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「宮城県美術館所蔵 絵本原画の世界2022-23」三重県立美術館で2023年10月7日-12月10日に開催

山脇百合子 《 ぐりとぐら 》 26-27頁原画 宮城県美術館蔵

福音館書店が1956年に刊行した月刊絵本「こどものとも」

 三重県立美術館(津市)で2023年10月7日〜12月10日、「宮城県美術館所蔵 絵本原画の世界2022-23」が開催される。

 幼少期に上質な美術体験を与える絵本づくりを目指して福音館書店が1956年に刊行した月刊絵本「こどものとも」では、幅広い分野の作家たちがさまざまな技法を取り入れ、自由な表現で絵本制作を手掛けた。

 本展では、宮城県美術館が所蔵する初期の原画コレクションから選りすぐった魅力あふれる作家、作品の数々を紹介する。

 「こどものとも」は芸術性の高い絵本づくりを目指し、1956年に福音館書店から創刊された月刊絵本。洋画や日本画、彫刻、漫画など、さまざまな分野で活躍する作家たちが絵本づくりを手がけた。

 作家たちは、ものがたりの表現にふさわしい技法や材料を取りいれながら、これまでにない新しい絵本を生み出した。

 本展では、宮城県美術館の絵本原画コレクションから、「こどものとも」を語る上で欠かせない名作、時代を超えて子どもたちに親しまれている絵本の原画を紹介する。

出品作家

 秋野不矩、朝倉摂、池田龍雄、太田大八、太田忠、小野かおる、串田孫一、クロード岡本、小出保子、齋藤眞成、佐藤忠良、竹山博、長新太、寺島龍一、中谷貞彦、中谷千代子、なかのひろたか、西巻茅子、馬場のぼる、林明子、土方久功、堀文子、松下紀久雄、水四澄子、三好碩也、村田道紀、村山知義、矢吹申彦、山田三郎、山中春雄、山本忠敬、山脇百合子、吉井忠、渡辺三郎

展覧会概要

会  期:2023年10月7日(土)から12月10日(日)まで
会  場:三重県立美術館(三重県津市大谷町11番地)
開館時間:午前9時30分から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休 館 日:毎週月曜日 ※ただし10月9日(月・祝)は開館、翌10日(火)は休館
主  催:三重県立美術館、中日新聞社
助  成:公益財団法人岡田文化財団、公益財団法人三重県立美術館協力会
特別協力:宮城県美術館、福音館書店
企画協力:キュレイターズ
観 覧 料:一般 1,000(800)円、学生 800(600)円、こども無料(高校生以下)
※( )内は前売および20名以上の団体割引料金
※この料金で、常設展示室(特集展示含む)、柳原義達記念館も見ることができる。
※生徒・学生の方は生徒手帳、学生証等を提示。
※障害者手帳等(アプリ含む)のある方および付き添いの方1名は観覧無料。
※教育活動の一環として県内学校(小・中・高・特別支援)および相当施設が来館する場合、引率者も観覧無料(要申請)。
※毎月第3日曜日の「家庭の日」(10月15日、11月19日)は団体割引料金で見ることができる。
※主な前売券販売所は、チケットぴあ、ファミリーマート、セブン‐イレブン他

展覧会のみどころ

1.「こどものとも」と絵本作りの歩み

 上質な美術体験を与える絵本づくりを目指して、創刊された月刊誌「こどものとも」。一つの物語をすべて一人の作家が手掛ける月刊の絵本は、創刊当時の出版界ではほとんど未開拓の領域だった。

 美術の幅広い領域から絵の描き手を求め、絵画、彫刻、デザインなどさまざまな分野の作家たちが絵を寄せた。

 草創期の「こどものとも」は、編集者だけでなく、作家たちの思い思いの表現を試す場となり、作家たちはさまざまな技法を取り入れ、自由な表現で絵本制作を手掛けた。

 さらには絵本の世界に羽ばたく作家を発掘することを願い、判型や紙数の改革を重ねた「こどものとも」から、今日も親しまれる数多くの絵本が生み出された。

2.初期の作品・人気の作品が集結

 ふたごの野ねずみぐりとぐら、はじめてのおつかいに行くみいちゃん、ぶたぶたくん、ぞうくん、かばくん、きつねのきっこちゃん‥‥絵本で出会った仲間たちが、時を経ても心に刻まれているのは、美術鑑賞の原点となる絵本の世界に深く入り込んだ幼少期の体験があったからではないか。

