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三重県立美術館で「特集展示 生誕100年 元永定正展 9月6日-12月11日

元永定正《赤と黄色と》1963年 三重県立美術館蔵

―漫ちゃん、もーやん、MOTONAGA SADAMASA―

 三重県出身の現代美術家、元永定正さん(1922~2011年)の生誕100年を記念する「特集展示 元永定正展」が2022年9月6日〜12月11日、津市の三重県立美術館で開催される。

 同館ではこれまで、1991年と2009年の2回、元永定正展を開催。約70点の元永さんの作品を収蔵している。

 今回は、初期から晩年までの作品、資料約50点で画業を振り返るとともに、元永さんが画業をスタートさせた出身地・伊賀との関わりのある作品、資料など、従来、紹介される機会が少なかった部分にも着目。元永さんの表現の源流を探る。

展覧会概要

会  期:2022年9月6日[火]~12月11日[日]
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日(9月19日、10月10日は開館)、9月20日[火]、10月11日[火]
主  催:三重県立美術館
観 覧 料:一般310(240)円 学生[大学・各種専門学校等]210(160)円 高校生以下無料
※( )内は 20人以上の団体割引料金
※この料金で柳原義達記念館も見ることができる。
※「開館40周年記念 岡田米山人と岡田半江展」(9月23日[金・祝]~11月6日[日])または「西洋美術へのまなざし―開館40周年を記念して」(11月19日[土]~12月11[日])も見る場合は、企画展チケットが必要となる。
※生徒、学生は生徒手帳、学生証等を提示する。
※障害者手帳等(アプリ含む)のある人および付き添いの1人は観覧無料。
※教育活動の一環で県内学校(小・中・高・特支)および相当施設が来館する場合は、引率者も観覧無料(要申請)。
※毎月第3日曜の「家庭の日」(9月18日、10月16日、11月20日)は団体割引料金で見ることができる。

伊賀から神戸、そして世界へ ―元永定正 3 つの呼び名―

①漫ちゃん

 元永定正さんが小学校高学年の頃に抱いていた将来の夢は、映画俳優か歌手か絵かきだった。郷里の商業学校を卒業後、大阪、京都や伊賀で仕事に就き、やがて漫画や絵を描き始めた。漫画家を目指した元永さんに絵を教えたのは、伊賀在住の洋画家、濱邊萬吉はまべまんきち(1902~1998年)だった。

 濱邊のもとで絵を勉強していた元永さんは、地元の広報誌などに漫画(イラスト)を描いて発表。郷里の伊賀で、親しみを込めて「(漫画の)漫ちゃん」と呼ばれていた。

②もーやん

 1952年、神戸に居を移した元永さんは、芦屋市展で抽象絵画と出会い、自身も抽象作品を手がけるようになった。

 第8回芦屋市展(1955年6月)に出品した作品が審査員を務めていた吉原治良(1905~1972年)の目に留まった。

 吉原からの誘いで、1955年7月、芦屋公園の松林で開かれた野外展「真夏の太陽にいどむ野外モダンアート実験展」に参加。ビニールシートにインクで染めた水を入れて吊るした作品は、吉原に「水の彫刻」と絶賛された。

 元永さんは、吉原が主宰する具体美術協会に会員として参加。以後、「具体」を活動拠点とし、1950年代後半から60年代半ばにかけて、絵具をキャンバス上に流して制作した作品によって、国内外での評価を固めた。

③MOTONAGA SADAMASA

 1966年に米ニューヨーク滞在の機会を得た元永さんは、アクリル絵具とエアブラシという新しい素材、技法に出会い、画風を大きく変化させた。

 明るい色彩、ムラのない色面でユーモラスなかたちを描き、明るく親しみやすい抽象画という独自の世界を築いた。

 〈おおらか〉で〈のびやか〉な元永さんのスタイルは、絵画制作にとどまらず、立体造形、絵本、パフォーマンス、文筆や、他領域の作家たちとのコラボレーション等へと広がりを見せ、大人から子どもまで、あらゆる世代の人々に愛された。

会期中のイベント

①トークセッション「神戸から、三重から、元永定正を語る」

 兵庫県立美術館で2022年1-7月に開催された 「生誕100年 元永定正展―伊賀上野から神戸、そしてニューヨークへ―」の企画担当者である同館学芸員、遊免ゆうめん寛子さんを迎え、トークセッションをする。
日 時:10月8日[土]午後2時~(約60分)
担 当:遊免寛子(兵庫県立美術館学芸員)× 原舞子(三重県立美術館学芸員)
会 場:三重県立美術館企画展示室
定 員:20人
参加費:無料/先着順
*観覧券持参の上、企画展示室入口に集まる。

②「This is もうやん」映像上映会

 元永定正さんの生誕100年を記念して制作された映像の上映会。
日 時:11月26日[土]午後2時~(約45分)
会 場:三重県立美術館地下 1 階講堂
定 員:70人
参加費:無料/先着順
*開場・受け付けは午後1時30分~

③担当学芸員によるスライドトーク

日 時:11月5日[土]午後2時~(約40分)
会 場:三重県立美術館地下1階講堂
定 員:70人
参加費:無料/先着順
*開場・受け付けは午後 1 時30分~

④三重県立図書館による出張図書館

11月26日[土]午後
関連図書の展示・貸し出しをする。利用カードの新規作成もできる。詳細は同館WEBサイトで。

元永定正の生誕100年を記念する他の展覧会

元永定正のドキュメンテーション
宝塚市立文化芸術センター(兵庫県宝塚市武庫川町)
9月10日[火]~10月10日[月・祝]

「生誕 100 年 元永定正展 一寸さきは光 ~伊賀が生んだ美術の滑稽~」
史跡旧崇広堂(三重県伊賀市上野丸之内)
10月1日[土]~10月31日[月]

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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