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岐阜県現代陶芸美術館が2024年度展覧会スケジュールを発表

 岐阜県現代陶芸美術館が2024年度の展覧会スケジュールを発表した。

☆うつわの大中小展 -大きさから、やきものを解剖する- 2024年3月16日~5月26日

 一般に、碗や皿、壺などの器物は、それぞれの用途に応じて、おのずとその大きさが決まっている。例えば、抹茶碗なら掌にすっぽりと収まる寸法、洋食器のミート皿は23~25㎝の径、そして漬物壺はキッチンに収納でき、女性にも扱いやすいサイズといった具合。いずれも、飲食を中心とした慣習などによって定着し、それが今日にまで伝わってきた。一方で、これらと同様の形状ながら、異なるスケール感を持ったものも存在する。ドールハウスのミニチュア食器や、見栄えよく大きなものが好まれる飾皿・飾壺などが代表例といえる。本展覧会は、こうした「うつわ」たちを、「大きさ」という観点からから読み解いていく。同館の近現代陶磁器コレクションから、日本で作られた陶磁器による様々な大きさの作品を紹介。そして令和5年度、新たに収蔵した人間国宝・加藤土師萌による畢生の大作であり、皇居宮殿に収められた《緑地金襴手飾壺(萌葱金襴手菊文蓋付大飾壺)》とほぼ同サイズの姉妹作《黄地金襴手菊文蓋付大飾壺》を最大のうつわとして披露する。

☆リサ・ラーソン展 知られざる創造の世界ークラシックな名作とともに 2024年6月8日~8月25日

 スウェーデンの陶芸家、リサ・ラーソン。本展では、彼女の代名詞ともいえる素朴で温かみを感じさせる動物や人物をモチーフとしたおなじみの名作とともに、これまで紹介される機会のなかった一品物の作品や、ガラスやブロンズなど異素材を扱った作品、そして互いに大きな影響を与え、生涯をともにした画家で夫のグンナル・ラーソンの作品など、知られざる創作の側面も紹介する。

☆「清流の国ぎふ」文化祭2024 生誕130年 荒川豊蔵展 2024年9月14日~11月17日

 近代日本の陶芸をリードした、岐阜県多治見市出身の荒川豊蔵(1894-1985)の人となりを振り返る展覧会。桃山時代の志野が美濃で焼かれていたことを、自ら発見した陶片により実証し、そして「志野」と「瀬戸黒」の二つの重要無形文化財の保持者(人間国宝)となった荒川は、現代に続く美濃陶芸の先駆者だった。陶芸をはじめ、書画や収集の品々のほか、交友や暮らしぶりをうかがう資料などで、その制作姿勢やまなざしを紹介する。

☆人間国宝 加藤孝造 追悼展 2024年11月30日~2025年3月16日

 重要無形文化財「瀬戸黒」の保持者(人間国宝)で、2023年に他界した加藤孝造の回顧展。加藤は10 代のころより、画家を目指して日展(洋画)で入選を重ねるが、五代加藤幸兵衛、荒川豊蔵の指導によって陶芸の道に進み、穴窯での制作を追求した。展覧会では、初期の洋画から岐阜県陶磁器試験場時代の鉄釉作品、独立後に終生挑んだ瀬戸黒をはじめ志野や黄瀬戸、さらには作陶の傍らで晩年まで描き続けた水墨画まで、そのすべてを紹介する。

☆卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展 2025年3月29日~6月1日

 美濃陶芸の現在を代表する重要無形文化財「志野」の保持者(人間国宝)、鈴木藏(1934年生まれ)の力強い表現力を紹介する。薪窯でしかできないとされていた志野をガス窯で焼成し、美濃桃山陶の伝統表現を現代の心と技で革新してきた。卒寿を機に開催される本展では、70年以上にわたる作陶の軌跡をたどり、鈴木の志野の真髄に触れることができる。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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