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名古屋市美術館で「ボテロ展 ふくよかな魔法」開催 7月16日-9月25日

BOTERO – MAGIC IN FULL FORM 東京、名古屋(愛知)、京都

 人物や楽器や果物、動物などを丸くふくよかな姿として表現する南米コロンビア生まれの芸術家、フェルナンド・ボテロ(1932年-)の作品世界を紹介する「ボテロ展 ふくよかな魔法 BOTERO – MAGIC IN FULL FORM」が2022年7月16日~9月25日、名古屋市美術館で開催される。

 日本では、26年ぶりとなる大規模なボテロ展。90歳を迎えたボテロ本人が監修し、初期から近作まで、世界初公開作品を含む油彩、水彩、素描70点を紹介する。

 東京のBunkamura ザ・ミュージアム(4月29日〜7月3日)から巡回し、名古屋展の後は、京都市京セラ美術館(10月8日~12月11日)へと回る。

 今春には、ボテロの魅力に迫るドキュメンタリー映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』も日本で公開された。名古屋の名演小劇場では8月19日-9月1日に2週間限定で特別上映される。

 ふくらみが持つ形の豊かさは「見る者を突き動かすような官能を伝える」というボテロの言葉どおり、その作品は、ユーモアやアイロニーなど、さまざまな要素を絡めつつ、生の喜びを湧き上がらせてくれる魅力を持っている。

ボテロ
【配給】アルバトロス・フィルム 【提供】ニューセレクト
© 2018 by Botero the Legacy Inc. All Rights Reserve

展覧会概要

会 期:2022年7月16日(土)~9月25日(日)
時 間:午前9時30分~午後5時
9月23日を除く金曜日は午後8時まで
(いずれも入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日(7月18日・8月15日・9月19日は開館)
7月19日[火]、9月20日[火]
会 場:名古屋市美術館
〒460-0008 名古屋市中区栄二丁目17番25号(芸術と科学の杜・白川公園内)
TEL 052-212-0001 FAX 052-212-0005
主 催:名古屋市美術館、中京テレビ放送
料 金:

当日前売り・団体
一般1,800円1,600円
大学・高校生1,000円800円
中学生以下無料無料

・20名以上で団体料金適用
・障害のある人、難病患者の人は、手帳または受給者証(ミライロID可)の提示で本人と付添者2名まで、当日料金の半額で見ることができる。
・名古屋市交通局発行の「ドニチエコきっぷ」「一日乗車券」を当日利用して来館した人は当日料金から100円割り引きとなる。
・「名古屋市美術館常設展定期観覧券」の提示で当日料金から200円割引
・国際芸術祭「あいち2022」現代美術展チケット(1DAYパス、フリーパスいずれも可)を持参の方は、当日料金から100円割引
・会期中、「ボテロ展 ふくよかな魔法」の観覧券で常設展も見ることができる。

展示説明会

①8月13日(土)14:00~(開場13:30)
②8月28日(日)14:00~(開場13:30)
③ 9月9日(金) 18:00~(開場17:30)
※いずれも約60分

講師:久保田舞美(名古屋市美術館学芸員)
会場:名古屋市美術館2階講堂
定員:90名(先着順)※定員になり次第締め切り
※無料。ただし聴講には展覧会観覧券(観覧済半券可)の提示が必要。

見どころ(公式サイトより)

モナ・リザの横顔、世界初公開

 フェルナンド・ボテロが世界に注目されるきっかけとなったのは、1963年、米ニューヨークのメトロポリタン美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》が展示されたとき、ボテロの《12歳のモナ・リザ》がニューヨーク近代美術館(MoMA)のエントランス・ホールに展示されたこと。一夜にして、ボテロの名前はニューヨーク中に知れわたった。

 「モナ・リザ」はボテロが描き続けているテーマの1つ。本展では、2020年制作の《モナ・リザの横顔》が世界で初めて公開されている。90歳を迎えた今も美術家として長年のテーマを探求し続ける気迫の伝わる1枚である。

国内では26年ぶりの大規模展

 本展は、1995-96年の巡回展以降、実に26年ぶりに日本国内で開催されるボテロの大規模絵画展となる。ボテロ本人の監修により、初期から近年までの油彩、水彩、素描など全70点で構成され、展示作品のほとんどが日本初公開という注目のラインナップである。

 初めてボテロ作品に触れる人にも、ボテロファンにとっても、新たな発見のある展覧会となっている。

世界中で愛される、ふくよかな作品

 1951年のコロンビアに始まり、ヨーロッパ、北米、南米、アジアなど世界各地でこれまで70年以上にわたり、数えきれないほどの個展が開かれてきた。

 見る人をひきつけてやまないのは、ふくよかで、ユーモア、ときに風刺を交えた独特の作風。加えて、作品自体の大きさにも圧倒される。豊かで、生の喜びを感じさせる作品である。

なぜ、ふくよかな絵を描き続けるのか?

