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新潟拠点のNoism、鼓童による新作『鬼』が7月に名古屋など5都市で上演

コンテンポラリーダンスと和太鼓が織りなす新しい芸術表現

 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館の専属舞踊団「Noism Company Niigata」と、佐渡(新潟県)を拠点に活動する太鼓芸能集団「鼓童」が共演する新作ツアーが2022年7月、新潟市、さいたま市、京都市、名古屋市、山形県鶴岡市の5都市を巡る。

 現代音楽の作曲家、原田敬子の新曲による『鬼』を発表。ディアギレフ生誕150周年を記念するストラヴィンスキー『結婚』も上演される新作 2 本立てである。

 4月下旬に新潟市で開かれた会見で、Noism芸術監督で演出振付の金森穣さんは「新潟がテーマ」と強調。そのうえで、どこまでも続く平野、地平線へとイメージを広げた。タイトルにもなっている鬼は、必ずしもネガティブなものばかりでなく、人間の内にある肯定する精神でもある。

 公演は、7月1〜3日が新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館、8〜10日が埼玉・彩の国さいたま芸術劇場、17日が京都・ロームシアター京都、23日が愛知・愛知県芸術劇場、30日が山形・荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)。

公演概要

第1部 ディアギレフ生誕 150 周年・ストラヴィンスキー『結婚』
演出振付:金森穣
音楽:I.ストラヴィンスキー(録音を使用)
衣裳:堂本教子
出演:Noism0、Noism1

第2部 Noism×鼓童『鬼』
演出振付:金森穣
音楽:原田敬子
衣裳:堂本教子
出演:Noism0、Noism1
演奏:太鼓芸能集団 鼓童

5都市ツアーの日程

新潟公演 2022 年 7 月 1 日(金)~3 日(日)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館〈劇場〉
埼玉公演 2022 年 7 月 8 日(金)~10 日(日)彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉
京都公演 2022 年 7 月 17 日(日)ロームシアター京都〈メインホール〉
愛知公演 2022 年 7 月 23 日(土)愛知県芸術劇場〈大ホール〉
山形公演 2022 年 7 月 30 日(土)荘銀タクト鶴岡〈大ホール〉

愛知公演

公演日時:2022年7月23日(土)16:00(15:15開場)※公演時間:約1時間20分(途中休憩あり)
会  場:愛知県芸術劇場大ホール
料  金:S席 6,000 円(U25 3,000 円)、A席 4,000 円(U25 2,000 円)、B席 3,000 円(U25 1,500 円) ※チケットなどの詳細は、愛知県芸術劇場(愛知芸術文化センター)のWEBサイトへ。

リハーサルの様子。撮影:遠藤龍

作品紹介

ディアギレフ生誕 150 周年・ストラヴィンスキー『結婚』

 ストラヴィンスキー作曲によるバレエ作品『結婚』は、20世紀初めに総合芸術としてのバレエを確立したバレエ・リュスによって、1923年にパリで初演。

 ニジンスカ、キリアン、プレルジョカージュなど、20世紀を代表する振付家がこの曲で創作し、さまざまな舞踊団で上演されてきた名作である。

 2022年は、バレエ・リュスの創設者ディアギレフの生誕150周年にあたることを記念し、金森穣演出・振付によるNoism版『結婚』を上演する。

Noism×鼓童『鬼』

 金森穣の演出振付によるNoism×鼓童の新作がついに実現。作曲家の原田敬子が新潟・佐渡でのリサーチを経て描く新曲を、鼓童が生演奏。Noism0とNoism1の舞踊家が出演する。

 特定の主義を持たず、歴史上蓄積されてきたさまざまな身体知を用いて、あらゆるismを再検証することで、今この時代に有用な新しい形に置き換え、現代人としての身体表現を後世に伝えていこうとしているNoism。

リハーサルの様子。撮影:遠藤龍

 単なる型の再現ではなく、原点となる芸能への敬意を失わずに、その中に蓄積されている普遍的な精神やエネルギーを自らの身体を通して新たな形に置き換え、舞台に表出させることで、伝統から学ぶことの可能性を現代に生きる人々に提示している鼓童。

