館で開催される。

 オランダの画家、モンドリアンは、抽象絵画の先駆者として知られる。日本では23年ぶりとなる待望の回顧展。

 会場は、後半部分に撮影可能エリアがある。

 また、コレクション展示も充実しているので、ぜひとも見ることを薦める。

 モンドリアン展と関連づけたコンセプトで、国内外の現代アート、デザイン、モンドリアンと同時代の日本美術などが展示され、とても見応えがある。

モンドリアン
ピート・モンドリアン《砂丘Ⅲ》
1909年 油彩、厚紙 デン・ハーグ美術館
Kunstmuseum Den Haag

 生誕150年を記念する本展では、オランダのデン・ハーグ美術館所蔵のモンドリアン作品を中心に、モンドリアン作品54点、関連作品・資料14点を展示する。

 垂直水平の線と三原色、無彩色で描かれた〈コンポジション〉シリーズは、モンドリアンの絵画理論「新造形主義」とともに、画家の誕生から150年を迎えた現在も、絵画史の重要な転換点に位置付けられている。

モンドリアン
ピート・モンドリアン《ドンブルグの教会塔》
1911年 油彩、カンヴァス デン・ハーグ美術館
Kunstmuseum Den Haag

 モンドリアンも、抽象的な作品を描き始める40代半ば以前は、多くの風景画を手がけた。オランダの風車や砂丘、教会や花の描き方には、豊かなヴァリエーションが見られる。

 本展では、初期のハーグ派様式の風景画にはじまり、象徴主義や神智学に傾倒した作品、キュビスムの影響を受けて独自に展開させた作品など、幾度も画風を変化させながら〈コンポジション〉へと至った軌跡をたどる。

モンドリアン
ピート・モンドリアン《色面の楕円 コンポジション 2》
1914年 油彩、カンヴァス デン・ハーグ美術館
Kunstmuseum Den Haag

 モンドリアンの絵画構成はデザイン領域まで影響を与えた。1917年には、画家、建築家らと共に「デ・ステイル」が結成され、雑誌が創刊された。

 今回は、画家テオ・ファン・ドゥースブルフ、建築家ヘリット・トーマス・リートフェルトなど、「デ・ステイル」の作家たちの絵画、彫刻、建築などを合わせて紹介。モンドリアン芸術の広がりを再検証する。

モンドリアン
ピート・モンドリアン《色面のコンポジション no.3》
1917年 油彩、カンヴァス デン・ハーグ美術館
Kunstmuseum Den Haag

ピート・モンドリアン

モンドリアン
ピート・モンドリアン《格子のコンポジション 8
ー 暗色のチェッカー盤コンポジション》
1919年 油彩、カンヴァス デン・ハーグ美術館
Kunstmuseum Den Haag

 ピート・モンドリアンは1872年、オランダ中部のアメルスフォルトに生まれた。17歳(1889年)で図画教師免許を取得。25歳(1897年)まで美術アカデミーで学んだ。

 その後は、川辺の景色や農家、花や木などをモチーフに印象派などの影響を受けた作品を多く描いたが、36歳(1908年)のときに、画家ヤン・トーロップに出会ってからは、塔や砂丘を描いた作品に象徴主義の影響を色濃くにじませた。

モンドリアン
ピート・モンドリアン《大きな赤の色面、黄、黒、灰、青色のコンポジション》
1921年 油彩、カンヴァス デン・ハーグ美術館
Kunstmuseum Den Haag

 1911年、39歳のころには、オランダを出て、パリでの生活を始め、キュビスムを取り入れながら、イメージの単純化と抽象化を加速させた。

 その後も変化を重ねながら独自の絵画理論を突き詰め、1917年、45歳のときに「絵画における新しい造形」を「デ・ステイル」創刊号に発表した。

モンドリアン
ピート・モンドリアン《赤、青、黒、黄、灰色のコンポジション》
1921年 油彩、カンヴァス デン・ハーグ美術館
Kunstmuseum Den Haag

 「デ・ステイル」は、テオ・ファン・ドゥースブルフが主導者となって、他の作家とともに発足したグループ。モンドリアンは中心的存在だったが、53歳(1925年)のとき、ドゥースブルフとの意見の相違から「デ・ステイル」を離れた。

 その後、第二次世界大戦の戦火がパリに迫り、英国ロンドン、米国ニューヨークにわたりながら、晩年まで〈コンポジション〉を描き続けた。

モンドリアン
ピート・モンドリアン《コンポジション No.1》
1929年 油彩、カンヴァス 京都国立近代美術館

モンドリアン
ピート・モンドリアン《線と色のコンポジション Ⅲ》
1937年 油彩、カンヴァス デン・ハーグ美術館
Kunstmuseum Den Haag

最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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