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豊岡演劇祭(兵庫) 2020年8月8日チケット発売 平田オリザさんがディレクター

豊岡演劇祭(兵庫) 2020年8月8日チケット発売 平田オリザさんがディレクター

兵庫県北部の豊岡市で2020年9月9〜22日、第1回目の「豊岡演劇祭2020」が開催される。フェスティバルディレクターは、劇作家、演出家の平田オリザさん。新型コロナウイルスの感染防止に徹底的に取り組む「豊岡演劇祭2020感染症対策のガイドライン」を準備し、開催にこぎつける。詳細情報は7月下旬に発表される。

 豊岡市では既に、2014年に、舞台芸術を中心としたアーティスト・イン・レジデンスの拠点・城崎国際アートセンターがオープン。豊岡市内の全小中学校では、演劇的手法を使ったコミュニケーション教育の授業が導入され、2021年4月には、演劇やダンスが本格的に学べる日本初の公立大学、兵庫県立の国際観光芸術専門職大学(仮称)が開学予定である。

豊岡市では、演劇をまちづくりの核の1つに据え、平田オリザさんも昨秋には、主宰する劇団・青年団とともに拠点を東京から移した。豊岡演劇祭は、その大きな柱として計画され、2019年には、トライアルの「第0回」が開かれた。

 平田さんは、第0回豊岡演劇祭のWEBサイトで、狙いとして、①日本国内では類例を見ないフリンジ型(自主参加型)の国際的な演劇祭を目指す②アジアの舞台芸術の見本市的な性格を持たせ、国内外のプロデューサーや評論家が必ず訪れる演劇祭を目指す③有力な演目をキラーコンテンツとして招請する④新設の専門職大学の臨地実習(長期インターン)の場として機能させる⑤ITを活用した演劇祭独自の地域通貨を開発し、地域の経済活動にダイレクトに貢献する⑥フリンジ参加のカンパニーに対して市内のさまざまな空間を上演会場として提供し、そのことを通じて、将来的な空き家空き店舗対策に結びつける⑦演劇教育についての先端的な情報交換の場として機能させる—を挙げている。

プログラム

・青年団
『眠れない夜なんてない』
『ヤルタ会談』『思い出せない夢のいくつか』
作・演出:平田オリザ

・中堀海都+平田オリザ
室内オペラ『零(ゼロ)』
作曲・指揮:中堀海都 作・演出:平田オリザ

・鈴木忠志、高田みどり、SAMGHA/真言聲明の会
『羯諦羯諦』
演出・構成:鈴木忠志 出演:高田みどり、SAMGHA/真言聲明の会

・岩井秀人(WARE)
『いきなり本読み!in 豊岡演劇祭』
企画・司会進行:岩井秀人

・変わりゆく線
『四つのバラード』
振付:Roy Asaaf 出演:木田真理子、児玉北斗 ピアニスト:圓井晶子
『diss__olv_e』
振付:平原慎太郎 出演:OrganWorks

・Q
『バッコスの信女 ─ ホルスタインの雌』
作・演出:市原佐都子

・五反田団
新作『ぬかりのない船』(仮)
作・演出:前田司郎

・cigars
『庭にはニワトリ二羽にワニ』『キニサクハナノナ』
作:小川未玲 演出:志賀廣太郎

・東京デスロック
『Anti Human Education 3』(仮)
構成・演出:多田淳之介

・マームとジプシー
「演目未定」
作・演出:藤田貴大

他にフリンジプログラムがある

会場

 メイン会場は、2020年4月に旧豊岡市商工会館を活用し、クラウドファンディングなどの資金によって完成した「江原河畔劇場」。ここは、平田さんが主宰する青年団の活動拠点にもなる。他に、平田さんが芸術監督を務める城崎国際アートセンター、明治期に建設された近畿地方現存最古の芝居小屋である出石永楽館など市内の施設が使われる。

