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ヤマザキマザック美術館 特別展「八幡はるみ GARDEN」4月21日-8月27日に開催

《Humidity in Asia》2022 年 180.0×270.0 ㎝(45 ㎝角パネル 24 枚による自由構成) 作家蔵

大画面を埋め尽くす香しき染色の世界

 名古屋・新栄のヤマザキマザック美術館で2023年4月21日~8月27日、特別展「八幡はるみ GARDEN」が開催される。新たな染色の魅力を発信しつづける八幡はるみさんの1990年代から2023年までの作品を展観。色鮮やかな植物が大画面を埋め尽くす香しき染色の世界が紹介される。

八幡はるみ

 八幡はるみさんは1956年生まれ。京都市立芸術大学で染色を学び、1990年代初頭、楮紙こうぞしを ベースに「型」や「版」の技法を用いて、「青海波せいがいは」などの古典文様を四曲一双屏風にダイナミッ クに展開した「水のシリーズ」等の発表によって、染色の枠に収まらない規格破りのアーティストとして知られるようになった。

 その後、ろうけつ染めや金銀箔をコラージュするなど、伝統的な技を生かしながら、量産にも耐えうるスクリーン・プリントを導入。時代に合った色彩感覚を取り込むなどして、従来の染色がもっていた世界観を次々と解放していった。

 2000年代に入り、布に凹凸をつけてかたちづくった溝に染料を流し込んでいく「シェイプド・ ダイ」という絞り染め技法を開発。その表現は、より即興的に、より感覚的に、より色彩豊かに花開いていった。

 近年は、コンピューターによる画像加工やインクジェットプリントにも取り組む。デジタル技術を取り入れた八幡さんの挑戦は、染色表現の地平を広げ続けている。

八幡はるみ《GARDEN 初夏》2008-23年

八幡はるみ《GARDEN うこんの筒》2008-23年

展覧会概要

展覧会名:八幡はるみ GARDEN
会  期:2023年4月21日(金)~8月27日(日)〈113日間開催〉
会  場:ヤマザキマザック美術館
461-0004 愛知県名古屋市東区葵 1-19-30
電話 052-937-3737 / FAX 052-937-3789
開館時間:平日 10:00~17:30 / 土日祝 10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休 館 日:月曜日(※5月1日、7月17日、8月14日は開館)、7月18日
入 館 料:一般1300円(10名様以上1100円)、小・中・高生500円、小学生未満無料 〔音声ガイド無料サービス〕

展覧会構成

第一章 1990 年代

 楮紙をベースに、「型」や「版」の技法を用いて、「青海波」など古典文様を四曲一双屏風にダイナ ミックに展開した「水のシリーズ」などを紹介。

第二章 2000 年代「シェイプド・ダイの開花」あたらしい花の表現へ

《shangrila -Nami-》2008 年 168.0×178.0 ㎝(二曲屏風)作家蔵

 八幡さんが考案した「シェイプド・ダイ」という染め技法を用いて、感覚的に染め上げていく「あたらしい花の表現」を紹介。

《shangrila》2009 年 96.0×96.0 ㎝ 作家蔵


 シェイプド・ダイは、絞り染めの一種で、折ったり曲げたりシワを寄せたりしてできた布の凹凸に染料をしみこませて出来た色の濃淡を生かす表現方法。
 八幡さんは、布をたわませたり蛇腹にしたりして凹凸をつけ、注射器や霧吹きなどで染料をしみこませてできた滲みや濃淡を生かしている。

第三章 2000 年代「GARDEN」デジタル技法を用いた表現へ

コンピューターによる画像処理などのデジタル技法を用いた近作、最近作を紹介。

《Flower bed 2023 version》2023 年 150.0×360.0 ㎝ 作家蔵

《熱帯》2022 年 67.0×96.0 ㎝ 作家蔵

関連イベント

八幡はるみさんと学芸員によるガイドツアー〈要予約〉

制作の裏話や技法、展覧会の見どころを解説する。定員15名。

日  時:会期中の第2日曜日(5月14日、6月11日、7月9日、8月13日)10:30-11:30
参 加 料:無料。ただし当日の鑑賞券が必要
申込方法:4月29日(土)から電話(052-937-3737)で

学芸員によるガイドツアー

展覧会の見どころを解説する。定員15名。予約不要(先着順)。

日  時:会期中の第2・4土曜日(4月22日、5月13日、5月27日、6月10日、6月24日、7月8日、7月22日、8月12日、8月26日)10:30-11:30
参 加 料:無料。ただし当日の鑑賞券が必要

作家略歴

アトリエでの八幡氏

 1956年、大阪生まれ。京都市立芸術大学卒業。京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。1994年「現代の染め」国立国際美術館/大阪、1996年「日本の染織テキスタイル」目黒区美術館/東京、2001年「現代の布」東京国立近代美術館/東京、2007年「〈素材×技術〉からフォルムへ」茨城県つくば美術館/茨城、2010年「近代染色の展開と現在」茨城県つくば美術館/茨城、2013年「八幡はるみ 工芸・東洋館を祝う」大原美術館工芸館・東洋館/岡山、2015年「琳派 400 年記念」京都文化博物館/京都、日本橋高島屋/東京、2016年「革新の工芸―“伝統と前衛”そして現代」東京国立近代美術館/東京、2019年「京都の染織」京都国立近代美術館/京都。

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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