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豊田市美術館 開館30周年記念コレクション展「VISION 星と星図|星図Ⅱ:独りと、集団と」2025年10月4日‐12月21日に開催

斎藤義重《複合体 95》1995年

日本の戦後美術の動向などを紹介

 愛知・豊田市美術館で2025年10月4日〜12月21日、開館30周年記念コレクション展「VISION 星と星図|星図Ⅱ:独りと、集団と」が開催される。

 同館は、開館30周年に合わせ、2025年6月から2026年3月までの10カ月間を通して、コレクションを見つめ、作品に新たな息吹を吹き込む連続企画を展開している。

 その第2弾となる「星図Ⅱ:独りと、集団と」では、展示室1と3の2部屋を使い、日本の戦後美術の集団的な動向と、その傍らで、時に関心を同じくしながらも独り制作を続けた作家たちの二つの軸から作品を紹介する。

 展示室2で展示するのは、2021年に寺内曜子が同室にあわせて制作した《パンゲア Red Square Line》。

寺内曜子《パンゲア Red Square Line》( 部分)2021年 ©TERAUCHI Yoko 2025 photo: ToLoLo studio

 展示室4では、迎英里子が産業都市・豊田を念頭に構想した新作を披露し、つづく展示室5では宮脇綾子やウィーン工房の女性作家たちによる作品など、日常の延長線上に息づく作品を中心に紹介する。

 戦後50年代後半から70年代の日本の美術は、具体美術協会、ネオ・ダダ、もの派、美共闘など、いくつかのグループが誕生しては消え、また新たな動向が生まれるという、運動体の歴史として展開してきたといえる。

 しかし、言うまでもなくその周辺では、斎藤義重や岡崎和郎、村岡三郎など、独自の時間軸で、息の長い制作を続ける作家たちがいた。

 堀浩哉《池へ -81.4》1981年 ©Hori Kosai

 豊田市美術館には、野村仁や河口龍夫など、同時代に関西を拠点にした作家たちの作品も多くあり、こうした作品も、この時代を見るうえで別の視点を与えてくれる。

 アプリケによる作品づくりを、日記を書くように日々の営みとして続けた宮脇綾子や、具体美術協会のメンバーという経歴を持ちながら、菓子箱を転用したり色紙を使ったりと、日常の延長線上で、ごく小さな作品を制作し続けている堀尾昭子にも、命名不要なアートの豊かさを認めることができる。

吉田哲也《Untitled》1996年

 極度に削ぎ落とされ、反転によって世界の無限の広がりを私たちに開示してくれる寺内曜子の作品は、利己的に世界を分断してきた人間への軽やかな警句である。

 同じく迎英里子の新作には、システム化された社会に対する、拭いようのない違和感が提示されている。私たちは、大きな歴史に飲み込まれる前に、個別の生を生きている。

 個々の作品は、一つの星のように個別の性格を持った単独の存在でありながら、他の作品と関係し合い、像を結ぶことによって、複雑で豊かな星図を描き出す。

 篠原有司男《かんざし》1966,98年

開催概要

開催期間:2025年10月4日[土]-12月21日[日]
開館時間: 午前10時-午後5時30分(入場は午後5時まで)
休 館 日: 月曜日(10月13日、11月3日、24日は開館)
主  催: 豊田市美術館
観 覧 料: 一般300円[250円]、高校・大学生200円[150円]、中学生以下無料
[ ]内は20名以上の団体料金。

マリア・リカルツ《ヴェローナ》1924年

見どころ

1 豊田市美術館のコレクションの核となる、1950年代後半 -70年代の日本の美術作品の紹介
 具体美術協会やもの派、美共闘など、次々に誕生した芸術運動と共に、斎藤義重、村岡三郎、野村仁など、独自の時間軸にもとづいて制作を続けた作家の作品を紹介する。美術の複数の歴史を実感することができる。
2 寺内曜子《パンゲア Red Square Line》の再展示
 2021年の特集展示の際に、当館の展示室に合わせて制作されたインスタレーション作品を4年ぶりに再展示。空間の果てしない広がりと、また反対に求心的に縮小していく世界とを同時に体感することができる。
3 迎英里子新作
 豊田市美術館では同時代に活動する作家たちのアクチュアルな作品を紹介してきた。第2期では、現在、愛知県を拠点に活動する迎英里子の新作を紹介する。産業都市・豊田と現在のシステム化された社会に応答した作品となる。
4 宮脇綾子とウィーン工房
 日々の営みの延長線上で制作を続け、いまその活動が改めて注目されている宮脇綾子。女性作家が中心となり、日常を彩るデザイン品の制作を行ったウィーン工房。大きな作品に劣らぬ、それら小さな仕事の豊かさを紹介する。

宮脇綾子《布置刺繍》1975年頃

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