フリンジプログラム

公式プログラムのほか、自主参加型のフリンジが設けられる。公募に応じたプログラムから7月末に採択する団体を決め、最大50万円までの制作支援金をサポート。企画内容に合わせて、コーディネーターが市内のフリンジエリアの会場や、宿泊所をマッチングする。コロナの影響で公園などが中止・延期になった団体などに優先的にふりむけ、支援する。

フェスティバルディレクター 平田オリザさんから

豊岡演劇祭を開催します。
もちろん、開催は以前から決まっていたことですが、正式に開催が決定しました。
 全国の演劇ファンの期待に応えるラインナップを組むことができたと自負しています。ここにフリンジ(自主参加)の若手カンパニーが続々と加わっていきます。ご期待ください。

 この春、演劇やダンス、音楽といったパフォーミングアーツの世界は、これまで体験したことのない危機に直面しました。そして、その危機は今も継続しています。
 6月末現在、全国で、劇場は少しずつ再開していますが、三密を避けるために通常のような公演ができるようになるのは、まだまだ先のことのようです。
 9月に開催を予定していた豊岡演劇祭も、一時は開催そのものが危ぶまれる状況に陥りました。幸いにして豊岡市を中心とする但馬地方は、今日に至るまで感染者はゼロであり、城崎温泉や神鍋高原、出石や竹野なども賑わいを取り戻しつつあります。演劇祭実行委員会は、四月以降、毎週のように豊岡市当局と協議を繰り返し、国際共同企画の中止、演目差し替えなどを行ったうえでの開催を決定しました。まだ9月の段階での全国的な感染状況を見ていかなければなりませんが、徹底的な感染防止対策を取ったうえで、規模を縮小しての開催となります。
産業や経済と同様に、文化にもバックアップの機能が必要です。私達は、感染リスクの低い但馬で、芸術復興の小さな灯りをともしていきたいと考えています。

 この演劇祭の大きな特徴は、地域振興、とくに豊岡市の主産業である観光との連動です。多くの演劇ファンの皆さんに、一つでも多くの演目を楽しんでいただきつつ、温泉に入り、蕎麦や但馬牛、海産物などを堪能していただきたい。パフォーミングアーツと観光を連動させた日本で初めてのリゾート型、回遊型の演劇祭を目指します。
 フェスティバルの中心となるJR江原駅前には、フェスティバルカフェを設置します。日本中から集まった演劇ファン、上演団体のアーティストたち、それをつなぐ学術や批評、ジャーナリストの方たちが一堂に会し、今日見た演劇について熱く語り、情報交換を行い、明日見る演目を決めていく、そんな場所を創っていきたいと考えています。フェスティバルカフェとその周辺では、但馬の物産品の購入や日本酒、地ビールの試飲など、様々な賑わいが創出されます。

 ウイルス禍の混乱から開催の発表が遅れ、また、そのために詳細が発表できないままでの中途半端な情報公開になっていることをお詫びいたします。詳しいタイムテーブルや関連企画は、追って発表となります。期待して、お待ちください。

皆様と劇場で会える日を楽しみにしています。
平田オリザ

豊岡演劇祭のWEBサイトより

詳細は、豊岡演劇祭のWEBサイト

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文化とメディア—書くこと、伝えることについて

1980年代から、国内外で美術、演劇などを取材し、新聞文化面、専門雑誌などに記事を書いてきました。新聞や「ぴあ」などの情報誌の時代、WEBサイト、SNSの時代を生き、2002年には芸術批評誌を立ち上げ、2019年、自らWEBメディアを始めました。情報発信のみならず、文化とメディアの関係、その歴史的展開、WEBメディアの課題と可能性、メディアリテラシーなどをテーマに、このメディアを運営しています。中日新聞社では、企業や大学向けの文章講座なども担当。現在は、アート情報発信のオウンドメディアの可能性を追究するとともに、アートライティング、広報、ビジネス向けに、文章力向上ための教材、メディアの開発を目指しています。

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