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岡田米山人と半江 展 三重県立美術館で9月23日-11月6日

岡田米山人《梅図》1814年 初日山常光寺蔵

三重県にゆかりの深い江戸時代後期の代表的な文人画家

 三重県立美術館(津市)で2022年9月23日〜11月6日、「岡田米山人べいさんじん半江はんこう 展」が開催される。

 岡田米山人(1744〜1820年)とその子、岡田半江(1782〜1846年)は、江戸時代後期に活躍した文人画家。大坂(現・大阪)で米屋を営みながら、趣味で絵を描いて有名になった謎多き存在である。

 同館の開館40周年記念展の第3弾。東海地方で初めて、日本国内でも、およそ半世紀ぶりとなる米山人と半江の展覧会である。

 重要文化財1点、重要美術品2点を含む作品、資料を合わせ、94点を展示する。

 父子は、米穀商を営むかたわら、独力で書画を学んだ。豪快な父に対し、子は繊細で鋭い作風。三重県にゆかりが深く、伊勢国津藩は才能を認め、2人を藩の役人に採用した。

展覧会概要

会期: 2022年9月23日(金・祝)から11月6日(日)まで
開館時間: 午前9時30分-午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日: 毎週月曜日(10月10日は開館)、10月11日(火)
主催: 三重県立美術館
観覧料: 一般 1,000 (800) 円 学生 800 (600) 円 高校生以下無料
*( )内は前売りおよび 20名以上の団体割引料金
*この料金で「特集展示 生誕100年 元永定正展」、常設展示「美術館のコレクション」、「柳原義達の芸術」も見ることができる。
*生徒・学生は生徒手帳、学生証等を提示する。
*障害者手帳等(アプリも含む)のある人が観覧する場合、付き添いの人1名も無料。
*県内学校(小・中・高・特支)等が来館する場合、引率者も観覧無料(要申請)。
*毎月第3日曜の「家庭の日」(10月16日)は団体割引料金で見ることができる。
*前売り券発売所は、チケットぴあ、ファミリーマート、セブン-イレブンなど。

見どころ

1. 謎の多き父子に迫る!  三重県初の大展覧会

 米山人と半江は、謎多き父子。出生地さえ諸説ある状況である。江戸時代後期の文人画家として高く評価されながら、これまで開催された展覧会が極端に少ないのは、経歴に不明な点が多いことも無関係ではない。開催された展覧会は1941年と1976年のわずか2回。三重県では今回が初めてとなる大規模な展覧会。

2. 本業は米屋 ! 米山人と半江のこだわりとは ?

 米山人は、米屋を生業としていたため、「米」の字が入った「米山人」を名乗った。息子の半江も、若い頃は「小米しょうべい」と名乗っている。 ふたりは、画家として有名になった後も米屋を続けている。米屋でありながら、趣味で絵を描くことに強いこだわりを持っていた。

3. 二足のわらじ、米屋と役人

 米山人と半江は大坂で生活し、米屋を営んでいたが、津藩にも仕えていた。大坂の蔵屋敷に住み込みで働き、休みの日には友人たちを招き、ともに作品を描いた。米屋であり、津藩役人でもあった父子は、津藩の仕事を辞した後、60、70代に多くの作品を描いている。

4. 父は豪快、息子は繊細、ふたりの共通点は?

 米山人と半江は独学で絵を学んだ。米山人は構図も筆遣いも大胆。大らかで力強い作品が多く残る。半江は父から絵を学んだが、繊細な作品を残している。一方で、商人あるいは役人として都会の喧騒に身を置きながら、心は自由であろうとした点は共通している。ふたりは絵を生業としていたわけではない。友人、知人とよく遊び、心のおもむくままに筆を執り、独自の境地を開いた。

5.津藩との関係を示す貴重な作品

 三重県立美術館開館40周年を記念して開催する今回の展覧会では、津藩との関わりを重視している。注目は、津藩ゆかりの大阪・常光寺に伝わった屛風と襖絵。大坂夏の陣で命を落とした藤堂家家臣の供養のために、米山人と半江が手掛けた重要な作品である。

イベント

(1)記念講演会「文人画をたのしむ―岡田米山人の〈自娯〉の世界―」

講師:松浦清(大阪工業大学教授 常翔歴史館館長)
日時:10月23日(日)午後2時から ※約 90 分
会場:三重県立美術館講堂
定員:70名

◎聴講無料・要事前申し込み《申し込み締め切り 10月10日(月・祝)》
下記のいずれかの方法で申し込む。申し込み多数の場合は抽選し、締め切り後に結果の連絡がある。
三重県立美術館ウェブサイトの専用フォームで。
② 往復はがきで。往信用文面に参加者の氏名(1 枚につき 2 名まで)、当日連絡先(電話・メールアドレス)、返信用宛名面に住所と氏名を記入し、三重県立美術館「岡田米山人と半江展イベント係」まで送付する。

(2)担当学芸員によるスライド・レクチャー

日時:10 月 15 日(土)午後 2 時から ※約 40 分
会場:三重県立美術館講堂
定員:70名
聴講無料・申し込み不要 ※開場・受け付けは午後 1 時 30 分から

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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