ミレーから印象派への流れ 岐阜県美術館 2021年10月1~21日

ミレーから印象派への流れ

ジャン=フランソワ・ミレー《慈愛》1858-59年 トマ=アンリ美術館蔵
©Musée Thomas-Henry, Cherbourg-en-Cotentin

 岐阜県美術館(岐阜市)で2021年10月1~21日、ミレーから印象派へと至る19世紀フランス近代絵画の流れを紹介する「ミレーから印象派への流れ」展が開催される。

  新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、 8月20日~9月30日が臨時休館。展覧会のスタートが変更された。

 ノルマンディー地方出身のミレー、ヴェネツィアを描いたモネ、ブルターニュ地方に集まったポン=タヴェン派ほか、バルビゾン派、印象派、後期印象派、ナビ派など、名だたる巨匠の作品を展観する企画。

 フランス北部や英国の美術館所蔵の約70点を展示。フランスの地方の自然や風土などをモチーフにした珠玉の作品が数多く展示される。

ジャン=フランソワ・ミレー《冬、薪集め》1868-75年 ウェールズ国立美術館蔵
©Amgueddfa Cymru-National Museum Wales, Cardiff

 近代化の進んだフランスでは、工業化に伴って都市人口が増加。ブルジョワ文化が花開き、人々は自然を求めて郊外への旅や余暇を楽しむようになった。

 19世紀後半の印象派に代表されるフランス近代絵画は、パリだけでなく地方でも豊かに育まれ、美しい自然や風土の新たな描写を可能にした。

クロード・モネ《睡蓮》1906年 ウェールズ国立美術館蔵
©Amgueddfa Cymru-National Museum Wales, Cardiff

 バルビゾン村で農民の生活を描いたミレーは、郷里ノルマンディーでも、そこに暮らす人々を描いた。モネは光と色彩を追求し、ルノワールやセザンヌらとともに近代絵画の多様な展開を実現。ブルターニュ地方では、1880年代からポン=タヴェンに集まった画家たちが、絵画の革新を切り開いた。

 フランス英仏海峡沿いのドゥエ美術館、トマ=アンリ美術館、カンペール美術館に加え、早くから印象派コレクションを形成していた英国のウェールズ国立美術館から集めた、パリで見られる作品とは異なる個性的な名品が楽しめる。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー《カステル・ガンドルフォ、アルバーノ湖畔で踊るチロルの羊飼い》1855-60年 ウェールズ国立美術館蔵
©Amgueddfa Cymru-National Museum Wales, Cardiff

みどころ

1 総勢 45 名の作家、69 作品による厳選の作品展!

 主な出品作家は、ジャン=フランソワ・ミレー ▼ジャン=バティスト・カミーユ・コロー▼コンスタン・デュティユー ▼ギュスターヴ・クールベ▼クロード・モネ ▼ポール・セザンヌ▼ピエール=オーギュスト・ルノワール ▼アルマン・ギヨマン▼アントワーヌ・ギュメ ▼アンリ・ウジェーヌ・ル・シダネル▼ウジェーヌ・ブーダン▼アンリ・マルタン▼モーリス・ドニ ▼エミール・ベルナール▼ピエール・ボナール ▼ポール・セリュジエ

ジャン=フランソワ・ミレー《部屋着姿のポーリーヌ・オノ》1843-44年 
トマ=アンリ美術館蔵 ©Musée Thomas-Henry, Cherbourg-en-Cotentin

2 印象派へとつながる、ミレーらバルビゾン派の革新的な試みを紹介

 パリ郊外のバルビゾン村に移り住み、風景や田園生活を描いたミレーは、身の回りの自然や風景、特に人々の暮らしや農村での労働に目を向けた。

 当時は歴史画が正統派絵画とされるなかで、コローが描いた風景や、ミレーによる人物画は、後のモネなど印象派へとつながる革新的な試みだった。その流れがミレーやコローなどの作品から紹介される。

3 フランスとイギリスの美術館所蔵の珠玉のコレクションを紹介

ピエール=オーギュスト・ルノワール《肖像画の習作》 ドゥエ美術館蔵
©Musée de la Chartreuse de Douai

 自然主義や写実主義から印象派やポスト印象派を経て、ナビ派へと至る19世紀のフランス絵画の系譜を、フランスとイギリスの美術館から出品された珠玉のコレクションでたどる。

ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)略歴

  • 1814 年  ノルマンディー地方グレヴィル郊外の村グリュシーの農家に8人兄弟の長男として生まれる。
  • 1832 年  この頃からシェルブールで絵の修業を積む。
  • 1837 年  パリのエコール・デ・ボザールで歴史画家のポール・ドラローシュに師事する。
  • 1840 年  サロンに初入選したのち、シェルブールに戻り、肖像画家として名声を得る。
  • 1845 年  パリに移り住む。
  • 1848 年  2月革命に遭遇して民衆への共感を抱く中、自らのルーツである農民の主題にアイデンティティーを見いだしていく。
  • 1849 年  バルビゾンに定住し、制作を通して農民の日々の営みを永劫なる奥深い世界へと高めた。
  • 1867 年  パリ万国博覧会で大回顧展が開催される。
  • 1868 年  レジオン・ドヌール勲章を受章して、名声を不動のものとする。
  • 1875 年  健康状態が悪化し、バルビゾンにて死去。享年61歳。
アンリ・ウジェーヌ・ル・シダネル《日曜日》 ドゥエ美術館蔵
©Musée de la Chartreuse de Douai

ガイド

【場所】 岐阜県美術館

【会期】 2021年10月1日(金)~10月21日(木)10:00~18:00
※夜間開館日:企画展開催時の第3金曜日は10:00~20:00      ※ただし「ミレーから印象派への流れ」展開催期間中の毎週金曜日及び土曜日は、20:00まで開館
※展示室の入場は閉館時間の30分前まで
※休館日:月曜日(祝・休日の場合はその翌平日)
※ただし「ミレーから印象派への流れ」展開催期間中は、全日開館

【観覧料】
一 般 1100円 / 大学生 800円 / 高校生以下無料
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、難病に関する医療費受給者証の交付を受けている人と、その付き添いの人1名までは無料

ポール・セリュジエ《さようなら、ゴーギャン》1906年 カンペール美術館蔵
©Musée des Beaux-Arts de Quimper

同時開催

(※会期中、同展観覧券の半券で観覧できる。)

◆「20世紀の美術」/「寄贈記念 守洞春展」
2021年7月27日(火)~11月21日(日) ※8月20日~9月30日臨時休館
◆「精霊たちのいるところ ~アボリジニの美術~」
2021年7月27日(火)~12月5日(日) ※8月20日~9月30日臨時休館
◆「ab-sence/ac-ceptance 不在の観測」
2021年10月1日(金)~11月28日(日)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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