鈴木繁男装幀 柳宗悦『南无阿弥陀佛』(特装本) 1955年 21.9×16.1cm 日本民藝館蔵
半世紀にわたる多彩な仕事を紹介
愛知・豊田市民芸館で2025年10月11日〜2026年1月12日、「鈴木繁男 手と眼の創作」が開催される。
金蒔絵師の次男として静岡市に生まれた鈴木繁男( 1914-2003年)。幼少期から漆芸を仕込まれて、模様を生む能力を育み、その非凡な才能をいち早く認めた柳宗悦は唯一の内弟子として、1935年に鈴木を入門させた。

鈴木繁男作 鉄印判手陶板 磐田窯 1960-1964年 2.0×24.5cm 日本民藝館蔵
柳から工芸や直観についての厳しい指導を受け、開館前の日本民藝館陳列ケースや展示台への拭漆塗りなどを任された。その仕事が初めて衆目を集めたのは雑誌『工藝』の装幀。和紙に漆で描かれた表紙は多くの民藝関係者や読者を驚かせた。
陶磁器、装幀、漆絵など多岐にわたる鈴木作品の特質は、筆や型を用いて施された模様の独自性にある。古今の工芸品から滋養分を受け取り、それを十分に咀嚼して生み出した品格ある模様は、今も燦然たる光彩を放っている。

鈴木繁男作 久能団扇 1950年頃 47.0×25.5×1.3cm 日本民藝館蔵
柳に鍛えられた眼による創作も忘れてはならない。鈴木が蒐集した古作の優品は日本民藝館のコレクションにも見ることができ、確かな位置を占めている。
本展は日本民藝館(東京)で開催された「鈴木繁男 手と眼の創作」の巡回展として開催。これまで認知されることの少なかった工芸家・鈴木繁男の手と眼による創作を展観し、約半世紀にわたる多彩な仕事を紹介する。

鈴木繁男作 呉州打掛皿 砥部 1955-1959年 4.6×32.0cm 日本民藝館蔵
展覧会概要
展覧会名:鈴木繁男 手と眼の創作
会 期:2025年10月11日[土]〜2026年1月12日[月・祝]
開館時間:午前9時 30分〜午後 5時
休 館 日:月曜日[10月13日、11月3日、24日、1月12日は開館]、12月28日[日]〜1月4日[日]
主 催:豊田市民芸館
共 催:中日新聞社
出品協力:日本民藝館、瀬戸民藝館
会 場:第1・第 2民芸館
観 覧 料:一般800円/高校生・大学生 600円/中学生以下無料
※観覧料の減免、割引等についてはウェブサイトを確認 。

鈴木繁男作 色絵草花文皿 素地・壺屋 絵付・鈴木繁男(蒲田・芹沢工房)
1939年 8.6×32.2cm 日本民藝館蔵

鈴木繁男蒐集 灰釉蓮弁文壺 渥美 平安時代末期 43.5×41.0cm 日本民藝館蔵
イベント
①記念講演会「鈴木繁男先生の思い出」
日時:11月1日[土] 午後2時-3時30分
講師:柴田雅章(作陶家)
②トーク「民藝 わからなくて愛おしい」
日時:10月18日[土]午後2時-3時30分
登壇:朝倉圭一(やわい屋店主)
① 、 ② いずれも
会場:豊田市民芸館(第3民芸館)
聴講:無料。会期中の観覧券の提示が必要
定員:先着50名程度。事前申込不要
③やわい屋ポップアップストア
会期中、第2民芸館に飛騨高山の工藝店「やわい屋」が出店する。
④ギャラリートーク 学芸員による展示解説
日時:11月15日[土]、12月7日[日] いずれも午後2時から1時間程度
会場:第1民芸館集合
聴講:無料。当日の観覧券の提示が必要

鈴木繁男蒐集 厨子 江戸時代 30.0×18.0×13.5cm 日本民藝館蔵

鈴木繁男装幀 『工藝』第100号(『工藝』屏風・部分)
1939年 23.0×15.0cm 日本民藝館蔵