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特別展「開館35周年記念 福田美蘭-美術って、なに?」名古屋市美術館で2023年9月23日-11月19日に開催

既成概念を打ち破る絵画の新たな可能性

 名古屋市美術館で2023年9月23日〜11月19日、特別展「開館35周年記念 福田美蘭-美術って、なに?」が開催される。中部地方で初となる現代美術家、福田美蘭(1963年生まれ)の個展である。

 福田美蘭は、現代社会が抱える問題や古今東西の名画を題材に、固定観念を覆す鋭い視点で絵画の可能性を広げ、ときにユーモアを交えて表現している。

 本展では、1980年代の初期から近年までの約50点を4章で構成。絵画の醍醐味と機知に富んだ福田美蘭の世界観を紹介する。

 本展のために、現在の世界情勢を映した新作も制作。名古屋市美術館の所蔵作品から着想した新作も展示する予定である。

 福田美蘭は、東京藝術大学大学院を修了後、具象絵画の登竜門といわれた安井賞を最年少で受賞。東西の美術、日本の伝統や文化を意表を突くような手法で表すなど、既成概念を打ち破る作品を発表してきた。

 名古屋市美術館では、1992年に福田美蘭と森村泰昌の2人を迎えて展覧会を開催。今回は、福田美蘭の世界をまとめて紹介する約30年ぶりの機会となる。

 私たちの視覚、思考を刺激し、常識を覆すような見方や楽しさに気づかせてくれる福田美蘭の作品は、混沌とした時代を迎えている現代を生き抜く知恵とエネルギーを与えてくれる。

展覧会構成

序章 福田美蘭のすがた
《志村ふくみ《聖堂》を着る》他

第 1 章 名画―イメージのひろがり
《ポーズの途中に休憩するモデル》、《ゴッホをもっとゴッホらしくするには》他

第 2 章 名画―視点を変える
《幼児キリストから見た聖アンナと聖母》、《帽子を被った男性から見た草上の二人》他

第 3 章 時代を見る
《世界貿易センタービルの展望台》、《ゼレンスキー大統領》他

展覧会概要

展覧会名:開館 35 周年記念 福田美蘭―美術って、なに?
会  期:2023年9月23日(土・祝)~11月19日(日)(58日間)
休 館 日:月曜日(10月9日は開館)、10月10日(火)
開館時間:9:30~17:00、11月3日を除く金曜日は20:00まで
※入場は閉館30分前まで
会  場:名古屋市美術館(名古屋市中区栄 2-17-25 芸術と科学の杜・白川公園内)
     TEL / 052-212-0001FAX / 052-212-0005
主  催:名古屋市教育委員会・名古屋市美術館、中日新聞社、東海テレビ放送
後  援:JR東海、名古屋市立小中学校PTA協議会
協  賛:DNP 大日本印刷
協  力:名古屋市交通局、国際デザインセンター
入 場 料:一般 1,500(1,300)円、高大生 1,100(900)円、中学生以下無料
※( )内は前売及び20人以上の団体料金

見どころ

1.名画って、なに? 知っているつもりでも……

 《モナ・リザ》に《種をまく人》、《見返り美人図》……。どこかで一度は目にしたことがある世界的な“名画”に、福田はユニークな視点で迫る。

 モナ・リザといえば、姿勢を正し、斜めに構えて正面を見つめたあの微笑を、誰もが思い浮かべる。そんなモナ・リザだって、画家の前を離れれば、緊張から解放されてゆったりと横たわっているかもしれない。

 そのような想像から生まれたのが《ポーズの途中に休憩するモデル》(2000年)である。名画を“名画だから”というだけで絶対的なものと考えるのではなく、前後の場面を想像したり、異なる視点から見たらどんなふうに見えるのかを考えてみたりすることで、より自由に楽しむことができる。

 知っているつもりだった名画の世界に、新しい景色を発見できるかもしれない。

2.絵画が折りたたまれたら……?!

 額縁は平らで、壁に平行にかかり、展示室では作品に触れることは禁じられているーー美術館で展示される作品には、作品保全の観点からさまざまな制約が課され、私たちはそうしたルールを守って鑑賞している。

 ある側面では、こうした制約が美術を“難解”で“敷居が高い”ものというイメージをつくっていると言えなくもない。福田は、こうした固定観念を覆す作品を制作。

 《開ける絵》では、キャンヴァスは折りたたまれていて、鑑賞者が自分の手で開けないと、絵を見ることができない。ふだん、美術館で絵画を見るという行為は受動的になりがちだが、福田は、主体的に鑑賞するとはどういうことかという問いを投げかけている。

3.時代を映す絵画

 米国の同時多発テロ事件、東日本大震災、新型コロナウイルス感染症の拡大など、現代社
会では世界を揺るがす出来事が続いている。

 そんな混沌とした世界を生き抜くうえで必要なのは、ものごとを冷静に見極める力である。福田は、さまざまな社会問題を注意深く見つめ、分析し、絵画化している。

 メディアが多様化し、映像やSNSが多大な影響力をもつようになった現代において、絵画だからこそできる表現で、私たちの社会が抱える矛盾や難題を浮き彫りにする。

 人間が手で描く絵画は、現代においては究極のアナログともいえる手段だが、確かな技量と深い洞察によって、福田の作品は説得力をもって問いかける。

イベント

作品解説会

① 10月7日(土)14:00~ ②10月20日(金)18:00~(約60分)
講師:森本陽香(名古屋市美術館学芸員)
会場:名古屋市美術館2階講堂、定員180名(先着順、定員になり次第締切)
※入場無料。ただし聴講には展覧会観覧券(観覧済みの半券も可)が必要。
※手話通訳・要約筆記などによるサポートを希望する方は、当日の2週間前までに名古屋市美術館(TEL 052-212-0001 FAX 052-212-0005)まで相談する。

ワークショップ みらんさんに手紙を書こう!

 福田美蘭さんに宛てて、作品を鑑賞した感想や質問を手紙にする。後日、福田さんからの返事を参加者に郵送する。
日時:9月30日(土)10:00~11:30
対象:小中学生

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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