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第19回AAF戯曲賞は小野 晃太朗「ねー」 愛知県芸術劇場 

 愛知県文化振興事業団(愛知県芸術劇場)が主催する第19回AAF戯曲賞の大賞に「 ねー 」(小野晃太朗さん)、特別賞 に「 うまく落ちる練習」 (三野新さん)が決まった。2020年1月5日、名古屋・栄の愛知芸術文化センター12階アートスペースAで、公開最終審査会が開かれた。全国から136作品の応募があり、一次、二次審査を通過した4作品がノミネートされた。4作品のうち、他の2作品は、「異聞・シーシュポスの神話」(平賀美咲さん)、「入墨淘汰」(野滝希さん)。大賞50万円。特別賞10万円。

AAF戯曲賞

 大賞作品は、2021年度以降に、愛知県芸術劇場のプロデュース公演として、小ホールで上演する。審査員は、白神ももこさん(演出家・振付家・ダンサー、モモンガ・コンプレックス主宰)、鳴海康平さん(演出家、「第七劇場」代表)、三浦基さん(演出家、「地点」代表)、やなぎみわさん (美術作家・舞台演出家)の4人。
 大賞の「ねー」は、小野さんが、身近なさまざまなことと、池袋アクエリアス昏睡レイプ事件から着想した。小野さんは、2008年、日本大学芸術学部演劇学科入学とともに戯曲を書き始めた。15年、個人ユニット、シニフィエを立ち上げ、ドラマトゥルクとしても活動する。同世代の俳優、作り手が現在の政治や生活に絶望する中、上の世代との意見の隔たりが気になったという。さまざまな価値観、考え方が並存する煩雑さに耐えることで、何が見えてくるかを考え、併せて、「面倒くさい」という暴力的な放棄とマウンティングに対抗しようとした作品。
 また、特別賞の「 うまく落ちる練習」 は、人間が絶滅に向かう世界で、「わたし」が投身練習をする話。絶望から始まり、絶望で終わるという、別のあり方としての希望を描いたという。三野さんは、2017年、主に演劇を行うカンパニー、ニカサンを旗揚げ。写真と劇作、演出を担当する。
 AAF戯曲賞は、上演を前提とした戯曲賞で、2000年から始まった。次代を担う劇作家、後世に残す戯曲を発掘し、作家と演出家、作品と観客が出会い、新たな価値を創出することを目的としている。

AAF戯曲賞
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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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