four次展Ⅲ L gallery(名古屋)で8月9日まで 伊藤慶二/国島征二/鯉江良二/田島征三

L gallery(名古屋) 2021年7月24日〜8月9日

荒野の果てにⅢ

 2020年8月6日に亡くなった陶芸家、鯉江良二さんを追悼し、企画された展示である。

 ギャラリーと鯉江さんは、2021年中に個展を開催する約束を交わしていたが、その願いはかなわなかった。

 では、何ができるかと考え、企画されたのが、2015年の4月と6月、鯉江さんを含めて二度にわたって開催した4人展「four次展」の3回展である。

 4人は、鯉江良二さん(1938〜2020年、愛知県)のほかに、陶芸家の伊藤慶二さん(1935年、岐阜県に生まれ)、彫刻家の国島征二さん(1937年、名古屋市生まれ)、絵本作家、美術家の田島征三さん(1940年、大阪府生まれ)。

 2015年、1回目の開催時、4人全員が友人同士というわけではなかった。ほかの3人と親交があった鯉江さんがキーマンとなってつながったグループショーだった。

伊藤慶二/国島征二/鯉江良二/田島征三

 展示は、鯉江さんの作品を中心に、ほかの3人からのオマージュ的な作品、3人が身近に置いてきた鯉江作品、3人それぞれの作品で構成されている。

鯉江良二

 2015年、「four 次展」の1回目は、4人という数字にちなみ、4月4日午後4時44分から、作家によるトークセッションを開いた。

 展示では、このときの動画も紹介しているが、ギャラリーにあふれんばかりの人が押し寄せている。入りきれず、駐車場から覗き込む人もいたという。

 今回、ギャラリーの入り口すぐのところにある掛け軸は、このときに、鯉江さんがその場のやりとりの中で制作したライブドローイングである。

鯉江良二

 また、今回は、鯉江さんのオブジェ作品「チェルノブイリ」や、ブロンズによる鯉江さんのライブマスク「MASCARA DE OLOT」も展示されている。

鯉江良二

 

 3作家の鯉江さんへのオマージュ作品も興味深い。

 田島さんが描いたエネルギッシュな鯉江さんの肖像画は、どこに顔があるのか分からない。

 伊藤さんの手による若い頃の鯉江さんの横顔の小品肖像画も味わい深い。国島さんの「Wrapped Memory」には、正面からは見えないところに鯉江さんの写真などを仕込んである。

鯉江良二

 ユニークなところでは、伊藤さんが所蔵する鯉江さんの書「つち つち つちつ」。

鯉江良二

 そのほかの鯉江さんの作品は、ぐい飲み、のべ皿や、つぼ、鉢、「ころり」と名付けられた底部が不安定な湯呑み、額入りの書画など、バラエティーに富む。

鯉江良二

 伊藤さんの注器、ぐい飲み、オブジェなど、国島さんの彫刻やレリーフ、田島さんのドローイングなど多彩である。

国島征ニ

 作品に込められたそれぞれの熱い思いと生き方、チャーミングな人柄、互いへの信頼が交差する展示である。 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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