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SPAC新作『ギルガメシュ叙事詩』静岡市で5月に上演

フランス国立ケ・ブランリー美術館委嘱作品/SPAC 新作『ギルガメシュ叙事詩』

 SPAC-静岡県舞台芸術センターが、宮城聰芸術総監督演出による待望の新作『ギルガメシュ叙事詩』を2022年5月2~5日、静岡市・駿府城公園で上演すると発表した。

 フランス国立ケ・ブランリー美術館との共同制作。

 ゴールデンウィークに開催する国際演劇祭「ふじのくに⇄せかい演劇祭 2022」「ふじのくに野外芸術フェスタ 2022」 の一環。

宮城聰芸術総監督
宮城聰芸術総監督  ©加藤孝

 『ギルガメシュ叙事詩』は、古代オリエント文明の象徴であるとともに、現存する世界最古の文学作品である。

 紀元前2600年頃に実在したとされるメソポタミア南部の都市国家ウルクの王ギルガメシュを主人公にした、壮大なスケールの英雄冒険譚である。

 レバノン杉の森を徹底的に伐採して美麗な都市を築き、友・エンキドゥを失ったことで、死への恐怖や人生の意味と格闘し、永遠の生命を求める旅へ――。

 そんなギルガメシュの姿は、数千年の時を経てもなお現代に響く普遍性を持つ。

 宮城芸術総監督は、チェコを拠点に世界的な活動を展開する人形劇師、沢則行さんと初めてタッグを組むことで、空間をダイナミックに変化させ、視覚的な面白さも加える。

 今回の舞台では、全面を覆いつくす巨大な操り人形「フンババ」(レバノン杉を守護する怪物)の圧倒的な迫力と造形美が大
きな見どころ。

 併せて、この叙事詩がもともと「文字」ではなく「口承文芸」であった点を重視して台本が作られるのも興味深い。俳優によるコロスと生演奏で、叙事詩本来の音楽性を立体的に立ち上げる舞台となる。

 本作は、2021年3月にフランス国立ケ・ブランリー美術館での上演を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い延期となった。

 現在、2022年3月の上演を目指し、関係各所との調整を進めている。3年間に及ぶ構想を経て、宮城聰×SPAC が満を持して世界に放つ待望の新作である。

作品概要

スタッフ・出演

台本・演出:宮城聰(ラピス・ラズリ版「ギルガメシュ王の物語」月本昭男訳による)
音   楽:棚川寛子
人形デザイン:沢則行
出   演:阿部一徳、大高浩一、石井萠水、大内米治、片岡佐知子、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、舘野百代、本多麻紀、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮、渡辺敬彦、沢則行(操演)、桑原博之(操演)

美術デザイン:深沢襟 / 照明デザイン:吉本有輝子 / 衣裳デザイン:駒井友美子 / ヘアメイク:梶田キョウコ

静岡公演 【ふじのくに野外芸術フェスタ2022静岡】

公演日:5月2日(月)、3日(火・祝)、4日(水・祝)、5日(木・祝) <全4公演> ※開演時間未定
会 場:駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
主 催:ふじのくに野外芸術フェスタ実行委員会
製 作:SPAC-静岡県舞台芸術センター

フランス公演 (開催に向け調整中)

■公開ゲネ:3月23日(水)20:00
■公 演 日:3月24日(木)20:00、25日(金)20:00、26日(土)18:00、27日(日)14:30・17:00 <全5公演>
■会  場:フランス国立ケ・ブランリー美術館 クロード・レヴィ=ストロース劇場
■主  催:フランス国立ケ・ブランリー美術館/製作:フランス国立ケ・ブランリー美術館、SPAC-静岡県舞台芸術センター

台本・演出 宮城聰(みやぎ・さとし)

 1959年、東京生まれ。東京大学で演劇論を学び、90年ク・ナウカを旗揚げ。

 国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。

 2007年4月、SPAC芸術総監督に就任。14年アヴィニョン演劇祭から招聘された『マハーバーラタ』の成功を受け、17年、『アンティゴネ』を同演劇祭のオープニング作品として法王庁中
庭で上演。アジアの演劇がオープニングに選ばれたのは同演劇祭史上初めてのことで、その作品世界は大きな反響を呼んだ。

 平成29年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。19年4月フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。

人形美術デザイン・操演: 沢則行(さわ・のりゆき)

 北海道小樽市出身。1991年にフランスに渡り、1992年に文化庁在外研修派遣でチェコへ。

 以後、プラハを拠点に世界20カ国以上で公演。また、チェコ国立芸術アカデミー演劇・人形劇学部をはじめ、多くの教育現場で講座、ワークショップに取り組む。

 ヨーロッパ文化賞「フランツ・カフカ・メダル」授与、EU文化都市賞など、国際的受賞多数。

 日本国内では、NHK「みんなのうた」映像制作、「SWITCHインタビュー 達人達」出演、東京オリパラ大会の公式文化プログラム「東京2020NIPPONフェスティバル~巨大人形プロジェクト『モッコ』」の人形デザイン設計および人形製作操演総指揮を担う。

 極小から巨大まで、あらゆる人形を創造し、操演することから、フィギュアアートシアターの第一人者とされる。

フランス国立ケ・ブランリー美術館

 ルーブル、オルセー、ポンピドゥーとともにパリの四大美術館のひとつに数えられるケ・ブランリー美術館は、当時の大統領、
故ジャック・シラク氏が「諸文化の対話する場所」として構想。非ヨーロッパ圏の文明や文化の多様性に焦点を当てる美術館として、2006年に開館した。

 広大な敷地に35万点の作品が収蔵されている。館内に、人類学者クロード・レヴィ=ストロースの名を冠した劇場を有し、同劇場のこけら落とし公演として、宮城聰の代表作『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』が上演された。

宮城聰とフランス国立ケ・ブランリー美術館の歩み

2006年:同美術館内クロード・レヴィ=ストロース劇場のこけら落とし公演として『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』を上演。

2013年:SPACフランス公演ツアーの一環として、同劇場で『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』を上演。(ほかに、ル・アーヴル、ルヴァロワ=ペレ、カーンの3都市を巡演)

2016年:フランス国立ケ・ブランリー美術館開館10周年記念委嘱作品『イナバとナバホの白兎』を演出。5月の静岡市・駿府城公園でのプレ公演を経て、6月世界初演。

2019年:6月、静岡公演を経て、『イナバとナバホの白兎』を同劇場で再演。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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