記事内に商品プロモーションを含む場合があります

SPACが「ふじのくに⇄せかい演劇祭2022」のラインナップ5公演を発表

ふたたびつながる。演劇で、世界と。

  SPAC-静岡県舞台芸術センターが、ゴールデンウィークに開催する「ふじのくに⇄せかい演劇祭2022」のラインナップを発表した。2022年4月29日~5月8日に5公演がある。

 2022年3月9日、静岡芸術劇場とオンライン配信でプレス発表会が開催された。 

撮影:平尾正志
©︎HIRAO Masashi

 チケット発売は、SPACの会会員先行予約が3月21日(月・祝)から 。一般前売は3月27日(日)から。

 2022年は、SPACの活動開始から25周年の節目。ブルガリア、スイス、南アフリカ共和国から3年ぶりに海外招聘が実現し、 SPAC芸術総監督・宮城聰演出の新作『ギルガメシュ叙事詩』がフランス公演を経て静岡に凱旋する。

  演目は、『ギルガメシュ叙事詩』のほか、ブルガリアのイヴァン・ヴァゾフ国立劇場製作の日本初演作品『カリギュラ』と、スイスから招く日本初演作品『私のコロンビーヌ』、SPAC作品の『ふたりの女 平成版 ふたりの面妖があなたに絡む』、 南アフリカから招聘する日本初演の回遊型演劇『星座へ』。

 同時開催のストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡」では、名古屋の『少年王者舘』や、『contact Gonzo』をはじめ、多彩な劇団・アーティストが駿府城公園を中心とした市街地エリアでパフォーミングアーツを展開する。

プログラム(5演目)

『ギルガメシュ叙事詩』(日本・静岡)SPAC新作・日本初演 演劇=ふじのくに野外芸術フェスタ 2022

沢則之による怪物「フンババ」のデザインスケッチ

◎[全席自由]上演時間:未定(120分以内) 日本語上演/英語字幕
会場:駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
日程:5月2日[月]、3日[火・祝]、4日[水・祝]、5日[木・祝]各日18:40開演
台本・演出:宮城聰
翻訳:月本昭男(ぷねうま舎刊『ラピス・ラズリ版 ギルガメシュ王の物語』)
音楽:棚川寛子
人形デザイン:沢則行

 『イナバとナバホの白兎』に続き、フランス国立ケ・ブランリー美術館×SPAC共同制作する宮城聰の新たな祝祭音楽劇。

 4000年の時を超え、英雄・ギルガメシュ王の友情と苦闘の冒険が静岡によみがえる。3月のフランスでの世界初演を経て、5月、静岡市・駿府城公園で上演!

 フランス国立ケ・ブランリー美術館からの委嘱を受け、宮城聰がSPAC 俳優陣と取り組む新作は、古代メソポタミアの冒険物語『ギルガメシュ叙事詩』。

 粘土板にくさび形文字で刻まれた古代文明の象徴にして現存する世界最古の文学作品で、[ノアの方舟]の原型が見出されたことでも世界を驚嘆させた。

 そこには、紀元前2600年頃に実在したとされるメソポタミア南部の都市国家、ウルクの王ギルガメシュを主人公に、大自然の中で暮らす親友エンキドゥとの出会いと別れ、自然破壊、そして永遠の生命を求める旅が描かれる。

 宮城芸術総監督は、これが「口承文芸」であった点を重視し、俳優によるコーラスと生演奏で、叙事詩本来の音楽性を立体的に立ち上げる。

 今回は、チェコを拠点に世界的に活躍する人形劇師・沢則行さんと初めてタッグを組む。

 舞台全面を覆いつくす巨大な操り人形「フンババ」(レバノン杉を守護する怪物)が空間をダイナミックに変化させ、大小さまざまな操り人形が太古の空想世界へと誘う。

 そこで語られるのは、自然と人間との関係、そして人間の奢り。4000年の時を超え、現代の私たちに響く壮大な物語がここに始まる。

 【あらすじ】暴君として怖れられるウルクの王・ギルガメシュは、無二の親友・エンキドゥと出会い、民に愛される立派な王へと成長する。

 ある時、二人は都市の建設のためレバノン杉を求め、森へと向かう。巨大で恐ろしい森の番人・フンババが現れ、二人は力を合わせ打ち倒すが、エンキドゥはその罪により命を失ってしまう。

 ギルガメシュは悲しみから心を病み、死を恐れるようになり、永遠の命を求める旅に出るのであった――。

『カリギュラ』(ブルガリア・ソフィア)日本初演 演劇  16歳以上推奨

◎[全席指定]上演時間:105分 ブルガリア語/日本語字幕
会場:静岡芸術劇場
日程:4月29日[金・祝]14:00開演、30日[土]14:30開演
演出:ディアナ・ドブレヴァ
:アルベール・カミュ

 狂気の皇帝カリギュラを描いたカミュの傑作をたずさえ、東西文化入り混じるブルガリアから、イヴァン・ヴァゾフ国立劇場が堂々初上陸!

