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『ネズラ1964』シアターカフェ(名古屋)で9月18~26日

『ネズラ1964』名古屋初公開

 名古屋市東区白壁のシアターカフェで、2021年9月18~26日、1963-64年の特撮怪獣映画製作の奮闘ぶりを再現した『ネズラ1964』(2020年/53分)が上映される。名古屋初公開。

 「ガメラシリーズ」や「大魔神」が人気となる前の1964年に公開され、大映特撮怪獣映画の第1弾となるはずが、幻に終わった『大群獣ネズラ』の舞台裏をモチーフにしている怪作。

 『大群獣ネズラ』は1963年秋に撮影が始まり、「実際の生きたネズミをミニチュアの中に置き、巨大な怪獣に見せかける」という凄まじい方法で撮影された。

 しかし、ノミ、ダニの大量発生で大パニック! スタッフはガスマスクで対応するなどしたが、近隣住民のクレームによって、保健所が撮影禁止を勧告。ネズラ撮影は中止された。

 宣伝用のスチル写真と小規模のフィルムを幾つか残したまま映画は幻と消えた。翌年、大映が新たに怪獣映画を企画し、大成功させたのが『大怪獣ガメラ』である。

上映スケジュール・料金・予約

日時:9/18(土)~26(日) 15:00/18:00 ※火・水定休
料金:1200円+ドリンク代(600円~)
定員:10名(要予約)
予約はこちら

『ネズラ1964』(2020年/53分) 

監督·脚本:横川寛人
出演:螢雪次朗、菊沢将憲、米山冬馬、小野ひまわり、斉藤麻衣、大迫一平、内田喜郎、佐藤昇、大橋明、佐野史郎、古谷敏、マッハ文朱
製作プロダクション:株式会社3Y 企画協力:株式会社KADOKAWA

 ​​1964年に公開される予定だった幻の特撮怪獣映画「大群獣ネズラ」のスタッフの奮闘、苦悩や挫折、『大怪獣ガメラ』製作へつながる物語など舞台裏を、株式会社KADOKAWA(旧・大映)の企画協力のもとフィクションを交えながら描いている。1963年〜1964年の背景を徹底的にリサーチ。『ネズラ』を最後まで諦めなかった当時の特技監督やスタッフへのリスペクトを込めた作品である。

背景

 1960年代初頭は、東宝特撮シリーズ全盛期とも呼べるタイミング。大映は負けじと1963年に『大群獣ネズラ』を企画した。

 大映は以前にも『宇宙人東京に現る』というSF特撮映画や、円谷英二監督の特撮による『透明人間現わる』『虹男』などの作品を製作した実績があり、東宝だけが日本の特撮ではないという意地と熱意があった。

 『大群獣ネズラ』は、ヒッチコック『鳥』(1963年)をヒントとするモンスターパニックものの影響も強く、東宝巨大怪獣映画とは違ったベクトルもあった。

 『大群獣ネズラ』は実現しなかったが、ネズラがあったからこそ人気怪獣ガメラは生まれ、以後、各社がさまざまな怪獣映画を制作。その熱狂はテレビや書籍など媒体を問わない発展を遂げ、怪獣は子供たちを引きつけた。

 『大群獣ネズラ』は、たとえ実現しなくても、そんな熱狂の時代に果敢に立ち向かった人たちの熱意の象徴である。

 『ネズラ1964』は、当時の製作背景を描くことで、その後の特撮史に影響を与え、今に至る「怪獣観」を築き上げることになったネズラの「奇跡」が描かれている。

 1963年から1964年にかけては、映画館における怪獣ブームの臨界点といえる時代。

 『ネズラ1964』では、当時と同様、特撮に本物のネズミを使用。新たにミニチュアやネズラの着ぐるみなど作製した。

 作品情報や背景を徹底的にリサーチ。当時の出来事を物語の演出として踏まえ、フィクション要素も取り入れた再現映画である。

 登場人物は実在の人がモデルとなっているが、複数のモデルから創作された架空のキャラクターになっている。

見どころ

●ライバル会社の怪獣映画に対抗する『大群獣ネズラ』の企画会議の模様。
●ネズミを掻き集めろ!1匹50円で買います!
●特撮シーンの撮影!しかしネズミは思い通り動いてくれない。
●ノミやダニが大量発生!スタッフはガスマスクをつけて撮影することに。
●マンモスネズラの登場!

横川寛人監督プロフィール

 静岡県沼津市出身。東京藝術大学彫刻科卒業。同大学院修了。2015年、台東区長奨励賞受賞。2017年『大仏廻国The Great Buddha Arrival』を企画・監督し、2018年末に完成。2020年、佐野史郎と古谷敏を新たにキャスティングした『大仏廻国The Great Buddha Arrival』2020年版を発表。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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