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「東絵理 Flowers」「鈴木優作 特異展」GALERIE hu:(名古屋)で2025年9月20日-10月5日に開催

GALERIE hu:(名古屋) 2025年9月20日〜10月5日

東絵理

 東絵理さんは1990年、愛知県半田市生まれ。2013年、名古屋芸術大学美術学部洋画コース卒業。2015年、愛知県常滑市のとこなめ陶の森陶芸研究所修了。常滑を拠点に制作している。

 作品を初めて拝見する陶芸家だが、作品は不調和でありながら、カラフルで、ポップ。リズムがあって、洒落ている。形態の不規則性、歪み、不調和、非対称、意外性。プログラムを逸脱する作品は楽しそうなグルーヴ感をも感じさせる。

 絵画的といえる要素もあるのは、大学で絵画を描いていたことも影響しているのか。形態や色彩、模様を大胆にシステムから外していて、アンバランスなはずなのに、造形力と色彩感覚がしっかりしているゆえに、絶妙な均衡が取れている。まさに破調の美しさである。

 エネルギッシュで、生き生きとしていて、生命の躍動という言葉が想起される。本人のコメントにも「ライヴ感」「身体性」という言葉があるように、体内からにじみ出る感性が作品に憑依している感じだ。

 さまざまな作品があったが、筆者が注目したのは、今回の展示のメインであるデコラティブな壺である。転写紙を無造作に貼り重ねて、勢いよく着彩し、さらに歪んだ取手や首がこれまた、いささか乱暴にくっつけられている。

 しかし、これが不思議と違和感なく、レイヤーの重なりや模様のおおらかさ、形態のユニークさとして、惹きつけられるところがあった。プラチナ彩の皿にカラフルなかわいい模様を合わせた作品も人気なのではないだろうか。

鈴木優作

 鈴木優作さんは1991年、愛知県生まれ。名古屋造形大学陶芸コース卒業。現在は愛知県瀬戸市のタネリスタジオで制作している。陶芸作品に現代的な絵付けをしているアーティストである。

 タネリスタジオに所属するアーティストなどとの繋がりで、陶芸の枠組みを超えて、現代美術展に出品することも多い。一例では、名古屋のエビスアートラボ(名古屋)で2022-23年に開催された「META・FACE  メタ・フェイス」や、 2023年の三谷温泉(愛知県蒲郡市)での「ととのう温泉美術館」「瀬戸現代美術展2022」などがある。筆者も各所で作品を拝見している。

 鈴木さんの作品には、大壺などに人間風のデフォルメしたイメージの絵付けをした作品や、人形のようなオブジェの全体に鱗や紐が絡み合ったような模様を付けた作品などがある。

 人型のイメージは漫画のようなコミカルな表情や動きを見せ、ユーモアたっぷり。しかもバラエティーに富んでいて、見ていて飽きない。壺などの実用的な形のほか、オブジェがある。遊び心のある作品だが、絵付けは緻密で、細部まで描ききっている。それが、従来の陶芸を軽やかに超える独特の世界になっている。

 鈴木さんについて書かれた名古屋造形大webサイトの卒業生紹介コーナーによると、高校生の時にいじめを経験している。自分の葛藤や孤独、苦悩を乗り越えるため、土の優しい感触や自由に変形できる可塑性、何度も再生するように造形できる素材であることに、自分の生きることを重ねていったのかもしれない。

 白黒のモノトーンの模様を稠密に描いていく。発想は、ペインティングではなくて、ドローイング。そうした表現手法で、シンプルで、かわいく、そして、それぞれが「心」を持ったような作品が生まれる。一つ一つが人間味のある作品であることが魅力である。

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