横溝光太郎 写真集Soi 1 出版記念写真展 2月12日まで

  • 2022年2月7日
  • 2022年2月7日
  • 美術

Hase(名古屋) 2022年2月5〜12日(7日休み)

横溝光太郎

 横溝光太郎さんは1993年、東京生まれの若手写真家。2013年からパリを拠点とし、2018年にいったん東京に戻った後、2021年からタイ・チェンマイ在住。

 会場となるHaseは、筆者が初めて訪れたギャラリー。器を展示することが多いというが、空間が美しく、今回の写真作品も、とても美しくレイアウトされていた。

横溝光太郎

 本展は、横溝さんの初の写真集『Soi 1』の出版記念展として企画され、 名古屋の後、東京、福岡、沖縄、大阪に巡回予定、

Soi 1

 被写体は、すべてタイ・チェンマイでのスナップである。写真集から抜粋した作品とそれ以外にアーカイブされている写真で構成されている。

横溝光太郎

 モノクロ、カラーともに2021年に撮影された。作品はどれも小さくプリントされ額装。壁に掛けられない分はテーブルや棚に平置きされているが、それが世界の断片のようで、また、いい趣である。

 横溝さんは、大通りではなく、そこから横に入ったソイ(Soi)といわれるタイの路地を好んで歩き、撮影する。

横溝光太郎

 チェンマイでは、この小道は14世紀ごろからつくられ、人々が集う寺院に通じているという。

 横溝さんは、急速な経済成長で日々変貌しつつある路地を歩き、その風情のかけらをすくいとっている。

横溝光太郎

 そこにあるのは観光地的な風景のスナップではない。人々の往来でも、画角を広げた小道の懐かしい街並みでもない。

 ほとんど人が写されていないうえに、さりげなく被写体に接近して撮られているので、それがチェンマイや、もっと言えば、タイであることすら分からない。

横溝光太郎

 ただ、そこには、たゆとうような街の気配と光、時間がほのかに匂っている。

 どこでもありえるような被写体からしみだす、その場所、空間、時間の痕跡とでもいう、今後の発展や開発によって、日々消えゆくであろう、不可視のたたずまいがここにはある。

横溝光太郎

 画一的な、現代的な街が失ってしまった、生活空間と人の営みが分かち難く結びついた小道の、うつろいゆく美しさ。

 それは、どこにでもありそうで、そこにしかなく、確かにそこでありながら、私たちの記憶に奥深くに沈潜するものに触れる、はかなげな光のかけらである。

横溝光太郎

最後までお読みいただき、ありがとうございます。(井上昇治)

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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