 ボテロのボリュームへの関心は、17歳の頃に描いた作品《泣く女》(1949年)にすでに見出せる。その後、ヨーロッパ、特にイタリアで学んだ経験は、彼のボリューム感、官能性、デフォルメ表現に対する基盤を確固たるものにした。

 ボテロは「ボリュームを表現することで、芸術的な美を表現することを目指している」「私の作風は、私の作品の代名詞であるだけでなく、私が後世に残す遺産でもある」と語っている。

作品の紹介(公式サイトより)

第1章 初期作品

 ボテロは20歳だった1952年、コロンビア国内の展覧会で受賞した賞金で渡欧。3年間学ぶ中、イタリアでは、クワトロチェント(1400年代)の名画、そしてバーナード・ベレンソンやロベルト・ロンギといった当時の偉大な理論家たちの著述との出会いを通じ、自らの絵画の理論的基盤を形成し、発展させた。

 イタリアでの修業は、17歳のときの作品《泣く女》(1949年)にすでにあったボテロのボリュームへの関心を自覚的、継続的なものにした。

第2章 静物

 1956年、ボテロはアトリエで、マンドリンの穴を殊更に小さく描くと、大きな輪郭と細部とのコントラストが生じ、楽器がふくらんで見えることに気づいた。このとき、彼は自分の仕事にとって、重要で決定的なことが起きたと感じた。

 ボテロの様式は、かたちの官能性とボリュームの強調にある。「ボリュームを通して、生命の高揚感が生みだされるが、デフォルメにより芸術には不均衡が生じる。それは再構築されなければならず、一貫した様式によってのみ、デフォルメは自然となる」と、ボテロは言う。静物画はボテロが繰り返し描くテーマの一つである。

第3章 信仰の世界

 ボテロの全ての作品において、青年時代の記憶が創作活動の主題となっている。

 宗教的なテーマへの関心は、聖職者の世界とそこにあるかたち、色彩、衣装、そしてその造形的で詩的な側面を絵画的に探究するためのものである。

 司教、修道女、司祭、枢機卿は1930~40年代、ボテロの故郷メデジンでは突出した地位にあった。彼らを描くことで、作品には、ある種の懐かしさとともに風刺とユーモアがあふれてくる。ときに予想外で驚きに満ち、起こりそうもない世界をも表現している。

第4章 ラテンアメリカの世界

 1956年、23歳のボテロがメキシコ芸術に出会ったことが、一つのターニングポイントとなった。自らのルーツや故郷コロンビアでの子ども時代の記憶にまなざしを向け、自作の中心的テーマとするようになった。

 同時にメキシコ芸術の大胆な色遣いはボテロを触発し、画面を色鮮やかなものへと変容させた。

 近年、ボテロは大型カンヴァスに水彩で彩色したドローイングのシリーズを制作している。そこでも、ラテンアメリカの世界は主題として生き生きと描写されている。

第5章 サーカス

 2006年、ボテロはメキシコ南部の都市シワタネホを訪問中、ラテンアメリカの趣のある質素なサーカスに出会った。悲しみを内に秘めた人物だけでなく、何よりもその計り知れない詩的な味わいや、かたち、色彩が、彼を驚かせた。

 この出会いは、ピカソ、マティス、ルノワールをはじめとする巨匠たちの作品によって高められたサーカスという可能性を秘めたテーマに彼の想像力の扉を開いた。

 サーカスの役者たちは、盛んに動いているにもかかわらず、ボテロ作品の人物に典型的な静けさと美学をも湛え、ダイナミックさと静寂の間を揺れる逆説的な感覚を伝えている。

第6章 変容する名画

 1952年に初めて欧州へ渡航して以来、ボテロは、ベラスケス、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ヤン・ファン・エイク、アングルなど、美術史における主要な芸術家たちに造形的なオマージュを捧げてきた。

 過去の巨匠たちの名作を基にした一連の作品では、ボテロ独自の様式によって、他の芸術家たちの作品を全く異なるものへと変容させている。「芸術とは、同じことであっても、異なる方法で表す可能性である」というボテロの言葉を強く思い起こさせるシリーズである。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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