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大須演芸場(名古屋)が存続の危機

 2020年5月4日のスポーツ報知(WEB)によると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、名古屋・大須演芸場が経営危機に直面している。3月以降、休演が続き、資金繰りが悪化。公式ホームページで募金を呼びかけているが、必要額に達していないという。
 大須演芸場のWEBサイトなどによると、新型コロナウィルスの感染防止のため、3、4、5月の定席寄席公演(1日~7日)を中止。サイトでは「大須演芸場の現状とお願い」と題して、厳しい状況を訴えている。愛知県と国の緊急事態宣言を受け、貸席公演も休止している。この状況が続けば、家賃や人件費等の固定費が賄えず、継続が困難になりかねないという。
 大須演芸場は、1965年の開場以来50年以上、落語などの伝統話芸等の発表の場として、東海地方のファンに親しまれた。
 幾度の閉鎖の危機を乗り越えて復活し、2014年にいったん閉場した後も、翌15年には、有志による非営利団体として一般社団法人大須演芸場が立ち上がり、再開。毎月1〜7日に、東海地方唯一の定席寄席を自主興業として運営してきた。貸席としても、幅広く大衆芸能、古典芸能、演劇、音楽、舞踏などに楽しむ機会を提供している。
 スポーツ報知によると、過去に幾度となく経営難に見舞われ、1990年代には故・古今亭志ん朝さんが支援のために独演会を開くなどして話題を呼んだ。理事、監事8人は無給のボランティアで、専業スタッフは支配人を含め、わずか2人。多くの業務をボランティアに手伝ってもらうなど徹底したスリム化を図ってきたが、定席のほか、貸席の収入も途絶え、極めて厳しい。
 同紙にコメントを寄せた大須演芸場の橋本浩宗・広報担当理事によると、運転資金は4月で底をついた。募金の目標額500万円のうち、5月初め段階では、100万円しか集まっていない。5月までは続けられるが、緊急事態宣言が延期された状況下で再開のメドは立っていないという。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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