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「村上隆 もののけ 京都」京都市京セラ美術館で2024年2⽉3⽇-9⽉1⽇に開催

  • 2024年3月16日
  • 2024年3月16日
  • 美術

個展「村上隆 もののけ 京都」が開催中

 現代美術の最前線で活躍する村上隆(1962年⽣まれ)の⼤規模な個展「村上隆 もののけ 京都」が2024年2⽉3⽇〜9⽉1⽇、京都市京セラ美術館新館東⼭キューブで開催されている。

 かつて村上隆が企画した展覧会「スーパーフラット(Superflat)」は、2000〜2001年にかけて⽇本と米国の各都市を巡回。展覧会とともに発表された「スーパーフラット宣⾔」は、現代美術シーンに重要な影響を及ぼした。

 その考えは、⽇本の伝統的な絵画表現とアニメや漫画、ゲームといった⼤衆⽂化を結びつけただけでなく、戦前から戦後の⽇本⼈の感性や社会の様相、さらには資本主義経済や政治・宗教をもフラットに捉え、アートの本質的な意味を問いかけてきた。

 そのキャリアは、欧⽶が事実上の規範となっている国際的なアートシーンに、⽇本から独⾃の視点で挑み、刺激を与え続けてきた営みだと⾔える。

 主に海外を中⼼に活動してきた村上にとって、国内で約8年ぶりの⼤規模個展となる本展は、東京以外で初めての⼤規模個展でもある。

 村上が活動初期から深い関⼼を寄せてきた江⼾時代の絵師たちが活躍し、今なお、あらゆる芸能と芸術が息づき、交わり合う京都を舞台に、新たに描きおろした超⼤作をはじめ、代表的なシリーズ、国内初公開となる作品など、⼤多数が新作となる約170点で構成。

 絶え間なく前進し続ける村上隆が、京都に正⾯から対峙して創りだした「新・村上ワールド」ともいえる展覧会である。

本展の⾒どころ

 「京都」に正⾯から対峙する村上隆の新作・初公開作品が続々と登場!
 ⼤学で⽇本画を専攻した村上は、江⼾時代の絵師たちから⼤きな影響を受け、⾃⾝の作品に取り⼊れてきた。それは絵画表現にとどまらず、制作⽅法や「カイカイキキ」の⼯房システムに⾄るまで、まさにスーパーフラットの源流といっても過⾔ではない。

 本展では、江⼾時代に京都を中⼼に活躍した絵師たちの代表作を村上が独⾃に解釈・引⽤し、再構築した新作、国内初公開作品を多数展⽰。村上隆、京都に参上!

1 全⻑12mにもおよぶ圧巻の村上版「洛中洛外図」がお出迎え
 神社仏閣、祭りや遊⾥、歌舞伎や浄瑠璃に興じる⼈々など、京都のさまざまなシーンが描かれた岩佐⼜兵衛の「洛中洛外図屏⾵(⾈⽊本)」(江⼾時代・17世紀)。これを引⽤し、村上が描きおろした全⻑12mにもおよぶ現代の「洛中洛外図」が来場者をお迎えする。

2 村上版《⾵神雷神図》《雲⿓図》―江⼾時代の奇想の絵師たちに挑む!
 本展では、上述の《洛中洛外図》のほか、村上が衝撃を受けたという曾我蕭⽩《雲⿓図》(18世紀)に挑んだ全⻑18メートルにおよぶ《雲⻯⾚変図》を国内初公開。さらに、「琳派」を代表する俵屋宗達《⾵神雷神図屏⾵》(国宝・17世紀)の村上版新作は意表を突かれるユーモラスな作品!

3 「平安京」の原点―村上が描いた、いにしえの神獣たちと鐘楼《六⾓螺旋堂》
 東⻄南北を⼭や川、池などに囲まれ、それらを象徴する四神(⻘⿓、⽩⻁、朱雀、⽞武)の神獣に護られた理想の地とされた平安京。本展では、この神獣をモチーフとした新作が四⽅を囲む村上版「平安京」が出現!中央には鐘楼《六⾓螺旋堂》がそびえ、「もののけ」が彷徨う不穏な気配を祓う。

4 「DOB君」の往還、そして村上隆のキャラクターの進化と深化
 1994年に初登場した村上の代表的キャラクター「DOB君」。マンガやゲームのキャラクターをモチーフとするDOB君は、変幻⾃在に姿を変え、様々な⽂脈に接続してきた。モンスター化した「たんたん坊」、村上の⾃画像かつその極限の姿「ゲロタン」、そしてまた「DOB君」へ。

 村上のスーパーフラットの概念を体現してきたDOB君の往還を辿りつつ、本展でお⽬⾒えするシェイプド・キャンバスによる新たなキャラクターたち、そして村上のアニメ作品やトレーディングカードといったポピュラーカルチャーに⾔及した新作の数々は、現代の「もののけ」!?

5 世界の⼈々を魅了する「京都」のエッセンス
 1000年以上の歴史をもち、四季折々の伝統⾏事に彩られた平安の街。祇園祭、五⼭の送り⽕、茶道や華道といった国内外の⼈々に親しまれ続ける「京都」の伝統⽂化や、京都を主題とする⽂学作品などから着想して描きおろした作品の数々を初公開。村上隆が案内する「古都」
への⼊⼝!