 本展では、宮城県美術館の絵本原画コレクション1万点を超える中から、「こどものとも」を語るに欠かせない重要な作家や人気作品の絵本原画、34作家、51タイトル、354点を一堂に紹介。構想段階のスケッチや未使用となった原画もあわせて展示する。

3.自由な表現、思い思いの発想で生まれた斬新な絵本

 子どもたちに美しいものを見せたいと願った堀文子は、子どもの本は赤など鮮やかな色づかいのものという固定概念を打ち破り、黒い背景に淡い色彩がきらめく表紙絵を描いた。

 朝倉摂はコラージュを取り入れ、中谷千代子は使い慣れた油彩で材料の質感を活かしながら動物たちを描いて注目された。

 線描でも色彩でも自由に表現した長新太、印刷技法を熟知して線版と色版を使い分けた山田三郎、幅広い作風を繰り出した太田大八‥‥。作家ひとりひとりが、物語の世界を汲み取りながら、様々に自身の表現を工夫していった。

4.絵本原画ならではの魅力

 絵本原画は絵本のもととなった素材。印刷されて絵本となったものとは違い、原画ならではの鮮やかな色彩や質感、技法や画材の組み合わせ、文字を掲載するために設けられた余白に加え、作家による絵の修正の跡などを見ることができる。

 完成された絵本には見られない舞台裏の試行錯誤があらわれた原画の世界を楽しむことができる。

5.《ぐりとぐらのえんそく》は三重県立美術館のみ出品

 巡回展の最終会場となるここでは特別に、山脇百合子《ぐりとぐらのえんそく》(1979年)の原画を展示する。

 遠足に出かける2匹の好奇心あふれる動きを生き生きと描いた本作は、「ぐりとぐら」シリーズ4作目の春の巻として四季をそろえる構想で制作さた。

 親しみやすい線と柔らかい色調で描かれたぐりとぐらシリーズから2タイトル《ぐりとぐら》、《ぐりとぐらのえんそく》を見ることができる。

関連イベント

*参加無料、事前申し込み不要。
*スライドトーク、読み聞かせにおいて手話通訳、要約筆記、その他支援の必要な方は2週間前までに相談。

記念講演会
「ふくらむ絵本世界―宮城県美術館の絵本原画コレクションから」
講師:菅野仁美(本展企画者、宮城県美術館研究員)
日時:10月7日(土)午後2時から *90分程度
*開場・受付は午後1時30分から
場所:三重県立美術館講堂
定員:150名 参加無料/当日先着順
*手話通訳、要約筆記を行う。

三重県立図書館による出張図書館&絵本の読み聞かせ
日時:10月29日(日)
場所:三重県立美術館エントランスホール
出張図書館
時間:午前10時30分から午後4時30分まで
展覧会関連図書の展示・貸出を行う。利用カードの新規作成もできる。
※詳細は美術館ウェブサイトで確認。
絵本の読み聞かせ
時間:午前11時から、午後3時から *各回約30分
読み手:三重県立図書館 司書
展覧会出品作の絵本を見て聞いて楽しむ、おはなし会。
*座るスペースが限られているため、立見となる場合がある。

担当学芸員によるスライドトーク
日時:10月21日(土)、11月25日(土) 各日 午後2時から ※各回40分程度
*開場・受付は午後1時30分から
場所:三重県立美術館講堂
定員:150名 参加無料/当日先着順

「ぐりとぐら」とあそぼう!
日時:会期中いつでも *混雑状況によっては、変更となる場合がある。
場所:三重県立美術館エントランスホール
対象:どなたでも(未就学児は大人と一緒に)
★「ぐりとぐら」のお絵かきコーナー
「ぐりとぐら」から生まれた、「たまごのくるま」。
はこんでみたいものを自由にかいて色をぬってみよう!
★「ぐりとぐら」のぼうしをつくろう
「ぐりとぐら」のぼうしを、おって、はって、かぶって楽しもう!

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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