不在の観測 ミルク倉庫+ココナッツ、三枝愛、平野真美 岐阜県美術館で10月1日-11月28日

平野真美《変身物語 METAMORPHOSES #3 Pâte de verre》2021

ab-sence/ac-ceptance 不在の観測

 岐阜県美術館で2021年10月1日~11月28日、3人(組)のアーティストによる現代美術展「ab-sence/ac-ceptance 不在の観測」が開催される。3人(組)は、ミルク倉庫+ココナッツ、三枝愛さん、平野真美さん。

 見えないもの、名付けられない存在、輪郭の不明瞭なものがテーマ。3人(組)のアーティストはそれぞれに、《不在》なるものを探り、制作や行為、思考を通じて、私たちの認識の働き、〈不在〉の根拠や概念を問い直す。

 岐阜県美術館の所蔵作品ともコラボ。荒木高子《黒いページのある聖書》(1986年)、伊佐治勝太郎《午睡》(1937年)、榎倉康二《予兆-海・肉体 (P.W.-No.40)》(1972年)、野村仁《励起する真空》(1990年)、松尾芭蕉《山かげや》(1688年)などのコレクションに新たな解釈を加える。

作家紹介

ミルク倉庫+ココナッツ / mirukusouko (Milk Warehouse) + The Coconuts

ミルク倉庫+ココナッツ / mirukusouko (Milk Warehouse) + The Coconuts
ミルク倉庫+ココナッツ《scratch tonguetable》展示風景 2019 撮影:森田兼次

 2009年結成のミルク倉庫を前身とする 7人のアーティストコレクティブ。東京を拠点に活動する。2017年、「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017」に参加した。

 メンバーそれぞれが、建築系技術、電設技術、音楽、デザインなどの職能をもち、技術と芸術を線引きしない、中世のギルドのような実験性に富んだ制作を目指す。

 もの、道具、身体、技術、時間等の潜在的な機能や関係性への思考を重ね、独自の視点を提示する。

 メンバーは、宮崎直孝さん(1974年生まれ)、松本直樹さん (1982年生まれ)、坂川弘太さん(1976年生まれ)、篠崎英介さん(1980年生まれ)、西浜琢磨さん(1978年生まれ)、田中丸善一 さん(1984年生まれ)、瀧口博昭さん(1974-2016年)。

ミルク倉庫+ココナッツ / mirukusouko (Milk Warehouse) + The Coconuts
ミルク倉庫+ココナッツ《scratch tonguetable》展示風景 2019 撮影:森田兼次

作家ステイトメント

 無は問題とはなりえない。……問題は、欠如、喪失、空虚、不在といった、それぞれまったく異なった性質のもののさまざまなあり方を規定することである。* ― J・ラカン
 〈無い〉(≠無)を巡るあらゆる事象は、その対象の「失われ具合」とは裏腹に、私たちの眼前や心中に確かに〈有る〉。無いからこそ(渇求や焦がれを伴い)手応えを感じてしまうこれらの事象を、改めて推し測り、掴もうとする試み/またはその断章。
 石田浩之 著『負のラカン』(誠信書房、1992年)より、1966 年のボルティモアにおける国際討論でのジャック・ラカンによる発言の意訳。なお原文の英単語は省く。

三枝 愛 / MIEDA Ai

三枝 愛 / MIEDA Ai
三枝 愛《庭のほつれ-木を立てる(岐阜)》2019

 1991年生まれ。埼玉県出身。2018年、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程修了。京都府を拠点に活動する。2017年、「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017」に参加した。

 東日本大震災をきっかけに起きた庭の変化を起点に、ものを存続させることの意味を問いつつ、それにまつわる変化や状態に尊厳を見出し、さまざまな表現や行為に派生させる。

 近年は、文化財を扱う現場で用いられる技術を制作に反映させ、《事象》を残す手立てを探っている。

三枝 愛 / MIEDA Ai
三枝 愛《庭のほつれ》2019

作家ステイトメント

 同じ木なのに残されるものと捨てられるものがあるのはなぜか。「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017」に際して制作された展示室=CUBE は、岐阜県加子母産の檜が用いられていたが、会期終了後、保存することはかなわなかった。
 人が忘れたり、壊したり、なくなってしまいそうなものや景色を留めおくために作品をつくってきたのに、それを見過ごしてしまったことがずっと頭の片隅にあった。岐阜県内でのレジデンスを経て、当時譲り受けた端材を拓本によって複製し、CUBE を実寸大で復元することを試みる。

平野真美 / HIRANO Mami

平野真美 / HIRANO Mami
平野真美《変身物語 METAMORPHOSES #3 Pâte de verre》2021

 1989年生まれ。岐阜県出身。2014年、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻修了。岐阜県を拠点に活動している。

 2017年、「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2017」に参加した。主な展覧会に、2018年、「アーティスト・イン・ミュージアム 平野真美 Meets 岐阜県立岐阜盲学校」、2019年、「セカンド・フラッシュ」など。

 瀕死の愛犬や、実在しない空想上の生物などの、骨格、臓器、
血管、皮膚、毛、眼球など、身体を構成するあらゆる部位を人工的に再現することで、蘇生・転生を探求している。

 不在と死、保存と制作、認知と存在に関する思索を深め、いかにそれらと向き合うのかを問いかける。

平野真美 / HIRANO Mami
平野真美《変身物語 METAMORPHOSES #1 X-ray film》2021

作家ステイトメント

 犬の遺骨が入った骨壷を、その蓋を開けることなく CT スキャンし、スキャンデータを元に遺骨の 3Dデータを作成、3Dプリンタで出力する。出力した樹脂製の遺骨を原型として、古代のガラス鋳造法であるパート・ド・ヴェールや陶による鋳込み成形などの技法を通し、姿形はそのままに様々な素材に変容させていく。

イベント

作家トーク

オープニング・クロストーク

日 時:9月23日(木・祝)14:00~15:30
出 演:ミルク倉庫+ココナッツ、三枝 愛、平野真美
会 場:オンライン配信

ミルク倉庫+ココナッツ×日比野克彦 クロストーク

日 時:11月3日(水・祝)14:00~15:30
会 場:岐阜県美術館 多目的ホール、展示室2

レジデンス報告会(美濃市、岐阜市、中津川市でのリサーチ・滞在制作をレポート)

日 時:11月6日(土)14:00~15:30
出 演:三枝 愛
会 場:岐阜県美術館 多目的ホール

平野真美×ナンヤローネアートツアー

日 時:11月28日(日)14:00~15:30
会 場:岐阜県美術館 展示室2

夜間開館ギャラリートーク

日 時:10月15日(金)19:00~19:30
会 場:岐阜県美術館 展示室2
解 説:担当学芸員 鳥羽都子

展覧会概要

場 所:岐阜県美術館
会 期:2021年10月1日(金)~11月28日(日)10:00~18:00
※10月15日(金)、11月19日(金)は20:00まで開館
※展示室の入場は30分前まで
※休館日は月曜日(祝日の場合は翌平日)、11月4日(木)、5日(金)。11月1日(月)は臨時開館

観覧料:一 般 340円 / 大学生 220円 / 高校生以下無料
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、難病に関する医療費受給者証の交付を受けている人、およびその付き添いの人1名までは無料
※11月3日(水・祝)(岐阜~ふるさとを学ぶ日)は無料

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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