開催概要

タイトル:京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」
英  題:Kyoto City Museum of Art 90th Anniversary Exhibition Takashi Murakami Mononoke Kyoto
会  場:京都市京セラ美術館 新館 東⼭キューブ
会  期:2024年2⽉3⽇(⼟)〜9⽉1⽇(⽇) ※展⽰作品のうち、⼀部に展⽰替えがある可能性がある
開館時間:10:00〜18:00(最終⼊場は17:30まで)
休 館 ⽇:⽉曜⽇(祝⽇の場合は開館)

Press Release 2024 年3 ⽉15 ⽇
観 覧 料:⼀般2,200円(2,000円) ⼤学・専⾨学校⽣1,500円(1,300円) ⾼校⽣1,000円(800円)中学⽣以下無料
京都市在住の学⽣もしくは京都市内の学校に通学している学⽣は⼊場無料
※( )内は前売、20⼈以上の団体料⾦
※京都市内に在住(通学)の⾼校⽣、⼤学⽣・専⾨学校⽣は住所が分かるもの、学⽣証を持参する
※障害者⼿帳等を提⽰の⽅は本⼈及び介護者1 名無料(学⽣証、障害者⼿帳等確認できるものを持参)
※そのほか企画チケットあり
主  催:京都市、朝⽇新聞社、京都新聞、NHK京都放送局、NHKエンタープライズ近畿
クリエイティブ・パートナー:ソニー・ミュージックエンタテインメント
制作協⼒:NHKプロモーション
特別協⼒:有限会社カイカイキキ、Perrotin、Gagosian
特別協賛:ルイ・ヴィトン
協  賛:株式会社メルコグループ、株式会社 ⼤丸松坂屋百貨店、株式会社公益社、株式会社ひびきFA、株式会社中井商店、株式会社ギークピクチュアズ、Liquem
協  ⼒:AMKK 東信, 花樹研究所、京都薬品⼯業株式会社、京阪ホールディングス株式会社、京阪電気鉄道株式会社、株式会社タカムラ産業、株式会社ブランコ、ヤマト運輸株式会社、ARTnews JAPAN、α-STATION FM-KYOTO 、ハイアット リージェンシー 京都
問い合わせ:075-771-4334(京都市京セラ美術館)

2024年3月15日に10万人突破

 京都市京セラ美術館で2024年2⽉3⽇から開催中の個展「村上隆 もののけ 京都」の来場者数が3月15日に10万人を突破した。

 国内における村上隆の約8年ぶりの大規模個展。京都では初めての開催となる。大多数が新作、国内初公開となる約170点の作品が複数のセクションで展示されている。

《お花の親子》 が登場

 2024年3月12日に、京都市京セラ美術館敷地内の日本庭園に、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションによる、高さ約13m超の⾦⾊に輝く彫刻作品《お花の親子》が登場した。会期中、四季折々の表情とともに、昼夜を問わず楽しめる。

 2020年コロナ禍の東京で公開され、復活への祈りの象徴として話題となった本作。今回
は、ルイ・ヴィトンのトランクと共に新たな作品として登場した。

 村上隆のスーパーフラットコンセプトの彫刻的実践の結実である作品《お花の親⼦》とトランクは⾼さ13mを超える巨⼤彫刻作品。⽇本庭園の池に浮かぶように姿を現し、前後、側⾯と⾓度によって違った表情を季節の移り変わりと共に楽しめる。

 トランクは、村上隆とルイ・ヴィトンのコラボレーションにより、2003年に発表されたモノグラム・マルチカラーのトランクからインスピレーションを得て、キャンバスやメタルパーツ、⽊材といったディテールまでをも表現している。

 ルイ・ヴィトンは創業当初よりアートと密接に関わっており、世界中のアーティストとの交流を育んできた。こうした伝統を受け継ぎ、1988年以降、現代アート界やデザイン界を代表する著名なアーティストとのコラボレーションを展開。また、世界的アーティストの作品をキュレーションし、世界各地のエスパス ルイ・ヴィトンやストア内のコンテンポラリーアートスペースに展⽰している。

村上隆プロフィール

 1962年、東京都⽣まれ。1993年、東京藝術⼤学⼤学院美術研究科博⼠後期課程修了。博⼠号取得。博⼠論⽂は「美術における『意味の無意味の意味』をめぐって」。2000年、伝統的⽇本美術とアニメ・マンガの平⾯性を接続し、⽇本社会の在り様にも⾔及した現代視覚⽂化の概念「スーパーフラット」を提唱した。2001年、⾃⾝が代表を務める有限会社カイカイキキを設⽴。2005年、「リトルボーイ展」(ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク)にて、全⽶批評家連盟ベストキュレーション賞受賞。2015年、⽂化庁「第66回芸術選奨」⽂部科学⼤⾂賞受賞。近年は、「Stepping on the Tail of a Rainbow」(ザ・ブロード、LA、2022 年)、「MurakamiZombie」(釜⼭市⽴美術館、釜⼭、2023 年)、「Understanding the New Cognitive Domain」(ガゴシアン、ル・ブルジェ、2023年)、「Takashi Murakami: Unfamiliar People ‒ Swelling of Monetarized Human Ego」(アジア美術館、サンフランシスコ、2023年)など、世界各地で個展が開催されている。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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