 東ヨーロッパのバルカン半島東部に位置するブルガリア共和国はルーマニア、ギリシャやトルコなどと隣接し、古来、アジアとヨーロッパを結ぶ交通の要地であった。

 その首都ソフィアに1906年に建立され、「ブルガリア文学の祖」と目される詩人の名が付けられたイヴァン・ヴァゾフ国立劇場は、東西文化が融合しエキゾチックな情緒がただよう街のシンボルとして威厳を放ち、幅広い演劇作品を上演している。

 満を持して初来日を果たすのは、同劇場に所属する劇団のレパートリー作品、カミュの傑作『カリギュラ』。

 ブルガリアを代表する演出家ディアナ・ドブレヴァが手がけ、孤独な皇帝カリギュラの「死」という絶対的不条理への葛藤を描いた重厚で荘厳な舞台が静岡芸術劇場に登場する。

 【あらすじ】最愛の妹を失い、宮殿から姿を消したローマの皇帝カリギュラ。3日後に戻ってきたが、それまで非の打ちどころがなかった皇帝は豹変。残虐非道のかぎりを尽くす。

 誰もが暴君と化した皇帝を恐れる中、情婦セゾニアは愛するカリギュラの葛藤を受け入れようと寄り添い、忠臣エリコンは皇帝に従い続ける。貴族たちは、怒りと恐怖によってカリギュラ殺害へと駆り立てられる。

 カリギュラは自らの命の危険を知りながらも止まることなく、破滅へと進んでいく。

『私のコロンビーヌ』(スイス・ジュネーヴ/ルナン)日本初演 演劇

© Ariane Catton Balabeau

◎[全席指定]上演時間:80分 フランス語上演/日本語字幕
会場:静岡芸術劇場
日程:5月3日[火・祝]14:00開演、4日[水・祝]13:00開演
演出・舞台美術・衣裳・出演:オマール・ポラス
:ファブリス・メルキオ

 舞台の魔術師、オマール[Omar]による愛[amor]の賛歌! ラテンのリズムに乗せ、波乱万丈の人生を切なくユーモラスに語り上げる。

 1999年の『血の婚礼』以来、たびたび、SPACに登場し、奇抜無類の舞台にファンも多い俳優・演出家のオマール・ポラスが、その半生を自ら演じ語る。

 コロンビアの貧しい農家に生まれたオマール少年は、本屋の片隅でニーチェを読み、店主が語る芸術の街パリに憧れを抱く。

 両親の反対を押し切って海を渡り、パリの地下鉄で無言の人形劇にいそしみ、日銭を稼ぐ日々…。

 恋多きオマール! 出会いの人オマール! その人生は演劇へと導かれ、視線は次第に川を遡上するように過去へと向かう。

 体からにじみ出るラテンのリズムと、逆境に屈しない明るさ、人生の機微を変幻自在に演じ分ける卓越した名人芸に、誰もが幸せのヒントをもらう。

 【あらすじ】三々五々、観客が集まって来る劇場。この物語の主人公であるオマール・ポラスはそんな客に案内人のように話し掛けながら、その実、すでに物語の中心にいる―。

 コロンビアの貧しい農家に生まれたオマール少年は、「ペンよりも鎌を持て」という父と、教育熱心な母に育てられる。

 どうにか学校を卒業したものの、何をすればよいのか分からない。誘われるまま入隊した軍も長続きしなかった。

 そんなある日、街の本屋で偶然手にしたニーチェの著作に深い感銘を受け、本屋に通って読むうち、店主に気に入られる。

 パリの文化サロンの話を聞いて憧れを抱くようになり、自らの人生を大きく動かす決断をするのだった。

『ふたりの女 平成版 ふたりの面妖があなたに絡む』(日本・静岡) SPAC 作品 演劇

『ふたりの女』2019 年 ©Y.Inokuma

◎[全席自由]上演時間:100分 日本語上演/英語字幕
会場:舞台芸術公園 野外劇場「有度」
日程:4月29日[金・祝]、30日[土]各日18:00開演
演出:宮城聰
:唐十郎

 宮城聰のアングラ・小劇場演劇へのオマージュが炸裂するSPAC 野外劇のテッパン!!

