名古屋のカルチャーWEBマガジン「アウターモーストナゴヤ」では、レビュー、リポート、トピックスなどを掲載します

藤本由紀夫さんが第1弾 ギャラリーキャプションのenvelope as a door

 GALLERY CAPTION(岐阜市)が、郵便を介したプロジェクト「envelope as a door」(ドアとしての封筒)を2020年5月23日正午にスタートさせた。ギャラリーと作家、そして封筒を受け取る人とを結ぶメール・アートのプロジェクトである。アーティストの藤本由紀夫さんが第一弾だ。

 新型コロナウイルスの影響で、世界中の人々の生活と健康が脅かされている中で企画した試み。国内では、少しずつ状況が好転しているとはいえ、今後、ポストコロナの新常態が変化していく中で、人類が向き合う事態は予測できない。オンラインによるコミュニケーションや、インターネット配信など、新しい生活様式が急速に日常に浸透し、人間が新たな環境、社会でいかに生きるか、人と人との関係はどうするのか、芸術と人間との関わりは? 人間が幸せに生きるとはどういうことなのか等々、新たなフェーズの中で数々の難問が突きつけられていると言っても過言ではない。

 GALLERY CAPTIONは、4月の眞板雅文展をやむにやまれず延期。その後、ギャラリーの役割を自問自答し、展覧会の枠組みを見直す中で、ラジカルに芸術のあり方を考え抜いてきた。美術とはギャラリーや美術館の展示空間だけにあるものなのか、作品はそのものだけで成立するものなのか——等々。

 「envelope as a door」は、からっぽの封筒をギャラリーの空間に見立て、作家の作品を封書で届ける。ギャラリーの入り口の扉を開けるように、封筒を開くと、そこに作品がある。人が作品と出合い、そこから、さらなる出合いへと導かれる‥‥

 GALLERY CAPTIONは、オンライン・ショッピングの仕組みと変わらないと、あえて言う。それでも、そこには、ギャラリーだからこそできること、作家とギャラリーの真摯なメッセージとともに、美術作品の可能性、人間を豊かにする小さな時間と空間の大切さが提示されているのではないだろうか。
 そして、それは、コロナによって世界の見え方、人間の生活と生き方が変容する中で、人間の価値、人間と世界との関わり、過去と現在、未来をつなぐ可能性を問い直すギャラリーからの手探りの試みでもある。

 開封され、読まれることであらわれる、さまざまな世界は、ひとりひとりの手元から広がり、時空を移行しはじめます。遠くの誰かの存在を身近に感じることもあれば、ひとときの旅に出ることもできる。封筒が、ここではないどこかへの入口になりうるのであれば、それがギャラリーへのドアとなることも、出来るかもしれません。

GALLERY CAPTIONからのメールより

第一弾は、藤本由紀夫さん。星座を思わせる作品になったという。次は、寺田就子さんを予定している。

envelope as a door
 「封筒」

90年代の初め、インターネットが話題になり出した頃、私は手紙というものは20世紀中になくなってしまうのではないだろうかと考えていたことを、つい最近思い出した。
直筆で便箋に築かれた世界が折り畳まれ、封筒という二次元ワールドに封印され、世界を旅して、遠い異国の友人のもとに届く。その友人は、封を開けることにより、未知の世界に突然の旅に出る。
そうである。「封筒」とはあの「どこでもドア」と同じものなのである。という事実を、最近世界を騒がせたニュースを見ていて教えられた。

藤本由紀夫 「26 philosophical toys」 2005年

GALLERY CAPTIONのWEBサイトより

夜空の無数に点在する星のドットに線を引いてある形を導き出す。
そしてその形には物語が存在する。
この行為は読書の原点であると私は考える。
 
ランダムに配置されたアルファベットの星々から言葉を見つけ出すパズル。
ワードサーチと呼ばれているパズルも、読書の行為を促す哲学的な玩具である。
 
一旦探していた言葉を見つけると、その言葉はすでに前から存在していたように認識し、もとのランダムなアルファベットの文字の配列として見ることは我々にはできない。
読書とは発見する遊びであるのだろう。

​藤本由紀夫 2020年5月

GALLERY CAPTIONのWEBサイトより
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