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天地耕作 初源への道行き 静岡県立美術館で2024年2月10日-3月27日に開催

芸術の初源へといざなう野外の美術制作プロジェクト

 「天地耕作あまつちこうさく 初源への道行き」が2024年2月10日〜3月27日、静岡県立美術館で開催される。1988年から2003年にかけ、野外で芸術の初源を探究した天地耕作の待望の展覧会である。講演会やトークセッションなどのイベントも充実している。

 関連企画の収蔵品展「静岡の現代美術と1980年代」が2024年2月10日~4月7日、同館第 6,7展示室で開催される。

 天地耕作は、村上誠、渡の兄弟と、山本裕司の3人による協働の美術制作プロジェクト。静岡県の旧引佐郡(現・浜松市)を拠点に、街中を離れた野外で、木や縄、石や土などの自然物を素材とした、大がかりな作品を制作した。

天地耕作

 伝統芸能や遺跡などを民俗学者や考古学者のようにフィールドワークし、生や死といった根源的なテーマに迫った。

 時間をかけて築かれた、それらの耕作物(作品)は、公開期間やアクセスが限られていたため、現場を目撃した人は多くない。

 本展では、天地耕作の活動の全貌を、写真作品や映像、貴重な資料で明らかにする。

 美術館の裏山では、未完となっていた2003年の野外作品のプランが実現される。天地耕作を目撃するまたとない機会である。

 観客の多寡にかかわらず続けられた天地耕作の試みは、私たちを芸術の初源へといざなうはずである。

天地耕作

展覧会概要

開催期間:2024年2月10日(土)~3月27日(水)
開館時間:10:00~17:30(展示室の入室は17:00まで)
休 館 日:毎週月曜日
観 覧 料:
前売券 一般800円 70歳以上400円 大学生以下無料
当日券 一般1,000円 70歳以上500円 大学生以下無料

※企画展入場の人は、収蔵品展、ロダン館も併せて見ることができる。
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人と付添者1名は無料。

天地耕作とは

 静岡県の旧引佐郡(現・浜松市)細江町出身の村上誠、渡の兄弟と、同郡引佐町出身の山本裕司によって始められた美術制作のプロジェクト。

 山本は1981年から作品を発表しており、村上誠、渡はそれぞれ1983年から制作を始めていた。3名は1985年に出会い、やがてグループ展へ揃って出品するようになる。

 1988年から天地耕作が開始され、彼らの所有する地所や、採石場跡地など、野外で制作、発表を行った。

 1991年からは野外作品にパフォーマンスが伴うようになる。オーストラリア、フィンランドからも招へいされ、現地で制作、発表した(1992年、1997年)。

 彼らの活動は2003年まで続けられた。

天地耕作

関連イベント

特別講演会1「天地耕作を開袋/解体する」

2月18日(日) 14:00~15:30
講師:山本浩貴氏(金沢美術工芸大学講師/文化学)
会場:講堂
先着250名まで/申込不要/無料

特別講演会2「円環が産まれ、壊れるとき」

2月24日(土) 14:00~15:30
講師:赤坂憲雄氏(学習院大学教授/民俗学)
会場:講堂
先着250名まで/申込不要/無料

館長美術講座「あとに残さないことと残すことについて、美術篇」

3月3日(日) 14:00~15:30
講師:木下直之(館長)
会場:講堂
先着250名まで/申込不要/無料

トークセッション「天地耕作、から」

3月17日(日) 14:00~15:30
講師:川田都樹子氏(甲南大学教授/美学)、村上誠氏、村上渡氏、山本裕司氏
会場:講堂
先着250名まで/申込不要/無料

フロアレクチャー

2月10日(土) 14:00~ 40分程度
学芸員が本展の見どころを紹介する。
申込不要/要観覧券

未就学児向けワークショップ「みる・とる・つくる ―カメラであそぼう―」

3月9日(土)、10日(日) 10:00~12:00
講師:村上誠氏
会場:実技室、美術館外周辺
対象:5歳以上の小学校就学前の子どもと保護者
2日間にわたる活動。9日は保護者と一緒に、10日は子どもたちだけで活動。要申込。

わくわくアトリエ 「新木に願いを描こう」

2月25日(日)
講師:山本裕司氏
会場:当館実技室
対象:小学生から大人まで 要申込

パフォーマンス 「遊芸」

3月24日(日) 17:00 開演(予定)(16:30受付開始)
※荒天の場合は中止。少雨の場合は実施。
出演:村上誠氏、村上渡氏、山本裕司氏、森口紋太郎氏(音楽)
実施時間1時間程度/静岡県立美術館裏山遊歩道そば/定員50名程度(応募者多数の場合は抽選)/無料/要申込/会場の足場が悪いため、未就学児の入場は控える。

申込方法:①ふじのくに電子申請サービス(1月中旬頃、同館ウェブサイトで案内)、②往復ハガキ(往信面裏に、参加者氏名〔2名まで〕、電話番号、郵便番号・住所を、返信面表に返信先を記入の上送る、送付先は〒422-8002 静岡市駿河区谷田53-2 静岡県立美術館 天地耕作展パフォーマンス係)
申込期間:2月1日~2月29日 必着

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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