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杉浦非水 時代をひらくデザイン 三重県立美術館で11月23日-1月30日

杉浦非水 時代をひらくデザイン

 日本におけるモダンデザインの草分けとして知られる杉浦非水(すぎうら・ひすい 1876-1965年)の代表作を紹介する「杉浦非水 時代をひらくデザイン」が2021年11月23日〜2022年1月30日、津市の三重県立美術館で開催される。

 ポスターや図案集などの代表作に、制作の過程を示すスケッチや写真、遺愛の品々を加え、非水の生涯をたどる。

 全国4カ所を巡回。東海地方の美術館では初めてとなる非水の大規模回顧展である。

 会期中一部作品の展示替えがある。前期は11月23日(火・祝)〜12月26日(日)、後期は12月28日(火)〜2022年1月30日(日)。

 杉浦非水は、愛媛県松山市生まれ。日本画家を志して上京した後、洋画家黒田清輝との出会いをきっかけにデザインの道に進んだ。

 1908年に三越呉服店に職を得ると、27年間にわたって同店の広告を手がけ、巧みなデザインによって一躍、その名を知らしめた。

 本の装丁、パッケージデザインなどにも優れた手腕を見せ、明るく洗練されたデザインの数々は、今もなお色あせない魅力を放っている。

展覧会概要

会  期:2021年11月23日(火・祝)〜2022年1月30日(日)
休 館 日:月曜日(1月10日は開館)、1月11日(火)
年末年始[2021年12月29日(水)〜2022年1月3日(月)]
開館時間:9時30分〜17時(入館は16時30分まで)
観 覧 料:一般1000(800)円、学生800(600)円、高校生以下無料 かっこ内は前売りおよび20人以上の団体割引料金

 ※「美術館のコレクション」、柳原義達記念館も見ることができる。

巡回情報

島根県立石見美術館 2021年7月3日~8月30日 (終了)
たばこと塩の博物館 2021年9月11日~11月14日 (終了)
三重県立美術館 2021年11月23日~2022年1月30日
福岡県立美術館 2022年4月15日~6月12日

杉浦非水とは

 本名は杉浦朝武。愛媛県松山市に生まれる。日本画家を志して上京し、東京美術学校日本画選科に入学。在学中、洋画家黒田清輝のもとでフランスの雑誌、写真などを目にしたことをきっかけにデザインの道に進むことを決め、独力で学んだ。

 1908年から27年間勤めた三越呉服店では、初代図案部主任となり、広告から雑誌、商品のデザインを手がけた。日本で最も早い時期の専業デザイナーとして知られ、明るく洗練されたデザインを得意とした。

 1929年には帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)教授、工芸図案科長に、1935年には多摩帝国美術学校(現・多摩美術大学)初代校長に就任。今日のデザイン界の礎を築いた。

展覧会のみどころ

1.グラフィックデザインの名作がせいぞろい

 「三越の非水か、非水の三越か」と言われるまでに注目された三越呉服店時代の広告デザインから、グラフィックデザイン史の名作として知られる《東洋唯一の地下鉄道上野浅草間開通》、たばこパッケージ《光》などの代表作がそろう。

 今もなお色あせない魅力を持つ非水の作品の数々を楽しめる。

2.代表作から資料までが一堂に会する大規模回顧展

 7000件以上の非水アーカイブを有する愛媛県美術館の企画協力のもと、代表作に加え、制作の背景を示すスケッチや写真、資料約300件から、非水の生涯をたどる。

 東海地方で非水の大規模回顧展が開かれるのは初めて。

3.三重会場のみ、現存する《みだれ髪歌がるた》をすべて公開

 20代前半の杉浦非水と親友の洋画家中澤弘光が、1901年に発行された鳳(与謝野)晶子の歌集『みだれ髪』に感銘を受け、歌に絵を添えて制作した《みだれ髪歌がるた》を公開する。

 文学と美術の融合、日本におけるアール・ヌーヴォー受容の重要作として知られながら、散逸によって、これまでまとめて展示される機会はほとんどなかった。

 三重会場でのみ、現存する28枚(三重県立美術館蔵1枚、個人蔵27枚)を前後期に分けて公開。東海、関西圏で《みだれ髪歌がるた》がまとめて展示されるのは初めてである。

関連イベント

(1)記念講演会「杉浦非水が目指したもの:その生涯と仕事」

日時:1月16日(日)14時から(1時間半程度)
講師:長井健(愛媛県美術館 専門学芸員)
会場:美術館講堂
定員:40人
参加費無料、要事前申込(申込締切:1月7日)

 申込専用フォーム、または往復はがきで申し込む。往復はがきの場合、参加者氏名、当日連絡先(電話・メールアドレス)を添えて、美術館宛てに送る。申込多数の場合は抽選。往復はがきは、返信の宛名面に住所、氏名を記入の上、下記に送る。

 〒514-0007 三重県津市大谷町11 三重県立美術館 記念講演会受付係

 講演会終了後に作成する記録動画の視聴を希望する人は、申込専用フォームから申し込めば、視聴用リンクが送られる。

(2)担当学芸員によるスライド・トーク

日時:12月18日(土)、1月9日(日)14時30分から(45分程度)
会場:美術館講堂
定員:40人
参加費無料、14時から先着順

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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