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豊田市美術館でコレクション展 歿後20年 若林奮 2023年10月21日-12月24日に開催

《大風景 (4th Stage)》1964, 91年、アルミニウム、鉄、木、54.0×134.5×55.0cm 豊田市美術館蔵 ⒸWAKABAYASHI STUDIO

歿後20年 若林奮

 愛知・豊田市美術館で2023年10月21日〜12月24日、「コレクション展 歿後20年 若林奮」が開かれる。

 自然に対する独自の視点と精緻な観察に基づく作品で、戦後日本美術に大きな足跡を残した彫刻家、若林奮(わかばやし・いさむ/1936-2003年)の歿後20年に合わせ、彫刻作品約20点、版画・素描作品約100点で振り返る。

 素描は会期中、展示替えがある。前期11月19日まで、後期11月21日から。

 若林のつくり出す作品は、寡黙で多くを語ることはない。装飾的なものを削ぎ落とした禁欲的な形態、鉄や硫黄などの素材による緊張感に満ちた表面。そこには、深い思索から生まれる繊細な詩情と深遠な思想が漂っている。

《水没の振動尺》2002年、紙、鉄、綿、銅、インク、サイズ可変 豊田市美術館蔵 ⒸWAKABAYASHI STUDIO

 それは、彫刻とはどのように在りうるのかという根源的な問いから発するものであり、また、自然やそこにある事物を自己という唯一の存在を尺度として認識しようとする、作家自身の具体的で私的な探究の所産と言えるものである。

 若林の作品が持つこのような特徴が、彼をして現代日本美術の流れのなかで重要な位置を占めさせている。

 豊田市美術館では、若林奮の作家としての重要性から、その仕事を全体的に見渡せるよう収集に努めてきた。そして、作家が亡くなる前年の2002年には、生前最初で最後の大規模な回顧展も開催している。

 今年は、若林が歿して20年の節目にあたる。この機に、豊田市美術館が所蔵する若林作品をまとめて展示し、改めて、この稀有な作家の思想に触れる。

《100粒の雨滴 I》1976年、銅、鉄、真鍮、12.6×100.0×100.0cm 豊田市美術館蔵 ⒸWAKABAYASHI STUDIO

見どころ

・豊田市美術館が所蔵する、日本有数の若林作品のコレクション(寄託を含む)をまとめて展示する。
・初期から晩年までの作品がそろい、作家の歩みや作品の展開を概観できる。
・作家が晩年まで秘蔵し、亡くなる前年に豊田市美術館が寄贈を受けた100点に及ぶ素描《100の羨望》をすべて展示する(実際の展示点数は101点、会期中展示替えがある)。

《100の羨望 I》1967, 71年、インク、クレヨン、水彩、紙、38.0×53.9cm 豊田市美術館蔵 ⒸWAKABAYASHI STUDIO

展覧会概要

会  期:2023年10月21日[土]-12月24日[日]
開館時間:午前10時-午後5時30分[入場は午後5時まで]
休 館 日:月曜日
主  催:豊田市美術館
会  場:展示室 1 ー3
観 覧 料:一般300円[250円]/高校・大学生200円[150円]/中学生以下無料
※[ ]内は20名以上の団体料金
※次の人は観覧料が無料(要証明)
 障がい者手帳のある人(介添者1名)、豊田市内在住又は在学の高校生、豊田市内在住の18歳以下(満18歳から最初の3月31日まで)、豊田市内在住の満70歳以上、その他、観覧料の減免対象者及び割引等については同館ウェブサイトで確認
本展覧会は、同時開催の「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展の観覧券で見ることができる

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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