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「追悼 篠田桃紅 107年のキセキ」展 2024年6月15日-7月28日 名古屋の古川美術館 / 分館 爲三郎記念館同時開催

1960年頃から100歳を超えた晩年までの総数50点余り

 名古屋の古川美術館と分館 爲三郎記念館で2024年6月15日〜7月28日「追悼 篠田桃紅 107年のキセキ」展が開催される。

 篠田桃紅(1913-2021年)は、107歳の生涯を、墨による芸術創作にかけ、人生を切り拓くように常に新しい表現を目指した。

 独自のスタイルを模索して1956年から58年にかけて単身渡米。全盛期の抽象表現主義の巨匠たちとも親交を深めた。滞在したニューヨークでは、桃紅の墨と筆の可能性を追求した抽象芸術は大きな称賛を受けた。

 帰国後は、書の意味や形にとらわれない水墨の線と色による形象、心身から生み出される墨の痕跡美による桃紅ならではの水墨抽象を確立した。

 本展では、篠田桃紅の創作活動を長年見守ってきたザ・トールマン コレクション(東京)から、1960年頃から100歳を超えた晩年までの総数50点余りを、古川美術館・分館 爲三郎記念館の両館で展覧する。

 古川美術館では、公開する機会の少ない貴重な肉筆作品を紹介。墨線の勢いや発色の広がり、和紙のにじみ、ぼかしといった偶然性をいかした大作を展示。

 また、昭和初期創建の数寄屋建築である分館 爲三郎記念館では、表現技法の一つとして情熱を傾け、50年にわたり千点以上制作したという桃紅のリトグラフ作品を展覧する。摺り上がった版画の多くは、一つ一つ手彩色を施し、装飾やリズム感など表情の異なる作品へと仕上げている。

展覧会の見どころ

展示会場:古川美術館
・没後3年となる追悼展として、長年、篠田桃紅の制作を見守ってきたザ・トールマン コレクションから、主要な篠田桃紅の肉筆作品を紹介 25点ほど展示する。

篠田桃紅「Gone with the Wind」1963年 38×45cm ※三好達治の詩の一節

・1956~58年にかけて滞在したニューヨークからの帰国後に生み出された、墨による新たな抽象表現を紹介する。

篠田桃紅「Awakening」2012年 57×76cm

篠田桃紅「Silent Passion」2007年 100×75cm

・100歳を超えて制作された晩年の作品を展示する。

篠田桃紅「Omnipotence」2014年 45×170cm

展示会場:分館 爲三郎記念館(旧古川爲三郎邸)
・長年情熱を注いだリトグラフの名品、大作 20~30点ほどを展示する。

展覧会概要

【展覧会名】「追悼 篠田桃紅 107年のキセキ」展
【会期】2024年6月15日(土)~7月28日(日)38日間 午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
【休館日】月曜日。 但し、7月15日(月・祝)は開館、翌16日(火)は休館
【会場】古川美術館、分館爲三郎記念館 両館同時開催
【主催】公益財団法人 古川知足会(古川美術館)
【監修/作品協力】ザ・トールマン コレクション
【協 力】(株)クオラート
【特別協賛】SMBC日興証券株式会社
【後援】愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会、中日新聞社、CBCテレビ、スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社
【観覧料】大人1,200円 高・大学生500円 中学生以下無料 いずれも美術館・記念館との共通券 美術館単館券900円 / 記念館単館券600円

関連イベント

学芸員によるギャラリートーク
6月16日(日)、6月28日(金)、7月19日(金)各日14時 ※古川美術館のみ

ザ・トールマン コレクションによるギャラリートーク
毎週水曜日、土曜日11時 ※分館爲三郎記念館のみ

篠田桃紅

 美術家。1913年、中国大連に生まれる。5歳の頃から父に書の手ほどきを受け、以後独学で書を極める。雅号は桃紅。

 戦後、墨を用いた抽象表現で新たな形を切り拓く。1956年に渡米し、ニューヨークを拠点として個展を開催し、以後、世界的な評価を得る。

 58年に帰国後は、増上寺の襖絵をはじめ建築に関わる壁画などの仕事も多く手掛ける。また、リトグラフの制作や随筆など活動は多岐に渡る。2021年逝去。

1913年 3月28日、旧満州国大連に生まれる(本名満洲子)
1914年 父の転勤で東京に移る
1919年 この頃、初めて筆と墨に触れる。その後、父から書道を学ぶ
1940年 銀座・鳩居堂で書の初個展
1945年 既成の書の形にとらわれない墨による新たな形を描き始める
1956年 渡米し、ニューヨークに滞在(~58年)
帰国後、水墨による抽象表現を探求。日本で制作し、国内のみならず世界各地で個展を開催
1960年 フィラデルフィアから来日した刷り師アーサー・フローリーの勧めでリトグラフ制作を始める。版画刷り師の木村希八とともに約50年に渡り千点を超える作品を生み出す
1963年 山梨県富士山麓にアトリエを構える
1974年 増上寺大本堂、ロビーに壁画を、道場に襖絵を制作(東京)
1979年 『墨いろ』が第27回エッセイスト・クラブ賞受賞
2015年 『一〇三歳になって分かったこと 人生は一人でも面白い』(幻冬舎) 45万部を超えるベストセラー
2016年 KITTE名古屋開業記念「篠田桃紅展」(ザ・トールマン コレクション企画)
2021年 3月1日、107歳で逝去

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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