名古屋のカルチャーWEBマガジン「アウターモーストナゴヤ」では、レビュー、リポート、トピックスなどを掲載します

ヌトミック+細井美裕『波のような人』

ヌトミック『Saturday Balloon』(2017) photo takaramahaya

マルチチャンネルスピーカーと俳優のための演劇作品

 ヌトミックが、名古屋・栄の愛知県芸術劇場で、フランツ・カフカ 『変身』を原案に、「『波のような人』マルチチャンネルスピーカーと俳優のための演劇作品」を滞在制作、2021 年4 月27日午後7時半、28 日午後1時、7時から、同劇場小ホールで上演する。上演時間は約90分。

 見えない。しかし、確かにそこにいる。
「音」に変身した身体が語る、人間の進化と退化を巡る不条理劇。

2021 年度の開幕を飾るミニセレ第1 弾公演

額田大志

額田大志 Photo comuramai / takaramahaya

 同劇場が主催する第16 回AAF 戯曲賞の大賞受賞作『それからの街』で鮮烈なデビューを果たした演劇作家・作曲家の額田大志さんが、第23 回文化庁メディア芸術祭アート部門新人賞を受賞したサウンドアーティスト、細井美裕さんとのコラボレーションで制作。

 両者の共通点である「音」を使い、マルチチャンネルスピーカーと俳優を組み合わせた演劇作品に挑む。

 フランツ・カフカ『変身』を基にしているが、主人公となるのは、巨大な虫ではなく、身体がデータに変身してしまった一人の男。
 声だけでなく、通常の人間には知覚できない心臓の鼓動や血流の音などが、マルチチャンネルシステムによって再生され、「鳴っているはずなのに聞こえない音」「通常の人間には出せない音」までが作品に取り入れられる。

細井美裕

細井美裕  Photo Ken Hirose

あらすじ

 ある朝、男が目覚めると自分の体がなくなっていることに気が付く。男の体は、目に見えないデータに変わっていた。心臓の鼓動、血流、声、あるいは気配として、男は家族に語りかける。データ化した男を人間だとは思えない母と妹。
 この物語は、突如として起こる不条理な現実に翻弄された、ある家族の”変身”を描く。

公演概要

作・演出・音楽:額田大志
サウンドデザイン:細井美裕
原案:フランツ・カフカ 『変身』
出演:長沼航、原田つむぎ、深澤しほ、岩渕貞太(音の出演)
テクニカルディレクター:イトウユウヤ
音響:山口剛 (愛知県芸術劇場)
音響操作:岡野将大 (愛知県芸術劇場)
音響システムサポート:久保二朗
データ収録協力:株式会社小野測器
舞台監督:世古口善徳 (愛知県芸術劇場)
舞台美術:渡邊織音
照明:川島玲子
衣装:清川敦子
ドラマトゥルク:前原拓也
宣伝美術:タカラマハヤ
演出部:森円花
制作:河野遥

チケット

発売は、3 月12 日(金) 10:00から。
料金 (全席自由) は、一般 /3,000 円、U25/ 2,500 円、高校生以下 /1,000 円

愛知県芸術劇場オンラインチケットサービス
● 愛知芸術文化センター内プレイガイド (地下2 階)
Tel 052-972-0430
営業時間 10:00 – 19:00 (土日祝は18:00 まで)
月曜定休/祝休日の場合は翌平日
●問い合わせ:ヌトミック
Mail nuthmique@gmail.com
Tel 050-5435-3392 (10:00~19:00)

額田大志 Masashi Nukata

 1992年、東京都出身。作曲家、演出家。8 人組バンド『東京塩麹』、演劇カンパニー『ヌトミック』主宰。
 「上演とは何か」という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出で、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表している。
 『それからの街』で第16 回AAF 戯曲賞大賞、古典戯曲の演出でこまばアゴラ演出家コンクール2018最優秀演出家賞を受賞。Q/市原佐都子『バッコスの信女-ホルスタインの雌』などの舞台音楽、JR 東海『そうだ 京都、行こう。』などの広告音楽も数多く手掛ける。

細井美裕 Miyu Hosoi

 1993年、愛知県岡崎市出身。慶應義塾大学卒業。大学在学中からボイスプレイヤーとして楽曲、サウンドインスタレーションに参加。
 2019 年、 NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]無響室において、22.2ch で制作した「Lenna」の2ch版を発表。同作品を山口情報芸術センター[YCAM]では22.2ch で展示し、同楽曲は第26 回日本プロ音楽録音賞ハイレゾ部門優秀賞・ニュープロミネントマスター賞を同時受賞した。
 YCAM にて細井美裕+石若駿+YCAM 新作コンサートピース「Sound Mine」を、2020 年Ars Electronica Festival にて無響室と残響室を繋ぐ作品「Vocalise」を発表。第23 回文化庁メディア芸術祭アート部門新人賞受賞。

ヌトミック Nuthmique

 2016 年に東京で結成された演劇カンパニー。「上演とは何か」という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた脚本と演出で、パフォーミングアーツの枠組みを拡張していく作品を発表している。
 俳優のみならずダンサー、ラッパー、映像作家などとのコラボレーションも積極的に行う。
 主な作品に『SUPERHUMAN』(2018)、『アワー・ユア・タワーズ』(2019)、『それからの街』リクリエーション(2020)など。また「ヌトミックのコンサート」と題したライブパフォーマンスも定期的に開催。

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伝えること、文化芸術とメディアについて

1980年代から、名古屋、東京、関西で文化芸術を見てきた。新聞文化面、専門雑誌、「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、自ら新聞文化欄を編集、美術、映画、演劇などの記事を書いてきた。2000年代に入ると芸術批評誌を立ち上げ、2019年にはWEBメディアを始めた。文化芸術とメディアの関係、その歴史的展開、メディアリテラシー、課題と可能性、レビューや伝わる文章の書き方、WEBメディアの意義、構築方法について、若い世代に伝えたいと考えています。

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