 安易なコラボレーションではなく、いずれもその活動理念に基づいた日々の鍛錬と創作を共にしている「集団」同士だからこそ可能な共演がここに実現する。

 この新作のために新曲を書きおろしたのは、世界的に活躍する作曲家、原田敬子。Noism と原田は、2019年に富山・利賀村で開催された国際的な舞台芸術の祭典「第 9 回シアター・オリンピックス」で上演したNoism0『still / speed / silence』で創作を共にしている。

プロフィール

Noism Company Niigata(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)

Noism『春の祭典』より 撮影:篠山紀信

 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館を拠点に活動する、日本初の公共劇場専属舞踊団。芸術監督は金森穣。

 プロフェッショナル選抜メンバーによる Noism0(ノイズムゼロ)、プロフェッショナルカンパニーNoism1(ノイズムワン)、研修生カンパニーNoism2(ノイズムツー)の 3 つの集団がある。

 国内、世界各地からオーディションで選ばれた舞踊家が新潟に移住し、年間を通して活動。2004年の設立以来、りゅーとぴあで創った作品を国内外で上演し、新潟から世界に向け、グローバルに活動を展開するとともに、市民のためのオープンクラス、学校へのアウトリーチをはじめとした地域に根ざした活動を行っている。

 Noism の由来は「no-ism=無主義」。特定の主義を持たず、歴史上蓄積されてきたさまざまな身体知を用いて、あらゆる ism を再検証することで、今この時代に有用な新しい形に置き換え、現代人としての身体表現を後世に伝えていこうとしている。

金森穣

 演出振付家、舞踊家。りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督、Noism Company Niigata 芸術監督。

 17歳で単身渡欧、モーリス・ベジャール等に師事。ルードラ在学中から創作を始め、NDT2在籍中に 20歳で演出振付家デビュー。

 10年間、欧州の舞踊団で舞踊家、演出振付家として活躍したのち帰国。2004年4月、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督に就任し、日本初の劇場専属舞踊団 Noism を立ち上げる。

 サイトウ・キネン・フェスティバル松本での小澤征爾指揮によるオペラの演出振付を行う等、幅広く活動している。

 平成19年度芸術選奨文部科学大臣賞、平成20年度新潟日報文化賞、第60回毎日芸術賞ほか受賞歴多数。令和 3 年紫綬褒章。

太鼓芸能集団 鼓童

鼓童 ワン・アース・ツアー2019「道」より

 新潟県佐渡島を拠点に、太鼓を中心とした伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。

 1971年より、「佐渡の國鬼太鼓おんでこ座」として、10年間活動ののち、81年、ベルリン芸術祭でデビュー。以来、53の国と地域で6,500回を越える公演を行う。

 多様な文化や生き方が響き合う「ひとつの地球」をテーマとした「ワン・アース・ツアー」という劇場公演のほか、小中高校生との交流を目的とした「交流学校公演」、さまざまなジャンルのアーティストとの共演、映画やゲーム音楽への参加など、幅広い活動を行っている。

 本拠地・佐渡においては、88年より、国際芸術祭「アース・セレブレーション(地球の祝祭)」を開催し、国際交流や地域振興にも寄与している。

原田敬子

 作曲家。独自のアイデア「演奏家の演奏に際する内的状況を創造する」を軸に、異分野コラボレーションを含め、国内外の音楽祭や放送局、演奏団体やソリストにより委嘱を受けている。

 日本音楽コンクール第 1 位、山口県知事賞、芥川作曲賞、中島健蔵音楽賞、尾高賞、輝く女性賞ほか受賞。

 招聘個展は欧州と東ア諸国のほか、2022-23年シーズンはカナダとブルガリアで予定。

 12年から、日本の地域で育まれた音文化の美学を、新たな響きと身体表現により創造し、継承を促す「伝統の身体・創造の呼吸」団体代表。

 4 枚の自作品集CDは、国内外からリリースされている。東京音楽大学准教授、桐朋学園大学、静岡音楽館AOI 講師。

堂本教子

 コンテンポラリーダンス、舞踏、演劇、歌舞伎、オペラなどの衣裳デザイン製作。

 1999年と 2003年には、チェコ・プラハ カドリエンナーレ国際舞台美術展出展。2000年、文化庁芸術家在外研修として、バットシェバ舞踊団の衣裳デザイナーRakefet Levy に師事。

 99年伊藤熹朔賞奨励賞、第36回橘秋子賞 舞台クリエイティブ賞受賞。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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