モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて
20世紀を代表する画家のひとり、ピート・モンドリアン(1872-1944年)の画業を紹介する「生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」が2021年7月10日〜9月20日、愛知・豊田市美術館で開催される。
オランダの画家、モンドリアンは、抽象絵画の先駆者として知られる。日本では23年ぶりとなる待望の回顧展。
会場は、後半部分に撮影可能エリアがある。
また、コレクション展示も充実しているので、ぜひとも見ることを薦める。
モンドリアン展と関連づけたコンセプトで、国内外の現代アート、デザイン、モンドリアンと同時代の日本美術などが展示され、とても見応えがある。
生誕150年を記念する本展では、オランダのデン・ハーグ美術館所蔵のモンドリアン作品を中心に、モンドリアン作品54点、関連作品・資料14点を展示する。
垂直水平の線と三原色、無彩色で描かれた〈コンポジション〉シリーズは、モンドリアンの絵画理論「新造形主義」とともに、画家の誕生から150年を迎えた現在も、絵画史の重要な転換点に位置付けられている。
モンドリアンも、抽象的な作品を描き始める40代半ば以前は、多くの風景画を手がけた。オランダの風車や砂丘、教会や花の描き方には、豊かなヴァリエーションが見られる。
本展では、初期のハーグ派様式の風景画にはじまり、象徴主義や神智学に傾倒した作品、キュビスムの影響を受けて独自に展開させた作品など、幾度も画風を変化させながら〈コンポジション〉へと至った軌跡をたどる。
モンドリアンの絵画構成はデザイン領域まで影響を与えた。1917年には、画家、建築家らと共に「デ・ステイル」が結成され、雑誌が創刊された。
今回は、画家テオ・ファン・ドゥースブルフ、建築家ヘリット・トーマス・リートフェルトなど、「デ・ステイル」の作家たちの絵画、彫刻、建築などを合わせて紹介。モンドリアン芸術の広がりを再検証する。
ピート・モンドリアン
ピート・モンドリアンは1872年、オランダ中部のアメルスフォルトに生まれた。17歳(1889年)で図画教師免許を取得。25歳(1897年)まで美術アカデミーで学んだ。
その後は、川辺の景色や農家、花や木などをモチーフに印象派などの影響を受けた作品を多く描いたが、36歳(1908年)のときに、画家ヤン・トーロップに出会ってからは、塔や砂丘を描いた作品に象徴主義の影響を色濃くにじませた。
1911年、39歳のころには、オランダを出て、パリでの生活を始め、キュビスムを取り入れながら、イメージの単純化と抽象化を加速させた。
その後も変化を重ねながら独自の絵画理論を突き詰め、1917年、45歳のときに「絵画における新しい造形」を「デ・ステイル」創刊号に発表した。
「デ・ステイル」は、テオ・ファン・ドゥースブルフが主導者となって、他の作家とともに発足したグループ。モンドリアンは中心的存在だったが、53歳(1925年)のとき、ドゥースブルフとの意見の相違から「デ・ステイル」を離れた。
その後、第二次世界大戦の戦火がパリに迫り、英国ロンドン、米国ニューヨークにわたりながら、晩年まで〈コンポジション〉を描き続けた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)