 1960年代以降、アングラ・小劇場演劇をリードしてきた劇作家・演出家の唐十郎。

 その戯曲には、猥雑さをない交ぜにした時代のエネルギーが凝縮され、詩的、音楽的なセリフ群は輝きを放ち続ける――。

 『ふたりの女』は、『源氏物語』の光源氏と妻・葵上、生霊と
なった六条御息所の三角関係に、狂気と正気の境界を描くチェーホフの『六号室』を巧みに織り込んだ傑作。

 唐戯曲を敬愛してやまない宮城聰が、極小空間での伝説的初演を深くリスペクトしつつ、自身の演出術を縦横無尽に駆使。日本平の森へと解き放つ!

 2009年の初演から13年。毎公演大入り満員のSPAC 野外劇、4度目の上演である。

 【あらすじ】伊豆の砂浜に立つ精神病院。イケメン医師・光一は、六条という名の美人患者に声をかけられ、不意にアパートの鍵を渡されてしまう。

 富士スピードウェイで妊娠中の妻・アオイとレース観戦をしていた光一。アオイが席を外した隙に、退院した六条が現れ…。

『 星座へ 』(南ア・ケープタウン/静岡)日本初演 回遊型演劇

『Constellations』南アフリカ共和国2020年初演

◎[全席自由]上演時間:約220分(移動含む・本編約120分)日本語上演(字幕なし)
会場:日本平の森(集合場所:静岡芸術劇場)
日程:5月6日[金]、7日[土] 、8日[日]各日 17:30集合
コンセプト:ブレット・ベイリー
日本版キュレーション:大岡淳
出演:[五十音順]国広和毅、黒谷都、こぐれみわぞう、里見のぞみ、辻康介、 巻上公一、美加理、水沢なお、宮原由紀夫、山下残、渡辺玄英 他
※演出上の都合により、どのパフォーマーに巡り合うかは事前に知らされない。

 南アフリカの鬼才ブレット・ベイリーの最新作を日本版として上演! 悠久の森で多彩なアーティストと交差する幻想体験。

 少人数に分かれた観客は、夕刻の森に放たれる。迎えるのは、森に点在する灯を司る「ガーディアン」たち。

 彼らは唄い、舞い、そして語る。暗闇に瞬く明かりを囲み、それを新緑の木々と星々が囲む。

 世界的に高く評価される南アフリカ共和国の演出家・劇作家・インスタレーション・アーティストのブレット・ベイリーが、コロナ渦の混乱の中で構想。ケープタウンのワイン農園で初演された作品をSPACとのコラボで上演する。

 演出家・劇作家の大岡淳(SPAC文芸部)がキュレーションを担い、ダンサー、ミュージシャン、詩人など、多彩なジャンルのアーティストたちが日本平の森に集結、ライブパフォーマンスで私たちをもてなす。

 日常から離れて出会う、まだ見ぬ世界、無数の物語。その夜限りの宴は、星座のようにつながっていく。

ストリートシアターフェス ストレンジシード静岡

日程:5月3日(火・祝)、4日(水・祝)、5日(木・祝)
会場:駿府城公園内各所、静岡市役所・葵区役所、静岡市民文化会館 野外ステージ など
料金:観覧無料 ※一部予約制の場合あり

 演劇とダンスで、いつもの街が劇場に変わる。さまざまなパフォーマンスが街にあふれ、日常の風景が一変する。

 誰も見たことのない静岡が現れる! 観て、感じて、参加して。このGW、あなたは濃密な“ストリートシアター”を体験する。日本では他に類を見ない、野外のパフォーミングアーツフェスを目撃せよ!

出演予定アーティスト】*第一弾発表
 少年王者舘 / contact Gonzo / 範宙遊泳 / ままごとソロ・ワークス / 渡邉尚 / 壱劇屋×サファリ・P×SPAC ストレンジチーム / ホナガヨウコ / モモンガ・コンプレックス / Sunday / コトリ会議 / 和太鼓+ダンスユニット<まだこばやし> / 齊藤コン / 山田裕幸×劇団渡辺 / 劇団かいぞく船 / 羊のクロニクルズ

プログラムディレクター:ウォーリー木下
主催:静岡市
共催:SPAC-静岡県舞台芸術センター

チケット情報

◎SPACの会会員先行予約開始 3月21日(月・祝) / 一般前売開始 3月27日(日)

一 般 4,200円、ペア割引 3,700円(2人で1枚につき)、グループ割引 3,300円(3人以上で1枚につき)、ゆうゆう割引 3,500円[満60歳以上]、学割 2,000円[大学生・専門学校生] / 1,000 円[高校生以下]、障がい者割引 2,900円[障害者手帳のある人] ※付き添いの1人は無料。

チケット購入方法
電話予約:SPAC チケットセンター TEL:054-202-3399(受付時間 10:00~18:00・休業日を除く)
ウェブ予約はこちら
窓口販売:静岡芸術劇場チケットカウンター(受付時間10:00~18:00・休業日を除く)

最新情報をチェックしよう!
>文化とメディア—書くこと、伝えることについて

文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

CTR IMG